PIDEです。毎週金曜日に、このページに登場します。よろしくお願いします。 私は旧浦和市の某町に住んでいる熱狂的サッカーファンです。 子供の頃からサッカーに興味を持ち、今に至っています。スポーツはサッカーだけではなく、スキーなど、いろいろやっていますが、中心はやっぱりサッカーになりますね。 実はNPO 日本サポーター協会にも所属しておりまして、サッカーに関連するいろいろなことに首を突っ込んだりしています(^^ゞ。 このページで皆様とサッカーの話で盛り上がれればいいな、と思っています。 |
全320件中 新しい記事から 61〜 70件 |
先頭へ / 前へ / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / ...17 / 次へ / 最終へ |
第260回 ACLとTOTO | ||
こんにちは。PIDEです。
5月らしい陽気が今週は続きましたが、そろそろ梅雨も迎えます。職場に向かう電車の中も随分と蒸し暑くなり、プレーするにも応援するにも大変な季節がもうすぐやってきますね。 さて、今回は2つほど。 1.レッズACL突破 さて、過去のコラムでも何回か書いてきたACL。最後の最後まで苦しみながらもホーム埼スタで決勝トーナメント進出を決めました。 ・・・それにしても・・・ 2勝4分という結果を「勝ちきれなかった」と言うべきか「負けなかった」と言うべきか。Jリーグでも前節の名古屋戦こそ勝利を挙げましたが、今シーズンのここまでの成績は6勝1敗5分。これも「1敗しかしていない」と言うべきか「5つも引き分けている」と言うべきか・・・。アジアの壁というよりも何かもっと大きな壁にぶつかっている所を、何とかギリギリの所でかわしている印象です。まぁ何だかんだ言いながらも2位という順位をキープしていますし、ぜいたくな悩みかもしれませんが。 今週の浦和駅では有志の方がスタジアムに応援に行こうとビラ配りをされていました。いつも関心する事なんですが、こうした無償の自発的な行動をしてくれるサポーターのいるクラブは、どれほど恵まれているだろうかと思いますね。「We are REDS」の「We=私たち」がレッズなんだというコールは「選手=する人」「観客=見る人」という受け身な構図ではありえないんですよね。 「12番目の選手」とスタジアムコールされる事もありますが、運営側からそう言われるよりも「We」というコールを自分たちから発している光景に感動したりします。 「スタジアムに行く」という行為がテレビ観戦と大きく異なるのはこうした参加意識、当事者意識に行く付くのかなと思います。 2.TOTO−BIGで1等当せんが7口 高額のキャリーオーバー(当せん繰越金)で急に世間の注目を浴びたTOTOで先週末、7口の当せんが出ました。金額はおよそ5億6,000万円也。報道された6億円には及びませんでしたが、それでもこの金額。マスコミ報道が活発になった後、購入者が殺到。システムダウンを起こしながらも過去最高の約61億円を売上げ、下火だった人気にも少し歯止めがかかったでしょうか。ちなみにこれまでの最高売上は2001年に約39億円という記録のようです。 売上低迷に悩んでいたTOTOがBIGという予想をコンピューターが自動に(勝手に?)行なうほぼ宝くじのようなくじを発売。今回高額のキャリーオーバーが呼び水となり、多くの関心を集めたのはサッカーファンとしては少々複雑ですね。 ただ、やはり昨年のW杯以降感じる日本サッカーへの閉塞感を打ち破る一つのきっかけになれば、それはそれでよいのかなと。今回これだけ報道がされ、多くのサッカーに関心の低かった人たちが自分のくじの結果を気にするためにスポーツニュースやTVでサッカーの映像を見るようになればまたそこからサッカーに関心を持つ人が増えるかもしれません。 残念なのはサッカー中継がほぼ全てCS放送でしか行なわれなくなってしまった事。コアなファン層を確実に抑える事ももちろん大事ですが、一方で広く世間に認知される存在でい続ける努力も、長い目で見れば必要とされるのだと思います。 僕も久しぶりに予想でもしてみますか。。。 横浜FC − ○大分 [三ツ沢] F東京 − ○名古屋 [味スタ] 神 戸 − △柏 [ホムスタ] ○鹿 島 − 甲府 [カシマ] 千 葉 − ○G大阪 [フクアリ] 広 島 − ○清水 [広島ビ] ○浦 和 − 横浜FM [埼玉] ○川崎F − 大宮 [等々力] 磐 田 − △新潟 [ヤマハ] さぁ、結果はいかに??? **5月25日(金)掲載**
|
第259回 5月15日 | ||
この日付は現在の日本サッカーにとって「誕生日」とも言える日。93年5月15日。Jリーグが開幕した日ですね。今年で15回目。僕が小学校でサッカーを始めたのは「キャプテン翼」でした。当時は世界のサッカーを観るなんて感覚はまるでなく、サッカーは「翼」を読むか、自分でボールを蹴ってるか、そんな事しかありませんでした。
今の高校生から下の年代はもう物心ついた頃からプロリーグがある事が当たり前になった世代なんですね。サッカーを取り巻く環境や個々のスキルなどまさに隔世の感。。。とはいえ、随分と年を重ねた僕には必ずしも僕らの世代と比べ「強くなっているのか?」という点では疑問も??? 少し前の某サッカー専門誌で世代別選手の特集が組まれていました。僕の生まれ年は1976年。同学年で有名な選手では中田、宮本、福西、楢崎など。93年のU-17、95年のU-20、96年のアトランタ五輪を経て98年W杯初出場から02年、06年とこの15年間の変化を最もダイレクトに感じた世代になるでしょう。Jリーグ開幕前夜を知り、日本サッカー急成長期を実感した世代。まぁ僕個人がサッカー界になんら貢献をしてはいないのですが(^^; こうしてまとめてみるとちょっと誇らしかったりもします。 そんな感傷はさておき・・・今も草サッカーながらプレーしているので、若い選手と一緒に(もしくは敵として)なる事も多々あるのですが、本当に足元がうまい選手が多いのですが、試合となると意外と戦えたりするから不思議です。社会人になって浦和に来てから、僕の場合は逆にプレーヤーとして非常に深くサッカーに関わるようになりました。中学までしか部活をしていなかったですから、この浦和でどれだけできるものかと最初は不安でした。 そんな中でわかってきた事は、「サッカーはボールテクニックだけじゃない」という一つの(僕にとっての)真実でした。もちろんロナウジーニョのように優れたテクニックを持てるにこしたことはありません。ただ、逆にテクニックが劣っていたとしても、他に戦える武器があればポジションも含めいろいろとやれるんだ、という自信です。 最近、大人の方を相手にですが、少し指導をする機会にも恵まれています。大人になってフットサルなど始めた方々ですから、どうしても基礎技術的には厳しいところがある。しかし、その中でもいろいろと工夫することで十分に戦えるチームになってきたりします。最後の最後は個人技というのも真でしょうが、テクニック+αの部分にこそ大事なものがいっぱいあるのではないか。 最近ヨーロッパで活躍する日本人選手も増えてきました。マスコミ報道などから聞かれるのは「テクニックでは日本人は負けていない」というコメントです。では、どうして活躍できる選手が少ないの?という疑問への回答とACLなどアウェーで苦しむ日本の原因というのは同じ背景にあるのではないかと思います。 「そこ」を突き詰めていくことが指導者なのかな。と最近思っていたりします。 **5月18日(金)掲載**
|
第258回 ショートコメントいろいろ | ||
こんにちは。PIDEです。
GW後半から一気に気温と湿度があがり、今週は初夏のような日差しが続きました。これから暑い季節が始まります。リーグにACL、代表と日程面で一番苦しむクラブであろうレッズですが、これからの時期のコンディショニングは非常に重要ですね。 さて、今週はネタがいろいろあったのでショートコメントをいくつか。 1.浦和ACL突破に向けて足踏み 水曜日に行なわれたペルシク・ケディリ戦。 終盤まで3-2とリードしながら同点ゴールを奪われ、またもや引き分け。これでアウェーゲームは全て引き分け。ホームでは勝利しているので2勝3分の勝ち点9。次回は2位で勝ち点8のシドニーFCとホームで直接対決。ホームで絶対的に強いレッズだけに大丈夫だと信じているが、アウェーゲームの難しさはアジア相手であっても変わらないと痛感。世界は広いですね。 2.誤審 先週末のJリーグ。広島vs大分戦で起きた誤審問題。 ネットではここ数年審判に対する厳しい意見が増えてきています。どの審判が笛を吹くかで一喜一憂するスポーツもあまりないのでは?私自身も草サッカーレベルでの審判経験がありますが、荒れる試合をコントロールするのは本当に難しく、一概に審判を責める気持ちにはなりません。 そして、人間が裁く限り必ずミスは犯してしまうもの。大事な事は、試合での決定権は全て審判に帰属する事を大前提として、審判の判断基準について議論をし、誤りは誤りとして認める事。選手と審判の信頼関係があってこそ素晴らしいゲームが作られます。居丈高に笛を吹くような審判の方は改めてもらいたいし、逆に何でも笛に文句を言う選手も慎まなければなりません。 3.某日本代表スポンサー会社の広告 ちょっとした話題になっています、某日本代表スポンサー企業の広告に浦和レッズの試合のスタンドが色を変更(赤から青)されていた事件。 私も多少印刷関連に関わりのある仕事をしているからわかりますが、最近はパソコンで簡単にこうした修正ができてしまうんですよね。おそらく「色変えて使ってもわからないでしょ」という安易な気持ちで制作され、誰もが指摘を受けるまで問題になるとは思わずに進めてしまっていたのでしょう。レッズサポの立場からすれば「ふざけんな」って気もありますが、こうした所に、まだまだ日本代表とJクラブに対する意識/見解が見え隠れしているように思います。まあ、それだけの人が集まっているという証明でもあるのですが。 4.C大阪の都並監督解任と東京Vのラモス監督続投 う〜ん、どちらも何だかなという印象ですね。このタイミングで解任をしなければいけないC大阪にはやはり長期的な視点で物事を考える意識が希薄なように感じます。J1から降格しJ2でガラリと変貌させたクラブは川崎Fや柏のようなよい事例があります。監督を解任すれば済む話ではないという事をもっと考えてみては?と思ったりします。一方で解任がほぼ確定されていたラモス監督の続投。直前の試合に負けた勝ったでころころ意思決定が変わるようでは、やはりこちらもクラブとしての姿勢が問われるものと思います。こうした事は他山の石としてレッズではないようにしてもらいたいものですね。 **5月11日(金)掲載**
|
第257回 特待生 | ||
こんにちは。PIDEです。
みなさんいかがお過ごしでしょうか?GWはどこに行っても混んでるし、高いこの時期。住んでる街にJのクラブがあり、スタジアムに足を運ぶことが何よりの余暇の過ごし方・・・でしょうか。僕のGWは毎日サッカー、フットサル三昧です。。。 さて、基本的には浦和とサッカーについてがテーマのこのコラムですが、今回は野球の話を。最近巷が大騒ぎ・・・の「特待生問題」です。 元々はプロ野球との裏金問題だったと思うこの話題、気がつけば高校での特待生の問題として大きく広がり、300校以上の甲子園優勝校も含む高校に「違反行為」があったとの発表があり、マスコミを大いに賑わせています。埼玉県下の高校もこの「違反行為」があったとの事、直近の対外試合の禁止など制裁も課されるようです。 そもそもこの「違反行為」。何に違反しているのかと言いますと、(財)日本学生野球協会が定めている「日本学生憲章」の第13条との事。以下にその条文を引用します。 「日本学生野球憲章 第13条」 1.選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、他から選手又は 部員であることを理由として支給され又は貸与されるものと認められる学費、 生活費その他の金品を受けることができない。但し、日本学生野球協会審査室は、 本憲章の趣旨に背馳しない限り、日本オリンピック委員会から支給され又は 貸与されるものにつき、これを承認することができる。 2.選手又は部員は、いかなる名義によるものであつても、職業野球団その他のものから、 これらとの入団、雇傭その他の契約により、又はその締結を条件として契約金、 若しくはこれに準ずるものの前渡し、その他の金品の支給、若しくは貸与を受け、 又はその他の利益を受けることができない。 僕の関わっているサッカーも含め、スポーツ特待生は一般的に行われている事。近年私立の学校が知名度を高めるためにスポーツに力を入れ、県外だけでなく海外からも選手を集めている事は周知の事実。なぜ今回野球が問題になっているのかというとこの条文に抵触していたからなんですね。 例えばサッカーの場合で行くと、日本サッカー協会(JFA)のサイトにある規約/規定集では、 「第5章 移籍 第2節 移籍の手続き 第97条(アマチュア選手がプロ選手として移籍する場合)」 アマチュア選手が、プロ選手として移籍先チームへ移籍したい旨を申し出た場合、 移籍元チームは、当該移籍について異議を申し立てることができない。ただし、 移籍元チームが営利法人、財団法人、社団法人、NPO法人または学校教育法第1条に 定める学校およびそれに準じる団体で本協会が認定したものである場合に限り 移籍元チームは、移籍先チームに対し本協会の「トレーニング費用請求基準」に定められた 金額を上限とするトレーニング費用を請求することができる。 とあり、特に上記野球憲章の13条−1のような特待生に関しての規定はありません。そもそもが「学生」という括りは存在せず、「アマチュア/プロ」としての選手登録区分があるのみです。また、今回の問題の発端である「裏金」はおそらく13条−2に抵触する話なのでしょう。これも、サッカーの規定では逆に「トレーニング費用を移籍元チーム(高校など)は移籍先チーム(Jクラブなど)に請求できる」と適正(規定では30万円程度)の金銭授受がチーム間で認められています。 今回ちょっと調べてみただけで結論づける気はありませんが、まず驚いたのは競技種目には当たり前ながらいろいろな規則があり、かつその細部は全く違っていたりするという事。それは野球とサッカーの日本における歴史の違いであったりする部分もあり、上記条文だけを持ち出して「野球はダメだね〜」なんてコメントは、野球をしている方々にとって失礼な話。また、こういった条文がある以上、その規則に則って行動すべきであるという事は法治国家にとってひどく当たり前の話。裏金を受け取っていた選手、特待生もしかり。 ただ、どちらにしろ言いたい事は一つ。 「そういったルールがあるんだったら、周りの大人がきちんとそのルールを理解して、選手達に教え、徹底しろよ!」 という事。例えば特待生ならこの学生野球連盟が各学校に対して「特待生は取っちゃダメですよ」と一言言っていれば済む話でしょ。裏金だって「こういうルールがあるからダメですよ」って周りにいる大人がきっちりと話してやれば済む話でしょ。「いや、他のどのスポーツ見たってやってますよ」とか「いろいろやるにはお金がいるんですよ」とか、それはそれで現実あるんだろうけど、理想と現実の差を認識した上で、ルールに則った上でどうそのギャップを埋めていくか、具体的には現実に即した野球憲章の改正について議論をするなどしていく事が、そのスポーツに夢を持ってひたむきに取り組んでいる子ども達に対して、関わる大人たちの最低限の義務なのではないでしょうか。 僕は全国大会とかの開会式で行われる「選手宣誓」が好きです。 「僕たち選手一同は、スポーツマンシップに則り、正々堂々と戦うことを誓います!」 選手に誓わせてるんなら、周りの人間も誓ってください、選手達に。 先の野球憲章の前文部分にはこんな記載がされています。 日本の学生野球はわれらの野球として学生たることの自覚を基礎とし、 学生たることを忘れてはわれらの野球は成り立ち得ない。勤勉と規律とはつねに われらと共にあり、怠惰と放縦とに対しては不断に警戒されなければならない。 元来野球はスポーツとしてそれ自身意昧と価値とを持つであろう。 しかし学生野球としてはそれに止まらず試合を通じてフェアの精神を体得する事、 幸運にも驕らず非運にも屈せぬ明朗強靭な情意を涵養する事、いかなる艱難をも 凌ぎうる強健な身体を鍛練する事、これこそ実にわれらの野球を導く理念でなければならない。 この理念を想望してわれらここに憲章を定める。 条文をどうこう考える前に、まずはこの理念にうそ偽らざる姿勢で周りの大人たちは振舞っていますか?大人が態度で示さない事は子ども達は信用しないですよ。野球に限らず、サッカーでも他のスポーツでも。自戒も含め。 嫌ですね。こういう話題でスポーツが取り上げられてしまうのは。 **5月7日(月)掲載**
|
第256回 ホームとアウェイ | ||
こんにちは。PIDEです。
先週末は大変な事が起きました。ここまでホームでは25戦負けなしだったレッズが川崎Fに敗戦。相手も同じくACLを戦う強豪クラブですから、「まさかの」ではないと思いますが、やはり連勝記録が途絶えてしまったというのは大きな驚きでした。相手がどこであれ、ホームでは負けない。海外ほどホーム&アウェーの差を感じる事が少ないJリーグにおいてレッズのこれまでの記録は、やってくる相手を試合前から威圧し、常に大勢のサポが集まるスタンドが作り出す空気は最高の舞台装置としてこの記録を支えてきました。 とはいえ、まだまだリーグ序盤戦。今年のJリーグはかなり拮抗した展開が続いているので、落ち込む必要はない試合でしょう。展開も一時を除いては基本的にレッズのペースで進んだ試合。またここから新しい連勝記録を伸ばしていけばよいのですから。 今年はACLにも参加していますから、このJリーグの連勝記録ストップだけでなく、ホームとアウェーの違いを意識する事が多いように思います。 この水曜日はホームで1-0で勝利していた上海申花とアウェーで試合。0-0で引き分けました。シドニーFCとの試合も2-2の引き分け。なかなか勝てません。また、このリーグでは格下と思われていたペルシク・ケディリ(インドネシア)がなんと!ホームでシドニーFCと上海申花に勝利。GW明けの5月9日にはそのホームにレッズが乗り込みます。ここまでアウェーで勝ち星のないレッズ。これまで4試合を終えて、レッズが勝ち点8の首位ながら7でシドニーFC、そして6でペルシク・ケディリが続く団子状態。もしこのアウェーで勝ち星を逃すような事があると、1位しか決勝トーナメントに進めないレギュレーションですので、更なる大混戦となりかねません。 年代別も含め、これまで代表に選ばれる選手しか海外で真剣勝負を行う機会を手にすることができませんでした。ACLがここまで注目を浴びるようになり、大会の価値が認知されるようになってきて、アジアで戦う事の難しさを私たちは改めて感じているはずです。 一方で、多くの選手やサポーターが「海外で戦う」という舞台を経験することは先々の日本サッカー界においても非常に有益な事だと思います。日本では当たり前だと思っていた事が海外では通じない。海外で戦うという事は、単純にスキルだけでなく、そのイレギュラーな状況でどうそのスキルを発揮できるのか、といったこればかりは経験しない事でしか得られないノウハウを蓄積する事ができます。今回アジア制覇をもちろん狙って欲しいのですが、来年も天皇杯王者として出場資格を持っているレッズですから、アジアでの戦い方を学び、また広く浦和レッズというクラブをアジア中に広める活動としても頑張って欲しいものです。 またアウェーの地で行っている「ハートフルサッカー」の取り組みも素晴らしいですね。その土地土地でプロのフットボールクラブができることは、ピッチの上だけの事ではないという事を示してくれた活動でしょう。Jクラブのアジア進出は様々な経験をクラブに与え、新しいステージへと進んでいっているようです。 **4月27日(金)掲載**
|
第255回 JリーグU−13 | ||
こんにちは、PIDEです。
Jリーグは第6節が終了。内容的には課題を抱えながらもレッズが指定席?の首位に立ちました。序盤戦、昇格組の柏、万年中位?の名古屋の上位進出がありますが、それ以外は昨季以来の流れ通りの展開でしょうか。なかなかチームとしての勢いが見られず、見ていて歯がゆい試合の続くレッズですが、それでも勝ちきれる経験と個人能力の高さはやはりさすが、といったものでしょう。今後は内容も充実させていってくれるとよいですね。 さて、今回は育成年代の話題について。 ここ数年Jリーグアカデミーの創設や、エリートプログラム、国体のU−16化など様々な試みが進められている中、今年から新しく、 <b>「JリーグU−13」</b> という公式リーグがスタートしました。 U−13という事で、対象となるのは中学1年生。今年はJ下部組織44チームと街クラブ4チームが全国を6つのブロックに分けてリーグ戦を行います。 一連の活動は小学校から中学、高校へと進学する課程で生じる課題解決案の一つとして取り組まれているものです。小学6年から中学1年。中学3年から高校1年になる時期、多くの選手は「レギュラー」から「補欠」に変わります。特に中学3年間は成長期の真っ只中という事もあり、高校以上に1年生と3年生の体格差が大きく、トップの試合に出られる機会が少ない。そうなると体の成長が遅い子どもはどんなにテクニックがあったとしてもなかなか試合に出れず、貴重な実戦経験の場を1〜2年失ってしまう。そんな経験を途切れさせないよう1歳ごとに公式戦の場を設けようというのが今回のU−13リーグ創設の目的だと思います。 今後世界でどう戦うか?が課題の日本サッカー。Jリーグのレベルアップももちろんですが、そもそも質の高い選手達をどう育成するか?が長期視点に立った場合、非常に大事な活動となってきます。これらの取り組みは大いに賛同できるものであり、現場の指導者の方々が本当に熱心に活動されている一つの証だと感じますし、素晴らしいなと思います。 やはり理想としては、育成年代においては「補欠のいない」環境でしょう。誰もが自分が主力となれるチームに在籍し、レベルに合わせてチームを変われる仕組み。これは「年齢」が基準じゃなく、あくまで「レベル」を基準とする。うまい人はどんどん上へ。それ以外の人は自分が最も楽しめるレベルで。全ての選手がプロを目指し努力をする事は尊い事ですが、一方でプロになれる選手はごくごくわずか。多くの人は道半ばでプロという夢をあきらめざるをえない、というのが現実。ではプロになれなければ終わるのか?そんな事はない訳で、誰もが自分のレベルに合ったチームを選びプレーできる環境が整備されていく事が真にサッカーが文化として定着し、生涯スポーツとして楽しめることに繋がるはずです。 環境整備に大変な労力がかかる事は重々理解していますが、今回のU−13リーグのような活動がJの下部組織や街クラブだけでなく、中学校の部活動でも実施されていくとよいと思います。 **4月20日(金)掲載**
|
第254回 ナビスコ杯の価値 | ||
こんにちは、PIDEです。
今回はあまり注目が集まりにくい?ナビスコ杯について考えてみましょう。 Jリーグ、天皇杯と並び重要な大会の一つであるはずのナビスコ杯。現在、ACLを戦う浦和と川崎を除いたJ1の16チームが4つのリーグに分かれ、水曜日に開催されています。 平日夜の開催であったり、この大会のタイトルホルダーには名誉と賞金以外、ACL出場といったような+αのご褒美もないためか、ここ数年は専ら若手の実戦経験を積む場、的な印象が強くなっているように思います。ニューヒーロー賞なんて賞も与えられるくらいですから。 かつて福岡で指揮をとっていたピッコリ監督。この人がナビスコ杯について大きな波紋を投げかけた事はJリーグファンなら周知の話です。Jリーグを優先させるため、ナビスコ杯に普段スタメンで出場しない選手を多く起用させた事で、「目当ての選手を観るためにスタジアムに足を運ぶお客さんに失礼だ」といった議論が沸き起こりました。この後、「直前のリーグ戦5試合に先発した選手を6人先発させなければならない」という規約ができ、極端なメンバー変更は罰則の対象となる、というのが現在の状態です。 この問題は、スタジアムに来るお客さんが目当てなのは「クラブ」か「選手」か?といった点を議論していく必要があるでしょう。もし「選手」という事であれば、上記の理屈は理解しやすいものです。マスコミの取り上げ方も含め、日本人は「個人」を好む傾向にあるのでしょうか。日常生活では「出る杭は打たれる」「個人よりも組織」といった文化が根付いているように思えるのですが、これはその反動なのでしょうか。 楽しみ方は人それぞれ。クラブを好きで応援する人もいれば、特定の選手を追いかけ、応援するクラブを変えていく人がいてもそれは個人の自由。好みの問題は別として、それを否定することはなんらありません。 ただJリーグも15年を迎え、浦和は別としても、多くの観客動員を誇るクラブにいわゆる「(全国区の)スター選手」が必ずしもいるか?となると違う訳です。新潟や甲府、仙台、札幌など結構地味な(失礼!)クラブばかり。逆に日本代表を多く有しているG大阪や千葉が多くの観客動員を達成しているか?となるとこちらも疑問。 となると、楽しみ方の傾向としては「個人」よりも「クラブ」を応援する人たちの方が、チームにとってリピート率も高く、安定した収入基盤となりうる可能性が高いのではないか、という考えも出てきます。 こうした「クラブ」を応援する人たちが望む事は何か。もちろん優勝が何よりでしょうが、毎期毎期の結果だけでなく、長期的なビジョンだとかクラブが半永久的に僕らに楽しみを与えてくれる存在であることではないでしょうか。特定の個人は移籍もあるし、海外挑戦もあるし、長く所属していても20年。おそらく10年も所属する選手は稀でしょう。 であれば、「全ての試合にベストメンバーで臨む」という規制が逆にクラブにとってマイナスの影響も起こしうる事も出てくるのではないか?例えばJ1残留が目標なクラブの場合。選手層も薄い中、週二回のペースで年間戦うのは厳しい。となると、J1残留のために、ナビスコでは主力を温存し、逆に若手を出場させてレベルアップさせ、選手層の底上げを図る、という選択肢もありえる話でしょう。 もしそれを行うことで、観客動員が落ち、売り上げが減るような事になればそれはクラブの自業自得、ビジョンの甘さ、という事。その辺の舵取りをどう行うかは正に経営判断です。逆に主力選手を常時出場させ、終盤でケガ人、息切れ続出し、結果J2に降格。やはり観客動員が減る、となる場合とプロセスは違えど、売り上げ減、という結果に至るのは同じ事。 とすれば、先の規制などはクラブの選択肢を狭めるだけの結果にもなりかねない規制とならないだろうか?と思えたりする訳です。 常にスター選手を試合に出し続けるだけが方法ではない。様々な選択肢からどれを選ぶのか、運営側に求められるのは、極力クラブの選択肢の幅を増やすような仕組みを構築し、公正かつ自由な競争の中で優勝劣敗がはっきりする、そんな運営なのではないでしょうか? **4月13日(金)掲載**
|
第253回 サッカーの裾野をどう広げていくか | ||
こんにちは。PIDEです。
4月を迎え、さあ新年度!ポカポカ陽気に眠気を誘われながら、お仕事しようかなぁと思っていたら急な寒気が。水曜日は東京で雪が舞うなど、寒くなかった冬の後に訪れた寒い春。花粉症で毎年苦しむ僕としては、寒いとシメシメなのですが、毎日の上着セレクトに頭を悩ます日々。サッカー観戦にももう少し暖かい気候になればなぁと思う一週間でした。 さて、例年ならばこの時期、新シーズンへの期待と序盤戦の展開に一喜一憂ワクワクドキドキしながら楽しんでいるはずなのですが、今年はもう一つ気分が盛り上がらない。 昨年のW杯敗退以降、どことなく暗い空気が日本サッカー界を覆っているような、そんな空気がそうさせているのかもしれません。僕自身、いろんな諸事情ありますが、まだ一度もスタジアムに足を運んでおらず・・・なんだか熱が冷めてきてしまったのか?? とはいえ、サッカーと縁遠い生活を送っているかというと、全然そうではなく、先月から自分の所属しているチームの試合が続々と組まれるようになり、3月以降は一ヶ月先くらいの週末まで予定がビジバシ入ってくる(そのほとんどがサッカー絡み)過酷な?楽しい週末で、僕個人のサッカーライフは非常に充実していたりします。 そこではたと止まって考えます。「これってサッカーの食べすぎなんじゃないか?」 人間の欲望にもどこかリミットがあるようで、ここ数年のサッカーにかけてきた時間が おそらく半端でない時間で、サッカーに対してあまりハングリーさが薄れてきている。身近で開催されるJリーグ。スタジアムのキャパが増えて、チケット購入も特別な試合を除けば、直前に天気予報を確認して、気が向いたら行こうかな、みたいな。例えば東京出身の方が実は東京タワーにはあまり行かないような。遠くにいて、滅多に見れない、やれないといった「希少性」がある時にはそれこそ必死になってその目的を遂げようとするのに、これが日常性を増すとありがたみがなくなってしまう。そんな状態なのかもしれません。 「そんな事で心からサッカーを(浦和レッズを、日本代表を)愛するサポーターと言えるのか?」と問われれば、「ごめんなさい」とそれだけの熱い気持ちを持ち続ける人たちに尊敬の念を覚えずにはいられないのですが、ここ数年のJリーグの観客動員傾向などに見られる「高齢化」や「リピート率の高さ」などを見ると、今後次の時代に向けて引き続きサッカーを継続発展させていくにはやはり、ライトユーザーにもっと目を向けなければいけないと思うのです。 例えば、ニンテンドーDSやWiiなどのソフトが大当たりしている現象。かつて家庭用コンピューターの王者だったファミコンがPlayStationに代わられてひさしく、任天堂はあまり日の目を見ることがありませんでした。しかし、その時代の中でPlayStationはどんどんとグラフィックの向上や凝った演出などに進み、結果として「気軽にゲームを楽しみたい」という層を遠ざけ、一部のコアなファン層のみの硬直した市場となってしまった。その間隙を突き、ニンテンドーDSが誰でも気軽に、短い時間で楽しめるソフトを次々と発売し、ゲーム市場の構造を劇的に変化させた。 ↑は僕の個人的な印象で、プロの経済評論家でもないので、事実誤認などあったら申し訳ないと思うのですが、ここで言わんとしている事は「サッカーの楽しみ方をもっと多くの人たちに伝えるために我々が何をすべきか?」という問いに対していろいろと考える事例となりうるのではないか?という事です。 どんな分野でもそうですが、あるレベルまで達した人たちにとって、同レベルもしくは自分より高いレベルで関わることは非常に刺激的で楽しいものだと思います。一方でその場にビギナーの方が入ってきた場合、様々な摩擦が生じます。上級者は「初心者がいると自分達のイメージする高いレベルの遊び方ができない」初心者は初心者で自分自身が(その時点、そのプレーにおいて)劣っている事は十分認識済みですから、上級者がそうした空気を出せば敏感に感じ取り、嫌や印象がしみついてしまう。 この摩擦をどのように解消していくのか、「サッカーというスポーツの楽しみ方をどう初心者の方に伝えたらよいのか」という事を日々、ボーっと考えたりしています。。。 **4月6日(金)掲載**
|
第252回 代表ブランド | ||
こんにちは。PIDEです。
この1週間は国際AマッチデーでJリーグはお休み。「国際的に決められた代表活動日」という事で、24日(土)はオシム監督就任後、初めての欧州組(高原、中村俊)召集となったペルー戦。今年初の代表戦を2−0で勝利し、「真の」日本代表に向けた第一歩が刻まれました。 W杯アジア予選、および本戦以外の試合は勝ち負けはあまり考えないようにしようと思うようになった昨今、今回の試合も強化の一貫として結果は気にせず見ていました。個人的にはやはり飛び抜けた2人。2得点に絡んだ活躍はやはりここ一番で頼りになる。しかし一方でチームとして機能したか、という点ではまだまだこれからといった所でしょう。 オシム監督になり、欧州ブランドがあれば誰でも代表選手、という状況ではなくなりました。海外でも際立った活躍を見せていない選手は呼ばれない。また呼ぶ時は十分に状況を見定めて召集する。欧州リーグのレベルは概して親善試合の代表戦よりも上。ただでさえ確固たる地位を所属クラブで築いていない選手が代表戦で時差のある日本に戻り、コンディションを落として帰ってきて、レギュラーポジションを失う、といった負の連鎖からようやく切り離された感じです。今回召集された高原と中村俊はフランクフルトとセルティックで替えのきかない選手。他にもレギュラーで活躍している選手もいますが、それらの選手は呼ばれなかった。この事は「代表選手とはどこへ行っても中心で活躍できる替えのきかない選手」という定義で考えれば、今の代表選考は非常にわかりやすいものでしょう。 さて、その代表戦は横浜国際に6万人を集めましたが、一方で水曜に行われたU-22の公式戦「シリア戦」は平日夜の開催とはいいながらも、国立競技場開催で2万人を集められませんでした。直前の情報では1万枚ちょっとしか売れていないという情報もあり、随分と当日券も出たのかなと観客発表がありましたが、以前と比べて寂しいスタンドに時代の流れを感じてしまいます。 圧倒的な集客力でブランド化された「サッカー日本代表」。ドーハの悲劇からJリーグ開幕、フランスW杯予選の死闘を経て、初の本大会出場を決めた98年。そして2002年自国開催のW杯。96年アトランタ五輪でのブラジルからの勝利や、99年Wユースで準優勝などアンダーエイジの代表であっても多くの話題性を持っていた代表ブランドがここにきて大きな転換点を迎えつつあります。 06年W杯の惨敗。スター選手の不在。代表試合の濫発。Jクラブへのシフトなど様々な議論がされ、観客が集まらない事自体を問題視し始めている昨今。今後代表戦をどう考えていけばよいのでしょうか? この15年間、本当に多くの試合を観戦してきて、最近感じる事は、代表戦とJリーグでは観戦目的が違うのではないか、という事です。代表戦はやはり勝つ事が何より重要。そのために試合はお互い冒険を犯さないより慎重な試合が多くなりがち。そのため、見ていてつまらない試合が多くなる。一方でJリーグは勝つことはもちろん目指すのですが、それ以外に様々な楽しみ方がある。例えば、J2からJ1に昇格したクラブが目指す目標は「J1リーグ制覇」ではなく「J1リーグ残留」でしょう。サポもその辺は心得ています。J1残留を目指し、何とかビッグクラブに一泡吹かせてやれ!今年の開幕戦、レッズに相対した横浜FCとの戦いは、まさにそのような展開になりました。1試合1試合の勝ち負けだけでなく、長期的なクラブの成長も意識しながら、時に若手を起用し、時に守りを固め、引き分けを狙う。様々な楽しみ方ができるのがリーグ戦だと思うのです。 僕の考えとしては15年のJリーグの歴史がサッカーの見方を変え、02年W杯でのホスト国の役目を終えた後、代表も次の4年だけでなく、もっと長いスパンで見始めてきているの ではないか。そして代表戦が濫発されたことで、長い目でみた時に見たい試合とどうでもいい試合の選別を始めているのではないか、特に代表戦はチケット代も高い。大して価値のない試合に高いお金を払って見に行くくらいなら、自分のひいきのクラブの試合を何試合も見に行った方がより楽しめる。さらに代表の試合はJリーグと比べて冒険度が低いので見ていておもしろくない。「試合がつまらない+チケットが高い+勝っても何もない試合」となれば必然的に魅力は減るでしょう。 代表戦の不入りを理由にすぐにサッカー人気の低下、と取るのはあまりに現状を知らないか、おもしろおかしく揚げ足を取りたいかどちらかでしょう。そもそも各年代の代表でスタジアムが満員になる方がおかしい、そんなくらいの気持ちでいても構わないのではないでしょうか。僕らはもう代表ブランドをちらつかされただけで飛びつくような馬鹿な消費者ではなくなったという事です。 そうした「賢い消費者」を相手に価値が低下している「代表ブランド」にどういった意味づけをあたえ新たな価値を提案し、消費者を惹きつけるのか。代表戦は日本サッカー協会にとって非常に重要な「商品」である訳ですから、この戦略の見直しに真剣に取り組んでいただきたいものです。 **3月30日(金)掲載**
|
第251回 観る目 | ||
こんにちは。PIDEです。
今週水曜日に僕が所属しているチームが浦和の市民リーグ開幕戦を迎えました。昨年4部で勝ち、今年から3部に昇格。ここ数年3部と4部を行ったり来たりしていますが、何とか今年は残留を決め3部で安定した成績を続けて行きたいと気持ちも新たに臨んだ開幕戦。シーソーゲームになりましたが、最後は3-2で勝ち切り見事初戦を勝利。2戦目以降も厳しい戦いは続きますが、頑張って行きたいと思います。 さて、自分のシーズンも開幕し、Jリーグも3節を終了。ナビスコ杯が開幕し、ACLが行われ、今週末には今年初のフル代表の試合、ペルー戦が行われます。オシム監督就任以来、初めて海外組を召集。今期好調の高原と中村が選出され、期待が高まっています。 ここの所、U-22代表でも観客が入らないなど代表戦の人気が以前より落ちてきている話がよく聞かれます。しかし、今までどんな試合でも満員御礼だった事自体が異常であったと考えれば、これから先どういった試合が必要なのか、より真剣に考える一つの契機になればよいと思います。 今、開催されているナビスコ杯。リーグと比べ戦力を落とす(と傍からは見える)クラブの戦い方が毎年話題になったりします。この事と人気が落ちてきている代表には一つの同じ問題点があるように思います。 我々観客はスタジアムに足を運ぶ時に、サッカーを見に来るのか、スター(と呼ばれる)選手を見に来るのか? ナビスコでスタメンを入れ替えて臨む事を「戦力を落とした」と見る。確かに普段Jリーグで出場していない選手=主力ではない、と見るならば戦力を落としたという評価も当てはまるでしょう。 しかし、長いリーグ戦、カップ戦を一年間かけて戦い抜くためには選手層の底上げは大事なチームマネジメントの一つであり、それなくして上位進出はありえません。そのためには、敢えて戦力の底上げを図る為に起用する事があってもよいはずです。逆にこうした活用がされず、長年スタメン選手が入れ替わらない時代が続くと、その先には厳しい世代交代が待っています。実力でスタメンを奪う事がスジである事は間違いないのですが、その正論だけではチームとして成り立たない事も往々にあるという現実を見ることができるのか。 あのブラジルでさえ、ロベルトカルロスやカフーの後継者を見つける事に苦労しています。長くスター(と呼ばれる)選手がい続けることが逆の作用を及ぼしてしまう事もあるわけです。 日本代表にも同じことが当てはまります。黄金の中盤ともてはやされ、99年Wユース準優勝組は黄金世代と呼ばれてきた。その後の世代がジーコ時代の4年間、新しく出て来れなかったのは確かに実力で彼らに勝てなかった、という事実もあるのでしょうが、それ以上にジーコに自分の任期である4年、それ以上先の日本サッカーの強化をするという視点が欠けていて、この間代表に呼ぶという刺激を与えるだけで伸びたかもしれない選手達の成長の機会を阻害してしまったのではないのか、とも思える訳です。 オシム監督の代表は地味だ。確かにそうかもしれません。しかし、その選考基準は我々第三者から見ても納得性の高いものであり、Jリーグ/海外問わず優れた(並でない)パフォーマンスを維持している選手達が呼ばれている。逆によくJリーグを見ている人たちであれば以前より遥かに納得度が高いはずなんです。 単純にネームバリューの高い選手ではなく、きちんと質の高いサッカーをしている選手を選ぶ。その基準に名前は関係ありません。我々観戦者側もしっかりと試合を見て、質の高いプレーを見極められる眼力をつけること。スポーツ新聞の派手な見出しにだまされず、自分自身でその基準について判断できるようになること。オシム監督はサッカー協会やコーチ、選手だけでなく我々底辺で日本サッカーを支えるファン・サポーターに対しても様々なメッセージを投げかけていると感じます。さぁ、サッカーを観よう! **3月23日(金)掲載**
|
全320件中 新しい記事から 61〜 70件 |
先頭へ / 前へ / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / ...17 / 次へ / 最終へ |