PIDEです。毎週金曜日に、このページに登場します。よろしくお願いします。 私は旧浦和市の某町に住んでいる熱狂的サッカーファンです。 子供の頃からサッカーに興味を持ち、今に至っています。スポーツはサッカーだけではなく、スキーなど、いろいろやっていますが、中心はやっぱりサッカーになりますね。 実はNPO 日本サポーター協会にも所属しておりまして、サッカーに関連するいろいろなことに首を突っ込んだりしています(^^ゞ。 このページで皆様とサッカーの話で盛り上がれればいいな、と思っています。 |
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第290回 「世界」と「地域」・・・クラブW杯総括 | ||
こんにちは。PIDEです。
クラブW杯はACミランの優勝で幕を閉じ、今シーズンも天皇杯を残すのみとなりました。浦和レッズもACL優勝と初のクラブW杯出場。そしてアフリカ王者を下しての3位入賞と偉大な結果を残しました。特にこの3位という結果はACミランへの歴史的な挑戦以上にレッズと他のJクラブにとって大きな意義があったと感じます。 改めて感じた欧州と南米のクラブとその他地域の差。欧州と南米の代表にとっては「世界一決定戦」かもしれませんが、その他地域の代表にとっては「欧州・南米クラブへの力試しの場」+「その他地域の中でのトップ決定戦」と捉えた方がより現実の力関係を示していると思います。 その「その他地域1位決定戦」でレッズが「1位」になった。Jリーグが欧州・南米以外の地域で最も高い、と言える「結果」を得た訳です(事実は別かもしれませんが)。 今後、Jリーグがどう進むのか?大きな課題が出てきました。一つは今までと同じように「日本人優先」で行く道。もう一つはJクラブが世界にもっと対抗できるように「日本人にとらわれない多国籍なリーグ」を目指す道。 ご存知の通り、Jリーグで出場できる外国人は3人まで。欧州ではEU内の選手であれば特に人数規制はありません。プレミアリーグのアーセナルのような「ほぼ非英国人」なクラブがあります。クラブレベルでの世界挑戦を考えた場合、Jリーグの外国人枠は大きな「枷」となります。 では例えば東アジア、もしくはオーストラリア、東南アジアを含めたエリア内は「外国人枠」から外した場合、レッズが仮に日本人以外の国籍の選手が占める割合が8割とかになった場合に私たちは引き続き「オラが街のクラブ」として今と変わらないサポートをしていく事ができるのか?なかなかに難しい話です。 Jリーグは「地域密着」を理念にここまで歩み、これからも進んでいくでしょう。しかし、その一方で世界に目を向けた強化という観点からすればまさに「ワールドワイド」な戦略が求められます。 レッズは世界への一歩を踏み出しました。今回の試合を見てレッズを好きになった海外のサポーターが増えたかもしれません。「世界」と「地域」この相反する二つの市場に対し、どういった戦略を持って臨むのか?まだ日本のクラブとして誰も成しえていない挑戦をフロンティアとして続けていく。レッズはそんな立場に立ったのだと感じたクラブW杯でした。 **12月21日(金)掲載**
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第289回 Uno‐Zero | ||
こんにちは。PIDEです。
昨日は浦和レッズにとって、また日本サッカーにおいて記念すべき日となりました。クラブW杯というFIFA主催の公式戦の場でACミランと浦和レッズが対戦。結果は表題の通り0-1で敗戦となりましたが、ここから新しい歴史が作られていくはずです。 残念ながらスタジアムでの観戦はできませんでしたが、早々に仕事を切り上げ自宅にてTV観戦。この映像が全世界に向けて放映されていると思うとそれだけでワクワクとした気分になりました。選手達も欧州王者に対して必死に戦っている意思が感じられ、空気がピンと張り詰めたよい試合でした。 ただ、同時に日本代表が始めてW杯に出た試合、98年W杯のアルゼンチン戦を思い出していました。あの時も日本代表は「0-1」で敗戦。「惜敗」として報道された事をよく覚えています。 あれから約10年。あの敗戦は「惜敗」だったのか?あれは「完敗」だったと思える自分になりました。そして今回のACミランとの試合も「完敗」と認めなければならないと思っています。 サッカーというスポーツの特徴の一つとしてよく語られるのが「点の入りにくさ」という点です。この特徴ゆえに番狂わせが起こりやすかったりしますし、結果だけを見ると「惜敗」と見えるものも多々あります。 浦和レッズは今回アジア王者になりました。実力で掴み取った確かな出場でしたし、Jリーグでも近年常に上位をキープしており、アジアトップクラスの実力を持ったクラブである事は間違いありません。運営予算や観客動員数などから見ても名実ともに「トップクラブ」と言えます。それでも勝てない。非常に大きな差が厳然と存在している。圧倒的な実力差を今回痛感させられた、というのが僕の率直な印象です。「あのACミランを本気にさせました」その実況/解説のコメント自体が、まだまだ対等に見られていない証。1対1で全く勝てず、フィジカルコンタクトで痛む多くはレッズの選手。Jリーグでは圧倒的に見えていたワシントンすら、ACミラン相手ではさすがに一人では歯が立ちませんでした。 この負け方が「1-2」だったらまた違うんです。「1-0」で勝つのは「本当に均衡した試合」か「圧倒的に差がある試合」のどちらかです。イタリアの美学とも言うべき「Uno−Zero」の試合を粛々とやられてしまった訳です。90分終了した時点で相手より1点多く点を奪っていればよい。勝ちにこだわった圧倒的な勝利。試合終了後にACミランの選手とユニフォーム交換すらほとんどしていなかった事が「君らを認めていない」と言われているようなものでした。 何もケチをつけるつもりで書いている訳ではありません。この敗戦を「歴史的な敗戦」だとか「惜敗」「あと一歩」「ACミランを本気にさせた」的な見出しで扱われない事をただただ願っての事だけです。この差を直視し、今後やるべき事を冷静に分析し改善努力を積み重ねていくしか道がないのです。日本サッカーの実力は世界トップと比べ、「まだこんな程度なんだ」という現状認識(決してあきらめや卑下ではなく)が大事だと思うのです。 今回の1戦は本当に多くの事を考えさせてくれます。世界は広い。レベルも高い。おそらく今の状況では世界の超一流選手が欧州のクラブに所属する傾向は変わらないでしょう。それでも南米のチームは欧州に勝てる訳です。せめてその領域にまでは日本のクラブは目指す事はできるはず。今日の試合を見て多くのJリーガーが「次は俺らが」とこの舞台での活躍を現実の目標として捕らえたはず。 まだ3位決定戦があります。海外のクラブとの貴重な真剣勝負の場。有終の美を飾って欲しいと思います。 **12月14日(金)掲載**
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第288回 クラブW杯へ! | ||
こんにちは。PIDEです。
先週末のJリーグ、まさかあんな結末が待っているとは…… スタジアムで、TVで応援していた誰もが我が目を疑い、目の前で起きた現実を受け入れる事ができなかったのではないでしょうか? 最終節のドラマは過去にも何度かありましたが、これだけの勝点差をひっくり返されての優勝というのはJリーグでは記憶にありません。しかも優勝したのが前節苦杯をナメた鹿島だったというのも悔しさを助長させます。 この結果に多くの意見がある事でしょう。 「これだけ多くの試合をこなし、疲労とケガ人が…」 「いや、それでもプロとして勝ち切らなければ意味がない」 欧州トップリーグのクラブが自国リーグとチャンピオンズリーグ両方で頂点を取る事がいかに難しい作業か、という事を今回浦和は実感したのではないでしょうか。来年は鹿島も同様の作業を強いられます。 アジアは欧州/南米と比べアウェー戦にかかる負担が非常に大きい地域でもあります。相当の困難を伴うことでしょう。 しかし、以前から何度も書いたことですが、こうした作業の積み重ねが新しい日本サッカーの世界を目指す方向性になっていく。 アジアチャンピオンズリーグの整備とクラブW杯の設立は南米/欧州以外の地域でサッカーをしている多くの選手たちに夢と希望を与えていることは間違いありません。クラブW杯を毎年日本で開催する事にも様々な意見がある事でしょう。実力で行けば欧州に一極集中が進んでいる(国に限らず「よい選手」は欧州を目指す)今の状態でこの大会を「世界一決定戦」を呼ぶには憚られるかもしれません。 一方、インターネットの普及や放送技術の発展により、世界の至る所でリアルタイムに情報を得る事ができる時代になり、欧州サッカーを別の地域から確認できるようになった事で、クラブ運営の為の収入増として欧州以外の地域での活動が重視されるようになってきているという、興行的な側面もあります。バルセロナなどがアジアツアーなどを行なうのはまさにその1つですが、そういった地域のクラブと欧州のトップチームが名目上「親善試合」でなく「真剣勝負」で戦えるこの機会というのは全然重みが違うと思います。 Jリーグ連覇を逃した事は大変残念な事ですが、ACLを制し、日本のクラブで初めてクラブW杯に「実力で」出場権を勝ち取った事は大いに賞賛されてしかるべきですし、ここでどれだけのパフォーマンスを見せる事ができるか。 全世界中継がされる大会です。アジアにもこれだけ凄いクラブがあるんだと、印象付けられる絶好の機会です。数年後、アジアや欧州、南米の地で浦和レッズのユニを着て街を歩いている子どもの姿などを見ることもあるかもしれません。 歴史に刻まれる偉大な挑戦を続けている浦和レッズ。 今日から始まるクラブW杯で熱い闘いを演じてくれる事を「今シーズン、疲労とケガで大変だけど、最後の最後、ここを頑張ってくれ!」と信じて楽しみたいと思います。 **12月7日(金)掲載**
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第287回 マジック1 | ||
こんにちは。PIDEです。
先週の土曜日、誰もがホームで鹿島に勝って優勝だ! ・・・って思っていたはずですが、残念な敗戦となってしまいました。 ピッチで行なわれた試合は「Game」よりも「Battle」と訳した方が情景が伝わる「熱い闘い」となりました。 ACLを制覇し、リーグ連覇に王手をかけた浦和。 しかし、他のチームを圧倒する試合数の多さによって蓄積された疲労とケガが影響してか、リーグでは足踏みを続けている。 一方の鹿島は破竹の勢いで連勝街道をばく進。 第29節の時点でも「10」あった勝点差がこの第33節で「1」に。 わずか5節で9もの勝点差が詰まってしまいました。 先日の「闘い」はかつて黄金期を築いていた頃の「憎らしい」までの強さ、勝負へのこだわりを見せていた鹿島を思い出させる、好き嫌いは別として実に「鹿島らしい」内容で勝利をプレゼントしてしまったと思います。 そして残るは最終節ただ1試合のみ。相手は開幕戦で対戦した横浜FC。開場はアウェーの日産スタジアム。勝てば問題なく優勝。 相手は既に降格が決まり、来シーズンに向けた動きで混乱している。 ・・・ではありますが、それでもサッカーは何が起こるかわかりません。 水曜日の愛媛FCとの天皇杯ではまさかの敗退。今シーズンJ2で10位の相手にも「負けることがある」という現実を見てしまった訳です。 これで目が覚めて「横浜FC」相手にも気を緩ませる事なく闘えること。 闘莉王の「あの1敗でチームがダメにされたくない」といったコメントが新聞にも掲載されていましたが、まさに1年間かけてこのステージまで到達したリーグ連覇の最後の最後です。「連戦で疲れてるから」とか「ケガ人が多くて」なんて言い訳は選手/サポーターの誰も考えていないはず。 週末の試合に勝って「優勝」を決める事で、初めて重圧からの開放が待っている。 先週の土曜日、祝勝会用に予約されていたレストランで不完全燃焼のままこの一週間を過ごさなければいけない、と落ち込んでいた友人がいました。 誰もがそんな想いを胸に抱いて明日という日を迎えます。 思えば昨年も最終節での優勝決定でした。鹿島との差が勝点「1」とはいえ順位が上にいる浦和は鹿島よりも大きなアドバンテージを持っています。 「絶対に勝たなければ」と考えると力が入りすぎてしまうかもしれません。 明日は真っ赤に彩られた「ホーム」の日産スタジアムで歓喜の瞬間を味わいましょう! **11月30日(金)掲載**
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第286回 ショートトピック×3 | ||
こんにちは。PIDEです。一気に冷え込みが強まり、冬がやってきました。空気も澄んで気持ちのよい日が続いていますね。
さて、この1週間は本当にいろいろな事がありました。今週はショートトピックでいくつか。 1.オシム監督倒れる 先週金曜日驚きのニュースが飛び込んできました。 W杯終了してからの約1年半、「日本らしいサッカーを目指したい」とコメントし、人とボールが動くサッカーを目指して、日々進歩を見せていた日本代表。アジア杯は準決勝敗退でしたが、来年のW杯予選に向けて期待を抱かせる、よい流れであったために、大変残念なニュースでした。 大きな話題となり、今後の強化について再検討を余儀なくされています。川渕キャプテンも大きく狼狽し(体調も崩してしまいました)、日本サッカー全体が揺さぶられているようです。 ここまでオシム監督が示唆してきた方向性に多くの人が共感し、閉塞気味だったそれまでの日本代表に新しい光明を見出してくれる期待が大きかった分、不慮の事態に遭遇し、混乱をきたしてしまっています。今回のニュースが逆にオシムに大きく依存していた事を浮き彫りにしてしまったようです。 まずはオシム監督の意識が戻り、また元気な姿を見せてくれる事が第一。しかし、日本サッカーは今歩みを止める訳にも行きません。またそれはオシム監督も望んでいないでしょう。実際には新しい監督を決め、W杯予選に向けて新しく強化を進めていかなければいけません。「オシム監督路線の踏襲」はおそらく困難な作業でしょう(稀有な指揮官の後任は大変な事です)。今こそ強化委員会が正に「日本サッカーのビジョン」を明確に示し、「オシム路線」でなく「日本サッカー路線」を強烈に推進していかなければなりません。 2.五輪代表 北京五輪出場決定 土曜日のベトナム戦に快勝し、その日カタールがサウジに負けたために水曜日の直接対決を勝つか引き分ければ出場が決まる条件で始まった試合。結果は0ー0で日本が4大会連続での五輪出場を決めました。 これまで様々な批判を受け続けた今回の五輪代表。過去の五輪代表と比べてもより大きな批判を受け、かつ厳しい予選ルールの中で(1位しか出場できない)結果を残せた事はとても嬉しい出来事でした。 最後のベトナム/サウジの試合はそれまでと違い、非常に気持ちの伝わるよい試合でした。 「アジアにおいて負ける事は許されない」という雰囲気が年々高まっており、そのプレッシャーと戦い続けなければならないこれからの選手達は本当に大変だと思います。しかし、そうしたプレッシャーに勝てた時に得られる経験は何よりも貴重なものです。一皮向けた五輪代表メンバーが五輪本番とフル代表として高みを目指していって欲しいと思います。 3.高校選手権埼玉県予選決勝。埼玉栄高校が初優勝。 先週末は高校選手権の埼玉県大会決勝がNack5スタジアム(大宮公園サッカー場)で行われ、延長戦の末、埼玉栄が1−0で正智深谷を下し初優勝。正月の選手権出場を決めました。この日の埼玉栄はこれまで見られたような中盤での細かいパスワークが思うように繋がらず、それらを奪って縦に早いカウンターをしかける正智深谷がよいゲームを見せました。全体的なボール支配率やシュート本数では埼玉栄が上回りながらも得点の雰囲気がする場面ではお互い五分五分の展開だったのではないかと思います。そんな中でも勝負を分けたのはやはり、「ここ一番で勝負を決められる決定力」の違いでした。埼玉栄の得点は延長でのPKでした。この場面だけを切り取れば「運が良かった」と片付けられるかもしれません。 しかし、埼玉栄が今年築き上げてきた実績。新人戦優勝。関東大会予選優勝。インハイ予選優勝。ここまで「勝ち続けた自信」がどんな展開になっても慌てる事なく、うまくいかないゲーム展開の時にはその流れをうまく受け流し、結果的に終了のホイッスルが鳴った瞬間に勝者としてピッチに立っている。この予選もラスト16大井戦は1-0。準々決勝の大宮南戦は3-1でしたが後半ロスタイムまで1点差。準決勝の武南戦も2-1。といずれも僅差の勝利です。試合を見ていれば相手チームが勝つチャンスもあった。そのチャンスを決めたか決めないか、で天国と地獄となってしまう。そこに気がつき、自らそこを埋めていく事ができる、細かな点を詰めていける事がより高いレベルに近づく道であること。これはサッカーに限らず全てにおいて一流を目指すという事はそういう事であり、その差が小さく見えて実は大きいのだとつくづく思います。「07年の埼玉栄は強かった」埼玉県高校サッカーの歴史の中に確実に名前が築かれる事でしょう。 **11月26日(月)掲載**
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第285回 ACL制覇!! | ||
こんにちは。PIDEです。
11月14日は浦和レッズサポーターにとってまた一つ忘れられない日となりましたね。ACL優勝。決勝戦にふさわしい見応えのある試合だったと思います。 私自身は残念ながらTVでの観戦となってしまいましたが、久しぶりに「平日夜」に「生中継」で「Jクラブ」の試合が「民放」で見られた事実に改めて「浦和レッズ」というブランドがACLの価値を大きく高めた事を誇らしくも思います。 このACLが始まったのが2002-2003シーズンから。数えて5回目の今大会。日本のクラブチームとして始めての決勝進出そして優勝となった訳ですが、それ以前からもアジアでのクラブレベルでの大会はありました。以下がその大会概要と日本のクラブの戦績です。 アジアカップウィナーズカップ・・・1990-91〜2001-2002シーズン(12シーズン) ・AFCに加盟する各国・地域の主要カップ戦 (http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97%E6%88%A6) 日本の優勝クラブ:日産自動車/横浜マリノス/横浜フリューゲルス/ベルマーレ平塚/ 清水エスパルス アジアクラブ選手権・・・1967-68〜2001-2002シーズン(21シーズン) ・リーグ戦優勝クラブ+前回の当大会優勝クラブ 日本の優勝クラブ:古河電工/読売クラブ/ジュビロ磐田 アジアスーパーカップ・・・1994-1995〜2001-2002シーズン(8シーズン) ・アジアカップウィナーズカップとアジアクラブ選手権の優勝クラブ 日本の優勝クラブ:ジュビロ磐田 こうして見ると、実はアジアでもそれなりの結果を出してきた、と言えなくもありません。ただ大会自体の注目度が低かったり、日本のクラブのモチベーションが低かったりと日本代表のアジア予選は盛り上がるもののクラブレベルになると今ひとつ、という状態が長く続いた訳です。それが昨年あたりから取組み意識が高まり、さらに今年は優勝という結果まで導き出せた。以前のコラムでも書いている通り、日本代表の人気低迷とクロスする形で日本で最も人気のある浦和レッズというクラブが今後アジア/世界への「日本代表」として大きく羽ばたく第一歩を踏み出した事になります。 この日もそうでしたが、やはり圧倒されるのはスタジアムの一体感。これはひとえにサポーターの力の成せる業。6万人規模を収容できるスタジアムを赤一色に染め、かつ大音量でのチャント(応援コール)で盛り上がる雰囲気はおそらく今後日本代表では望めない空気感でしょう。 かつて欧州のサッカーシーンを生で見られるようになってきた頃、欧州では代表よりもクラブの試合の方が盛り上がるんだ、なんて話を聞いては「何でだろう?」と不思議に思っていたのですが、いざ目の前にその状況が出現した時に、まさに「実感として」その言葉を理解できた。今回はJクラブ勢で初の快挙、という事で何となく「日本サッカー発展のためにはよい事」みたいな空気が漂っていますが、来年からは「次はウチのクラブがアジアを獲る!」という各クラブのサポーターそれぞれが自分たちの目標としてアジアチャンピオンそしてクラブW杯出場→優勝を目指しての戦いが激しくなることでしょう。 今後このACLもより規模を拡大する方向での検討がされていると聞きます。また、先々に思いを馳せれば欧州のUEFA杯のようにもう1つ別の大会が企画されても不思議ではない状況になりつつあります。各国トップクラブがACLに。中位クラブがその新しいカップ戦に。アジア全域で難しいのであれば日本/韓国/中国/オーストラリアのクラブを中心に、東南アジアの優勝クラブなどを交えた形でアジアパシフィックエリアでの大会とする。最近なかなか注目度が浴びにくいナビスコ杯などは逆にそうした発想でまた盛り上がるかもしれません。 今回のレッズの成功でJの各クラブが「国内制覇」の先に「アジア」も視野に入ってきたはずです。川崎Fの活躍もどのクラブも短い期間でアジアで十分に戦えるクラブを作れる可能性がある事を示しました。そもそも代表レベルではアジアのトップレベルを維持しているのです。その国のクラブレベルが低いはずがありません。 もっと多くのクラブが国際経験をたくさん積めるように。そうなればより多くの選手がたくましくなります。それがひいては欧州トップリーグでの活躍にも繋がるかもしれません。またアジアのサッカーシーンが賑やかになれば、欧州に一極化されていたリーグのパワーバランスもまた変わってくるかもしれません。 「クラブW杯に出たいからJリーグのクラブを選びました」そんなコメントで移籍してくる世界レベルの選手がひょっとしたらJリーグで出てくるかも・・・そんな事さえ現実的だと思えるような、夢を見させてくれた今回のレッズ優勝です。おめでとう! **11月16日(金)掲載**
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第284回 高校選手権 | ||
こんにちは。PIDEです。
今週の水曜日のACL。アウェーでの第1戦は1-1のドロー。いよいよ来週、アジアのクラブ頂点が決まります。前回のコラムでも触れましたが、ここでもポンテのゴール。より厳しい環境下に置かれた時に更なる輝きを見せてくれるのは、真のプロフェッショナルの証なのでしょう。この決定力が日本代表にもあれば・・・なんてつい考えてしまいます。 さて、ACLの話は来週の第2戦を終えた後でまとめて書きたいと思います。今回はもっとローカルな話。高校選手権埼玉県大会です。先週末に準々決勝が終わり、今週末に準決勝。来週末に決勝戦と全国出場の切符を賭けた最後の戦いがいよいよ佳境となってきました。 11日(日)に行なわれる準決勝は 「埼玉栄」 vs 「武南」(11:35キックオフ) 「大宮東」 vs 「正智深谷」(13:35キックオフ) いずれも駒場で行なわれます。当日はレッズ戦(アウェーの川崎戦)もありますので(こちらも優勝決定の可能性あり!)、なかなか観戦も難しいかもしれませんが、ご関心のある方は是非足を運んでみてください。 先週3日(土)に「埼玉栄」vs「大宮南」 「武南」vs「浦和東」の試合を観に行って来ました。 埼玉栄は僕も何度かこのコラムでも書いていますが、今年の県内では新人戦、関東大会予選、インハイ予選で3冠を達成。プリンスリーグの出場権をかけたU−17リーグでは浦和東に苦杯を味わいましたが、圧倒的な強さでここまで走ってきました。 インハイ後、主力選手の故障などでチーム状態がもう一つよくない時期もあったようですが、この準々決勝では全員が復帰し、夏までの勢いを取り戻しつつある内容的にも素晴らしい試合で大宮南を下し、準決勝進出を決めました。 一方の武南と浦和東ですが、今年のプリンスリーグ出場校同士の対戦で準々決勝で当たってしまうのはちょっともったいない、と思えるカードでした。試合は前半、浦和東が固い守備をベースに調子の上がらない武南をうまく抑えて攻撃に転じ、何度か惜しいチャンスを迎えるなど全体的に浦和東ペースで進みました。武南の試合を観たのは新人戦決勝以来でしたが、毎年選手権予選にはチームを仕上げてくる印象が強いので正直「あれ?」という感じで迫力に欠ける内容。高い技術で中盤を細かく繋ぐのが武南のスタイルという印象を持っていましたが、この日は裏のスペースを狙って長いボールを蹴りこむプレーが多く見られます。もしこの前半に浦和東が1点でも取っていたら・・・試合の行方も変わっていたかもしれません。 後半。武南は全員が別のメンバーに入れ替わったのではないか?と思えるほど動きが変わります。これが作戦だったのか、それともハーフタイムに檄が飛んだのかは知る由もありませんが、いわゆる「武南らしい」サッカーが展開され、右サイドからのクロスに完璧に合わせたスーパーボレーを皮切りに浦和東を圧倒。結局3-0という圧倒的なスコアで完勝。やはり「武南」か、と前半の認識を大きく改めざるを得ない見事な勝ちっぷりを見せてくれました。 この結果、準決勝は「埼玉栄」vs「武南」の新人戦決勝のカードの再現。両校の公式戦での対戦はこの時以来。今年初のタイトルを挙げて以来突っ走ってきた埼玉栄に最後の最後、やはり伝統校の武南が壁となって立ちふさがります。 高校サッカーは長い人生の中でたった3年間しか経験できない時間。その最後の大会に賭ける選手たちの思いはどの試合を見ていても熱く胸を打たれます。大宮東と正智深谷の両校は試合を見ていないためコメントはできないのですが、この4校だけでなくこれまでこの大会に参加した全ての高校の選手たちの想いが凝縮される一瞬にプロの試合とは違う醍醐味が詰まっています。 **11月9日(金)掲載**
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第283回 クラブの時代 | ||
こんにちは。PIDEです。
先週のACL、Jリーグとハードな連戦が終わり、今週末はナビスコ杯決勝のため、しばしの休養。来週、いよいよACL最後の戦いが始まります。ナビスコ杯ももし勝ち進んでいたとしたら大変なスケジュールでの連戦となっていました。 先週末のJリーグ。久しぶりに埼玉スタジアムに足を運ぶ事ができました。結果は下位の名古屋相手にドローながらも、前日の試合でG大阪が負けたため勝ち点差は7に広がり、次節にも優勝が決まる形になりました。内容的には水曜のACL、シーズン終盤の疲労。名古屋との相性もあったのか、あまりよいものではありませんでしたが、それでも勝ち点を拾える所に近年の浦和の強さを感じます。 今年は当初予想した可能性が現実となってきた年になるだろうとこの日の試合を見て確信しました。日本も欧州のように「代表」から「クラブ」へとサッカーシーンの中心がシフトする。今期Jリーグも明確な支援体制を打ち出し、また人気クラブである浦和の参戦で注目度が一気に高まったACLが、クラブレベルで海外と戦う時代に流れを変えようとしています。 水曜日の試合。ホームでの試合でありながらかなりの劣勢を強いられました。今のJリーグでこうした試合展開になる事はほとんどありません。また、日本代表と韓国代表の代表戦でもどうか・・・。近年チーム戦術が大きく進歩してきた中で、より多くのトレーニング期間を費やせるクラブレベルが、都度寄せ集めの代表と比べ高いレベルだと言われる昨今です。W杯よりも欧州CLの方がレベルが高いのでは?とはよく聞かれる話。代表では他より優れた組織力で優位に立てる日本もお互いの組織レベルが同等になる(クラブで長くトレーニングされる事で)と、そこから先は個人の戦い。その時の脆さをまだまだ見せつけられる。個人で遜色ないのはワシントン、ポンテら外国人助っ人たち。ここに今後の日本の課題があり、目指すべき道が明確になったと思うのです。代表で海外経験を積める選手はごく一握り。個人で海外に行ける選手はごくごく一握り。海外経験をより多く積むためにはこのクラブレベルでの真剣勝負の場が拡大され、より多くの選手が海外でのアウェー経験を積む事がより一層日本サッカーのレベルアップに繋がる確実かつ唯一の道なはずです。 代表の親善試合ではやはり本気度が違います。その事実に気付き、観戦試合の選別を始めたサポーターたち。新たな時代の幕開けです。 **11月2日(金)掲載**
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第282回 高校選手権予選 | ||
こんにちは。PIDEです。
J1リーグは残り5試合となり、浦和は首位の座をキープ。2年連続のリーグ制覇に少しずつ近づいてきました。一方で横浜FCのJ2降格が早々に決まり、レッズと同じくさいたまに居を構える大宮も降格争いの真っ只中に身を置いています。ACLも佳境を迎え、この原稿がアップされる時にはレッズが決勝進出を決めているかどうかが決まっています(今週は諸事情で火曜日に書いています)。 欧州とは異なり年末で主なスポーツのシーズンが終了する日本。そしてプロとは別にこれから年末/年始に向けて大きな話題となるサッカー。高校選手権の埼玉県予選もいよいよラスト16が出揃いました。 今回のラスト16の組み合わせは以下の通り。 埼玉栄 vs 大井 国際学院 vs 大宮南 武南 vs 川越南 松山 vs 浦和東 西武台 vs 飯能南 川口北 vs 大宮東 伊奈学園 vs 正智深谷 花咲徳栄 vs 浦和学院 今後、10月28日(日)ラスト16 11月3・4日(土・日)ラスト8 11月11日(日)準決勝そして11月18日(日)に決勝戦を行い、今年の代表校を決めます。 組み合わせを見ていただければわかるとおり、夏のインターハイに出場した市立浦和はラスト16に残れず敗退。埼玉県下のレベルが拮抗しているのと同時に1年通して高いレベルを維持することがいかに難しいことかを実感しました。下馬評では新人戦/関東大会に優勝し、インターハイに出場した埼玉栄に関東プリンスリーグに参戦していた浦和東、武南あたりに予想が集まっているようですが、ここからは一発勝負のトーナメント戦。一方的に攻めても点が取れずにPKで敗退、という事も十分にありえる大会方式です。1年間(もしくはある一定期間)を通じて行われるリーグ戦の戦い方とトーナメント戦の戦い方は全くの別物。 先日あるコラムを読んで「なるほど」と思ったのはトーナメント戦の時に書かれる「ベスト4」「ベスト8」という記載はおかしい、という意見。最後まで残ったチームが必ずしもその大会の「ベスト」ではないという考え方から、「ラスト4」「ラスト8」という「残ったチーム」という記載の方がよいのでは?というものでした。それで上の記述も「ラスト」を使用しています。そうなんですよね。W杯を見ても、高校野球を見てもそう。必ずしも優勝したチームがその大会のベストであったとは限らない。「運も実力も全て含んだ上で『勝った者が強いんだ』」という前提に立てば「優勝チーム=ベストチーム」となるかもしれません。しかし、私たちはそのチームを必ずしも「ベスト」とは評価しません。ちょっとした言葉の使い方でしかない事も、いろいろと考えさせられる事はあるものです。 ・・・などと考えてしまいますが、それでもやっぱり最後まで勝って欲しいなぁと思うのは親心でしょうか。この16チームの中から優勝できるのはたったの1校。今回の予選で埼玉県よりももっと厳しいのが千葉県。インターハイを優勝した市立船橋。先の全日本ユースで優勝した流経柏。全国を制覇した2校が県予選でぶつかり、どちらか1校は全国の舞台に出られずに高校サッカーを終えてしまうという何ともせつない勝負が待っています。大会規定なので仕方がないとはいえ、高校サッカーは人生でたった3年間、多くの選手にとってはわずか1年、1回きりしかチャンスのない大会です。あの小野伸二ですら高校の3年間は一度も冬の選手権の舞台に出ることなく終えました(インターハイなど別の全国は出ていますが)。 プロを目指す選手にとって高校選手権は通過点の1つでしかないのかもしれません。しかし、そんな選手はわずか一握り。多くの選手にとってはこの大会こそが大きな目標であるでしょう。選手権出場校決定までどの高校も後「4勝」。準決勝は駒場、決勝は大宮で行われますので普段はあまり関心のなかった方々も一度観戦に行かれてはいかがでしょうか? **10月26日(金)掲載**
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第281回 五輪代表vsカタール戦 | ||
こんにちは。PIDEです。
ようやく本格的な秋が深まり、スポーツ観戦も気持ちよくできる気候になってきましたね。それに合わせて野球もサッカーも佳境を迎えており、「スポーツの秋」全快です。 今週は水曜(日本時間木曜深夜)にU-22代表のカタール戦は、ロスタイムで勝ち越しを許し敗戦。北京五輪予選も混沌としてきました。カタールと日本が勝点7。サウジが勝点5。ベトナムが勝点2。次節11月17日はサウジ−カタール/ベトナム−日本。最終11月24日がカタール−ベトナム/日本−サウジ。はたして日本代表は4大会連続で五輪出場を勝ち取ることができるのか? それにしても1節1節で大きく局面が変わるのが、なんと言ってもこのアジア予選の醍醐味でしょう。序盤の3試合でサウジが予想に反して大苦戦。アウェー2試合で勝点1しか上げられず、予選突破に黄色信号。逆にホームでサウジに勝ったカタールがダークホースとして名乗りを上げました。予選突破は難しいにしてもベトナムも先のアジア杯と同じく渋い脇役を演じています。確実に勝点3を目論んでいたベトナム戦でサウジ/カタールは痛恨のドロー。ここまでの混戦の原因の一つは「アウェーのベトナム戦」にあります。 ここまでサウジ/カタールの躓きもあり、日本は2勝1敗の勝点7。アウェーのカタール/ベトナム戦で勝てば最終のサウジ戦を待たずに予選突破が決まる。なんだかんだ言っても守備陣は安定しているからアウェーであっても1-0とかで勝てるだろう・・・そんな空気が日本中に蔓延していたのかもしれません。ここまで得点がわずか3。得点者が梶山×1点、青山×2点と攻撃陣の不甲斐なさが目立ちます。 こうした試合が続くと難しくなるのが「攻撃陣」と「守備陣」の心のバランス。「守備陣」から見れば「早く追加点取って楽にさせてくれよ」と思いがち。前線がなかなか点を取れないとジリジリして自分も前がかりになり、逆にピンチを招いてしまう・・・そんなこともよくあることです。 チームが1つにまとまらない状況が一番怖いこと。スタメンが固定され、ベンチのモチベーションが落ちることもまたしかり。心がまとまらないチームは極限の状態に追い込まれた時に「みんなで助け合って盛り上げよう」という意識にはなりにくい。また、この年代別代表のチーム特有の問題として「下の世代の融合」今回で言えばカナダU−19組の合流がどのように作用するのか?という話があります。非常に明るいチームだったU−19の面々が入ったことでよくなっているのかどうか。 よい結果が出ない時にチームを盛り上げることができるか。95年のアトランタ五輪予選以来、12年ぶりに訪れた「アジア敗退危機」93年のドーハ、もしくはそれ以前からの状況を体験してきている人間にとっては現時点の状態も「危機」ではないのかもしれません。これはアジア予選では「当たり前」。楽にアジアを必ず突破できると思い込む方が間違い。ただでさえサッカーは「足」を使うスポーツとして「不確実性」が高い競技。アウェーでの1敗は想定の範囲内。95年当時、今の選手たちはまだ小学生。あのドキドキ感をリアルには体験できていない、「アジア突破を当たり前」と見られる時代に生きる選手たちに、それをさらに乗り越えるタフさを見せて最後のサウジ戦。みんなで予選突破のお祝いができるよう最後まで頑張って欲しいですね。 **10月19日(金)掲載**
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