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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2022/11/24(木)
第245回【子親編】「ジェンダーフリーで育てたいのに…」
【Q】
結婚して10年、8歳の息子と6歳の娘がいます。結婚するときから夫の両親との同居が既定路線だったので、義父が70歳になったのを機に同居しました。私も夫もフルタイムで働いているので、私達が帰宅するまでは義母が子どもたちを見てくれています。もちろん両親には感謝しているんですけれど、困ることも少なくないんです。特にジェンダーの問題。義母も女が働くことには反対じゃないんです。でも「男らしさ」「女らしさ」は大事と思っているみたいで、8歳の息子に「男の子は泣かないの!」とか「しっかり勉強していい大学、いい会社に入るのよ」とやっちゃうし、6歳の娘には「女の子なんだからそんなに乱暴なことはしないの!」「いいお嫁さんになるのよ」とやるんです。現代社会で信じられないような言葉なんですけど、義母はそう教えるのがいい子育てと思ってるわけですよ。義母と過ごす時間が長いので、影響は避けられないし、義母のおかげで私も仕事ができていることもあるので、強く言えなくて、どうしたらいいかとても困っています。

【A】
「正しさ」が時代によって変わるのは過去の時代の「正しさ」を「間違っていた」と考えた人がいたからです。今、あなたは義母に子どもたちを見てもらえているので、夫婦共フルタイムで働けています。困ったことに義母は、昔ながらの「男らしさ」「女らしさ」を大事に思っていて、まったくステレオタイプの「らしさ」を孫に教えています。「男の子は泣かないの!」「女の子なんだから乱暴なことはしないの!」という義母の言葉は、この手の人がよく使うフレーズです。

そして、もっと困ったことには実は私たちの心というか身体にこの「らしさ」が染み込んでいて、「私はそんなことは言わない」と思っている人でも、女の赤ちゃんにはフリフリのついたピンクのもの、男の赤ちゃんにはフリフリのついていない青系のものを選びますよね。「私はジェンダーフリー!」と思っている人でさえ、せいぜい頑張って「白」か「黄色」止まり。色もピンクは「可愛い」、青は「りりしい、知的」という思い込みがあったりします。自分ではそれはジェンダーだとわかっていても、周りを気にして合わせている人もいるかもしれませんが。

子どもたちに与える絵本もこうした思い込みから「白雪姫」や「シンデレラ」「人魚姫」などなどは女の子に、男の子には「ピノキオ」や「機動戦士ガンダム」。そしてそれらは益々、女の子には「女の子らしさ」男の子には「男の子らしさ」を植え付けて、幼い心に「将来こうあるべき」「こうあらねばならない」という思いをふくらませてしまいます。これは、幼児教育の分野で顕著ですが、小中高と進んでも、この「らしさ」は無言で教え続けられます。男らしさと女らしさは「差別」ではなくて「区別」だという人がいますが、それは進化の過程で洞くつ生活をしていたころの話です。

さて義母に「男の子は〜」「女の子は〜」と言うのはやめてほしいと強く言うのは難しいとのことですから、まずあなたたち夫婦がその「らしさ」から自由になっている同居生活を義父母に示してください。「あなたの両親ではなく夫の両親との同居が既定路線」だったことが、まさにジェンダーギャップの表れだと思いますが、状況からしてそれを変えることは不可能だと思いますので、あなた方夫婦の関係を少しずつご両親に見せることから始めましょう。もちろんあなた方夫婦の関係がジェンダーフリーであり、夫婦関係に満足していることが大前提ですが…。
(文:大関洋子)

2022/11/14(月)
第244回【親子編】「嫁へのプレゼントはエプロン」
【Q】
我が家は、家事も子育ても夫婦平等にこなします。ほぼ完全にジェンダーフリーと言えると思います。子どもたちも成人して、息子2人が家庭を持ったのですが、先日息子たち家族と旅行に行く機会があったんです。それぞれ子どもがいて、夫婦でよくやっているなあと感じているので、嫁に感謝の気持ちを伝えるつもりで、お土産という程度のプレゼントを用意したんです。夫には話さず私が用意したんですけど、選んだのは「エプロン」でした。宿について2人の嫁に「いつもありがとうね」と言いながらプレゼントを渡すと夫が「えっ!エプロンなの?」と言いました。私もハッとして「あっ、やっちゃった!」と思いました。自分ではジェンダーフリーのつもりでいるのに、無意識に染みついているものが時々出てしまうことがあります。もし相手が婿だったらエプロンはなかったと思います。こういう感覚が子どもにジェンダーを植え付けていくんだよなぁと反省しました。どうしたら私に染みついたジェンダーの感覚が抜けるんでしょうか…

【A】
11月7日の朝日新聞に「共働き妻の“ワンオペ”いつまで?」という見出しで「家事育児夫との差4時間38分、15年変らぬ負担」という記事が出ていました。「ワンオペ育児」の言葉を社会に広めた明治大学の藤田結子教授らがまとめた調査で、6才未満の子を持つ共働き夫婦の一日の家事・育児関連時間は、妻は6時間33分、夫は1時間55分という結果が出ています。

妻のワンオペ育児の背景には夫の「長時間労働」が指摘されてきましたが、今回の調査では早めに帰ってくる夫が何人もいましたが、妻がいくら言っても育児や家事をやらない夫がいるというのです。なぜでしょうか?ここであなたの相談の心や体に染みついたかのような「男らしさ」「女らしさ」が出てくるのです。調査の対象になった男性達は、出世や昇進にとりつかれておらず、仕事がそんなにしたいわけではないのに、妻が育児や家事をする間、夫がスマホゲームをしている家も少なくなかったそうです。育児や家事をまめにやる女性が「女らしい」というジェンダー分業的な「支配の志向」だと藤田教授は言っています。そして、ここがまたとても厳しいところですが、女性の方も「女らしさ」の規範を心の深いところで、そのように捉えているということです。まるであなたの様に…。

高所得の女性は、家事代行サービスを人知れず使ったり、ミールキットを買ったりしてしのいでいますが、それ以外の女性たちは、近所に実母などがいなければ、他者にケアされていないのです。今、私も近所に「実母」などがいなければと書いてしまいました。「実父」でもいいし、夫の父や母でもいいのに、なぜ社会的に家事育児はもちろん介護まで(夫の両親の介護も含めて)も女性の仕事と決まったように言われているのか…。そしてそれができる女性が「女らしい」とたたえられるのか…。15年経っても調査での情勢の負担は変わっていません。

おそらく、あなたが教育を受けた保育園や幼稚園、小学校では、保育士さんや先生は女性なのに園長先生や校長先生は男性が多かったり、出席簿の順番は男の子から始まっていたりしていたことでしょう。高校で家庭科共修が始まったのもまだ二十数年前のことです。やっと始まったばかりのジェンダーギャップの解消も2021年の世界経済フォーラムの公表では、1位はアイスランド、日本はずっと下の120位でした。

さて、あなたの問題点は何でしょう。そう、自分はジェンダーフリーのつもりなのに「嫁」に「エプロン」を渡して「女らしさ」をそこに求めていたんです。無意識にすり込まれた「男らしさ」「女らしさ」は、あなたの中にも存在するんですね。それに気づいたあなたは立派です。そして、「えっ!えぷろんなの?」と言ってあなたに気づかせてくれた夫を持ったことに感謝しながら次の世代を育ててください。
(文:大関洋子)

2022/10/27(木)
第243回【夫婦編】「夫を信用できないのは私がいけないの?」
【Q】
夫の行動に不信感を持っています。残業とか休日出勤とか言ってどこにいるのか分からない時間があったり、明らかにどこかに遊びに行ったらしいレシートが財布に入っていたり…、本人に訊いてものらりくらりで納得がいきません。夫は「これ以上説明のしようがない」って言うんですけど、ごまかしているとしか思えません。先日、興信所に頼んで、一週間夫の行動を調べました。結果、何もなかったんですけど、それ以上はお金が続かなくて…。夫のスマホはロックがかかっていて見られない。でもパソコンでスイカの履歴は見られたので3ヶ月ほど遡って調べたら、仕事とは関係なさそうなところに何度も行っているのが分かったんです。それを夫に突きつけたら、逆ギレされて「人の財布の中身を見たり、行動をチェックしてるのかよ!」と怒鳴られました。夫は「そんなに俺を信用できないなら離婚しよう」とまで言うんです。私は専業主婦で子どももまだ小学生ですから離婚は考えていません。信用しろって言われても、信用するなんて無理です。夫は信用しない私が悪いって言うんですけど、私が悪いんでしょうか?

【A】
日々、辛いでしょうね。もし、あなたが過去に男性からひどい裏切りをされたり、親から虐待を受けたりして、愛着障害やアダルトチルドレン的な症状を持っていないとするならば、夫の行動に不信感を持っているのは正しい勘だと思います。昔から「女の勘は鋭い」と言われていますが、これには根拠があります。
女性は洞窟で生活していた時代から、子どもを身ごもり出産して育ててきました。その間、数年間は男性が狩りで獲ってきた獲物を分けてもらって生き延びるしかなく、男性の行動や機嫌に敏感になっていたと考えられます。今は、とっくにそんな時代は終わっているのですが、遺伝子の中に相手の言動に敏感なものが残っているのでしょう。

さて、あなたの夫ですが、興信所に1週間、行動を調べてもらっても何も出ないというのなら、「本当に何もない」か「興信所に気づいてあえて何もしないでいた」とも考えられます。1週間程度では確かな調査というには期間が短すぎるように思います。最近、興信所では多種多様な機材を駆使したり、多くの情報を収集したりして、正確な調査をし、離婚の訴えの時など、裁判所も証拠採用するところまでなっています。

あなたが日常的に感じている不信感の根拠である残業、休日出勤、財布の中のレシート、Suicaの履歴、等々を突きつけた時の夫の「人の財布の中身を見たり、行動をチェックしてるのかよ!そんなに俺を信用できないなら離婚しよう」という言葉から判断すると、あなたが考えているように「外に誰か付き合っている人がいる」というのもまんざらでもないように思います。

具体的な人がいるかどうかは別にしても、あなたとの夫婦関係に充実感を持っていないことは確かです。大切なことは、夫の不審な行動が始まって、あなたがそれをチェックし、不信感を持ち始めたころ、すでに夫婦関係が壊れ始めていたということをあなたが自覚する(認める)ことです。ここまで来てしまうと、夫のいう「離婚」も視野に入れる必要もありますが、小学生のお子さんもいてあなたは専業主婦、離婚は考えていないとのことなので、いったんこの状態を白紙に戻して、夫をできるだけあなたの監視から解放してみてください。

おそらく、再び疑いの気持ちがモヤモヤ湧いてくるでしょうが、それはもしかすると、夫ではなくあなたの生育歴に何か原因があるのかもしれないので、ご自身の過去に、裏切りや虐待を経験していないか振り返ることもしてみた方がいいかもしれません。

フレデリック・パールズという心理学者の詩に「パールズの祈り」というのがあります。
私は私のことをする
あなたはあなたのことをする
私はあなたの期待にそうために この世に生きているのではない
あなたはあなた 私は私である
もしたまたま私たちが出会うことがあれば それはすばらしい
もし出会うことがなくても それはいたし方のないことである
(文:大関洋子)

2022/10/07(金)
第242回【恋愛編】「私ってセックス依存?」
【Q】
高校の時からけっこうな数の男性と付き合ったんですけど、いつも長続きしないんです。長く付き合いたいって気持ちはあります。でも、正直言って「“ねる”と冷めちゃう」っていうか…。周りを見るとみんな真面目で、1人の男性と付き合って、ずいぶん長く続いてるなあって思うとちゃんと結婚して子どももできたりしてるんですよ。でも、私の場合、付き合うってことになるまで私の方が必死にアピールして“ねる”ところまでは行くんです。ところが2、3回“ねる”と気持ちが冷めちゃって。前の男と比較して“こいつ下手!”って思ってしらけちゃうこともあるし、うまいんだけど、やたらしつこくて“もうイヤ!”ってなっちゃうこともあるし…。セックスだけがすべてって思ってるわけじゃないんですけど、じゃあどういう男がいいかっていうとよく分からなくて、結局「うまいか下手か」が基準になってしまってるし、だから長続きしないし…。セックス依存ですかねえ?今年28歳になって普通の恋愛がしたいって思うんですけどどうしたらいんでしょうか。

【A】
「依存」(アデクション)というのは、特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられなくなる状態のことを指します。人が依存する対象は色々ありますが、@物質への依存、A行為やプロセスへの依存、B人間関係への依存の3つに分けられます。@は、アルコール、たばこ、薬物などへの依存、Aはギャンブル、買い物、盗み(万引き)などへの依存です。あなたが心配している「セックス依存」もこの分類に入ります。Bは恋人、家族、男性、女性などへの依存で、共依存やDV、ストーカー行為に及ぶなどもこれに当たります。これらの3つは単独で現れることもありますが、他の依存と重なって併発しやすい傾向があります。あなたも恋愛関係を長続きさせようと思うのですがセックスを数回すると冷めてしまって次の相手を求めてしまうようで、依存の状態が重なっています(クロスアデクション)。

あなたが次々と恋人を替えるのは、人間関係への依存で、その人にしがみつくことで自分の不安を解消しようとして、性の関係を持ち、性の行為やプロセスの中で一時的な刺激や快楽を求めてそれを繰り返しています。
「依存」で困るのは、何かの不安を解消しようとしているのにもかかわらず、逆に生活のリズムが崩れ、体調や心の状態がどんどん不安定になることです。どの依存にも共通するのは、より強い刺激を求めて、やめようとしてもやめられなくなり、いつもそのことが頭から離れないなどの特徴です。

28歳のあなたが「普通の恋愛がしたい」と言っているので、改善が必要な状態だとご自身で気づいています。こうした依存的な状態は、もっとひどくなると自分の意志ではやめられない「コントロール障害」と言う病的なものになっていしまいます。今の状態はまだ「依存症」という病気にまでは至っていないと思われますので、なぜ今の状態になっているのかを考え、普通の恋愛ができるよう努力しましょう。

依存の初期には、不安や緊張を和らげたり、嫌なことを忘れたりするために、ある特定の行為をするわけですが、それを繰り返しているうちに脳の回路が変化して自分の意志ではやめられない「依存症」と言われる状態になっていきます。ドーパミンという快楽物質の放出を報酬、ご褒美と感じる脳の仕組みです。こうなってしまうと意志の弱さや性格の問題ではないので、自分を責めたり恥ずかしがったりせず「何かに強く我慢をしてストレスフルになっていることはなかったか」「今も我慢を続けていないか」などの点検をしてみてください。

その「元になっているストレス」を軽くしながら、自らの「やめたい」という気持ちを大切にして、「性のやり方の上手・下手」という基準で相手を判断するのでなく、「性」の関係も2人で作っていくように、「人間性」や「価値観」に目を向けて相手とお付き合いしてみましょう。
それでもひどくなっていくようなら、今回のように専門の機関で治療を受けるなり、カウンセリングを受けるなりしてください。
(文:大関洋子)

2022/09/22(木)
第241回【職場編】「私から誘ったのに…」
【Q】
職場の先輩と付き合っています。私が入社した時、2ヶ月ずつ3人が順番に指導係になってくれたのですが、最初は1年先輩の女性、2番目が3年先輩の彼、3番目が5年先輩の男性でした。3人ともすごく優しくて、丁寧に指導してくれたので、不安がなくなりました。3人の中でも彼は私にとって特別な存在に感じたので、私からお礼に食事に誘ったんです。それがきっかけで、付き合うようになりました。社内的には、社内恋愛は歓迎されないし、私としては彼との関係をこれからどうしようかという方向性がまだ見えていないので、私も彼も周りに知られないようにしているんですけど、何となく私と彼との関係が変というのが周りに分かっちゃったみたいなんです。付き合ってるって見られるのも私的にはまだちょっとなあと思っているので、周りに知られたくないんですけど、どうやら彼の態度が私に対するセクハラって思われちゃって、彼の悪口をいう人がいたり、上司にもそう思われて社内での彼の立場が悪くなっちゃっているんです。友達に「セクハラされてて大変じゃん!?」って言われたときに「そうなのよ」って言ってしまった手前、今さら付き合ってるなんて言えないし、実際付き合ってるって思われて、選択肢を潰してしまいたくもないんです。

【A】
せっかく本音で相談してくださったのに厳しい回答になってごめんなさい。でもまずは、あなたの「生き方」から考え直してください。
それは友人から「セクハラされて大変じゃん?!」と言われて「そうなのよ」と言ってしまったことです。そのため「彼の悪口をいう人」もいたり、その上上司にもそう思われて、「社内での彼の立場が悪くなっちゃったり」しているんですよね。指導係としての3人は皆優しくて丁寧で不安がなくなった上に「彼は特別な存在に感じられ」「私から食事に誘った」のにですよ。それなのに彼の立場がこんなに悪くなっている。「実際に付き合ってるって思われて選択肢を潰したくない」なんていう理由で「セクハラされてて大変」を認めてしまうなどとは人として許される行為ではありません。こういう考え方をして選択肢を広げておこうなどとするあなたは自己中心的でしかありません。もしかすると彼はこのことで上司から忠告されたり、人事異動の対象になったりして、人生が変わってしまうかもしれません。

「社内恋愛は歓迎されない」と言っていますが、それはあなたのようなこういうひどい噂を自分から流して周りの人と彼の人間関係を悪化させたり、仕事に支障が出たりするからです。本来は、日頃の仕事ぶりを見てその誠実さにひかれたり、優しさに感動したりして恋愛に発展し、結婚に至るのが理想ですよね。人柄がよりわかって結婚生活がうまくいく可能性が多いからです。

あなたの自己中心的な価値観はもしかすると「ピーターパン症候群」の種かもしれません。ピーターパン症候群というのは正式な学術用語としては認められていませんが、永遠に歳をとらない少年ピーターパンの名前をとってつけられたもので、いつまでも無邪気な子どもでいたいという願望を持っています。男性に多い症状ですが、女性にも大人になっても他者のことが考えられず自己中心的な考え方を続ける人がいます。イギリスのバリーが書いた永遠にネバーランドに居続ける少年ピーターパンの物語から取って名付けられました。身体は大人になっても精神的に大人になりきれず子どものような言動を取ってしまう自己中心的な子どものままでいたいという願望が強いのです。特別な人がなるわけではなく誰でもなり得る問題の1つです。

1人の前途ある青年をセクハラ社員と仕立て上げた自分を反省し、速やかに訂正し、大人になることをお勧めします。彼との関係もゼロから見直してください。
(文:大関洋子)

2022/09/09(金)
第240回【子親編】「“昭和”は黙ってろっ!」
【Q】
結婚して5年です。2年前、子どもが生まれたのを機に夫の両親と同居しました。産休明けから職場に復帰して、保育園の送りは夫か私、迎えは夫の両親にお願いしています。その点は義父と義母に感謝しています。でもうっとうしいこともたくさんあるんです。例えば子育てのやり方。義母は3人の子どもを育てているので、学ぶこともたくさんありますが、義母が子育てをしていたのは40年くらい前。今とはまるで違う世界ですよね。紙オムツなんて出たばっかりで布オムツを使っていたとか、果汁や離乳食をやるときはガーゼや食器を煮沸して果物や野菜をすりおろしたり潰したりして食べさせたとか、子育てを担うのは母親とか…。私は、夫も一緒に子育てをしてくれるし、楽な子育てをさせてもらってるなあとは思います。義母も「いい時代になったねえ」とは言うんですけど、私の子育ては「手抜き」と思っているのがわかります。それに今は、インターネットで調べれば、義母の話よりはるかに専門的な話もわかるから、義母の話を聞く必要もないんです。一応「ありがとうございます」って聞きますけど、「××すればいいのよ」とか言われると思わず「“昭和”は黙ってろっ!」って言いそうになります。

【A】
町の小児科医、松田道雄さんの著書「育児の百科」。1967年に診察に当たった経験を元に総合的な育児の手引き書として出版されたもので、累計販売部数は183万部以上。50年も前に書かれた育児の本が、なぜこれほど支持され続けているのでしょう。時代が変化する中で“母親の孤立”に寄り添おうとした著者の姿が見えてきます。(NHK放送文化研究所より)
子どもの年齢ごとに食事や遊び、病気への対応などについて細かく記されています。最初は百科事典のような大型本でしたが、何度も改訂され、現在は文庫本になっています。NHK放送文化研究所へ寄せられた感想はたくさんありますが、その中には「古い部分もあるけれど何より親の不安な気持ちを救ってくれる言葉がたくさんあった」「育児中に泣きながら読みました。働く母へのエールもたくさん。『預けて働くことに罪悪感を感じなくて良い』とか『瓶詰めの離乳食を与えながら笑っているお母さんのほうが良い』とか、昭和とは思えないあたたかさ」などという感想があります。
私が初めての子育て時この本に救われたのは、赤ちゃんの「消化不良」という項です。赤ちゃんの便を過剰に心配していた私は、松田先生の「赤ちゃんをそだてているので、便を育てているのではないことを忘れてはならない」という言葉にハッとしたことを今でも思い出します。

松田先生は明治41年生まれ。京都で町の小児科医をした後、60歳を前に執筆に専念し、「子どもの病気の診断や治療は簡単だが、育児はたいへんな仕事だということをあらためて感じた。育児の重労働はすべて女にしょわされている。子どもをもった女の負担を少しでもへらしたい気持ちがつのった」と「町医者の戦後」という著書の中で述べています。
1980年の改訂版の「父親になった人に」という項には、「君もいよいよお父さんだ。君に一言いっておきたい。君は年々、200人の母親が子殺しをすることを知っているか。以前の大家族の時代には古い世代がそばにいてくれた。いまは若い母親がひとりでせおわねばならない。子殺しをした母親のおおくが、育児に協力しない夫をもっていた」と親になった男性に呼びかけています。そして、この「育児の百科」は、平成10年に松田先生が亡くなられてからも、多くの人たちに読み続けられています。

幸い、あなたは夫の協力もあり、ご両親に助けられてもいますが、かなり「うっとうしい」義母に、「昭和は黙ってろ!」と言いそうにもなっています。「インターネットで調べれば」とまるで「魔法の杖」でも振るように「専門的な話もわかる」と言っていますが、本当にそうでしょうか?インターネットの向こう側の人は、あなたやあなたのお子さんを実際に見ているわけではありません。あなたの気持ちを真に受け止めてくれるわけでもありません。衝突はあるかもしれませんが、夫やご両親とも様々な話をすることこそ、ワンオペ育児からの解放であり、あなたも楽になることと思いますよ。
インターネットの情報だけに頼るのも、それこそ「手抜き」の育児になることを心してください。
(文:大関洋子)

2022/08/30(火)
第239回【親子編】「お母さんは何で仕事をしていないの?」
【Q】
高校2年生の息子と中学2年生の娘がいます。娘に「お母さんは何で仕事をしていないの?」と聞かれました。パートの仕事はしているのですが、娘は「医者になりたい」という夢を持っているので、私のような「パート」を仕事とは考えていないんだと思います。確かに「職業は?」と聞かれれば「無職」と答えると思うので、娘の考えはその通りだと思います。私は娘にちゃんと答えてあげることができませんでした。息子に聞かれたら、「あなたたちを育てるのに仕事をしていない方がいいと思ったから」とか「パートも立派な職業でしょ」とか答えたと思うんです。娘の「何で?」に答えられなかったことで、私自身「女」という立場で充実した人生を送ってこられなかったというわだかまりのようなものがあるのかなあと考えるようになりました。娘には「私のようにはならないでほしい」「自分自身の人生をしっかりつかんでほしい」と思うのですが、娘にとって私はすごく悪い見本にしか思えず、これから私がどう生きていったら娘が娘らしく生きられるのか、とても悩んでいます。

【A】
息子だったらすぐ答えられたのに、娘さんの「お母さんは何で仕事をしていないの?」という質問に答えられなかった自分に「わだかまりのようなものがあるのかなあ」と考えていらっしゃるとのこと、よくご自分を分析されていて立派だと思います。私のところへ相談に来ている方はあなたと同じような悩みを「後ろめたさ」と言っています。
ちょうど、あなたくらいの年齢の方は、憲法26条1項で「全ての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する」と学校教育では教えられてきました。人種や出自や経済力などと共に、人が生まれ持った「性別」によって教育や進路を左右されてしまうことをなくそうとするジェンダー・フリー教育は、民主主義国家としての日本に住む私達が最優先で守るべき理念としてきました。

しかしながら社会はまだ「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という枠組みに縛られています。マスコミの報道も、例えばTV番組のタイトルも相変わらず「おかあさんといっしょ」だったり、女性アナウンサーは番組のMCではなく、アシスタントとして男性の下だったり、学校教育の現場で、出席簿や整列の順が男子が先で女子が後だったり、教師の人数は女性が65%なのに校長の人数は男性が82%だったり…。高校になると女性教師が26%、男性校長が95%です。教育現場では「隠れた男女差別カリキュラム」が行われているということです。徐々に変わりつつありますが、応援団長は男子、女子はチアリーダー、男子が生徒会長で女子は副会長。挙げればきりがありません。

医学部の入学試験でも女性差別があり、男子より良い点を取っていても「女子は長続きしないから」という理由で、いくつもの医学部が女子を不合格にしていたことが、数年前明るみに出ました。ご自分自身が「女」という立場で充実した人生を送ってこられなかった「わだかまり」に気づいた今、娘にとって「悪い見本にしか思えないという心の中の思いを娘さんに話して上げてはいかがでしょうか?
今やっと日本では医学部の男性優位の入学試験が問題となり、娘さんに追い風が吹きはじめました。世界を見るとパキスタンのマララさんのように女子教育を否定するタリバンに銃撃された少女もいれば、今、その行いに対するバッシングの対象になってはいますが、フィンランドのサンナ・マリンのように34才でレジ係だった彼女を首相にした国もあります。どうか娘さんにはご自分の「わだかまり」と「後ろめたさ」を語って上げてください。そしてもし「あなた達が育った今、私はこんな仕事をしたい」とあなたの夢を語れたら素敵ですね。
(文:大関洋子)

2022/08/10(水)
第238回【夫婦編】「ペットはかすがいにならず」
【Q】
結婚して15年、不妊治療もしたんですけど妊娠できず、2年前に諦めました。私も夫も子どもがほしかったので、不妊治療をしない決断をしたときは、2人だけで人生をやっていくむなしさを感じ抜け殻のようでした。心に空いた穴を何とか埋めようと夫と相談して犬を飼うことにしました。2人でペットショップを回って新しい家族を探すのはとても楽しくて、気に入った犬を見つけたときは「これで私達の人生も豊かになる」と期待したんです。でも、その楽しさが続いたのは1ヶ月くらい。最初は2人で可愛がっていたのですが、だんだん夫と犬の距離が近くなり、私が入り込む隙がなくなってしまったんです。「子はかすがい」なんて言葉がありますけど、「ペットはかすがい」にはならず、私と夫の間に入り込み夫婦関係を壊す存在になっています。私は夫がペットと楽しく過ごすための道具になってしまい、私は疎外感を感じるだけです。

【A】
不妊治療を諦めてむなしさを感じ抜け殻のようになった2年前のあなたの辛さに改めて共感いたします。
結婚すれば「普通」子どもはできるものという社会通念がまだ強い中、不妊を心配したことがある夫婦は35%、夫婦全体の約3組に1組の割合で、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は18.2%、5組に1組います。(2019年厚生労働省)
それでも妊娠に至らずあなたのように諦める方も多いのです。その心に空いた穴を何とか埋めようと夫と相談して犬を飼うことにされた経緯には拍手を送りたいと思います。新しい家族を探し「これで私達の人生も豊かになる」と思ったのも束の間、「夫と犬の距離が近くなり私の入り込む隙がなくなった」「夫婦関係を壊す存在」「疎外感を感じるだけ」とは本末転倒。

元々、人間と犬の関係は1万5千年も前から続いていて、イスラエルでは人間と犬がともに埋葬された最古の遺跡が発掘されました。なんと1万2千年も前のものだそうです。日本でも縄文早期の遺跡に埋葬された犬の骨が見つかっているので、当時から大切にされていたことがわかります。犬は狼が人に飼い慣らされ、狩猟のパートナーとなったり、野生動物から人を守る生活のパートナーになったりして進化してきました。
今では「ペット」=「愛玩動物」という呼び方も廃止されるべきとして、「コンパニオン(仲間)アニマル」「ファミリーアニマル」「伴侶動物」などと呼ぶアニマルライツ運動団体もあります。なんとイギリスでは「育児休暇」ならぬ「ペット休暇」を認めている会社があったり、スイスではペットを飼う時の厳しい法律があったりして、モルモット、ウサギ、インコ、金魚など社会性のある動物は2匹、2羽以上で飼うことが義務付けられています。えっ?金魚も?!とビックリされる方も多いと思いますが、ペアのパートナーが死んだ後の新しいパートナーを紹介してくれる会社もあって、生きものの権利を守るための法律が細かく制定されているそうです。

確かに「ペット」=「愛玩動物」となると、人の欲求を満たすために飼育され、そばに置いて仕草や肌ざわり、鳴き声を楽しみ可愛がる、まさにペットの語源のPetty=小さな存在、Petting=撫でるという一方的に人の気持ちや愛情を与えるだけの対象に過ぎなくなります。
あなたの夫さんはワンちゃんを溺愛するあまり、まさに「ペット」としての存在におとしめているようですね。人間の伴侶に近しい生き物としてお互いに心が通じ合う対象や立場として接する相手と考え、あなたが夫と犬の間に積極的に入り、ワンちゃんが本当のファミリーアニマルになれるよう、犬を犬としてしっかりしつけて夫を育て直してください。
(文:大関洋子)

2022/07/21(木)
第237回【恋愛編】「人を好きになったら相手に尽くすのが普通?」
【Q】
もう何回失敗したかなあ…。すぐに名前が挙げられるだけでも4人です。ちゃんと数えると他にも4、5人いるので、10人くらいの男に裏切られたっていうか、愛想を尽かされたっていうか…。そうなっちゃったのは、原因があるんです。高校生の時、1年くらい付き合ってた大好きな彼がいたんですけど、なんとなく彼の態度が変わってきたなって思ったら「おまえさぁ、人を好きになるってことがどういうことか分かってる?人を好きになったら相手に尽くそうって思うのが普通だろ?おまえって“××して!”ばっかりでそういうところがないんだよ」って言われちゃったんです。それで別れることになりました。それがきっかけで、女は男に尽くさなくちゃいけないのかなって思って…。それ以降は付き合った彼氏に誠心誠意尽くしているつもりなんですけど、今度は逆に「おまえってウザいよな。もう少しいい距離感でいられないのかよ」って言われてしまって長続きしないんです。私って、人を好きにはなるんだけど、好きになられたことってあるのかなあ?どういう風に付き合うのが長続きするいい関係なんでしょうか?

【A】
高校生の時の失恋の経験からあなたは大きな間違った思い込みを2つしてしまいました。
まず最初の思い違いは、好きになったら「女は男に」尽くさなくちゃいけない?!と思ったのがそもそもの間違いですね。好きになったらお互いがお互いに対して相手の喜ぶことをして上げたいと思うわけで、「女が男に」尽くさなくちゃいけないわけではありません。まずそこが第一の思い違いです。

第二の思い違いは「女は男に尽くさなくちゃ!」とこれでもかこれでもかと「あなたに尽くしてます!」と尽くすのは相手にとっては「重い!」と感じて「ウザい」と言われてしまうというところです。
要するに「尽くさなくちゃ」と思ってやる行為は、明らかに「自分も尽くされたい」という見返りを要求しているのが見え透いていて、その人のことを好きで愛しているから尽くす「無償の愛」からは遠いのです。
「愛してる」「好き」だから尽くすときの「尽くす」は相手にわからなくてもわかっても見返りは要求していません。時には自分の生命が犠牲になっても相手の生命を救うために尽くす行為が究極の「無償の愛」です。タイタニックが沈む時、自らは船に残って恋人を救命ボートに乗せた青年のように、又、子どもの上に覆いかぶさって戦火から子どもを守り、自らは命絶えた母親のように…。

「尽くす」という行為は本来自らの内面から湧き上がり、あふれる気持ちで行う「無償の行為」であるはずです。それはたいていの場合、相手には「尽くしている」ことは知られないようにひそかに行われます。それがわかると尽くされた相手にはとても「重い」ことだからです。
「いい距離感を」と言った彼の気持ちは「尽くさなくちゃ」という義務感でやっていて、「誠心誠意尽くされている」という感じがせず、何か見返りを求められているように思い、「ウザく」なってしまうのです。「好きになる」「好きになられた」ことがないのか?とおっしゃって「どういう風に付き合うのが長続きするいい関係」なのかと悩んで質問されていますが、「長続きする方法論」ではなく、まずご自身の損得のために「人を好き」になってはいないか、そして何らかの見返りを求めて「尽くすふり」をしていたのではないかなど、ご自身の内面を見つめ直してください。「もっと会いたい」「電話やメールがほしい」「自分を愛してほしい」、こう思ったら何をしたとしても「尽くす」ことにはなっていないですから。

(文:大関洋子)

2022/07/06(水)
第236回【職場編】「おだてないと機嫌が悪いおやじ」
【Q】
うちの会社には2つのタイプの「昭和おやじ」がいます。1つはこちらから一言言うと100言くらい返してくるタイプ。何か提案しても延々とああじゃこうじゃ言って、自分の考えでこっちを納得させようとするんです。一度でもそういうことがあると「もうなんにもいーわない!」ってなりますよね。どう考えても会社には害。何も言わなければ私には関係ないかなって。もう1つは、女性がおだてないと機嫌が悪いタイプ。女性社員からおだてられるのが好きで、若くてかわいい女性社員が声をかけたりすると鼻の下伸ばしちゃってデレデレしちゃうわけですよ。出社してすぐ「今日のスーツ、決まってますね」なんて言っとけば1日中ご機嫌。それって、ちょーセクハラなんだけど、「俺は女性社員に優しい」って思ってるみたいで、セクハラと思ってないみたいなんです。困るのは若くてブリッ子してる女性社員がお世辞を言っちゃうもんだから、いい気になってすぐ身体とか触るんです。「よくやった」とか言いながら肩に手を置いたり、必要もないのに握手を求めてきたり…。悪気はないみたいなんで「それってセクハラです」とも言いにくいし、元はと言えばブリッ子してる女の連中が悪いわけだから、そこを絶たなきゃって思うんですけど、どうしたらいいか…

【A】
企業で働く人達は困った上司に日頃から悩まされている方も多いようです。特にご相談の「昭和のおじさん」に多い傾向があります。
「昭和」という時代は前半の20年までは「産めよ増やせよ」「国家総動員法」「ぜいたくは敵だ!」「欲しがりません勝つまでは」と耳にタコができるくらい、叩き込まれて育ち、その勢いで第二次世界大戦に突入し、負け戦さにもかかわらず、必ず神風は吹くなどと言われ「お国のために生命を捨てる」のが名誉と教え込まれていました。300万人にも及ぶ戦死者を出して降伏した昭和20年8月15日の玉音放送を多くの国民はよく聞き取れないラジオで頭を垂れて聞いたものです。

戦後、それまでの価値観が180度転換し、教育においても「民主教育」という逆転したかの様相の中で大人たちは混乱し、その混乱した価値観の中で育てられた子ども達が、今や「昭和のおじさん」などと言われて企業で困った存在になっているわけです。
よく言われる困った昭和のおじさんタイプを4つ上げると@威圧的な態度をとるA論破しようとするB嫌みを言うC若者を見下す、と大妻女子大准教授の田中俊氏は言っています。まさにあなたの言う前者の「昭和のおやじ」は、このA自分の考えでこっちを納得させ、論破しようとするタイプですよね。後半の女性がおだてないと機嫌が悪いタイプ、共に、価値観の大逆転した父親、もしくは祖父に育てられ、戦前の「男らしさ」を引きずり、男らしいとは「男が稼いで女、子どもを養う」「男は強くて弱音を吐かない」等々の男らしさから脱却できず、なのに時代はドンドン変化していき自分は追いついていない…と不安になる。「なりたい職業はYoutuber」「飲み会拒否の定時退社」「副業」「男性の育休」等々。

携帯やパソコンもやっと慣れたかと思うと新しい機種が出て、気づいたときには置いてけぼり。会社は勿論、家に帰っても子ども達にまで「お父さん、何言ってるの!時代遅れ!」と言われる。要するに自信を失っているのです。
外面は何でもわかっている風を装って威厳を保っていたいのですが、内面はビクビクです。だから威圧的に論破しようと「ああじゃ、こうじゃ」言い募り、若い女子社員におだてられるとご機嫌。気を許してセクハラをしてしまうんです。
「昭和のおじさん」には自分を見直してもらう必要があります。思い切って「それはセクハラです」と言ってみましょう。「昭和のおじさん」が手遅れの会社のお荷物にならないうちに。

(文:大関洋子)