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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2025/09/12(金)
第312回【恋愛編】「すぐ男を信用しちゃう性格を変えたい」
【Q】
今の彼とは3ヶ月付き合っています。1年ほど前まで付き合っていた彼がいたんですけど、貸したお金を返してもらってないのに、さらに貸してほしいって言われトラブルになって別れました。アルバイト先で知り合ったんですけど、真面目で一生懸命働いているように思ったんです。お金に困っているようなところもなかったし、お金を貸してくれっていう話になるなんて思っていませんでした。ところが5万円ずつ2回、そして3回目は10万円ってなったので別れたんです。新しい彼と付き合い始めて、私もお金がいるし、連絡したくなかったんですけど、どうしても返してほしいので、「貸した10万円返して」って連絡したんです。そしたら、うちまで返しに来るって言うんですよ。振り込んでくれればいいからって言っても、鍵も持ってるから鍵と一緒に返しに行くってきかないんです。私が断ると、鍵を持ってるんだからいつだって入れるんだぞって脅されました。もう関わりたくないので鍵も替えて10万円もあきらめることにしたんですけど、でもまた新しい彼に鍵を貸しちゃってるし、私のこういうところがトラブルを引き起こしちゃうので、自分の性格を変えたいんです。

【A】
「すぐ男を信用しちゃう性格を変えたい」というご相談ですが、同性の女性に対してはどうですか?もし同性に対してもすぐ信用する性格なら、それは変える必要はありません。「人」を信用することのできる性格ということですから、きっと生育歴の中でたくさんの良い人に愛されて育った結果なのですから。ただし、すぐ「男を」とあるからには、同性の友人はすぐ信用しないのに、「異性」だとすぐ信用してしまうということですよね。それだと問題は別です。
「信用」という言葉と似ているけれど内容がかなり異なる言葉に「信頼」があります。「信用」は過去に起こった行動や実績、成果、情報など、事実からの評価と期待をすること(クレジット)ですが、「信頼」は相手の人柄や考え方、条件なしに「この人なら大丈夫」「信じられる」と感じる安心感や確信のことを指します。「信用」は過去の行動に基づく評価であるのに対し、「信頼」はより感情的で相手への期待や安心感を含む言葉です。「信用」が積み重なって安心安全が確保されると「信頼」が生まれます。人間関係のつながりで最初から無条件に信用することはほとんどなく、実績や行動を確かめるある程度の時間とコミュニケーションが必要で、時間の積み上げた上で相手を信じるかどうかは自分の感情や意志であり、その後も同様の関係を期待します。「信頼」は充分な「信用」の上に成り立つ概念なので、無条件で相手を信じていることも少なくありません。そのため、明確な判断基準のない場合がほとんどです。
要するにあなたは「信用」の実績がないうちに「信頼」の段階に入ってしまうということです。かなり早い段階で彼に鍵まで渡してしまっていますから、不用心なことこの上なく、実際脅しに使われ10万円もあきらめることになってしまいました。
あなたが「信用」の段階を簡単に飛び越えて「信頼」の段階に入ってしまうのには、生育歴の中に問題があると考えられます。幼少期に何らかの環境の不具合があり、自分が「愛されている」という感覚が薄く「自己肯定感」がなく育ってしまった。そのことから生じる男性の言葉「君は僕の特別な人」「君にだけは本当のこと言っている」などに心理をくすぐられてしまいます。判断基準のない「信頼」にすぐ行ってしまって「鍵」や「お金」を貸してしまうのは「愛されている」ことの実感や「寂しさ」を「自分は特別」という感覚に変えてしまっているのでしょう。
自分の生育歴の中で何か「愛されること」に欠けているかも?と思い当たることがあったら、それを「男の言葉」で埋めるのではなく、その人(男)の「行動」や「人柄」をしっかり見るだけの期間を取ってみましょう。「ビビッ」と来たとしても、その感覚が正しいかどうか、時間をかけて確かめることが必要です。
(文:大関洋子)

2025/08/28(木)
第311回【職場編】「バーベキュー会の後の雰囲気が…」
【Q】
美容関係の仕事をしています。私の職場は10名弱のスタッフのシフト制で回していますが、会社としては理容、美容合わせて20店舗弱あるので、200人を超える規模なんです。福利厚生は充実していませんけど、2月にホテルの宴会場を借り切ってタレントや芸人を呼んでの夕食会、8月に川原でバーベキュー会をします。夕食会はいんですけど、バーベキュー会は終わったあと毎回嫌な思いをします。準備は幹事がしてくれて、私たちは店舗ごとに飲んだり食べたりするだけなので負担はありませんけど、バーベキュー会のあとの店の雰囲気が男中心になって乱暴になるというか、男の子たちの態度が大きくなるというか…。バーベキューって、男性も女性も薄着になって汗をかきかきやるし、火って何となく人の心を開放したり乱暴にしたりしますよね。しかも男が焼き手で女は配ったり、片付けたり…、自然と役割分担ができちゃうというか…。そういう雰囲気が、その後の店の雰囲気にもなっちゃうんです。バーベキューの前までは、男女平等に仕事をこなしているのに、バーベキュー会が終わると、雰囲気が一変するんです。元に戻るまでに3ヶ月くらいかかります。私はバーベキューはやめてもらいたいんですけど、女の子の中には、ここぞとばかり媚びを売りだし男の子との距離を縮めようとする子もいるんです。


【A】
職場のバーベキュー会は、スタッフの労を労い、日ごろの疲れを癒やすことを目的とした社内イベントです。リラックスした雰囲気でスタッフのコミュニケーションを促進するためでもあります。部門や役職の垣根を越えた自然なコミュニケーションが生まれ、スタッフ間の親睦を深め、連携強化につながる上、職場とは違う自然の中でストレス解消にもつながります。
ところがあなたはその後、不都合な雰囲気がお店に起きてしまい、元に戻るまでに3ヶ月くらいかかると感じています。そんなバーベキュー会はやめてもらいたいですよね。バーベキュー会の後は、店の雰囲気が男中心の乱暴な雰囲気になる、男女の役割分担ができてしまう、男の子との距離を縮めようと男の子に媚びを売る女の子が出てくる等々、あなたにとっては不快に映ることが起きてしまうわけですものね。そうなってしまっては会社の意図とは裏腹に明らかにマイナスです。
まず、BBQ発生の歴史から辿ってみれば、あなたのおっしゃりたいことはもっともだと分かります。BBQの語源はカリブ海の先住民「タイノ族」から始まった肉を焼くために使った「木の枠」を指す言葉だそうです。スペインに伝わり「バルバコア」(丸焼き)になり、その後アメリカ大陸に伝わり「バーベキュー」の原型が作られました。15〜16世紀ころのようです。日本に伝わったのは第二次大戦後の1950〜60年代、高度経済成長期でした。また、「火」で肉や魚を焼くという歴史も古く、旧石器時代ネアンデルタール人の時代とも言われていて、「火」で調理することのできた人類だけが「火」のもたらした「第二の技術革命」とも言われる発展を遂げることになります。そのころは男性だけが獲物を捕り、肉を焼いていたのでしょう。また、その火種を守り維持することは集団にとって大変重要な仕事の1つでした。徐々に火の周りでコミュニケーションを密にし、お互いの協力や食事や団らんにより、社会性の発展を促しもしました。当然、男女の交流もあり、燃える火によって心も燃え上がり、種の保存にも効果がありました。火は、励ましや癒し効果、お焚き上げに代表されるような浄化作用などもあると考えられ、今でもオリンピックの聖火リレー、誕生日のケーキの上のロウソクなど、日々の生活の中で活用され、特別なものとなっています。
あなたが不快に感じる諸々のことは、BBQ発生の歴史を考えれば当然のことではありますが、文明が発展した現在においてはそれ以外の様々な要素もあるのに、現代社会にそぐわない面ばかりが強調されて現れてきているのでしょう。
あなたが感じていることを率直に上司に話し、会社が目指す福利厚生の方向性が曲げられることのないよう、問題提起をしてみてください。次回バーベキューの際には、会の方向性を変えるべく、ぜひあなたが中心となり女性が焼き手、男性が後片付けといった会を実現してください。そういった会になれば、その後の職場でも、いい方向での変化が生まれるかもしれませんよ。

(文:大関洋子)

2025/08/18(月)
第310回【親子編】「同居で私の負担が4倍に…」
【Q】
昨年義父が75歳になったのを機に両親と同居しました。2人の大学生がいるんですけど、一人暮らしをしているので、夫と私が夫の実家に入る形での同居なんです。台所、トイレ、お風呂は1つで、寝室とそれぞれの個室がある4人暮らしという感じですね。もちろん食事は一緒で、私が中心に作って、義母が手伝ってくれます。たまに一緒に買い物に行ったりもするんです。でも私も仕事をしているので、同居前は夫と半々くらいかむしろ夫の方が多いくらいだったんです。4人分の食事を毎日作るっていうのは、けっこう負担なので、義母がもう少しやってくれるといんですけど、義母も若いころからすべて家事をやってきたので、同居したことでホッとしたのか、もしかすると私に気を使っているのか、あまり手を出そうとしません。もちろん私から義母に「手伝ってください」とも言えないので、夫が「僕もやろうか?」って言ってくれるんですけど、義父が男が台所に立つことを嫌うので、必ず一緒に晩酌ってなっちゃうんです。これまで家庭のことは夫と半々というか、やれる方がやるというスタンスだったのに、同居してからは夫のことはもちろん、両親のことまで私がすべてやるということになってしまって、私の労力はこれまでの4倍になってしまいました。

【A】
親との同居については国土交通省の「親との同居の実態についての調査結果」やフコク生命をはじめ、セゾン・アットホーム(株)などが、同居のメリット、デメリットを調査、発表しています。特にあなたのように義理の両親との同居では問題も起きやすく、「Yahoo!知恵袋」にも多くの質問やそれに対する回答が投稿されています。
国土交通省の調査では65歳以下では、同居ではなく「近居」(日常的な往来ができる範囲に居住する)が52%、同居が30%で、夫の両親との同居がほとんどです。その同居の人たちも「将来意向の住まい方」(国土交通省)の調査では、「施設」が多くを占めます。
あなたの場合は、義父が75歳になったのをきっかけにとのこと、夫からの頼みなのか、義父母からの頼みなのかは分かりませんが、「夫と私が夫の実家へ入る形」での同居とありますから、ずっと父の世話をしてきた母が高齢になったことを案じての夫からあなたへのお願い同居なのでしょうか。
結論から申し上げると、義父母との人間関係が悪く絶えられないということではなく、「4人分の食事の世話が負担」ということであるならば、そこを解決する道を考えませんか?特に義母は、同居してあなたにやってもらえることに肩の荷を下ろしたようにホッとしているらしいこと、義父は息子と差しつ差されつの晩酌を喜んでいらっしゃることを考えると、急に人間関係が悪くなることはありませんよね?しかも、あなたの夫は同居前、あなたと半々以上に台所に立っていた方なんですよね。
義父が育った時代はまだまだ「男子厨房に入らず」という時代で、父親は息子が成人して酒を酌み交わすことが夢だったんです。今、その夢が叶ったんですよね。あなたからすると、そんな義父に腹が立つこともあると思いますが、育ってきた時代の影響はいかんともしがたいので、そんな義父を頭ごなしに否定するのではなく、義父に時代の変化を感じてもらい、あなたと夫の生き方を理解してもらえるような行動を取ってみてはどうですか。父子で晩酌をするときのつまみを息子が作る。出来合いのものを出すだけでもいいと思います。それを母にもつまんでもらう。そこにあなたも加わる。たわいもないことのようですが、そんなことから始めて、男性が台所に立つこと、女性が一緒に晩酌を楽しむことが日常になるよう努力してみてください。ご両親との関係が壊れてしまっているわけではないようなので、たまには一緒に外食や旅行に出かけてみたりしながら、普段の生活スタイルを徐々に変えていくことであなたの負担も軽くなっていくことと思います。
(文:大関洋子)

2025/07/31(木)
第309回【親子編】「娘の化粧をやめさせたい」
【Q】
小学5年生の娘と2年生の息子がいます。先日息子が私に「お姉ちゃん、メイクしてるんだよ」と言うんです。全然気づいていなかったので、娘に直接聞いてみました。どうやら私の化粧品をこっそり使って化粧したらしいんですけど、私には気づかれないようにしていたみたいです。娘の話だと学校にも化粧をしてくる子がいるらしいんですけど、怒られたりもしないので、周りに分からないくらいの子も含めると半分くらいの子が化粧をしてると言うんです。夏の日焼け止めと冬の乾燥対策用のクリームくらいは塗ってやりますけど、化粧なんてさせたことありません。息子は娘に直接「お姉ちゃん、変だよ!」と言ったとのこと。私も「子どもはまだ皮膚が弱いんだから化粧はやめなさい」と言ったんです。ところが娘は「みんなやってるもん」とか「化粧した方がかわいいもん」と言って、私の目を盗んでは私の化粧品を使って化粧しているみたいなんです。肌のトラブルや将来のことを考えると何とかやめさせたいと思うのですが、ママ友に話しても「うちの子もしてるよ。メイクするとかわいいから私がしてやることもあるよ」と言われてしまいショックを受けています。

【A】
化粧の歴史は非常に古く、人類の歴史とほぼ同時期に始まっています。およそ20万年前に地球上に現れたネアンデルタール人もすでに顔や身体に装飾していたことが分かっています。
化粧は、時代や文化によってその意味や目的が大きく変化してきました。古代から装飾だけでなく、宗教的な意味合いであったり、呪術的であったり、身を守る手段として顔や身体に色を塗ることが行われてきました。また、社会的な地位を示す手段としても用いられてきました。古代エジプトでは紀元前3000年ころからファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、口紅など、様々な化粧品が使われていて、特にアイメイクは神聖なものとして魔除けや病気予防の意味を持っていたようです。
化粧は単に美容のためだけでなく、文化や社会の変化と深く関わってきました。日本でも縄文時代から古墳時代にかけては、男女共、呪術的な意味合いが強く、赤色の顔料で顔や身体に模様を描いていました。赤色は、魔除けやパワーの象徴とされ、悪霊や災いを防ぐお守りのような役割を持っていました。平安時代になり貴族の住宅が寝殿造りになると、中にいる人の顔が暗く見えがちなので、薄暗い室内でも美しく見えるように「白粉」を塗って白くしていました。当時は公家の男性の間でこの白塗り化粧が常識となっていて、化粧品も高価なものだったので、富と地位の象徴ともなり、貴族の白塗りは名誉と品位を保つためのものになっていたのです。あなたの家では男の子が姉の化粧にびっくりしていますが、元来化粧は女性だけのものではなかったようですね。
時代の変化の中で化粧が「女性が男性に媚びるためのもの」という概念が固定化し、そのためにあなたもうろたえ「化粧をやめさせたい」と思っているわけですよね。様々な媒体で「女性は化粧で美しくなれる」(最近は男性も)とやっているわけですから、母親の「やめなさい」ではやめません。
化粧は、自己肯定感の向上自分の外見を魅力的にすることで自信を持って行動できるようになったり、自己表現の一部になったりして、心の健康のために役立っている側面もあります。変身願望も充足できたり、感情のコントロールにも重要な役割を果たしています。発達段階の1つとして「自分とは何か?」との命題にぶつかっている5年生という時期に、成長という観点からメリットも少なくありません。
とはいえ、あなたのおっしゃる通り、まだ未熟な子どもにとっては、肌のトラブルにつながったり、化粧が過度になると、本来の自分を見失ったりすることもあるので、化粧とは違った方向に目を向けさせることができたらいいですね。ただ「やめなさい」という対応は、反発を生むだけなので、まずお子さんの興味のあることを後押ししてあげましょう。例えば勉強であったり、スポーツであったり、音楽や美術工芸であったり…。そしてあなたの化粧品が簡単に利用できる状況をなくすこと、あなた自身も化粧を控えめにすること、化粧品の害について話をすることなど、できるといいですね。
最も重要なのは両親の行動です。家族みんなの興味の方向を変える努力をしてみてください。。

(文:大関洋子)

2025/07/25(金)
第308回【夫婦編】「約束がちがーう!」
【Q】
結婚して5年、3歳の娘がいます。結婚の条件として、「お互いに仕事を続ける」「家事育児は平等に」「お願いしたことは嫌がらずにやる」「私を縛らない」、その4つを挙げたんです。条件といっても当たり前のことだから、「こういう家庭を作ろうね」というお互いの願望みたいなもののつもりだったんです。結婚後は、私も仕事を辞めずに働いているので、そこはクリア。ところが「家事育児は平等に」なんてとんでもなくて、保育園の朝の送りは半々くらいで送ってはくれているんですけど、迎えは私が9割くらいです。結局私は縛られるんですよ。残業とか、飲み会とか、お迎えがありますから私はほとんど無理。たまに夫にお願いするんですけど「今日はちょっと無理」で終わりです。「私がお願いしたことは嫌がらないでやる」なんて、とんでもないです。家事育児はやってるふうはするんです。「俺だって半分やってるだろ」みたいなアピールをして。でもそれは、ふりというか不器用というか…。煮物を作れば真っ黒に焦がすし、食器を洗えばしょっちゅう割るし…。この前は、子どもをお風呂に入れてて、危うく溺れさせるところだったんです。無理な条件だったのか、とんでもない男と結婚してしまったのか、今後が不安でしかありません。

【A】
国立社会保障・人口問題研究所の「全国動向調査結果」の報告書が2024年4月に発表になりました。この調査は5年に一度で、家庭動向を全国規模で把握しうる唯一の調査です。5年ごとの実施なので、2025年の調査はありませんが、直近の動向は公開されています。調査結果は、少子高齢化や働き方改革といった社会の変化を分析する上で重要な情報となります。あなたが夫に失望している家事育児の分担についてはたくさんの女性があなたと同じように失望と落胆を味わっている姿がこの調査の中に表れています。
まず、家事については、夫が使う1日の平均時間は1時間23分、妻は7時間34分。12歳未満の子どものいる夫婦の場合、夫は1時間57分、妻は8時間44分。夫の時間は30分あまり増えますが、妻の時間は1時間以上増えています。それでも前回調査に比べて夫が家事育児に使う時間は30分程度増えているそうです。女性の家事育児負担への偏りは、女性のキャリア形成や社会進出の妨げになるだけでなく、精神的な負担を増加させ、家庭生活の満足度を低下させることになります。
結婚というライフステージに立ったとき、男性も夫、父親として、子育てや台所の手伝いをする必要性を感じている人は増加してはいます。中世、室町時代辺りから戦に関わる人がプロの武士として独立してきて以来、明治時代には、男は外、女は家という家父長制が法制化され、戦後男女平等をうたった「憲法」の成立を見るまでの長い間、男女の性役割分担が行われ、女性の人権や社会進出が阻まれていました。この日本の性役割分業は歴史的な背景や社会の変化の中で形成され、現在も固定的な意識として存在し続け、影響を与えています。
男女の家事育児時間の差が縮まらない主な理由は、家事育児の重要性についての認識の違い(無償労働と言われる家事育児を軽視)、そしてもう1つの日本特有の理由は、世界36カ国の中で日本の男性の労働時間が飛び抜けて長いことです。2020年の経済協力開発機構(OECD)の統計によると、1日当たりの労働時間が最も長いのは、日本の男性の452分(7時間32分)で、OECD加盟国平均の317分(5時間17分)より、2時間以上長いのです。
あなたが夫と交わした約束が守られないのは、こういった長い歴史や社会情勢と無関係ではありませんが、家事育児をいとわない男性も着実に増えているのも事実であり、あなたの夫にも意識を変えてもらう必要がありますね。あなたにとってやや不本意かもしれませんが、夫婦関係を維持することを前提に考えれば、夫の意識を変える1つの方法として、家事育児をそれぞれがやるということではなく、一緒にやるというスタンスで、家事育児の大変さだけでなく、喜びや楽しさを共有してみてはいかがですか。やらない夫を責めるだけではなく、「家族のためにすることってこんなに楽しいんだね」と思える夫婦関係を築きましょう。
(文:大関洋子)

2025/06/27(金)
第307回【恋愛編】「相手のことを理解している気になっていた」
【Q】
彼とは半年前にマッチングアプリで知り合いました。マッチングアプリは行政でも注目され始めたと報道されているので、以前は怪しさだけが際立ってましたけど、思い切って利用してみたんです。最初自分の見せ方とか相手の情報の見方とかモタモタしましたけれど、慣れてくるとうまく利用できるようになりました。

そんな風に感じ始めたころ彼と知り合ったんです。知り合う前から相手の情報が得られるので、無駄な時間は必要ないし、お互い結婚相手を探しているので駆け引きも必要ないので、一旦会ってしまえば、話もしやすくてどんどん関係が進んでいく感じだったので、お互いに相手のことを理解している気になっていたんです。

いざ結婚という話になってきたら「あれっ?結婚観が違うかも…」ってなってしまいました。私の周りもどんどん結婚していって、マッチングアプリの中は結婚に前のめりの人ばかり。恋愛があって、その結果が結婚であるべきなのに、まず結婚ありきで恋愛をしようとしている自分がいたんです。しかも、私はお互いが平等な結婚生活を求めているのに、彼は私を「自分の世話係」と思っているように感じます。やっと見つけた彼なので、これからでもゼロから関係を作り直せるでしょうか?

【A】
「自分の世話係」と思っている彼だったと気づいたあなたに拍手を送ります。恋愛から結婚に至ったとしても大事なところは「そこ」ですよね。「なぜ好きになったのか」は自分でもうまく説明できないことが多いのですが、「なぜ結婚したいのか」「なぜ結婚したのか」は比較的簡単に説明できます。「なぜ好きなのか」はよくわからないけれどとにかく一緒にいたい、何だかよくわからないけれど、別々の家に帰りたくない…、要するに何か特別な理由があるわけでもなく、とにかく「好き」ということです。ところが結婚は「この人とならいい暮らしができる」「(見せかけの)幸せな生活が送れる」「(妻が)俺のめんどうを見てくれる」…のような説明ができませんか。

あなたはマッチングアプリで知り合われたとのこと。確かに昔のように上司が相手を世話してくれたり、知り合いの世話好きなおばさんが釣書(相手の履歴のようなもの)を持って来てくれることはなくなりました。上司がそれをするとセクハラ、パワハラと言われたりするし、世話好きな方たちも「若い人はすぐ文句を言うから…」とお世話をするのをやめてしまいました。そのため結婚相手と知り合うチャンスは外からやってくるのではなく、結婚相談所やインターネット、マッチングアプリ等を使って、自分で探すことが圧倒的に増えました。街中でのナンパを除けば、男性が女性に声をかけることができるのは、高校、大学といった場所くらいで、職場で男性が女性に声をかけることはとても難しくなりました。結果として、友人の企画した合コン、結婚相談所や行政などが主催する婚活パーティー、マッチングアプリ等で、恋愛期間を省略していきなり結婚前提のお付き合いをしようという方向にならざるを得なくなりました。もちろん、知り合った後に長くお付き合いする期間があって結婚する方もいらっしゃるとは思いますが、あなたもおっしゃっている通り「マッチングアプリの中は結婚に前のめりの人ばかり」なので、知り合ってから結婚までの期間が短くなるのは当然です。

「恋愛結婚」(何かを介在させずに自然な形で知り合って結婚)を理想の結婚と考える方の多くは、ゼロからのスタートで愛を育み相手を十分に理解するのに数年を要する方が多く、一緒に過ごす時間の密度にもよりますが、客観的に見ればその程度の期間は必要だろうと思われます。

さて、あなたの場合、「マッチングアプリの中は結婚に前のめりの人ばかり。恋愛があって、その結果が結婚であるべきなのに、まず結婚ありきで恋愛をしようとしている自分がいた」と気づきました。「いざ結婚」というところまでは来ていたようですが、あたなと彼のような結婚観の違いは埋めることの難しい違いです。彼としっかり話し合い、結果として別れることになるとしても、結婚観の違う彼とは別れて新しい出会いを探してみてはどうですか。結婚後のあなたの人生は、これまであなたが生きてきた人生の何倍も長いわけですから。
(文:大関洋子)

2025/06/09(月)
第306回【職場編】「本命ができるまでの練習」
【Q】
入社して5年、最近結婚を考えるようになったんですが、なかなか相手がいません。私の理想は、職場結婚なんです。相手のこともよく分かるし、もし私が退職しても周りの人間関係が分かっているので安心っていうか…。とはいってもこの人っていう相手がいないんです。30の大台が近づいてきたけれど、結婚相談所や出会い系アプリなんかには頼りたくないし…。何十人かの男性社員の中にはまったくこの人と思えるような人はいないんですけど、一人、こういう人が「理想の夫」って思える人がいるんです。でもその人は20歳以上年上の上司で、もちろん奥さんもいて私と同い年くらいのお嬢さんがいるんです。年齢も年齢だし、見かけもそれなりなので、恋愛の対象なんていうレベルではありませんけど、私のそんな気持ちを知っている友人からは「私もいい人だと思うよ。思い切ってアクション起こしてみれば?パパ活ってことでいんじゃん。経験が少なすぎると本命の男性とうまく付き合えないこともあるから、本命が見つかったときのための練習にもなるしね」って言われたんです。確かに私の周りを見ると、既婚の人は別として、男性社員と付き合っている人たちは、結婚を意識して付き合ってるっていうよりは、遊びで付き合ってるっていう人も多いんです。そんな簡単に男性と付き合えないって思う反面、上司にはすごく惹かれるところがあるので、一度モーションをかけてみようかなっていう気持ちも生まれています。

【A】
1980年代頃から「結婚と恋愛は別」と明確に主張する女性たちが増え晩婚化の傾向が続いています。(小倉千加子・結婚の条件)日本では現在20代後半(25〜29歳)女性の6割から7割が未婚です。1970年代には同じ年齢の女性は82%が結婚していました。1941年から51年生まれ頃の女性に対して25歳で結婚しないでいることには強い圧力がかかっていたのです。いわゆる「女性はクリスマスケーキ説」24歳で売れればいいけれど売れ残りと言われたものです。今では30代前半(30〜34歳)の女性の未婚率は47.1%、30代後半(35〜39歳)でも35%という数字が出ています。
6割から7割の女性が未婚の年齢なのに「理想の夫」って思える人は上司で既婚、友達から「本命ができるまでの練習、パパ活ってことで」と言われて「モーションかけてみようかな?という気持ちが生まれて」のご相談ですよね。
女性の人生の幸せの鍵は「結婚」が握っているという人が今も大勢いますし、それもある意味で真理ではあります。そのため未婚女性の多くがまだ結婚してない理由に「人生の幸せの鍵を握る結婚の適当な相手にめぐり会わない」と言っています。そして結婚に「適している(適当な)男性像」は以前は3高(高身長、高学歴、高収入)、「3優」(私(だけに)に優しい、家族に優しい、家計に優しい)、「3合」(性格が合う、価値観が合う、好みが合う)に変化して、「3B」(バイタリティ・ボディ・ビジネス)、「3安」(安心・安全・安定)などとなったりしています。あなたはどういうタイプの男性が「適当な」「自分の人生の幸せの鍵を握る」男性だと考えているのですか?そのタイプの人を探すために「パパ活」をして、上司で「練習」をすれば「本命」に当たった時、うまくいくと思おうとしているようですが、「結婚相談所や出会い系アプリなんかには頼りたくない」とおっしゃっているので、本音はそういうものを否定して、「純愛」のようなイメージの結婚を求めているのですよね。
両親の結婚生活や周囲の友達の恋愛、結婚を見て、自身の目指す理想の結婚が揺らいでいるのだと思いますが、「パパ活」をして、上司で「練習」などということで、うまくいかないことはあなたも分かっていらっしゃると思うので、あなたはあなたの気持ちを真っ直ぐ持ち続けましょう。きっとあなたにぴったりな男性が現れるはずですよ。

(文:大関洋子)

2025/05/27(火)
第305回【子親編】「私は義母派、夫は義父派」
【Q】
夫の両親はうちから車で30分くらいのところに住んでいるんですけど、最近色々あって夫婦関係が壊れかけてるみたいなんです。両親とも65歳とまだ若いので、2人でトラブルになると突っ走っちゃうというか歯止めがきかないというか。いつ別れることになるか分からない状態なんです。夫と結婚して8年になるんですけど、8年間であわや離婚っていうことが3回ありました。どんなことでケンカになるかって言うと、義母に言わせると、「これまで夫や子どもの世話ばかりしてきて自由がなく、自分らしく生きられなかったから、これから先は自由に自分らしく生きたい」ってことらしいんですけど、義父に言わせると、「子どもが小さいころは別として、おまえは時間も自由に使えたし、生活もちろん趣味や買い物にも十分なお金を与えていたんだから、不満なんてないはず。むしろ家族のために必死で働いて、自由がなかったのはオレだ」ってなるんですよ。それに対して私は義母派、夫は義父派で、話がかみ合わないだけではなく、私たちのケンカにまで発展してしまっているんです。何とかうまくやってほしいし、私たちもケンカにならないようにしたいんです。

【A】
「ジェンダード・イノベーション」という概念を提唱し、世界を変えようと奔走する気骨の女性科学史家、ロンダ・シービンガーさん(73歳)が、朝日新聞5月24日(土)のフロントランナー欄で紹介されていました。昨年11月に来日し、東京大学安田講堂でジェンダード・イノベーション専門家たちと議論をしました。
このジェンダード・イノベーションという概念は、科学技術の研究開発に、生物学的な性(セックス)と社会的な性(ジェンダー)に基づく「性差分析」を取り入れることで、人々の性による差別、不平等、不利益をなくそうという考えです。この概念は男性を含むすべての人の利益を求める学術的ムーブメントで、わかりやすく実践的で、ビジネスも包括しています。
彼女がハーバード大学大学院で学んだ1980年代は、女性科学者が極端に少なく「女性は脳の構造が科学に向かない」という根拠のない言説がまかり通っていたそうです。そして現在でも、医薬品の実験にはオスの動物が多く使われていたり、自動車のシートベルトの衝突実験のダミー人形は米国の平均的体型の男性をモデルにしたものが多いため身体の小さい女性は重傷を負いやすかったり、骨粗鬆症は閉経後の女性の病気と思われ、治療が男性向きでないため男性の死亡率が高かったりと様々な問題点が明らかになってきて、これらは最近改善されつつあります。いずれも性差を考慮しなかったため、時に命を危険にさらし、差別や不利益を助長してきました。やっと日本でも3年前にお茶の水大学に「ジェンダード・イノベーション(GI)研究所」が発足し、社会への波及効果が期待されているところです。
さて、あなたのご家族でもやっと義父母の間で、男女の人生の性差に気づき離婚の危機を3度も迎えたとのことで、結婚8年目のあなたたちも「男女の人生の性差、不利益、不平等」に気づくことができました。ご両親にはしっかり議論をしていただいて、「女は家事・育児、夫の介護」、「男は自由もなく外で必死で稼ぐ」というステレオタイプの人生を「離婚」という形で終了するのか、「ジェンダード・イノベーション」という考え方を学んで、2人で残りの人生を豊かなものとしてやり直すのか、2人で考えていただくのがいいと思います。ご両親の問題ですので。そしてそれは取りも直さず、あなた方が義父母どちらかに味方して「闘う」のではなく、あなた方2人の問題として「仲良く」議論してください。
ジェンダード・イノベーションは、まだ始まったばかりです。
(文:大関洋子)

2025/05/20(火)
第304回【親子編】「NHKのジェンダー平等意識の低さが…」
【Q】
小学6年生の息子と3年生の娘がいます。どちらも活発な子で、「学校で何の時間が好き?」と聞けば、2人揃って「給食と体育」と答えます。少しは勉強もしてほしいんですが、活発で元気というのも1つの取り柄だし、何より学校に行くのが楽しくてしょうがないという風なので、それはそれで認めてやろうと…。

そんな兄妹なのですが、先日テレビを見ていた兄の方が妹に向かって、「今出てるあの女の人みたいな格好をした方がいんじゃない?」と言ったんです。見ていたのはNHKのニュースですから、目を離していた私は、息子の言っている意味がすぐには理解できなくて、どういうことを言っているのかとテレビ画面を見たら、気象予報士の女性のことを見て、いつも男の子みたいな格好をしている妹に「ああいう女の子らしいかわいい格好」という意味で言ってるんだと理解できました。

OL時代から結婚生活まで、ジェンダー問題では嫌な思いの繰り返しの私としては、普段から子どもたちにはジェンダー平等の話をしてきたつもりなのに、「まったく性を感じさせる必要のない天気予報が何で?」と思ってしまいます。ニュース番組の中でかわいさを競っているようにしか思えません。そう思ってテレビを見てみると、NHKのジェンダーに対する意識の低さがとても気になってしまいます。ニュースや天気予報ですから見せないようにするわけにもいかないし、番組を見ながら批判ばかりを並べ立てるわけにもいかないし…。子どもたちのテレビに対する向き合わせ方にとても困っています。

【A】
「北欧の小国、アイスランドで昨年12月、新たな政権が発足した。3党の連立で首相を含めて三党首はいずれも女性。閣僚も11人中7人が女性・女性の政治参加を勧めるヒントを探る」という記事(朝日新聞、2025年3月12日)。その後、その女性大統領、ハトラ・トーマスドッティさんが5月31日、津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス、広瀬記念ホールで「アイスランド大統領が考えるジェンダー平等」というタイトルで講演を行うので参加者を募集するという記事が掲載されました。
アイスランドは、イギリスの北西、北極圏にほど近い北欧の島国で、面積は北海道よりやや大きいくらいですが、ジェンダー指数(政治、経済、教育、健康についての男女の格差)の発表開始以来、15年連続で世界146カ国中1位を記録しています。ちなみに日本は2022年は116位でしたが、23年には125位に後退しています。政治と経済の遅れの達成度が低いことが響いていて、2006年の発表開始以来最低になっています。

実は、この情報を真っ先に扱ったのはNHKで、2024年6月21日に「アイスランド、史上2人目の女性大統領誕生、得票率1〜3位が女性」、しかし、ここに至るまでには1975年に90%のアイスランド女性が一斉に仕事や家事・育児をしないという大規模なストライキを行ったことがきっかけに、幾多の困難を通り抜けてきたという内容の情報を伝えています。

ところがあなたが息子さんの言葉で気づいた通り、NHKの番組には大きな矛盾があり、ジェンダー平等問題を特集で取り上げたかと思うと、女性の気象予報士や一部の女性アナウンサーの服装や髪型、靴に至るまで、必要以上に女性をアピールするようなことが行われています。現在問題になっているフジテレビの大物芸能人に対する社員の性接待や視聴率稼ぎのための「胸が大きい」「かわいい」といった女性の採用等々の問題は別として、民放と比べても必要以上に女性をアピールしようとするNHKの傾向は気になるところです。

受信料を取っての公共放送としてふさわしくないと思うようなことがあれば、ぜひ抗議の声を上げてください。あなたの息子さんは、素晴らしい感覚をお持ちのようなので、「番組を見ながら批判ばかりを並べ立てるわけにもいかない」というのももっともですが、これまで通り真っ直ぐ向き合ってジェンダーについて話をしてください。あなたの思いはお子さんたちにしっかり伝わっているはずですよ。おそらく、それを踏まえての妹さんに対する「今出てるあの女の人みたいな格好をした方がいんじゃない?」だったんだと思います。
(文:大関洋子)

2025/04/30(水)
第303回【夫婦編】「夫婦って何?」
【Q】
3年前29歳で結婚しました。子どもはいませんけど、「30歳までに結婚」「35歳までに2人出産」が実現できたら、私は人生の勝ち組みたいに思っていました。

でも3年間夫を見てきて、この人は何のために私と結婚したんだろうって思うようになったんです。そう思うと「35歳までに2人出産」なんて実現した方がいいのかしない方がいいのか…。私は「いつも一緒にいたいと思う相手ができる、この人の子どもがほしいと思うようになる」、結果として「30歳までに結婚、35歳までに2人出産」が実現できたらいいなあと考えてたんですけど、夫はもっとはっきりしたものが目標らしく、最近、子どもができないことにいらだっているのか、「早く子どもを産んでよ」とか「妊娠するように努力してる?」とかうるさいし、出産後の子育てを私に押しつけようとしているのか、「子どもができたら家事は君が中心になるんだから、今からもう少し家事やってみたら?」と言い出しました。

私は「一緒にいたい、この人の子どもがほしい」っていう気持ちを基本に結婚したのに、夫は私を「性処理をしてくれる家政婦」「自分の子孫を残すための道具」のように思ってるみたいなんです。そう思うと「35歳までに2人出産」どころじゃなく、生活そのものを考え直した方がいいかなって思うようになりました。

【A】
結婚って何のためにするの?夫婦って何?この問いはまだ結婚していない人も結婚してしまった?人も永遠の問題を含んでいて、なかなか「コレ!」という正解はありません。旧石器時代や縄文時代の結婚や夫婦は、形も目的も、その後の平安時代や鎌倉時代とも全く違っていたでしょうし、世界の民族によっても異なる形式や風習、習慣や文化が生まれてきました。夫婦関係や結婚制度が権力者の意図で政治的に利用されてきたこともあります。

あなたが3年前まで思っていた「いつも一緒にいたいと思う相手」と「一緒にいるために結婚する」「この人の子どもがほしいから夫婦になって一緒に育てる」まさにこれが結婚の目的や夫婦のあり方の原点ですよね。ざっと言えばこれが「正解」なのかもしれません。
ところがあなたのように結婚して3年も経つと、夫は自分の目標に合わせて「早く子どもを産んでよ!」とか「妊娠するように努力してる?」とかうるさいし、出産後の子育てまで「子どもが出来たら家事は君が中心」「今からもう少し家事やってみたら?」などと言い出したんですね。まるで私を「性処理をしてくれる家政婦」「自分の子孫を残すための道具」としか思っていない様な…。

結論から申し上げるとあなたの考えている、まさにその通りです。だから35歳までに2人出産どころではなく「生活そのものを考え直した方がいい」ということです。そして、ここが大切なところですが、あなた自身、「30歳までに結婚」「35歳までに2人出産」、それが『人生の勝ち組??』みたいに思っていたし、今も思っていませんか?「人生の勝ち組」って結婚や出産の年齢、子どもの数で決まるものなんですか?

違いますよね?

人生に「勝ち」とか「負け」とかをつける価値観も間違っていますし、勝ち負けの基準を結婚や出産、子どもの数で決めるなんてもっての外。はなから、この基準に合わない人、非婚の人や子どもを持たずに社会貢献や仕事に人生の価値を見出している人、LGBTQの人たちのような「出産」を目的とはせず2人で共に生活している人、子どもがほしくても産めない人たち、こういう人たちはもうあなたの価値観では負け組の人たちになりますよね。そういう人たちは本当に負け組ですか?

人生に勝ち負けをつけるのをやめましょう。お子さんはまだいないとのことなので、まず夫のことをよく見てみましょう。あなたが愛情を感じられる男性ですか?それとも自分の目標のためだけに選んだ男性ですか?そこから考えることがスタートラインです。
一緒にいたい相手なのか、それともそうでないのか、しっかり考えた上で今後の人生を考えてみてください。
(文:大関洋子)