| この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。 主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。 ■大関洋子プロフィール■ (浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー) 1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。 著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。 |
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| 2026/01/30(金) |
| 第321回【職場編】「ガラスの天井を打ち破るって…」 |
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【Q】
「ガラスの天井」って言葉分かります?「資質・実績があっても女性やマイノリティを一定の職位以上には昇進させようとしない組織内の障壁」(ウィキペディア参照)のことですよね。うちの会社に女部長がいるんです。大学卒業後入社して、今45歳なんですけど、ほとんどの部長が50代だから大抜擢ですよね。「今後は役員?」って、私も入社したてのころは憧れてたんです。うちの会社って頑張ればああなれるんだって見本みたいな…。でも入社して1年もすると「全然違うじゃん」て気がつくんです。上には女として媚びを売る、下はかわいい男の子ばかりを可愛がって、女にはは冷たい…。会社も絶対分かってるんです。分かってて「男女平等を実践してる会社」って外部にアピールしているわけですよ。私たち女性社員は、「騙されないんぞ!」って思うんですけど、女性社員の中には、部長のやり方をまねしようとする子もいて、分断されているというか…。そういう部長の態度に嫌気が差してやめちゃう子もけっこういるんです。私も退社も考えているんですけど、今の条件で別の会社に移るのもそう簡単じゃないし…。 【A】 「ガラスの天井」って透明なガラスでできている天井なので、その透明なガラスの向こうに大きな青空が見えるのに、ガラスが邪魔をして大空へ飛び出せない、すなわち能力や実績があるにも関わらず、性別や人種、マイノリティであるだけで、女性や少数派が企業などの組織内で一定以上の職位に昇進できない「見えない障壁」を示す比喩表現ですよね。透明なガラスのようにそこに障壁が存在している事が分かりにくいものの、確かに昇進を阻む要因としてあるものという意味で1970〜80年代のアメリカから広く使われるようになりました。 あなたが退社を考えているのも、45歳の女性の先輩が50代の男性がやっと獲得している部長の地位に大抜擢され、はじめは憧れていたけれど、結局この扱いは「うちの会社は偉いだろう!男女平等を実践しているぞ!」という人寄せパンダだった!その上、その女性は上には媚を売り、部下は男の子を可愛がり、あなたは、こんな生き方嫌だ!と思えてきた。あなたのように「無意識の偏見」アイコンシャスバイアス(「男は仕事、女はリーダーシップが実はない」という)があるという会社だということに気づいて、この会社をやめたいと思う。その上、その部長を真似して昇進しようとする女性と私のように思う女性とが分断されてる。何とも悔しいですよね。 日本では先進諸外国に比べて管理職や役員に占める女性の割合がとても低く、「ガラスの天井指数」は29ヶ国中28位という順位です。このためジェンダーギャップ指数は146ヵ国中116位にとどまっています。日本は「女性活躍後進国」と言われています。2020年までに指導的地位に就く女性比率30%を目指すとしていた政府の目標も未達成で先送りの計画に書き換えられているのが現状です。 さて、こうした現状の中で媚を売ってまで部長にはなりたくないと退社を考えているあなた。退社を考える前に、あなた自身が「ロールモデル」になるという道もありますよね。「あの人のようになりたい」と後輩が思ってくれる憧れの存在になる、そんな生き方も1つだと思います。ガラスの天井は堅いけれど、それを破れば青い大空へ飛び出せる可能性を持った組織の一員であることも忘れずに。 女性には何層にもなった「ガラスの床」と言われる障壁もあります。「天井」よりも細かい階層を指して使われます。例えば係長、課長、部長などたった1ランクの昇進を阻む壁、バリキャリを目指す未婚の女性、子育てをしながら働く女性、余暇を楽しむことを中心に据えて働く女性、働きたくない女性など目指すものの違いによって生じる壁、他にも職種による壁、例えば看護師、保育士、事務職、接客など女性に多く割り当てられる職種も存在します。 あなたの立っている層はどこなのか、しっかり確認して、自分の進む道を選択してください。もし選択が間違っていたとしても、やり直す機会は何度でもやってきますよ。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/01/22(木) |
| 第320回【子親編】「夫と嫁の距離が近すぎる」 |
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【Q】
息子が2人いるんですけど、長男が36歳、次男は34歳なんです。2人とも結婚していて、長男の嫁は30歳、次男の嫁は12歳年上の46歳なんです。私は57歳なので、嫁とは11歳差だし、12歳年上って私は反対だったんですけど、夫が「男が上ならよくて、女が上はダメってことはないだろ」って結婚を認めたんです。子どもも2人できたので、私もまあよかったかなあと思うんですけど、夫と嫁の関係が近すぎるんです。夫の年齢は58歳なので、嫁の年齢は夫と次男のちょうど真ん中、夫は見かけが若いのでどっちの嫁でも通る感じなんです。舅と嫁の仲がいいのはいいことだとは思うんです。でも、絶対夫は次男の嫁に優しすぎます。長男の嫁とはそれなりの距離があるのに…。嫁は嫁で、次男のことで困ったことがあると必ず夫に相談するんです。おかしいと思いませんか。私に相談するのが普通でしょ。 【A】 単刀直入に申し上げます。あなたは次男のパートナー妻に嫉妬しているんですね。次男の妻が(たまたま)次男より12歳年上で46歳、夫が58歳。「夫と次男の妻の組み合わせでも恋人とか夫婦として通じる」と思い込んでいるところへ夫は「次男の妻に優しすぎる」、次男の妻は妻で自分の夫である次男のことで困ったことがあると「あなたの夫」に相談するということが重なり、自分の夫と次男の妻がお互い好きなんじゃないか?と思い込んで「嫉妬」しています。 心理学では「人は90%思い込みで生きている」と言われています。「思い込み」は客観的な事実や他の意見を受け入れず固執してしまうことですが、これは先入観や経験から生じる脳の機能です。目標達成の原動力になることもありますが、現実を歪めたり、人間関係のトラブルを引き起こしたりすることもしばしばです。 この「思い込み」をしないためには、自分自身の思考を客観的に見直し、「本当にそうかな?」と自問自答してみてください。事実ではなく自分の先入観に基づいて判断していませんか? 次男の結婚の時、息子より12歳も年上の女性は反対というあなたに、あなたの夫は正に正論で息子の結婚を認めています。この時、既にあなたの中に「思い込み」が発生、自分の考えを絶対視して夫の意見を受け入れていません。無意識の偏見や先入観(あなたの場合は自身の中に「普通は妻は夫より年下がいいはずだ」という)で起こることで、「アンコンシャスバイアス」と言います。脳は膨大な情報を素早く処理するため過去の経験や固定観念、価値観で判断しようとするので起こる現象です。PCのキャッシュと似ていますね。 もしかすると現在のあなたの心の中に「自分は夫に愛されていないかもしれない」という不安がありませんか?そこへ自分の夫と恋人とか夫婦としてもおかしくない年齢の女性が次男の妻となることを夫は賛成した(あなたは反対したのに)、そして夫は次男の妻に優しい。次男の妻も私の夫を頼りにしている、息子の妻は息子の母である私を頼るべきなのに、「おかしい!」という結論に達してしまいました。 自分の考えを一度立ち止まって客観的に「私の思っていることは本当?」「別の可能性は?」と問いかけてみてください。「男は若い女性が好きだ」などという前提の「思い込み」を含めてそれを手放すことから始めましょう。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/12/25(木) |
| 第319回【親子編】「子どもにジェンダー平等をどう伝える?」 |
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【Q】
中学1年の息子と小学5年の娘がいます。息子にも娘にも、性別に関係なく自由に生きてほしいので、極力「男らしく」「女らしく」となるような言い方をしないように育ててきました。夫とも話し合い、子どもたちとの会話を増やして、スマホもあからさまな性描写や激しい暴力などのアダルトサイト以外、できるだけ制限をかけずに持たせています。子どもたちもそれは十分理解していて、少しずつジェンダー平等の考え方は育ってきているように思います。ところが、子どもたちの成長を阻害しているのが、ネットのごく普通のサイト、特にポータルサイトやテレビのようなメディアのワイドショーとかニュースとか…。そこに登場する女性アナウンサーや気象予報士、広告として表示される内容などは、とにかく性を売り物にしたものが多いんです。ジェンダー平等がすべてとは言いませんけど、性を強調する必要のない天気予報やアナウンサーが胸の大きさを競うような服装をしたり、明らかにわざと太ももや二の腕を見せたりする様子は目に余るし、ネット上には、元アナウンサーの露出の多い水着姿や下着姿の画像が氾濫しています。制限のかけようがないし、そういったものほど、子どもの意識に大きな影響を与えてしまうので、とても困っています。 【A】 日々の生活の中で地道にお子さんにジェンダー平等の意識を育てているあなたに敬意を表します。私の母親の時代は女には選挙権さえなく、父親や夫の許可なしでは買い物にも出られず、もちろん結婚離婚の自由など皆無でした。男は女より人間としての質が高く女は子産み、子育て、家事、介護、性に関わることでは男の要望に応えることと教えられてきました。そういう母に育てられた私世代はやっと選挙権や結婚離婚の自由は手に入れて家父長制の時代から抜け出せたように思っていたのですが、あなたのように男女平等にお子さんたちを育て、性別に関係なく自由に生きてほしいという願いとは裏腹に、女性の行動がまったく逆の方向に向かっていることは残念ですね。 日本は首都東京の知事が女性、総理大臣も女性になりましたので、一気にジェンダーギャップ指数が上がる可能性はありますが、高市総理の打ち出す政策を支持する支持しないは別として、政策に女性目線が感じられるかと言えばむしろ逆ですし、トランプ大統領や国内野党の男性党首に対する態度が、女性として媚びているように映ることもしばしばで、「ブルータス、おまえもか!」と叫びたくなる時もあるくらいです。男性総理なら絶対あり得ない態度なので、やはり媚びているということなのだろうと思いますが、ジェンダー研究者がそれを批判すると、それが炎上したりするのも残念です。研究者の方は極端、先鋭的ではあるわけですが…。 あなたの言うように、ポータルサイトに溢れる性(特に身体)を売り物にした記事や広告は意識するしないにかかわらず目に飛び込んできますし、ことさら性を意識したNHKのニュースなどの硬派の番組の出演者の服装や物言いも気になり出すとチャンネルを変えたくなることもあります。到底必要とは思えない高いヒールや毎日替わる女性らしさを強調した服装、装飾品、髪型などなど。これが受信料を徴収している公共放送かとがっかりしてしまいます。 そういった性を商品化する動きとは逆に、商品ではない性に強い嫌悪感を抱く風潮もあります。性がらみの犯罪に巻き込まれることもしばしばなのでやむを得ない部分もありますが、日本文化としての性に対するおおらかさのようなものは、どんどん失われていっています。 1960〜70年代に「蝶々・雄二の夫婦善哉」というテレビ番組がありました。一般の夫婦を呼んでのトーク番組で、今の「新婚さんいらっしゃい」につながる先駆的な人気番組でした。番組のオープニングに流れる映像は、農村ののどかな背景で夫の引くコトコト揺れるリアカーの荷台で妻が着物の胸を開いて赤ん坊にお乳を含ませている映像でした。昔はどこにでもある光景でしたが、今ではそういった光景を見かけることはありません。商品化された性とはまったく別物ですが、商品化された性と日常の中にあるべき性との区別がつかなくなり、批判されてもおかしくないような商品化された性が氾濫して認められているのに、日常あるべき姿の性が批判され、認められなくなるという矛盾した状況が起こっています。 さて、お子さんを過度に制限せずに育ててきたあなたがお子さんとどう接するかですが、今まで通り過度に制限することなく、気にし過ぎないことです。お子さんも、もう十分に自分で物事を判断できる年齢ですし、氾濫している商品化された性をあなたが止められるわけではありません。 お子さんと様々な話をしましょう。ただし、現状を批判するばかりにならないよう気をつけて、批判する場合も、子どもに教え諭すということではなく、あなたの考えをあなたの考えとして話してください。あとは子どもたちに任せましょう。 お子さんは、あなたが育てたように育つはずですから安心してくださいね。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/12/11(木) |
| 第318回【夫婦編】「夫にはときめかない」 |
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【Q】
5年前に友達の紹介で結婚しました。子どもはまだいません。夫はいい人だと思います。乱暴ではないし、女を見下したりするようなことはありません。収入もそれなりで、今は私も働いてはいますけれど、子どもが生まれたらやめようかなと思っているんです。友達や私の親には「いい人と結婚できてよかったね」と言われます。私もそう思います。でも、夫との生活は楽しくないんです。ときめかないんですよ。「幸せな結婚」て、いろいろな意味で安定した生活だと思っていました。経済的に不安がない、健康に不安がない、夫の行動に不安がない、いい子に恵まれる…、そんなことだと思っていたんです。夫との5年間の生活は、子どもがまだいないことを除けば、私の考えていた「幸せな結婚」だったと思います。でも、違うんです。全然幸せじゃありません。何のために生きているのか、生きている実感がないんです。まだ相手がいるわけじゃないですけど、離婚はせずに一緒にいて楽しい相手を見つけてみようかなという気持ちになっています。 【A】 あなたが5年前に今の夫と「結婚」をし、「夫はいい人だ」とは思っているんですよね。そして「私の考えていた幸せな結婚」だったはずなのに「全然幸せじゃない、楽しくない、ときめかない」、その上「何のために生きているのか、生きている実感がない」とまで言っています。 家族社会学者(慶応大学准教授)の阪井裕一郎さんは「人にとって特別な誰かと支え合うという機能がとても大切、人が孤独に生きる社会には明るさが見い出せない。特別な誰かとのつながりを限定せず、それが今までの結婚制度でなくてもよく、選択肢を増やすこと」を勧めています。(2025.12.9朝日新聞) ただその主張はあなたの考えているような「離婚はせず一緒にいて楽しい相手を見つけてみようかな」というような、不倫や浮気を勧めているわけではなく、「今の結婚制度が孕んでいるでいる問題(例えば夫婦別姓、同性婚など)を取り除きつつ、機能を組み直すことが大事」と言っているのです。「硬直化した日本の結婚の“攪乱”」を提案しています。 「3年目の浮気」という歌が流行ったことがあったように、生物学的見地からは「生物はつがいになり妊娠し、子どもを授かり、その子が2〜3歳になって子育てにオスの手助けが必要なくなるころ、つがいは離れて新しい相手を見つける」と言われています。 夫に「内緒」である相手との交際が「刺激」という意味で「ときめき」と考えているとするならば、「マディソン郡の橋」という小説が映画化されて大ヒットになったのを思い出してください。夫に秘密の出会いは、決して「一緒にいて楽しい相手」ではなく、たった4日間の燃え上がった魂のときめき、「彼女フランチェスカは死ぬような苦しみの中で愛に終止符を打ち、夫は勿論、子ども達にも秘密にしたまま相手ロバートのプロポーズを断り、留守にしていた夫と子どもたちの妻、母として人生を終えます。相手のロバートには妻も子どももなく「自分たちにとってこの恋を選ばない理由はない、一緒に生きていこう」と言うのですが、フランチェスカは決心が固まらず、迷いに迷いながら結局、ロバートではなく家族を選んだのです。夫が亡くなり、しばらくして、彼女は写真家だったロバートが撮った彼女の写真と彼女に出さなかった手紙を弁護士から受け取ります。たった4日間の恋でした。 さて、あなたの考えている「ときめき」は「夫という特別な人と支え合う」ことでもう一度築き直せないのでしょうか?もっとも、それを考えた後に「特別の誰か」を見つけ、結婚も続けながら、考えているようなときめきのある生活が送れるかは、はなはだ疑問ですが。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/11/28(金) |
| 第317回【恋愛編】「結婚は家柄が大事?」 |
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【Q】
1年半付き合っている彼と結婚を考えています。1年半て、長いような短いような…。本当は、まだ結婚は早いかなっていう気はするんですけど、5歳年上の姉が結婚してすごく幸せになっていて、うらやましくて私も早く結婚して、姉のような家庭を築きたいっていう気持ちが強くなったんです。でも、結婚に前のめりなのは私だけみたいで、彼の両親は私との結婚に大反対なんです。「家柄が違う」って言うんです。彼のうちは、両親とも一流の国立大卒で、お父さんは国家公務員、お母さんも今は主婦ですけど、国家公務員をしていてお父さんと知り合ったって聞いています。私の父は、中小企業に勤めるサラリーマンで、給料も平均くらいだし、母もパートで働いて、やっと生活しているって感じです。でも、それって私と彼の結婚には関係ないですよね。私は彼が好きだし、彼も私のこと好きって言ってくれています。うちの姉だって、義兄の実家がどうのこうのっていうわけじゃなく、すごく幸せな生活を送ってるんです。でも、彼は両親との関係も悪くしたくないみたいで「将来のことを考えると、親にも理解してもらいたいし、ある程度の生活の目処も付けておきたいし」って、なかなか結婚に踏み出せないみたいなんです。 【A】 問題は「家柄」じゃないですよね。彼が『「家柄」に拘る両親に拘っている』ということが問題です。彼との交際の期間が1年半、「まだ結婚は早いかな?」とも言っていますが、期間も問題ではありません。彼が「両親との関係も悪くしたくないみたい」ということが問題なんです。 大体、彼の両親が言う「家柄が違う」って「彼の両親とあなたの両親の学歴と職業」、そして経済状況ってことですよね。それが違えば家庭の育て方も違ったでしょうが、生育歴なんてみな誰も彼も同じじゃありません。皆違って皆いい(金子みすゞ わたしと小鳥と鈴より)です。お互いが「違い」を乗り越えて愛し合うからこそ、そこに葛藤があり、ドラマが生まれるんです。「家柄」が違うということで双方の両親の反対にあい、若い恋人同士がそれでも愛を貫こうとして死に至ったロミオとジュリエットはモンタギュー家とキャピュレット家の「家柄」の長年にわたる確執と対立が2人の恋を引き裂く物語です。亡くなった2人の愛と犠牲の心を知った両親は、ついに長年の争いをやめて和解に至ります。この戯曲は1596年に書かれたものですが、ロミジュリと呼ばれて400年たった今でも、「純愛」の象徴として語り継がれています。 「ロミオとジュリエット」を引き合いに出すまでもなく、「家柄」の違いを乗り越えて愛し合った恋人たちの物語は、古今東西数多くあります。古くは2人の恋が悲劇に終わった後、親たちが「家柄」の違いを言いつのって反対した自分たちを恥じて和解するストーリーが多いのですが、それでもサウンドオブミュージックの、みなし子の修道女マリアと資産家のトラップ大佐の、勿論、生育歴も職業も経済力も違う2人の恋と結婚は実際にあった話を世界中の人々が涙と愛で受け止め、映画や舞台で演じられました。映画といえば「ローマの休日」のラストシーン、素敵でしたね。王女と新聞記者という家柄どころか立ち位置の全く違う2人が深い愛を相手に抱いて別れていきます。 こうしたドラマや実際にあったことの中の2人の恋人たちは、どちらも「家柄」について悩んだり葛藤したりはするのですが、今のあなたの恋人のように「親にも理解してもらいたい」とか「ある程度の生活の目処も付けておきたいし」などとは誰も言っていません。 親との関係を悪くしたくないためになかなか結婚に踏みだせない彼。「親が家柄が違うと言って結婚に反対している」とあなたにそのまま言う彼。彼がその態度だということは、彼も実はそう思っているということです。この恋愛と結婚は古い価値観を破れない彼の問題ですから、結婚してもお姉さんのように幸せにはなれないと思いますよ。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/11/21(金) |
| 第316回【職場編】「GPSでも付けた方がいんじゃない?」 |
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【Q】
入社して5年、今年「主任」という肩書きをもらいました。同期の中には早々に結婚して退社した子もいるし、会社で経験を積んであと数年したら「起業したい」なんていっている子もいます。うちの会社は、顧客が法人で、仕事の性質上、顧客との打ち合わせが仕事の重要の要素なんです。男女平等なので、男性だけでなく女性が重要な顧客回りなんかを受け持ったりもします。顧客から信頼されている女性もいて、そういう人は1人で顧客対応する場合もあるんですけど、基本的には2人1組で対応するんです。私たちくらいの経験だと男性上司と一緒に回ることが基本です。車で20分くらいから1時間くらいの所へ2人で行くんですけど、ペアを組み替えることはほとんどありません。女性社員の間で「あのペアはどうしていつも帰りが遅いんだろう?!」って噂されている男女のペアがあるんです。顧客との対応に時間がかかったり、途中で食事をしたりお茶したりすることも認められているので、時間が遅くなることはあるんですけど、そのペアだけほぼ毎回、1時間半くらい余計にかかっている感じなんです。1時間半て、ちょっとホテルに寄るのにちょうどいい時間じゃないですかぁ。そういうこともあって、男性の方は妻子持ちなので「絶対不倫してる」ってなっちゃってるわけですよ。中には「車にGPSを付けた方がいんじゃない?」なんて言う女性社員もいて…。他にもそういうペアが出ないとも限らないし、全体の士気にも関わる問題なので本人たちに状況をうまく伝えて、やめてもらいたいんですけど、どうしたらうまく伝えられるでしょうか。 【A】 上司と部下の関係から恋人同士の関係になるケースは少なくありません。しかもどちらかが既婚者だったり(双方共既婚者の場合も)すると事は複雑になり、「不倫」という関係で呼ばれます。既婚者にそれなりの覚悟があって、例えば離婚を前提にして苦しんでの交際ならば、周りがそっとしておくことで少しは時間がかかるかもしれませんが、2人で何らかの結論を出すことでしょう。 あなたが相談しているのは、双方どちらにも真剣な交際というよりは会社の営業時間を利用して遊びの不倫をしている人の話ですよね。真剣な既婚者の恋愛にしても、会社の営業時間内とか勤務時間内とかを2人の出会いの時間や場として使っているのは論外です。社内不倫はその2人だけでなく、他の社員、会社全体に影響を与えることもあり、ご相談のケースは上司の男性が既婚者なので1時間半ほどの他の社員のペアより、ほぼ毎回余計にかかるのを「絶対不倫してる」と噂されるわけです。噂が大きくなればその上司は社内での信頼を失い、キャリアへの悪影響、配属者との関わりなど仕事と家庭の両方を失うことになります。そこで入社して5年で今年「主任」の肩書をもらったあなたとしては、これで「会社全体の士気にも関わる問題」ととらえての相談ですね。 ただ「他にもそういうペアが出ないとも限らない」「中には“車にGPSを付けた方がいいんじゃない?”なんていう女性社員もいて」などということも心配しているようですが、それは主任のあなたがとやかく言うことではありません。特に「他にもそういうペア?」に至っては、それ程自分の会社の人が信用できないのですか?「GPSをつける」も噂話のついでの話にあなたも巻き込まれています。それらを考えるとあなた自身の中に「恋愛」とか「不倫」とかに対して、無意識レベルで何かトラウマがあるように思えます。 入社して5年のあなたはまだ若く会社の士気が下がるのを心配しての訴えのように見えますが、あなたの内面に2人に対する嫉妬のようなものがありませんか?精神分析理論の創始者の精神科医ジークムント・フロイト(1856〜1939)は「人間の行動は無意識に支配されており、その無意識は幼少期の家庭生活によって決定される」と言っています。この機会に自分の無意識と向き合ってみませんか?そして、どうしても「主任」の立場で何かする必要があるのなら、2人を呼んで「余計な時間」をもう少しなくす努力をしてほしいとハッキリ伝えたらどうでしょう。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/10/23(木) |
| 第315回【子親編】「男性スタッフのオムツ交換は嫌?」 |
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【Q】
一人暮らしをしていた90歳の母を、認知機能の低下もあり、昨年「サ高住」(サポート付き高齢者向け住宅)に入所させました。予想はしていたことですが、一人暮らしとは違って、介護スタッフの皆さんが何でもやってくれるのと人との関わりが極端に減ったせいか、一気に認知機能が低下して、あっという間に1人で歩くこともできなくなり、トイレにも行けずオムツの生活になってしまいました。ベッドの上では寝返りを打つのがやっとで、オムツ交換もスタッフがやってくれています。先日、母の具合が良くなくて、しばらく付き添うようにしていたことがあったのですが、その間何度かオムツ交換がありました。半分くらいが男性スタッフなので、オムツ交換も男性スタッフがすることもあるんですけど、男性スタッフがオムツを替えようとしたら、ほとんど声を出す力もなくなっている母が、「嫌だよぉ」と大きな声を出したんです。声を出せたことにも驚きましたけれど、「男性スタッフだから?」と、心配にもなりました。90歳とは言え、女性としての尊厳の問題なのか、それともその男性スタッフに問題があるのか…。ここのスタッフは、男性も女性も皆さんとてもよくやってくれていて感謝しているんですけど、施設長に相談してみようかと思ったりしています。 【A】 あなたがおっしゃる通りで、ほとんど意識のないような女性でも男性介護士が対応すると拒否する方がいらっしゃることが現場では多くあるので、入浴介護やオムツ交換には同性介護士を当てるようにしている施設が多いようです。しかし、人手不足などの事情から性別を問わず介護職員が身体介護を担当するようになるのが現状です。 入所者ご本人の尊厳やプライバシーへの配慮は介護の基本原則です。お母様が男性介護士のオムツ交換を、ほとんど声を出す力もなくなっているのに「嫌だよぉ」と大声で拒否をされたことは、意識の低下があっても「異性」であることははっきり判別しているということですね。 特に男性が女性の下半身の世話をすることは歴史的、文化的にないので拒否されることがあります。逆に女性介護士が男性の身体介護、特に入浴介護やオムツ交換などをする場合などは、別の問題、女性介護士へのセクハラということがありますので、施設としてはできるだけ同性の介護士が対応するようにしていますが、人員配置や時間帯によってそれが難しく、認知症などでご本人の意思確認が難しい場合でも、日ごろの様子からご本人に不快感を与えないよう配慮することは言うまでもありませんが、お母様のような拒否を無視したり、あるいはだましだまし行っているようです。 あなたのお母様が入所されているサ高住では、介護の原則は同性介護です。それでも今回のように男性介護者が女性入所者のオムツ交換、入浴介護などをせざるを得ない場合は、「異性介護」を当たり前とせず、普段から入所者さんと信頼関係を築いて異性であっても安心して介護を任せられる状況を構築しておくことが大切です。とはいえ、信頼関係が構築されても、それは入所者さんが「納得」しているのではなく「我慢している」というのが現状でしょう。 このようなことを踏まえて、今回のお母様の件を施設長にお話ししてみてください。介護の基本は同性介護になっているけれど、やむを得えず異性介護になっているのかそうでないのか、お話を伺ってください。「介護してもらう=弱い立場」と思わず、しっかりご本人、そしてご家族の思いを伝えることが大切です。施設側から事情の説明や、対応についての相談があるかもしれません。まったく無視されるようなら、強い態度で抗議という対応を取らざるを得ませんが、施設を替わることも視野に入れない限り、施設との関係は良好にすることが望ましいので、あなたにとっては負担かもしれませんが、施設に頻繁に足を運んで、スタッフの皆さんとあなたが信頼関係を築くことから始めてください。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/10/09(木) |
| 第314回【親子編】「アイドルを目指している娘の素行が…」 |
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【Q】
中学2年の息子と小学6年の娘がいます。どちらも成績はまあまあ上位にいるんですけど、上の息子はそれなりの大学を目指すということで、塾に通っています。娘は小さいころから音楽に合わせてダンスをしたり、ポーズを決めたりして、本人もアイドルになりたいと言うので、5歳からダンススクールに通わせていました。ダンススクールの中でもけっこうかわいい方だし、ダンスもうまいので、一昨年から芸能事務所に籍を置いて、たまに舞台に上げてもらったり、CMのエキストラにも採用されたりしているんです。息子も芸能界に興味がなかったわけではないんですけど、男の子のアイドルってハードルが高いし、そういう道よりはしっかり勉強して一流大学を目指した方がリスクが少ないと思うので塾に通っているんです。娘の方は、親の目から見てですけど、可能性はかなりあると思うんです。ところが最近、素行が悪くなってしまって…。都内にレッスンに通っているんですけど、とっくに終わっているはずなのになかなか帰ってこないので何してたのか聞くと、渋谷をぶらぶらしてたって言うんですよ。「もしかしたらスカウトされるかもしれないでしょ?!」と言います。まだ小学生なので、危険ということが分かってないんです。私としては、アイドルにするという気持ちは変わってませんけど、素行の乱れとのバランスが難しくて悩んでいます。 【A】 「娘をアイドルにしたい」ということですが、最も重要なことは、娘さん自身が本当にアイドルになりたいかどうかです。あなたの話からは娘さんの強い意志は感じられません。あなたがやらせたいと考えているとのことではないですか?そこは、お母さんが誘導するのではなく、しっかり娘さんと話をする必要がありますね。その上で、小さい頃から本人もアイドルになりたいと言って、5歳からダンススクールに通わせていたとのことですが、まだこの年齢では将来の選択肢の1つとして捉え、その後無理強いしないことが大切です。 もし娘さんにアイドルになりたいという強い意志があるのなら、なぜアイドルになりたいのか、歌やダンスが好き、誰かに笑顔を届けたい、有名になりたい等々、娘さんの思いを聞いてください。どのタイプのアイドルを目指すのか、(地上波テレビ出演の大手事務所のアイドル、ライブ配信中心の「ライバーアイドル」、地域密着型の「ご当地アイドル」等々)活動のスタイルで進む道は変わってきます。どういう考えを持っているにしても、お母さんが前のめりになるのはやめましょう。 既に芸能活動に触れているようですから、このあたりのことを尋ねて明確な答えが返ってくるようなら、歌、ダンスの表現力などのスキルが必要なので本格的なレッスンで実力をつけるほか、個人でできる練習、例えばボイストレーニングで歌唱力をつけたり、アイドルの振り付けを研究してダンスの力をつけるなどもやらなくてはなりません。歌や踊りが好きなら決して苦になるものではないと思いますが、楽しいというものではないかもしれません。その後、オーディションに応募したりすることも必要になります。努力や苦労の連続にもなり、親としてメンタル面、経済面のサポートなど、娘さんの気持ちに寄り添って励ますことも必要です。 息子さんのことも、子どもの未来を「リスク」が多いか少ないかの損得で決めようとしたり、息子さんの興味(芸能界)にはフタをして、未来をあなたが決めてしまっていますよね。日々、成長して変化していく2人のお子さんたちの気持ちをしっかり受け止めて、お子さんたちの未来を何ものにでもなれるよう励まし見守りましょう。そういった姿勢があれば、素行の乱れも改善していくはずです。 そしてあなたの話の中には夫が登場しません。この子たちの父親として子どもたちへの思いはあなたと共有されていますか?2人の子どもです。夫婦で思いを共有できなければ、子どもたちにも伝わります。ますます素行が悪くなることにもなりますので、しっかり思いを共有してください。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/09/26(金) |
| 第313回【夫婦編】「不倫なんてみんなやってる」 |
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【Q】
最近、芸能人の不倫は、即番組降板とかスポンサー契約解消とかなっちゃいますよね。スポンサー契約は当然として、番組、特にドラマの降板は、法に触れるわけでもないんだからどうなのかなって思うこともあります。女優さんの不倫なんて、ネット上には「××が出てくると××(不倫相手)の顔が浮かんで来ちゃって内容に集中できない」なんて書き込まれちゃったりするので、降板の是非は難しい問題ですけど…。夫とそんな話になったんです。その時夫が「不倫なんてみんなやってるのに…」って言ったんです。その時は私も「そうだよね」って言ったんですけど、後になって「みんなやってる」ってどういう意味?って気になり出して、「もしかして夫は不倫をそれほど悪いことと思っていなくて自分もやってる?」って不安になりました。確かに私の周りの女友達に聞くと今は不倫をしていなくても「経験ある」っていう人が半分以上いるし、男性だったらもっといるんじゃないかと思うんです。不安だから夫に聞いてみたいんですけど、「経験あるよ」とか「そういう相手いるよ」とか言われてしまったら、どう対応していいのか分からないし、夫に知られないように興信所に調べてもらおうかと考えたりしちゃうんです。何もなければ安心できるから。でも、「そんな風に考えてしまう私って妻失格?!」って自分を責めたりもします。どうすれば安心できるでしょうか。 【A】 「妻、失格?!」とご自分を責めているようですが、ちょっと待ってください。芸能人の不倫の話がきっかけで夫が「不倫なんてみんなやってるのに…」と言った言葉が後になって気になり出したんですよね。こんなふうに夫に言われて気になるのはあなたが夫のことや夫との夫婦関係を大切に思っているからこその不安です。この時期に改めて夫との関係を見つめ直してください。 1つの疑問は「夫は不倫をそれほど悪いことと思っていない?」そしてもしかして「自分もやっている?」という黒雲のような2つの不安が心を覆ってしまいました。このまま夫のことを疑惑の目で見てスマホの中を覗いてみたり、興信所に調べてもらったりしたら、結果がどうあれ、夫をまったく信じられないあなたがいるわけですから、元々の関係に戻すのは難しくなりますよね。ずっと夫を信用しない夫婦生活が続くことになります。 既婚者の浮気率は調査によって異なりますが、2021年の国立社会保障・人口問題研究所の調査では、既婚男性の約46%、既婚女性の約15%が婚外性交の経験があると報告されています。全体的に男性の方が浮気率が高い傾向にありますが、その差は縮小傾向にあります。戦前は浮気が発覚すると女性の方だけが罪を負って、逮捕され、投獄されることになり男の方は「浮気は男の甲斐性」と言われ、自慢になったりしていました。男性の2人に1人が婚外性交の経験があるという調査報告を「国立社会保障・人口問題研究所」がしているというのも、社会の流れを調べるためだろうと思いますが、調査では日本の文化として多くの女性が口を閉じているのかなとも思います。私の研究所を訪れるクライアントの方々の相談内容からは、男性、女性、もっとはるかに多い印象は受けます。 民間では「既婚マッチングメディア」など、既婚者同士の出会いや恋愛相談に乗ったり、アドバイスをしたりする会社さえ登場しています。こうした時代背景の中であなたが夫の何気ない言葉に不安を感じるのは仕方のないことです。この問題は「夫の問題」というよりはあなた自身の問題として捉えることも必要です。「妻、失格」という言葉が適切かどうかは別として、あなたが夫のことを信じ切れていないということは確かですよね。 私は、不倫をどちらか一方のせいとは考えていません。そこに至る過程で、相手をそこへ追いやる何かがあったと考えるからです。不倫の定義も実は難しいところがあり、不倫についての考え方も様々です。「不倫は絶対ダメ」という夫婦ばかりでなく、「婚外恋愛は自由」と公言する夫婦もあります。「民法上、不貞は離婚理由になるから悪いこと」と決めつけるのではなく、価値観がどんどん変わる現代社会の中で、あなたは夫にどんなことを求め、夫はあなたにどんなことを求め、この先どんな夫婦関係を築いていくのか、不倫のことだけでなく、もっと広い視点で考えてみることが大切です。 |
| (文:大関洋子) |
| 2025/09/12(金) |
| 第312回【恋愛編】「すぐ男を信用しちゃう性格を変えたい」 |
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【Q】
今の彼とは3ヶ月付き合っています。1年ほど前まで付き合っていた彼がいたんですけど、貸したお金を返してもらってないのに、さらに貸してほしいって言われトラブルになって別れました。アルバイト先で知り合ったんですけど、真面目で一生懸命働いているように思ったんです。お金に困っているようなところもなかったし、お金を貸してくれっていう話になるなんて思っていませんでした。ところが5万円ずつ2回、そして3回目は10万円ってなったので別れたんです。新しい彼と付き合い始めて、私もお金がいるし、連絡したくなかったんですけど、どうしても返してほしいので、「貸した10万円返して」って連絡したんです。そしたら、うちまで返しに来るって言うんですよ。振り込んでくれればいいからって言っても、鍵も持ってるから鍵と一緒に返しに行くってきかないんです。私が断ると、鍵を持ってるんだからいつだって入れるんだぞって脅されました。もう関わりたくないので鍵も替えて10万円もあきらめることにしたんですけど、でもまた新しい彼に鍵を貸しちゃってるし、私のこういうところがトラブルを引き起こしちゃうので、自分の性格を変えたいんです。 【A】 「すぐ男を信用しちゃう性格を変えたい」というご相談ですが、同性の女性に対してはどうですか?もし同性に対してもすぐ信用する性格なら、それは変える必要はありません。「人」を信用することのできる性格ということですから、きっと生育歴の中でたくさんの良い人に愛されて育った結果なのですから。ただし、すぐ「男を」とあるからには、同性の友人はすぐ信用しないのに、「異性」だとすぐ信用してしまうということですよね。それだと問題は別です。 「信用」という言葉と似ているけれど内容がかなり異なる言葉に「信頼」があります。「信用」は過去に起こった行動や実績、成果、情報など、事実からの評価と期待をすること(クレジット)ですが、「信頼」は相手の人柄や考え方、条件なしに「この人なら大丈夫」「信じられる」と感じる安心感や確信のことを指します。「信用」は過去の行動に基づく評価であるのに対し、「信頼」はより感情的で相手への期待や安心感を含む言葉です。「信用」が積み重なって安心安全が確保されると「信頼」が生まれます。人間関係のつながりで最初から無条件に信用することはほとんどなく、実績や行動を確かめるある程度の時間とコミュニケーションが必要で、時間の積み上げた上で相手を信じるかどうかは自分の感情や意志であり、その後も同様の関係を期待します。「信頼」は充分な「信用」の上に成り立つ概念なので、無条件で相手を信じていることも少なくありません。そのため、明確な判断基準のない場合がほとんどです。 要するにあなたは「信用」の実績がないうちに「信頼」の段階に入ってしまうということです。かなり早い段階で彼に鍵まで渡してしまっていますから、不用心なことこの上なく、実際脅しに使われ10万円もあきらめることになってしまいました。 あなたが「信用」の段階を簡単に飛び越えて「信頼」の段階に入ってしまうのには、生育歴の中に問題があると考えられます。幼少期に何らかの環境の不具合があり、自分が「愛されている」という感覚が薄く「自己肯定感」がなく育ってしまった。そのことから生じる男性の言葉「君は僕の特別な人」「君にだけは本当のこと言っている」などに心理をくすぐられてしまいます。判断基準のない「信頼」にすぐ行ってしまって「鍵」や「お金」を貸してしまうのは「愛されている」ことの実感や「寂しさ」を「自分は特別」という感覚に変えてしまっているのでしょう。 自分の生育歴の中で何か「愛されること」に欠けているかも?と思い当たることがあったら、それを「男の言葉」で埋めるのではなく、その人(男)の「行動」や「人柄」をしっかり見るだけの期間を取ってみましょう。「ビビッ」と来たとしても、その感覚が正しいかどうか、時間をかけて確かめることが必要です。 |
| (文:大関洋子) |