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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2024/05/28(火)
第281回【職場編】「なんで夏はセクハラ解禁?」
【Q】
夏は嫌いなんです。
何でかって言うと、色々あるんですけど、まず体調。最近の外の暑さは半端じゃないですよね。満員の電車なんて絶対乗りたくないけど乗らないわけにいかない。暑いし、男の人のニオイで吐きそうになります。電車から降りても息ができないくらいの空気感に、頭がクラクラするくらいの日照りでしょ。会社に着くと今度はエアコンガンガンで、足から冷えてきて腰は痛くなるし、肩は凝るし…。うちの会社は外回りの人が多いのと内勤でも暑がる男性が多いので、室温が低めなんです。
まあ、ここまでは、自分の努力で何とかなる部分はあるんですけど、一番嫌なのは男性の態度です。制服はないので、どうしても夏は薄着になりますよね。チャラい男たちはあからさまに服装のこと何か言ってくるし、無口でオタク系みたいなやつは目線が怖い。それにすぐ飲みに誘うんですよ。「今日も暑いねえ。ビール美味しそうじゃない?!」とか「もう少し涼しくなるまでどこかで飲んでいこうよ」とか…。飲みに誘うのはセクハラだっていうのに、なんで夏はセクハラ解禁なんですか?いつも「セクハラ、セクハラ」って騒いでる女の中にもそれに乗っかっちゃうやつがいるんです。

【A】
2023年7月は、気象庁が統計を取り始めた1898年からの125年間で最も暑い7月となりました。8月以降も高温傾向は続き、福島県の伊達市や群馬県の桐生市などでは40℃超えの酷暑日が記録されました。年間の猛暑日の日数は、これまでで最多の46日となり、各地で暑さの記録が更新されました。こうした観測史上最悪の酷暑日が続くのは、今年も確実とみられています。長期的な地球温暖化の影響、エルニーニョ現象など熱帯の海水温の変動、偏西風の蛇行等により高温傾向が予測されている現状では、あなたの悩みもつきないことでしょう。

前半のお悩みは、「自分の努力で何とかなる部分はある」とおっしゃっているので、工夫して頑張っていただきたいと思います。あなたと同じように社内が寒すぎると感じている女性は少なくないと思うので、ほんの少しでも室温を高めにして欲しいと社内で話し合うことも必要かもしれません。

問題は後半のことですよね。

この酷暑の中、少しでも暑さを凌ごうとして薄着になるのは当たり前のこと、最近では夏場のクールビズが浸透して、男性でもノーネクタイやTシャツ可のところもあるくらいです。服装が身軽になることだけでなく、夏は花火大会、夏祭り、バーベキューなどのイベントが多いことも男女共に開放的な気分になりやすく、お盆休みや夏期休暇もあることから、街中にも活気を感じることが多くなります。この夏の雰囲気は、人々を積極的な行動に駆り立てる要素になるので、ついその気持ちのままに、夏以外の季節なら社内で「セクハラ」に当たるような行為(飲み会に誘う、服装について批評する)などもしてしまうのです。そして、女性の側も雰囲気につられ、「セクハラ」とも感じず誘いに乗ってしまうのでしょう。むしろ、「誘われないことは寂しい」くらいの気持ちになっているのかもしれません。確かにタートルネックにロングのボトムという服装より腕や足が露出している服装は、ちまたに溢れている性的欲求に触れるような広告とも重なり、それを異性の魅力と感じてしまう人も少なくありません。

昨今は、「セクハラ」という言葉が一人歩きして、職場で異性に声をかけづらい雰囲気があり、社内恋愛、社内結婚が極端に減っています。「セクハラ解禁」ということでなく、異性をリスペクトした声のかけ方、接し方を心がけ、お付き合いのいいきっかけになるといいですね。あなたがもし、「誘われることが嫌」ということであれば、「それってセクハラ!」といきなり相手を非難するのではなく、相手をリスペクトした上で、あなたの気持ちをきっちり伝えましょう。真っ直ぐに話すことで「セクハラ」はなくなるはずです。
(文:大関 洋子)

2024/05/23(木)
第280回【子親編】「義母が“卒婚する”と言い出して…」
【Q】
75歳の義父と72歳の義母と同居しています。
義母がひと月ほど前から「私、卒婚する」と言いだしたんです。「卒婚て何ですか?」って聞いたら、「今までお父さんとやってきた結婚生活から卒業して私らしく生きるってことよ」って言うんです。ずっとお義父さんの妻として生きてきて、自分らしく生きられなかったという部分は共感できるので「そうですよ、私も賛成です」って言ったんです。
そこまではよかったんですけど、ここのところウロウロ出歩いていると思ったら、不動産屋さんを回って一人暮らしのできる賃貸マンションを探してるって言うんです。「えーっ!家を出るっていうことですか?」と訊くと「そうですよ。お父さんと一緒にいたら自由に生きられないでしょ」と。離婚はしないけれど、別居はするということらしいんです。家を出るのは何とか踏みとどまらせようと「お義母さんの年齢だとなかなか一人で借りられるところはないと思いますよ」と言ったんですけど、「借りられないなら、どこか小さい家でもあなたたちの名義で買ってよ。お金は私が出すから」と聞く耳を持ちません。

【A】
72歳のお義母さんの「卒婚」、いいですねぇ。ぜひ、応援してあげてください。「卒婚」という言葉は、2004年に教育ジャーナリストの杉山由美子さんが発行した「卒婚のススメ」という本の中で、初めて使った言葉です。杉山さんは、自由に生きる6組の夫婦への取材を元に、これからの結婚の形を考えました。その中で、1つの選択として登場したのが「卒婚」という夫婦の形態です。婚姻関係はそのままで、これまでの夫婦生活を一旦解消し、ゆるやかなパートナーシップを結びながら、それぞれが新しい形で自由に自分の人生を楽しむというスタイルです。

厚生労働省の人口動態統計によると、2018年の総離婚件数は20万8333組でした。離婚総数は、2002年をピークに減少していますが、同居期間が20〜25年の夫婦の離婚件数はほぼ横ばいで、1万7125組となっています。パートナーに対する不満を抱えながらも、子育てを終えるまでは我慢し、子どもが巣立ったら離婚に踏み切るという夫婦が一定数いると思われます。

こうした流れを受けて杉山さんは、2020年に「卒婚 −これからの結婚のカタチ」(出版芸術社)を出しました。プロローグの中で「二者択一の、離婚か継続かというのではなく、あいまいで、少しいい加減で、互いを束縛しない関係、私もそうだが、これまで築いてきたものをすべて崩壊させてしまうのにはためらいがある。子育て後の夫婦はもっと自由であっていい」と述べています。彼女も、別居してそれまでの夫との泥沼の生活から抜け出し、自分たちなりの後半生の充実を実現させたと語っています。「後半生の結婚をソフトに変えていって、自分たちの身の丈に合ったライフスタイル」にするための一つの型とも言っています。

お義母さんはまさにこの提案をそっくり実行に移そうとしています。あなたは「別居はする」と言っているお義母さんを何とか踏みとどまらせようとしているのですね。お義母さんはこれまでの人生で「お義父さんと一緒にいたら自由に生きられない」と痛感したのでしょう。女性が自分の両親や夫の両親の介護や看取りをし、夫の最後までもみなければよい嫁、良い妻と言われない風潮はそろそろやめにして、あなたもお義母さんの気持ちを大事にしてあげたらいかがですか。

精神科医の和田秀樹さんも2020年に「つかず離れず婚」(池田書店)という本を出しました。お義母さんのことをきっかけに、あなた自身も結婚について考えるいい機会にしてください。

ただし、これはジェンダーギャップの元、苦しい結婚生活を送ってきた女性を中心に考えた場合のことです。「卒婚」などせず、死ぬまで仲のいい夫婦関係でいられたら、もちろんその方がいいですよね。
(文:大関洋子)

2024/04/24(水)
第279回【親子編】「希望する進学校に入学したものの・・・」
【Q】
息子が高校に入学して、2週間経ちました。父親が卒業した公立の男子高に入学できました。父親は自分の出身校に入れたいという気持ちを強く持っていて、息子もそのつもりになっていたので、小学4年生から週3回塾に通わせていました。サッカーをやりたがっていたのですが、多くの時間を勉強に割かなければならず、かわいそうと思うこともありましたが、本人もよく分かっていて、頑張っていたんです。
そんな風にして入学した高校だったんですが、たった2週間で覇気がなくなってしまったのが分かります。「こんなんで3年間通い続けられるのかなあ」ととても不安です。夫にも話したところ「俺が話してみる」と2時間くらい息子と話をしてくれました。「燃え尽き症候群かも?」と思ったりもしているのですが、少し違うようにも思います。本人もやる気が出ないという認識はあるらしいのですが、理由はよく分からないみたいで、父親に「雰囲気が…」とぼそっと言ったとのことです。せっかく頑張って入学した学校なので、楽しく通ってほしいのですが、どう対応したらいいでしょうか。

【A】
息子さんが折角、希望した公立進学校に入学できたのに「たった2週間で覇気がなくなってしまったのが分かり」「3年間通い続けられるかなあ」ととても不安になってのご相談ですね。母親であるあなたの不安を聞いた父親が息子さんと2時間程話してくれたとのこと。その話し合いの中でひとつ大きなヒントになる気持ちを息子さんが父親に「ぼそっと」言っています。「雰囲気が…」という言葉です。「本人もやる気が出ないという認識はあるらしいのですが、理由はよく分からないみたい」ということですが、父親に呟いたこの「雰囲気」が彼のやる気を削いでいるということです。

「燃え尽き症候群かも?」と思ったりもしたけれど、あなたもこれは少し違うように思うと言っています。確かにこの「バーンアウト症候群」とも呼ばれる「燃え尽き症候群」に似ている部分もあります。これは希望の高校に入学するために必死にやりたいことも我慢し、睡眠時間を削って毎日何時間も受験勉強をし、見事希望の高校に合格。高校生活がスタートしたものの、ピンと張っていた緊張の糸が切れてしまい、一気にやる気が出なくなってしまう、そのような状態を言います。経過は似ていますが息子さんの「雰囲気が…」という言葉からは「公立の男子進学校」の様子に戸惑っていることが伺えます。

文部科学省の「学校基本調査」では全国の国公立や私立高校4824校のうち男子生徒だけというのは100校で、全体の2%ほどしかありません。2002年には192校あったので、この20年でおよそ半分に減りました。「男女共同参画のために共学化が必要であるとの認識はすでに社会共通の認識に成熟している」とし、弁護士らで組織される埼玉県の苦情処理委員会が、宮城県や千葉県など他県の男女別学の廃止・共学化の推進状況にも触れて、県教育局との面談を実施しています。しかしまだ埼玉県の県立高校137校のうち男女別学が12校あり、全体の8.8%を占めています。小学校・中学校と共学で学んできた息子さんにとっては男子だけが教室にいるという雰囲気は何とも違和感があることでしょう。

別学の男子高では女性管理職0(ゼロ)(女子高は管理職25人のうち女性8人、32%)、男子高にだけ『理数』分野の学科が設置され、女子高にのみ『家政』『外国語』の分野の学科が設置されていることなども問題になっています。歴史や伝統を重んじる風潮がはばんでいる共学化の流れを何とか進めようと埼玉県教育局も検討しているところです。1994年、高校での家庭科の男女必修化が実施された際、埼玉県でもすべての公立高校を共学とする方針が示されましたが、同窓会、別学高出身者の県職員等の強い反対にあい、立ち消えになってしまいました。

息子さんがこの雰囲気に違和感を抱いたというのはとても正しい感覚です。現在の社会情勢や埼玉県の状況なども息子さんに話し、お父さんの時代のように「異性がいると勉強に身が入らない」とか「男だけの方が青春も謳歌できる!」などというなんの根拠もない意識を変えなければならない時代になっていることを話してあげてください。
(文:大関洋子)

2024/04/03(水)
第278回【夫婦編】「卒婚を考えてはみたものの…」
【Q】結婚して28年、2人の子どもが独立したのを機に「卒婚」を考えることにしました。結婚前に描いていた結婚のイメージは、子どものころテレビドラマでみた幸せな家庭のイメージだったんです。仲のいい夫婦が2人で協力しながら幸せな家庭を築いていく、家庭の中にこそ幸せがあるイメージ。パートで働いてはいましたけれど、基本的には専業主婦なので、夫が外で私がうち。私が仕事で大変な夫を労えば、夫は家事労働で休みのない私に優しく接してくれる、子どもたちも、立派に育ててくれてありがとうと親に感謝する…、のはずだったのに、実際は全然違ってました。夫は帰宅すればまったく何もせずに「風呂」「メシ」と言うだけ。口を開けば「誰に食わせてもらってるんだ!」。子どもたちはちっとも言うことを聞かず、思春期になると帰りは夜中、家での会話も無し。「こんなはずじゃなかった」と思いながら、私1人ただただ忍耐の日々。5年くらい前から、「卒婚」を考えるようになりました。少なくとも親の介護が始まるまでは自由に生きようと思ったものの、自由に生きたいという気持ちと「卒婚=自分の生き方の否定」という気持ちが絡み合って、本当はどうしたいのか分からなくなってしまっています。

【A】長く夫婦として生活を共にしてきたカップルの多くが、パートナーへの不満を抱え、離婚か結婚継続かを迷っていると言われています。特に家父長制さながらの夫への妻の不満。そこで注目されてきたのが「卒婚」という夫婦のあり方です。婚姻関係はそのままで、それまでの夫婦の形を変えて結婚の第2ステージをもっと自由でハッピーに生きるための新しい道、ライフスタイルが「卒婚」です。

2004年、教育ジャーナリストの杉山由美子氏が様々なやり方で自分たちなりの後半生の充実を実現しようと試みる6組の夫婦の取材記録を「卒婚のススメ」というタイトルで出版したときの造語です。そこで命名した「卒婚」という言葉は、その後有名人のコメントやテレビ番組などでも話題となり、改題して「卒婚 −これからの結婚のカタチ」として2020年に出版されています。

あなたも5年くらい前から「卒婚」を考えるようになったとのことですが、それは今までの「自分の生き方の否定になる」という気持ちが絡み合って、どうしていいのか分からなくなったとのご相談ですよね?
まず、あなたの「今までの人生、生き方」について、「こんなはずじゃなかった」と思いながら、「私1人ただただ忍耐の日々」とおっしゃっています。確かに、結婚前に描いていたイメージと「実際は全然違った」28年の結婚生活。それにただただ耐えたあなたも大切なあなたでした。その体験があって今のあなたがあるのですから、自分の生き方の全否定と考えず、「これからの人生のリスタート」としての「卒婚」を勇気を持って考えてみてはいかがでしょうか?

今までの結婚生活とは違うルールを夫婦で取り決めるわけですから、それをするためのエネルギーと選択や決断が必要ですし、デメリットもあることを覚悟しなければなりません。でも、今までの「ただただ忍耐の28年」をもう一度繰り返すのはやめましょうよ。離婚と決定的に違うのは「法的な婚姻関係」はそのまま継続するので、経済的な面では夫婦の共有財産を維持しながら、同じ家で生活することもできます。もちろん、別居という方法もありですが。

一番大切なことは28年間、忍耐してきたことを夫と相談して、すべてではないにしてもほぼやめる選択をする。相手を認め、お互いに自由になることで、身体的・精神的に心地よい夫婦関係を再構築するという話し合いに挑む覚悟をすることです。

まずは、「風呂」「メシ」「誰に食わせてもらってるんだ!」はやめてもらう提案をしましょう!何とか頑張って、ここを乗り越えてください。
(文:大関洋子)

2024/03/26(火)
第277回【恋愛編】「はじめは宝くじだけだったのに…」
【Q】彼とは付き合い始めて2年になります。はじめは週1か2で、食事やレジャー施設が出かけていたんですけど、半年くらい経ったころからお互いの家で過ごすことが多くなりました。テレビで宝くじのCMが何度も流れて、「買ってみよう」ということになり、冗談半分で買ったんです。最初は10枚、次は20枚、あっという間に100枚になりました。50枚買った時に1万円当たったことがキッカケになり、宝くじだけでなく、totoやBIGも買うようになったんです。彼は、サッカーが好きなので試合を見てるだけよりスリルもあって楽しさが増すみたいです。5千円とか1万円とか、上限を決めてやれれば遊びで済むんですけど、「損した分を取り返す」とか「オレの予想は絶対」みたいなことを言って、20万円くらい買っちゃうこともあるんです。コンビニとかスマホで買えちゃうのものめり込む要因になってるみたいです。彼は「競馬、競輪、競艇はギャンブルだけど、宝くじとかスポーツくじはギャンブルじゃない。政府だって後押ししてるだろ」と言います。くじだって立派なギャンブルですよね。お金がなくて出かけることが少なくなったのに、これじゃあ、あちこち出かけていた時の方がよほどお金がかかりませんでした。

【A】宝くじは身近な街作りにも収益金が使われていたり、発売元の全国都道府県と20の指定都市へ納められた収益金は少子高齢化対策、防災対策、公園整備、教育や社会施設の建設改修などに使われています。ですから私たちは至る所で「この××は宝くじの収益金から××」といった文字を無意識に自分の中に取り込んでいます。

テレビのCMでも多く流れていますし、スマホを開くと「夢が、はじまる」「キャリーオーバー発生中!」など、簡単に大金が手に入るというイメージで、射幸心を煽る広告を頻繁に目にすることになります。国や地方自治体が「公共の福祉に役立っている」「働かず大金が手に入る」というイメージを国民に強く植え付けているため、「くじ」がギャンブルであるという認識は薄められています。 ギャンブルとは、「結果が偶然に左右されるゲームや競技等に対して金銭をかける行為」のことをいうので、競馬、競輪、競艇はもちろん、スポーツくじや宝くじもギャンブルの1つです。競馬、競輪、競艇は、様々なデータを処理することで、ギャンブル性を薄めることもできますが、「くじ」にはそういった要素がないため、むしろギャンブル性が高いと言えるかもしれません。

2022年3月に国会でカジノを合法化しました。賭博は違法ではあるものの、一定の規制のもと、ホテルやショッピングセンターを併設したカジノリゾート開発への道が開かれました。

さて、スポーツくじや宝くじ、公営競技(競馬、競輪、競艇)、パチンコの類は、法律で認められているので賭博罪の対象とはなりませんが、特にスポーツくじや宝くじは少額からできること、スマホを使ってゲーム感覚でできることなど若年層でも手がけやすく、依存に陥っている若者が増えていることが問題になってきています。 あなたのおっしゃる通り「上限を決めてやれば遊び」の範囲と考えられますが、自分の気持ちをコントロールできなくなり、頻度や金額がどんどん増えても止めよとしない彼は、「ギャンブル依存」状態と言えますね。

完全に依存症と判断されるような場合は、自分の力で抜け出すことは難しいので、専門家に相談するのが最善です。もし、ギャンブルを断つという決心をしても、結局断つことができず、何度も繰り返してしまうような場合は、迷わず専門家を訪ねるよう周囲が促しましょう。

あなたと彼の関係ですが、まず彼と話をしてみてください。話をしてもやめられない場合は、あなたも気持ちを切り替えて、別れることをお勧めします。

参考までに、去年のジャンボ宝くじの当選確率のデータを示しておくと、1等7億円は22本で、全体の2千万分の1、0.00000005%。3等100万円は880本で、50万分の1、0.000002%です。

(文:大関洋子)

2024/03/14(木)
第276回【職場編】「家庭より仕事を取った女性は浮いてしまう」
【Q】8年前に就職して、5年前に結婚、3歳の息子がいます。出産後も仕事は続けてきました。子どもは最低2人と思っているので、現在妊活中です。ここ数年で会社の出産育児に対する考え方が大きく変わり、産休、育休は取りやすくなったし、夫が育休を取ることもできるようになったので、2人目の決心がつきました。保育園にも入れる見通しなので安心して出産できます。問題は、その後のことなんです。私は積んできたキャリアを元にもっとキャリアアップしたいというか、一生仕事をしていたいと思っているんです。もちろん夫も賛成で、「僕より君の方が優秀なくらいなんだから、しっかり社会に貢献すればいいと思う」と言ってくれています。社内でも女性を管理職に登用し始め、私にも管理職の道が開けていると思えるようになったんです。ところが、同僚の女性たちの中でそんな話をすると一気に場がしらけてしまって、話題を変えられてしまいます。私だけが浮いていると感じます。女性社員の多くは未だに「女は家庭」と考えているみたいで、露骨に「私達の負担が増えるってことも考えてほしいよね」と言う人もいるくらいです。男性社員にはそんな意識はなく、「優秀なんだからどんどん管理職を目指した方がいいよ」と言ってくれる人がほとんどです。女性が働くことに対して、女性にブレーキをかけられてしまうなんて…。女の人たちとも仲良くやっていきたいし、どのように対応すればいいか困っています。

【A】少子高齢化と労働人口の低下が叫ばれる中、女性の社会進出は重要な課題の1つとなっています。そこで注目されているのが、女性を管理職に登用する必要性です。指導的地位に就く女性の割合は、アメリカの42.7%、イギリスの34.2%と比べ、日本は11.1%と低い割合に留まっています。(ILO調査)日本では、家事・育児・介護は女性の仕事という根強い意識があり、育児や介護を理由に離職する女性も珍しくないため、男性中心の雇用状況を改善できていないのが現状です。

役員や管理職の女性の割合が少ないと企業経営に女性目線の意見が反映されず、女性が働きやすい労働環境が作りにくいという悪循環になってしまいます。ロールモデルになる女性管理職が不在の現状では、女性従業員の意欲やキャリア志向も高まりません。女性を重要な労働人口にしたい国としても、この悪循環を断ち切ろうと、1985年の男女雇用機会均等法をはじめとして、1999年には男女共同参画社会基本法、2016年には「女性活躍推進法」を成立施行して、「就労状況、条件の男女差を解消し男性の暮らし方や意識改革も進めて、女性が活躍できる社会にするため」の法整備を進めました。

今年は、働き方改革関連法によって、物流、運送、建設、医療などの分野の労働環境が大きな影響を受け、多くの課題が発生すると思われます。女性の労働力が必要とされ、女性が働きやすい労働環境を確保するためにも女性を管理職に登用することが急務なのですが、あなたが感じているように管理職になりたいと思っても、会社との問題だけでなく、時に女性社員の中で浮いてしまうという問題などが起こったりもします。
私たち女性は、長い間「家事、育児、介護は私たちの仕事」と思い込み、自分の子ども、両親、夫の世話はもちろん、夫の両親の介護まで背負い、よい母、よい妻、よい嫁としてやってきた人が多いのです。

前述のように、国は女性の社会進出を促そうと様々な法整備はしてきているものの、一方で労働時間を制限した方が結果的に優遇される「130万円の壁」(夫の扶養の範囲内で働かないと損をする)は残されたままです。

さて、あなたは意識改革の先頭に立っています。あなたからすると「当たり前のことをしているだけなのに受け入れられない」という思いがあるかもしれませんが、あなたが正しく、「女性は家庭」という女性が間違っていると考えるのではなく、様々な事情で自分とは違う考えを持っている人がいるということをまず受け入れ、自分の考えを強調することなく、男性社会の中で共に苦しみながら戦っている女性という意識を持ってみてください。「女性は家庭」と考えている人たちも女性としての生きにくさは感じているはず。あなたが自分たちを認めてくれているということが分かれば、必ず応援に転じてくれるはずです。

(文:大関洋子)

2024/02/22(木)
第275回【子親編】「義父の時と義母の時で夫の態度が違う」
【Q】結婚して40年、夫の両親と同居していましたが、5年前に85歳で義夫が他界して、今は88歳の義母と3人で暮らしています。義父は、80歳を過ぎたころから認知症の症状が出て、高齢の義母には義父の介護は無理なので、私が義父の介護をしていました。フルタイムではありませんが、私も仕事をしていたので、夫は「母のこともあるし父を施設に入れれば、みんな楽になるんじゃない?」と義父を施設に入所させることを提案してくれました。結局入所させる前に義夫が他界して義母が残ったんです。義父の時は義母も元気ではいたので、義母の力も借りながら自宅で義父の介護ができたんですけれど、今は、義母にも認知症の症状が出始めていて、義母1人とはいえ私だけではかなりきつくなっているんです。義父の時に言ってくれたように「施設に入れよう」と夫が言ってくれれば、義母も反対しないと思うんですけどが、義母のことになると、夫は「自宅で看取る」の一点張りで聞く耳を持ちません。介護をしているのは私なのに…。先日「自宅で看取りたいなら、あなたも仕事を辞めて介護を手伝ってよ」と言ったら大げんかになり、それから口もきいていません。

【A】義父の時は夫が自分の方から「父を施設に入れれば、みんな楽になるんじゃない?」と提案してくれたのに義母のことになると「自宅で看取る」の一点張り。「実際に介護しているのは私なのに…」ということで困ってのご相談です。義母を「自宅で看取りたいなら、あなたも仕事を辞めて介護を手伝ってよ」と言ったもののそこで大げんか。今も口をきいていない…。

義母の介護は同居している息子の妻、つまりあなた、昔流に言えば嫁がしなければならないのかというと、法的に義務はありません。民法877条1項で「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と定められており、介護の義務を負うのは血族関係にある者ということになるので、姻族であるあなたに義務はありません。とは言え、あなたにとって法律が重要なわけではないので、大変悩んでいらっしゃいます。

あなたの悩みのおおもとは、介護、看護(育児もですが)などは当然、女性の仕事という社会に根強く残る男女不平等の家父長制意識、夫が「妻(嫁)」であるあなたに実母の介護を丸投げしてきていることです。義父の時は早々に夫が父親の施設入所を提案しているのに、母親は「自宅で」と言っている夫の態度にあなたは納得できないのですよね。

これは精神分析医であるフロイト(1856〜1939)が提唱した「エディプスコンプレックス」に原因があると思われます。4〜5歳の子どもが異性親を好きになる傾向を、ギリシャ神話のエディプス王子がそうとは知らずに父親と戦って父親を殺し、母親を妃にした物語から名付けたもので、フロイトはその傾向は大人になるに従って消失していくとしたのですが、大人になっても続くことを、近年では「マザコン」と呼んでいます。

あなたの夫は母親に愛情を抱いていた幼少期の感情が潜在的に続いていて、ライバルとしての存在である父親の施設への入所は、ライバルを遠ざける意味で決断が早かったのでしょう。しかし、母親に対しては「施設に入れたらかわいそう」とか「自分が帰宅した時に母がいないのは寂しい」とかいった思いが強くあり、「母は自宅で」となったと思われます。そして「自宅で」あって決して「自分で」ではないというところが「妻(嫁)のおまえが看るのが当たり前」という家父長制さながらの意識ですね。

この問題は、センシティブな問題を含んでいるので、喧嘩をしながらも時間をかけて話し合い、お互い理解し合うしかありませんが、女性が自分の生き方を見直しつつある昨今では、結果的にお互い歩み寄れず、離婚になるケースもす少なくないので、そういった覚悟も必要です。
(文:大関洋子)

2024/02/06(火)
第274回【親子編】「娘の言葉遣いが・・・」

【Q】
高校1年の息子と中学2年の娘がいます。
息子は小さいころから優しい子で、男の子ですから自分のことを「オレ」と言ったり、妹に「××しろよ」と指示や命令することはありましたけれど、妹の面倒はよく見てくれるし、怒鳴ったり暴力を振るったりということもありませんでした。
ところが妹の方は、物心ついたころから乱暴で、兄に食ってかかったり殴りかかったりすることもよくあり、兄に「おめえ」とか「てめえ」とか言うので、強い調子で怒ったら何年かは収まっていたんですけれど、小学4年生くらいのころから、自分のことを「オレ」とか「自分」とか言うし、兄や私に「××しろよ」とまるで、男の子みたいな口の利き方をするようになって、今もそれがずっと続いています。思春期を迎えれば、少しは女の子らしくなるかと思ったのですが、いつになったら女の子らしくなってくれるのでしょうか。

【A】
日ごろ何気なく使っている言葉をあなたのように男の子と女の子というジェンダー格差の視点から見つめ直すことはとても大切なことです。男の子みたいな口の利き方が続いている娘さんが、「女の子らしく」しゃべってほしいと悩んでいらっしゃます。男の子、息子さんは「オレ」と言ったり、妹に「××しろよ」と命令することはあったけれど“優しい子”で、女の子、娘さんの方は「自分」と言ったり、兄や私に「××しろよ」という乱暴な子だと困っています。これは、日本だけでなく世界中の問題で、ようやく「女ことば」と「男ことば」の成り立ちや、その違いとそれによる制約などの研究が始まったところです。

あなたが娘さんに「女らしい」言葉遣いをしてもらいたいと言っている「女ことば」の特徴に、分かりやすいものが2つあります。まず「女ことば」には「悪態をつく言葉」や「相手を罵倒するような言葉」がありません。悪態をついたり、相手を罵倒するような言葉を叫ぶことは、不満や怒りを発散する力があるとイギリスの科学者、エマ・バーンは実験の結果として発表しています。「人間が氷水に手を入れていられる時間を何もしていない時と罵倒語を発している時とを比べると罵倒語を発している時の方が1.5倍くらい長くなる」と。悪態や罵倒語を叫ぶことで気が紛れるからでしょう。

「くそっ、この野郎!」「こん畜生」「ふざけんな!」「馬鹿野郎!」「めんどくせぇなあ、もう」「すっとぼけんな、カス!」等々。この中の言葉を人前で口に出す女性はほとんどいませんよね。

昔、「かわいい女は天国へ行くが、生意気な女は地獄へ行く」と言われましたが、1994年、ドイツでミリオンセラーになったウーテ・エーアハルトの本の中では「生意気な女はどこへでも行ける」となっています。こんなことでも世界の大きな流れが分かります。

もう1つの特徴は、「命令形がない」ことです。女性が痴漢に遭った時、多くは「やめて」と叫びます。「やめて」は、「お願いの言葉」で、相手を従わせる強さを持たない言葉です。もし、男性だったら多くは「やめろ!」となりますよね。

あなたの娘さんが「男ことば」を使う深層心理には、「男女差別」に対する違和感があるのでしょう。最近では女の子が使う言葉に、男、女に関わらない「中立語」が増えてきています。少しずつではありますが、「男ことば」もタブーではなくなってきました。あなたもそろそろ意識を変えて、「男ことば」「女ことば」、「男らしさ」「女らしさ」について、お子さんとゆっくり話す機会を持ってみてはいかがでしょう。
(文:大関洋子)

2024/01/31(水)
第273回【夫婦編】「会社での地位の差が…」
【Q】結婚して15年、夫は40代半ばになり、会社でのポスト争いも厳しくなってきているようで、帰宅時間が遅かったり、早く帰ってきた時でも疲れがひどいようで、不機嫌な日が多くなりました。同期や後輩でも有名大学卒の人たちはそれなりのポストについているようなのですが、夫は課長職にとどまったまま、差をつけられているみたいなんです。私もIT関連の会社に勤務していて、社内に男女差はなく昨年部長になりました。夫は六大学より若干偏差値の低い大学卒で、私は国立大のそれなりのところなんですけど、夫は私が部長になってから私の給料の方が少しいいこともあってか「おまえは一流大卒だからな」と皮肉っぽく言うことが多くなりました。会社の規模も違うし、仕事の内容も違うので、管理職のなりやすさなんて全然違うし、そもそも会社でのポストが上なら偉いわけでもなく、社内の地位で夫婦や家族が幸せになるわけでもありません。夫は、結婚前から私との学歴の差がコンプレックスになっていたようで、学歴のことで冗談を言ったりしていたんですけど、最近の夫は、怒鳴ったり、物に当たったりすることもあり、このまま一緒に生活を続けられるか不安を感じています。

【A】「急増する“夫より学歴が高い妻”」、そして「その幸福度が低い“深刻な事情”」というタイトルでプレジデントオンラインが佐藤一磨拓殖大学教授の研究を発表したことがあります。(2021年9月)OECD諸国のほとんどの国において、女性の大学卒業率が男性より高く、その結果「妻の方が夫よりも学歴の高い夫婦」が増加しているという調査です。この変化はこれまでには見られなかった傾向で、夫婦のあり方の歴史的転換点に差しかかっていて、日本でもじわりと増えていると指摘しています。

そして、その夫婦の「幸福度が低い深刻な事情」として、「妻の収入が夫の収入より高いこと」と「妻の1日の家事・育児時間の負担割合が7割を超えており、妻の負担が重いこと」を挙げています。あなた方はどちらも大学卒ではありますが、卒業した大学に格差があり、あなたの方が上ということで夫が荒れているとのこと。この世界的傾向の一端を表していると考えられます。

あなたは、収入のこともありますが、直接的には大学格差による昇進の差が問題とお考えのようです。結婚前から大学格差のことが夫のコンプレックスになっていたことを考えると、妻のあなたにはない男女間の「性別役割分業意識」、古い言い方をすれば「家父長制」の名残があなたの夫には根強く残っているということでしょうか。

女性が男性に求める結婚相手の3条件が3高(高学歴・高収入・高身長)であった時代そのままの生育歴の男性ですね。世の中はどんどん変わっていて3高から3優(家族に優しい・家計に優しい・私に優しい)となり、今では3C(comfortable(十分な給料)・communicative(価値観が一緒)・cooperative(協調性))とか、3平(平均的収入・平均的容姿・平穏な性格)とか言われるようになりました。

男女雇用機会均等法(1972年)から男女共同参画社会基本法(1999年)など、日本でも女性が活躍できるよう政治、経済、社会的・文化的利益と責任を男女が均等に担う社会を目指すことを規定した法律もできました。

現実にはまだまだあなたの夫のように考える男性が多い社会ですが、この世界的な動きを止めることのないご夫婦になっていただきたいものです。そのためには、あなたが結婚相手に選んだ男性の長所や好きになったあなたの気持ちを繰り返し夫に伝えたり、学歴や大学格差を気にすることのない時代になりつつあることを話してみてください。もし、そういう話を理解できない夫であるならば、離婚も考えざるを得ないかもしれませんね。
(文:大関洋子)

2024/01/23(火)
第272回【恋愛編】「彼の妹さんとの関係が…」
【Q】彼は32歳、私は29歳で、付き合い始めて2年になります。30歳までに結婚なんて、特に意識しているわけではないですが、お互い結婚を意識するようになり、彼が私の実家に来てくれました。私の両親は、彼をとても気に入ってくれて、結婚という話を出さないうちに「式はいつ?」と前のめりです。両親は30歳ということを意識していたのかもしれません。その後、私が彼の実家に行ったんですけど、彼のご両親もとても温かく迎えてくれて、結婚の話こそ出ませんでしたが、彼には後日「結婚するんだろ?」と聞いたらしいので、結婚後もご両親とはうまくやれそうと思っています。将来的には彼の両親と同居を考えているので、私としては「面接合格」みたいな感じで、ホッとしました。問題なのは、30歳の彼の妹さんなんです。独身で実家に住んでいるんですが、私が行った時には私の顔を見た途端、ドアを乱暴に閉めて自分の部屋に籠もったまま一度も顔を見せませんでした。明るい女性と聞いていたので戸惑いました。彼は「たまたまだよ」と言うのですが、その後何度かお邪魔しても1度も妹さんと会っていないんです。今すぐに同居というわけではありませんが、うまくやれるかとても心配です。

【A】「ブラコン」、ブラザーコンプレックスという言葉を聞いたことがありますか?
心理学用語として正式に認められた用語ではないのですが、「兄もしくは弟に対する恋愛的感情」や「兄や弟を自分のものにしたい独占欲のある姉妹」という捉え方をしています。精神科医の岡田尊司氏(1960〜)によると「ブラザーコンプレックスの女性は、兄に恋人ができたり、兄が結婚したりすると抑うつになったり不安定になったりすることが有り、兄のパートナーに対して嫉妬の感情を抱いたり、自分が得られなかった兄の愛を獲得した存在として兄の恋人を理想化したりする」と言っています。(回避性愛着障害・きょうだいコンプレックス)

ブラザーコンプレックスの女性にとって兄や弟は(性的な)憧れとも重なって、理想化されたものとなり、自分の人生に親以上の影響力がある場合があります。原因としては、両親の問題や社会不安などがあると言われていますが、精神科医フロイトが出生後の幼児期にほぼ誰もが持つと唱えた異性親への愛(男の子は母へ初めての異性としての愛を抱く=エディプスコンプレックス、女の子は父親に抱く=ファザーコンプレックス)の対象が、彼の妹の場合、父親ではなく兄に向いたものと思われます。父親が母親を愛していることに気づくと、父に向く異性親への愛が兄弟に向くと言われています。

ゲームやアニメ、ライトノベルなどで、ブラザーコンプレックスが扱われることも多いのですが、その場合は兄弟の方が姉妹を理想の恋人化しているものが多く、それに比べるとあなたの彼は妹にそういった感情を持っていない様子です。

両家のご両親も、お二人のことを応援してくださっているので、このままそっと時間をおいてみてはいかがでしょう。無理に距離を縮めようとせず、少しずつ「あなたのお兄さんを大切に思っています。お兄さんのこと、教えてください…」のような感じで。

万葉集の中にも謀反の罪で処刑が迫っている弟、大津皇子(おおつのみこ)が姉(恋人)の大伯皇女(おおくのひめみこ)に会うために飛鳥から伊勢まで夜を徹してやってくる時の想いの短歌が残っています。(「わが背子を大和に遣るとさ夜深けて 暁(あかとき)露にわが立ち濡れし」「二人行けど行き過ぎ難き秋山を いかにか君が独り越ゆらむ」)昔は、兄弟姉妹の恋愛感情はよくあったようで、最近の調査でも、自分を「ブラコンだと思う」と答えた女性の割合は、兄弟のいる女性の2割に上っています。

2つ違いの兄妹で、生まれてからずっと同じ家庭で育っているのですから、「兄のことは私が一番よく知っている」とか「父母の話や思い出を語れるのは私たちだけ」等という思いが押し寄せて、大人げのない態度をしている時期だと思います。しばらくして、彼の妹があなたと彼の関係を受け入れざるを得ないものとして自身の中で消化できれば、「大好きな兄を大切に思って、幸せにしてくれる人」として、あなたのことも大切な存在になるはずです。
(文:大関洋子)