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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2023/06/15(木)
第258回【夫婦編】「惰性でしかない夫婦関係」
【Q】
結婚して25年、子どもたちが成人してしまった今、夫婦関係は惰性でしかありません。
毎日同じことの繰り返し。2人分の朝食を作り、夫を送り出し、夕飯の買い物をし、夕飯を作り、夫と夕飯を取り、テレビを観て寝る。寝室も一緒だし、月に1回くらいではあるけれどセックスレスというわけでもなく、こういうのを幸せっていうんだろうなあって思ってはいるんです。でも、夫に愛情を感じているかといえば、まったくないし、かといって強い拒否感を持っているわけでもない。要するに、毎日何も感じずに時が流れていくだけなんです。50歳を目前に、あと何年こういう生活が続くんだろう?30年?40年?って考えると「私って生きてる価値があるんだろうか」って、気持ちが沈んでいくんです。特に好きな人がいるというわけでもないので、離婚なんて考えられないし、趣味を楽しみたいとも思わない。20年くらい前は、夫といることが楽しかったし、子どもを育てている時は、自分の存在意義みたいなものを強く感じていたんですけど、今は…

【A】
「人生脚本再決断法」というカウンセリング技法があります。
人は誕生した後、周りの人たちから様々なストローク(人から人への働きかけ)を受けて育ちます。それらの中には、後の人生に影響を及ぼすものがあって、幼児は人生早期の経験に基づいて「自分とはこういうものだ」「周りの世界はこういうものだ」と決め、同時に「そのような自分がこの世界でどのように周りの人たちと関わり合って生きていくか」を決める幼児決断を行い、この決めたものに従って、人は死去するまで人生を送っていく。4歳ころには自分の人生脚本の要点を決め、7歳から10歳くらいには、こと細かに脚本を完成させると言われています。(エリック・バーン1910〜1970 交流分析)これをカウンセリングでは、「無意識の人生計画」と言っています。

古くはこの脚本を「決定され、固定されたもの」とみなしていましたが、個人が自分で決めたものですから、現在では本人が気づけば決め直すことができる」と考えられています。そしてこれを、一度書いた脚本を書き直すという意味で「人生脚本再決断法」と呼んでいます。

あなたは、幼児期の体験から決めた人生脚本をなぞって人生を送ってきました。お子さんを育て、夫婦2人だけの毎日。同じことの繰り返し…。50歳を目前に、あと30年、40年こういう惰性のような生活が続くと思うと、「私って生きている価値があるんだろうか」と気持ちが沈んでいく、とおっしゃっています。子育てには、自分の存在意義みたいなものを強く感じていたとのこと。子育てが終わった今、ご自分の人生脚本を書き直してみてください。

例えば、
 @自分の一番はじめの記憶はなんだったのか?
 Aあなたの誕生について家族の中で語られている物語は?
 Bあなたの名前の由来は?
 C母親、父親からよく言われたアドバイスは?
 D母親、父親は、あなたに将来どうなってほしいと言っていたか?
 E自分の一番好きなところはどこか?
 F自分の一番嫌いなところはどこか?
 G子どものころ好きだった物語、童話、おとぎ話、テレビ番組などは何か?
 Hあなたにとって「この世の天国」とはどんなものか?
 I母親、父親にもっと違った育て方をしてほしかったということがあるか?
 J魔法で何でもかなえられるとしたら何を望むか?
などの質問に答えていってみてください。

この答えの中に、今までたどってきた人生脚本の基本がどんなものだったのかを理解し、人生脚本の再決断の準備をしてください。一歩先に進む勇気を持てれば、今までと違った人生脚本が書けると思いますよ。
(文:大関洋子)

2023/05/29(月)
第257回【恋愛編】「ちょっとしたことで彼氏と別れちゃう私」
【Q】
今年28歳になります。1年ほど付き合った彼氏がいたんですけど、先日別れました。
優しいし、見かけもそれなりだし、自慢できるような彼だったんですけど、これといった理由もなく、別れることになりました。きっかけは、彼の整髪料です。彼の車に乗ったとき、「えっ、何この匂い?」って思ったんですよ。昭和のおじさんみたいな…。職場の上司の匂いみたいだったんです。「何かつけた?」って聞いたら「整髪料」って言うんです。その匂いを嗅いだ途端、彼に対する気持ちが冷めちゃって。その後は、彼から誘われても断り続けて、1か月くらいしたときに私から「別れよっ」って終わりになりました。考えてみると、いい関係で付き合っていても、何かをきっかけにいつも私から別れちゃうんです。Hの仕方はもちろんですけど、車の運転の仕方とか、食事の仕方とか…。人から見たらどうでもいいようなことでも「えっ?」って感じで気持ちが冷めちゃうんです。1年続いた彼なんて長い方でした。

【A】
あなたの最後の言葉に「1年続いた彼なんて長い方でした」とあり、それまでも「何かをきっかけに私から別れちゃう」と言っています。好きだった相手が「好きじゃなくなる」「気持ちが冷める」という理由は複雑ですが、大きく分けると3つあって、@相手に過去のトラウマを感じて失望する、A自分が傷つく状態をさける、B相手が自分を好きになるかを試していただけだった、などです。これはどれもあなたには無意識なのですが、心の深い部分(潜在意識)が感じて「別れる」という行動に到ります。
@の過去のトラウマの事例だと「匂い」は大きな要因のひとつです。古くは源氏物語の世界から、若く美しい貴公子の名前が薫の君とか匂の宮と名付けられていて、それぞれ独特の香を衣服に薫き込め(たきこめ)て女性との恋愛をしています。相手の香りに薫き込めた衣服を着て女性が自分の恋人と間違って関係を持ってしまう話がありますが、あなたが「嫌い」になった整髪料の匂いはその逆ですね。

もしかしてあなたは父親に虐待を受けていたという生育歴はありませんか?それが皆無ならばAあなた自身に自己肯定感がなく、相手から嫌われて傷つく前に関係を終わりにしてしまおうと思っているのかもしれません。そしてそのどちらでもないとBの相手との恋愛関係を構築するプロセスや駆け引きに危機感を味わったり、勝ち負けを数えるような状態が好き、ということはありませんか?@に思い当たることがあるとしたら、父親との関わりを自分で書いてみたりカウンセラーに聴いてもらうことで過去から脱出してください。Aかな?と思うとしたら、あなたは思春期にいい子で反抗期がなく、失敗をしないように親から育てられ「理想の女性像」が刷り込まれて、深い関係になると自分は良い恋人になれず捨てられると思っているのです。この場合は「別れよっ」と別れるのではなく、自分の心を見つめ直し、恋人に心の本音を語ってみてください。Bの場合も@Aと重なるところがあって、過去の生育歴に刺激の強い時期があり、穏やかで幸せな恋愛では物足りなくなっているのです。思い当たるようなことがあれば書き出して、自分をいたわってあげてください。

今、高校生の間で「蛙化現象」という言葉が流行っています。これはあなたのように「好きだったのに何かのキッカケで嫌いになる」という現象です。グリム童話の「かえるの王さま」(ある国の王女が気味悪がっていたカエルを壁にたたきつけようとした時、魔法が解け、元の姿に戻った王子に一転して王女が好意を持つようになるという話)から来ていると言われていて、心理学用語にもなっています。

@ABいずれの場合も自分の内面や生育歴を見つめ直したり、失敗や人目を恐れず、他者との関係を深めるよう努めてください。
(文:大関洋子)

2023/05/11(木)
第256回【職場編】「トランスジェンダーの彼女のトイレは女性用?」
【Q】
うちの職場にトランスジェンダーで、男性なのに女性という人がいるんです。私も、私の周りも受け入れていて、仲良くしています。仕事上のことはもちろん、一緒にお茶したり、食事をしたり…。普通に女子会のメンバーなんですけど、社員旅行とかトイレの問題が難しくて…。社員旅行は、幹事さんが気を遣って、和室の大部屋ではなく、シングルルームとかツインルームとかがあるホテルを選んで、彼女(彼)にはシングルルームに宿泊してもらうようにしているんですけど、会社のトイレは男性用、女性用だけで、多目的トイレはないので、彼女の気持ちを考えて一応女性用っていうことになっています。でも、どうしても抵抗があって、私は彼女がトイレを使うのを待って、出てきたら使うようにしています。申し訳ないっていう気持ちもありますけれど、同僚に訊くとみんな同じようにしているみたいで…。彼女も気にしていて何となく気まずい感じが残っているんです。

【A】
5月9日、朝日新聞朝刊の埼玉版に『「女性トイレ廃止」ネットで誤情報 知事「まったく事実ではない」』という見出しの記事が掲載されました。内容は、県が掲げる性の多様性に配慮した「オールジェンダートイレ」の設置方針について、ネット上に「女性トイレを廃止・減少させる」という誤った情報が流れているとして、県が打ち消しに動いているというものです。

大野知事は「性の多様性を尊重した社会づくり条例」ができたことを受け、男性用、女性用とは別に、誰でも使用できる「オールジェンダートイレ」などの設置を検討したり、「多目的トイレ」に「オールジェンダートイレ」と新たに表示したりすると説明していました。そのあたりのことが「女性トイレを廃止・減少させる」とか「民間を含めたあらゆる施設にオールジェンダートイレの設置を義務づける」という誤った情報になって流れてしまい、多数の問い合わせがあったそうです。

以前、戸籍上は男性で女性として暮らす性同一性障害の経済産業省職員が「女性トイレの使用制限は差別だ」として国を相手取った訴訟の控訴審判決が東京高裁でありました。判決では使用制限した同省の対応は違法ではないとして、違法性を認めた東京地裁の一審判決を覆しました。原告の職員は声を詰まらせながら「職場で正当に扱われないことがある。自認する性で勤務できることが当たり前になってほしい」と話したそうです。

10年前には、戸籍上、身体上性別変更をしていないトランスジェンダーへの対応は未知のものとして官庁では女性用トイレの使用制限をしたとのことで、「他の職員が持つ性的不安を考慮」(トランスジェンダーを装った男性の侵入などを想定)と理由を述べています。社内へ入ること自体を制限しやすい民間企業では、性同一性障害への先進的な取り組みがしやすく、あなたの会社ではかなり周りが配慮して、トイレも女性用を使っているということですが、「申し訳ないという気持ち」もありながら、ご自分も同僚も「彼女が出てきたら使うようにして」いて、「彼女も気にしている」「何となく気まずい感じ」と居心地の悪さを訴えています。

世界では、2001年オランダで、法律上の性別が同じ者同士の結婚が法的に認められ、2023年現在、34の国や地域で同性婚が可能になっていますが、日本での実現はほど遠い状況です。

そういう中であなたは、トイレの使用を「彼女が使うのを待って、出てきたら使う」として、自分たちに「気まずさ」や「申し訳なさ」を感じています。その「気持ち」がトランスジェンダー問題で世界に遅れている日本の政治や文化を解決していく糸口や原動力になるはずです。トランスジェンダーの方との信頼関係をさらに深めることも大切ですね。
(文:大関洋子)

2023/05/01(月)
第255回【子親編】「義母の手を引く夫が気持ち悪い」
【Q】
先日、お花見に出かけました。一人暮らしをしている78歳の義母も誘いました。公園のソメイヨシノや大木のエドヒガンザクラを見て回ったんです。ソメイヨシノは花の下を歩き、ちょっと小高いところにあるエドヒガンザクラは、ちょっと登りでしんどかったんですけど、花の下まで行きました。杖をついて一人で桜の下まで行く人、息子や娘に手を引かれている人、けっこう年配の人が多かったんです。

義母は一人でどんどん旅行にも出かけるような人ですから、足腰もしっかりしているし、どう考えても手を引かないと桜の下まで行けないような人ではないんです。なのに、夫が「お母さん、大丈夫?」と言って、手を引き出したんです。その光景を見て、私は「気持ち悪い」と思ってしまいました。私には手を引いてほしいようなそぶりを見せたことのない義母なので、夫に手を引かれて嬉しそうにしている義母に嫌悪感を持ったんです。私って冷たい嫁なんでしょうか?本当に大変なら私が手を引いてあげてもよかったんですけど、私じゃダメなんですよね、きっと。


【A】
「エディプス・コンプレックス」という心理学用語があります。これは、フロイト(1856−1939)という精神分析医が提唱した精神分析理論の中にある言葉です。ここで言う「コンプレックス」とは、最近よく使われる「劣等感」といういう意味ではなく、「心の偏り、心の癖」という意味です。

4〜5歳の子どもが異性親を好きになる傾向を「エディプス感情」と言います。これは、ギリシャ神話に登場する「エディプス」という若い王子が、占い師の宣託よって、生まれてすぐ捨てられて、隣国の王夫妻の子どもとして育てられるのですが、長じて実父とは知らず戦って実父を殺し、妻であった実母と、これも実母とは知らず結婚し、その事実を知った実母は自害、エディプスも自らの目を刺し盲目となり、放浪の旅に出るという悲劇から取られたものです。

エディプス感情は、幼児期を過ぎると自然と消失して行きますが、中には夫との関係がうまくいかない妻が息子を夫や恋人代わりにして育ててしまったり、時には息子の方が苦労をしている母親を父親から守ろうとしたりして、成長してからも母親から離れられなくなったりする場合もあります。これを「マザコン男」「マザコン夫」などと呼んで、異性との恋愛がうまくいかなかったり、結婚しても妻より母と親密で、夫婦関係がこじれる原因になったりします。

あなたが、義母があなたの夫である息子に手を引かれて嬉しそうにしている様子に嫌悪感を持ったり、一人でどんどん旅行にも出かけられるような母親に「お母さん、大丈夫?」と言って手を引く夫に「気持ち悪い」と思った感情は、けっしてあなたが冷たいからではありません。人間の潜在意識の中には、幼少期には異性親を好きになる傾向があるとフロイトが言っている通りです。
とは言え、長じるにつれてそれは消失して、それぞれのパートナーと結ばれ、家庭を作っていくことで、人間の歴史は続いていくのです。にもかかわらず、あなたが目の前で見た、夫と義母との光景は、まるでエディプス・コンプレックスそのものだったのです。「気持ち悪い」と思ったのは、人間の進化や精神分析理論的に言えば、むしろ「健康的」だったと思います。あなたが「私じゃダメなんですよね」とおっしゃるのもその通りでしょう。

お義母様は一人暮らしとのこと。いずれ同居ということになるとしたら、その前に夫とよく話し合う必要があるかもしれませんね。
(文:大関洋子)

2023/04/11(火)
第254回【親子編】「ジェンダーに対する意識が違う」
【Q】
娘が保育園に入園しました。親から離れるときは泣き騒ぐ子が多い中、うちの子は私の方を振り向きもせず、どんどん部屋の中へ入っていってしまいました。「いい子に育って良かった」という気持ちと「ちょっとくらい泣いてよ」という気持ちが交錯して、複雑でした。
都内勤務の人がほとんどの保育園なので、ジェンダーフリー的な親とそういう親に育てられている子どもたちというイメージを持っていたんですけど、入園式に行ってみると「男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく」というのが徹底されていました。保育園の方針ということではないとは思いましたが、娘が生きていく時代は、「日本で」という時代ではなく「世界で」という時代になると思うので、ジェンダーフリーが当然でないと困ります。園には意見ができると思いますが、感覚がまったく違うように思えたので、子ども同士、親同士の関係をどう作っていけばいいのか、とても不安です。


【A】
娘さんが保育園入園の初日から泣かずにどんどん部屋の中へ入っていったとのこと、親としてはちょっと寂しかったようですが、とてもいい子育てをしているようで良かったですね。アメリカの発達心理学者エリクソン(1902〜1994)は、人生を8つの発達段階に分け、それぞれの時期に発達課題があり、人はそれを達成しながら生まれてから死ぬまで発達し続けると言っています。各発達課題を健全に達成できなかった場合に陥る危機(クライシス)の存在も明らかにしました。人が精神的に豊かな人生を送るためには、各発達段階の課題を健全に達成していくことが必要であると主張しています。

8つの発達段階(ライフステージ)の最初が乳児期(0〜2歳ごろ)。ちょうど、お子さんが入園された今の時期に当たります。その時期の発達課題は「基本的信頼関係の形成」です。母親、父親などの養育者が、子どもの欲求を察知して満たしてやったり、子どものサインに応えてやったりするなどの関わり合いの中で、子どもは養育者への信頼感を養っていき、「自分は大切な存在なのだ」と自分自身への信頼感も持つようになっていきます。

養育者や自分に対して信頼感を持つことができると、そこを安全基地として養育者以外の人たちや社会に興味を持ち、関わりを広げていくようになります。反対にこの時期に「基本的信頼感」を形成できないと、自分の存在を否定したり、周囲の人に否定的な感情を持ったりするなど、人や社会に対して「不信感」を持つようになってしまいます。この時期に健全に「基本的信頼感」を周囲の人や自分に対して形成できるかどうかは、のちのパーソナリティ形成の基礎となる部分なので、非常に大切です。自分一人では生きることのできない乳幼児は、温かな愛情と安全で安心できる養育を信頼して生きていくのです。このような愛着(アタッチメント)や「基本的信頼感」を形成することが、この時期の発達課題であるとエリクソンは述べています。

当然自分は「女の子」であったり「男の子」であったりすることにも信頼感を持ち、どちらの性であっても平等に大切にされることを学ぶのもこの時期です。折に触れて園長先生や保育士さんとも話をし、保護者会の役員なども積極的に引き受け、親同士の関係を作る中でジェンダーフリーを広げると同時に、お子さんの遊びや学びの中で、ジェンダーギャップに傷ついていないか気を配り、女の子だけれど「青色が好き」「外遊びが好き」「リーダーシップを取る」などがあったら、それを励ましてあげてください。

ジェンダーの問題は、保育園よりも、テレビやインターネット、お子さんが関わるすべての場所の問題なので、保育園だけを気にするのではなく、すべての場所、すべての機会の問題として捉えるようにしましょう。もちろん家庭の中も同様です。
(文:大関洋子)

2023/03/22(水)
第253回【夫婦編】「夫の不倫の定義に呆れ…」
【Q】
結婚して10年。8歳の息子と6歳の娘がいます。子どもが生まれるまでは、2人で食事や旅行に出かけたり仲良くしていました。子どもが生まれてからも、子育てや家事を積極的に手伝ってくれて「この人と結婚して良かった」、そう思っていたんです。ところが2、3年前から、帰宅が遅くなったり、帰ってきても、すぐに部屋に籠もってしまったりするようになったんです。。
先日、夫が子どもたちとお風呂に入っている時、夫のスマホにメッセージが入ったのに気づいたので、ちょっと覗いてみたら女性からの怪しいメッセージでした。夫を問い詰めると「マッチングアプリで知り合った女性」と言うんです。「不倫してるの!?」と私が感情的に怒鳴ると、夫は「不倫なんてしてないよ。マッチングアプリなんて遊び」と開き直った答えをするんです。さらに「不倫て“不貞行為をすること”だろ。“不貞行為”っていうのは“配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと”って定義なんだから、マッチングアプリをやっているだけじゃ不倫じゃない」って言うんです。その時、初めて夫の本性が分かりました。夫と不倫か不倫じゃないか法律論で争うつもりはありません。夫婦って信頼し合って、家庭を築いていくものですよね。こんな夫とこれからの人生をやっていくことはできないと思いましたが子どものことを考えると離婚もできません。

【A】
まったくあなたの言う通りで、こんないい加減な法律論を振りかざして「マッチングアプリなんて遊び」という夫は、あなたのためにもお子さんのためにも、別れなさいとお答えしたいところです。ですが、こうしてご相談をしてこられるのは、たぶん経済的な問題が重くのしかかってすぐには別れる決断はできかねてのことでしょうね。

あなたが「夫婦って信頼し合って家庭を築いていくもの」と言っているように、「信頼」のなくなった夫と「これからの人生をやっていくことはできない」のですが、「子どものことを考えると」と言っているのには、先ほど言った経済的負担があることと、もう1つ、まだ8歳と6歳という幼さを考えると、父親が必要ということも考えてのことかと思います。

離婚も選択肢の1つとしながら、少しでも「信頼」を取り戻せるかを考えてみましょう。あなたが幼い子どもたちの父親として必要かなと考える元になっているのは、2、3年前までの夫の様子、「この人と結婚してよかった」と思うくらい、子育てや家事を積極的に手伝ってくれていたということですよね。子どもたちも「パパのことは好き」なのでしょう。

そこを考えると、この2〜3年の「マッチングアプリは遊び」という価値観の理由を探ってみる必要があります。 その理由(当然、夫として2人の子どもの父親として間違った価値観を持った理由)の1つは、今、スマホを開くと「30代〜50代の中高年世代からの評判が良い!」「恋活にリーズナブル」「素敵な女性が登録している!」等々の文字と胸の大きな女性の写真などが踊るように出てきたり、「スワイプすると新しい人とつながりができます」ともあって、とても簡単に異性と交流できるようになっていることです。
まるで昔、中学生くらいが雑誌で「文通しませんか?」という欄に胸をときめかせたようにゲーム感覚でスワイプして「遊べる」のです。

そしてそんな中学生みたいな「遊び」にハマる理由の1つは「依存」です。「依存する理由」は様々ですが、あなたの夫は、仕事でストレスの多い職位に昇進したとか、家庭で10年頑張ってきたけれど妻から自分が思うほど感謝の言葉をかけてもらえない(家事育児なんて共同でやって当たり前なので情けない話ですが)、生育歴の中で母から承認されないことで自己肯定感が低い、等々で、たくさんの女性から「いいね」と言われたい、話をして癒やされたい…。
その辺りを夫と向き合い話し合ってみてください。もし反省の心が湧かないようなら離婚を考えざるを得ないかもしれませんね。
(文:大関洋子)

2023/03/13(月)
第252回【恋愛編】「メン地下から抜けられない」
【Q】
大学のサークルで知り合った彼と2年間付き合いました。私は別れたくなかったんですけど、彼の方に別な彼女が出来てしまって別れました。二股かけられてたんだと思います。すごくショックで立ち直れなくなっていたんです。そんな私を見て、友達が「メン地下」のライブに誘ってくれました。その時は雰囲気に飲まれてただびっくりして帰ってきたんですけど、1人気に入った男の子がいて、もう一度行ったらすっかりハマってしまいました。アイドルが手の届く距離で歌ったり踊ったりするのは興奮するし、ライブのあとのチェキ会でツーショット写真も撮れる。何千人、何万人なんていうライブとメン地下ライブは全然違って、チェキ会では肩を抱いてくれたりハグしてくれたり、指チュウもしてくれます。でも1枚写真を撮る度にお金がかかるので、これまでに数百万円使ったと思います。これは「ごっこ」なんだって分かってるし、このまま続けていたら経済的にも破綻するのも分かっるんですけど、彼氏との別れは辛かったので、恋愛で辛い思いをするのは嫌って思うと、抜けられなくなってしまいました。

【A】
「メン地下にハマってこのままでは…」というご相談です。「メン地下」に巨額のお金を使い込んでしまう10代もいて社会問題になっています。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、「メン地下」とは「メンズ地下アイドル」の略です。繁華街でビラ配りやSNS等での営業勧誘、ライブ入場料は無料というところもあります。

こうしたライブやイベントを主な活動の場としていて、メディアへの露出は少なく、歌や踊りを売りにせず、「チェキ撮影」で2人の動画を撮ったり、「指チュウ」という指を唇の間に立ててのキスをしたりすることで稼いでいます。ピン動画(30秒程度)で30pt(1pt=1000円)、2人動画(やはり30秒程度)で50pt、300pt使うと便せん1枚程の手紙、500ptで「指チュウ」とか1時間デート、1000pt以上でカラオケや3時間デートなどといういうところが多いようです。1ptが1000円なので、3時間のデートには100万円かかるということです。
こうした支払いのお金を援助交際やパパ活、家のお金を持ち出すなどして捻出していることも少なくないこと、そばに寄ってくる10代の少女にわいせつな行為をするメンバーもいることなど社会問題になっているのです。

こういう過剰な「推し活」で自分を見失い、1人のアイドルに「リアコ」(リアルな恋)をしてしまう人もいます。
甘い言葉をかけてくれるのも、あなたの肩をぎゅっと抱きしめて「チェキ」してくれるのも、すべてお金のため。それが分かっていても、破れた恋、裏切られた悔しさ悲しさを忘れるための刺激ほしさに、これは本当の恋ではないと知りつつ「リアコ」してしまっているあなた。それに気づいて使った金額の多さと引き換えにしたのは「虚しさ」でしたね。この相談をきっかけに、この危険な「リアコもどき」から抜け出しましょう。

ptを買うために会社が終わったあと、居酒屋やキャバクラなどでアルバイトをしたり、パパ活をしようと考える前に目を覚ましてください。そして恋に破れた苦しさ、二股かけられた悔しさ悲しさ虚しさ、1人になった寂しさ、つらさなど、すべてのネガティブな形容詞を否定するのではなく、抱え込んでいる自分と一緒にいてあげてください。一晩でも二晩でも眠れない夜を明かしてください。

その時、あなたの手も足も傷ついたあなたの心も、あなたと「共にある」「傷ついている私も私」と気づいて大切に抱きしめてあげてください。その時間こそあなたをより美しく優しく成長させてくれますから。
(文:大関洋子)

2023/02/21(火)
第251回【職場編】「私って付き合うに値しない女?」
【Q】
就職して6年です。学生時代には彼氏がいて「この人と結婚するのかなあ?」って思った時もあったんですけど、学生の時から付き合って結婚て、難しいんですよね。学生って遊んでるだけだから、本当の彼がどういう人なのか意外と知らない。卒業するまで付き合っていたんですけど、人生観みたいなものが違うことに気づいて別れました。就職してすぐに職場の男性と付き合ったんですけど、1度ホテルに行ったら、そのあとLINEしても既読にならなくなっちゃって…。職場で顔を合わせても付き合ってるっていう態度じゃないし…。1度ホテルに行って終わりってすごく嫌です。「私の何が嫌だったんだろう?やり方?匂い?遊ばれた?」とか色々考えちゃって、私って付き合うに値しない女なんだって思うようになりました。職場の同僚に、やたら彼氏自慢をする人がいて、なかなか予約の取れないレストランに行ったとか、高級リゾートホテルに行ったとか、いつも“綺麗だよ”って褒めてくれるとか、言うんです。そんな話を聞く度に「やっぱり私はダメな女なんだ」って、どこかへ消えちゃいたい気持ちになります。

【A】
あなたは「学生時代に彼がいて卒業するまで付き合っていた」のですが「人生観みたいなものが違うことに気づいて別れた」んですね。あなたは恋愛から結婚へ進み、人生の伴侶として暮らしていくのには「人生観」が一致していることが大切だと思ったんですよね。そのあなたの考えには大賛成です。一度切りの人生をどう生きるかの根本のところがズレていてはうまくいくはずはありませんから。

例えて言えば、夫婦や家族の時間や愛情を優先するか、経済、お金を優先するかで働き方も暮らし方も大きく変わってきますよね。ところでその人生観、価値観の点であなたにはいくつも偏見がありませんか?あなたは「学生って遊んでるだけだから、本当の彼がどういう人なのか意外と知らない」と言っています。発達心理学者のエリクソン(1902〜1994)は人には「モラトリアム期間」がどうしても必要だと言っています。元々モラトリアムとは借金の返済を猶予する期間という法令用語ですが、エリクソンは心理社会的モラトリアムという青年期特有の発達課題(人間が健全で幸福な発達を遂げるために達成しておかなければならない課題)があると言っています。

それは丁度、大学生または卒業して社会に出ていく頃には終わっていて「学生が社会に出て一人前の大人になるための準備期間」とされています。それまでには真剣に「Who am I?」(私ってどんな人?)「Where am I going?」(どこへ行こうとしてるの?)のような問いかけを自らに課して悩むのです。そして何とか自我同一性(アイデンティティ)を確立して社会に出ていくわけです。そういう自分とは何か?どこへ向かおうとしているのか?という自己発見、自己確立の大切な期間を、見かけ上かもしれませんがあなたは「学生って遊んでるだけ」という偏見を持っています。

この時期に人は自分の思っている自分(理想自我)と現実の自分(現実自我)を自分の中で一致させてアイデンティティを確立させているはずです。もしかするとあなたはこの発達課題を学習してこなかったのかもしれませんね。学生時代の彼はモラトリアム期間を卒業してアイデンティティを確立したのに、あなたはその期間を「遊んでるだけ」ととらえていたために人生観がずれて別れた。職場で付き合った人とは「一度ホテルに行ったらLINEも既読にならない」と言って「自分のSEXのやり方?匂い?遊ばれた?」と言い、同僚を羨ましがって「ダメな女、消えたい」と悩んでいます。どうか「Who am I?私って?」ともう一度アイデンティティ(自我同一性)の確立を試してみてください。
(文:大関洋子)

2023/02/14(火)
第250回【子親編】「夫が突然義母との同居を言い出して…」
【Q】
義父が10年前に他界して、義母は85歳で実家でなんとか一人暮らしをしています。さすがにいつ何があってもおかしくない年齢なので、そろそろどこか施設をと思っているのですが、先日実家を訪れたとき、夫が唐突に「お母さん、そろそろ私達がここに来るか、お母さんがうちに来るかしない?」と言い出したんです。今まで“どこか施設を”と話していたので、私としては寝耳に水。まさかその場で「施設を探すんじゃないの?」とも言えないので、うちに戻ってから夫の真意を確かめたんです。夫は「この前、ケアマネに相談したら“お母様は性格的に集団生活にはなじめないかもしれませんね”って言われただろ。集団生活ができないなら、オレたちが実家に入るか、おふくろをうちに来させるかしかないだろ」と言うのです。「お義母さんの性格なんて前から分かってるでしょ。それでも何とか施設を探すって言ってたじゃない。誰がお義母さんの面倒を見ることになると思ってるのよ!」と大げんかになってしまいました。集団生活になじめない人と同居するなんて考えられません。息子ってやっぱり母親が大事なんでしょうか。

【A】
あなたのご相談は、お義母様との同居の問題、そして「息子ってやっぱり母親が大事なんでしょうか」という夫とお義母様との関係の問題ということになっています。厳しいことを申し上げるようですが、あなたが悩んで相談すべきことは「そこ」ではないんじゃないですか?!あなたは私から「そうですね。夫さんはやっぱりマザコン息子なんですね」みたいな答えが来ることを期待していらっしゃったのかもしれません。
が、本来あなたが悩んで相談すべきことは、この夫の様子にびっくりして「寝耳に水」と思ったそこが問題ですよね。端的に言えば「夫婦の間でこんな大事なことが共通認識されていなかった」ということです。

要するに普段から夫婦のコミュニケーションが出来ていなかった。その上、お話の中にはお義母さんはどうしたがっているのかという話が全然出ていません。あえて夫さんの言葉の中に「ケアマネ」に相談したら集団生活にはなじめないかもと言われた話が出てくるだけ。それもお義母さんが施設で集団生活を望んでいるとしてもケアマネから見ると「無理かもしれませんね」というまた聞き的な話です。
ご夫婦2人でお義母さんの気持ちをお聞きになったことは無い感じですよね。そしてその前に、もし自分たちと同居することになれば、どちらの場所で同居するにしても夫さんは当然のように妻であるあなたに「義」母の介護をして貰うと決めてかかっています。

今、これが社会的問題になっていて女性は自分の両親、夫の両親、そして最後は夫を老々介護する昔ながらの風習文化をやめよう、そうでないと女性の社会進出など夢の又夢、という世論が増えています。そのため、色々な型の高齢者施設が企画建設運営されています。あなたが当然それらのどれかお義母さんに合う施設を探してそこで暮らしてもらおうと思っていたことは、間違っていたことでもなければ、自分勝手なわがままでもありません。
間違っていたことはただひとつ。夫とのコミュニケーション不足です。そしてその中でお義母さんの最後をご本人がどう過ごしたいと思っていらっしゃるか、これもお義母さんとのコミュニケーションを時間をかけて取って差し上げてお義母さんのご希望を、その通りできるかどうかは別としても、お聞きしてくだささい。
要するにあなたの悩み、相談の根本は「夫婦のコミュニケーションの不足」、そしてそれに伴い義母とも同じことが起きている結果だと思います。
(文:大関洋子)

2023/01/27(金)
第249回【親子編】「息子が選んだランドセルの色はアクア」
【Q】
息子が小学校に入学します。入学前の一大イベントと言えばランドセルや学習机選びです。ランドセルは夫の両親、学習机は私の両親が御祝いに買ってくれることになりました。学習机は、こちらで買ったあと私の両親がその分の御祝いを現金でくれることになったのですが、ランドセルは夫の両親が直接手渡したいらしく、インターネットで欲しいランドセルを選んで、両親が購入してうちに持ってくることになったんです。ここで困ったのが、息子の選んだ色がアクア、明るい水色だったこと。息子は小さいころから水色が好きで、絵を描くときもよく水色を使うので、好きな色を選んだだけのことなんですが、男の子の色と言えば黒が普通で、せいぜい紺とか深緑ですよね。アクアなんて、男の子が背負っているのを見たことがありません。私と夫でも躊躇する色を夫の両親にお願いするのはすごく大変だし、学校でいじめにあうことも心配です。どうやって子どもを説得すればいいでしょうか。

【A】
ランドセルの歴史は江戸時代に幕府が洋式軍隊制度を導入する時、持ち物を収納するためにオランダからもたらされたバックパックを利用したのがランドセルの発祥とされています。ネーミングもオランダ語の「ransel」(ランセル)がなまって「ランドセル」になったとされています。色は黒が主流でしたが、牛革でムラなく仕上げるには黒でなくてはダメで、その後も赤しか出せなかったようです。軍人の背のうとして使っていたランドセルは、動きの激しい小学生にはぴったりでしたし、両手が空く、転倒時にはクッション代わりにもなる、という危険防止のためにも都合のいいものでしたが、牛革で手仕上げをする黒と赤のランドセルは庶民には高級品でした。

ランドセルが小学生の荷物を入れるバッグとして定着しているのは日本だけの文化です。時代が経つにつれ、牛革だけでなく安価で軽い合成皮革のものが増え、庶民の間でも一般的になり、最近では色も多様になってきました。2001年にイオンが業界初の24カラーのランドセルを作り発表しました。価格も大幅に下がり、3〜10万円くらいまでと多様化しました。24カラーが発表されてから、様々な色、様々な装飾を施したランドセルを背負う小学生の姿が見られるようになりましたが、今回のご相談のように「男の子の人気色」「女の子の人気色」と業者が規定して販売している現状があります。ジェンダーフリーが叫ばれ、性や個性の多様化の時代を迎えようとしている現在、性と色を結びつけた製品の販売はやめてもらいたいものです。

私事になりますが、一番下の息子が幼稚園に入園したとき、椅子に敷く座布団の販売がありました。集金袋に記載された赤と青の文字のどちらかに丸をつけて申し込むのですが、息子は「赤がいい」と言うので赤に丸をつけて申し込んだところ、その日のうちに幼稚園から「赤に丸がついていますけれど青の間違いですよね。直しておきました」と電話がありました。「いえいえ、本人が赤がいいと言っていますので赤に戻してください」と答えて赤の座布団を買ったんです。そのころテレビで流行っていた戦隊もののリーダーがレッドホークという赤だったからなんです。赤は、情熱、燃える炎の色で、強さの象徴の色でもあります。Jリーグでも、浦和レッズ、鹿島アントラーズ、名古屋グランパスなど赤を基調にしたユニフォームのチームがあり、埼玉スタジアムが真っ赤に染まる浦和レッズ戦は圧巻です。若い男性の中には、赤を好む人もいて、赤いシャツ、赤いセーター、赤いズボンなど特別なことではありません。むしろ赤を好んで着る女性の方が少なく感じます。ですから、性と色を結びつけて考えているのは主に幼児教育や小学校などでしかありません。

さて、お子さんの「アクア」のランドセルについてです。なかなか微妙な色ですね。「息子は小さいころから水色が好きで、絵を描くときもよく水色を使うので、好きな色を選んだだけ」とおっしゃっている一方、「私と夫でも躊躇する色」とおっしゃっているので、実は反対しているのはおじいちゃん、おばあちゃんではなく、「私と夫」ですよね。ですから、「夫の両親にお願いするのはすごく大変」と考える前に、あなたと夫でよく話し合ってください。そして息子さんとも話し合ってください。一番大切なのは、お子さんの気持ちをしっかり受け止め、向き合うこと、説得ではなくお子さんの納得です。確かにいじめにあうことも考えられるでしょう。社会の流れに問題があるとしても、それを子ども1人の背中に背負わせては、とても背負いきれるものではありませんから、息子さんの意志を通すということになれば、「私と夫」がしっかり支えることが必要です。小学校と話をすることも必要になるかもしれません。その覚悟をしてから「夫の両親」に話をしてください。決して「私と夫」の意見をお子さんに押しつけ、むりやり「男の子の人気色」にさせるのではなく、お子さんの気持ちを大切にお子さんが納得のいく結論にしてあげましょう。
(文:大関洋子)