【マイタウンさいたま】ログイン 【マイタウンさいたま】店舗登録
■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

全279件中  新しい記事から  141〜 150件
先頭へ / 前へ / 5... / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18 / 19 / ...25 / 次へ / 最終へ  

2018/06/21(木)
第139回【親子編】「下着が見えることにも無頓着な娘」
【Q】
小学4年生の娘のことなんですが、先日懇談会のあと担任の先生に呼び止められ、「お子さんのことなんですが、下着が見えたりすることを全然気にしないんですよ。学校としても2年生くらいまでは、あまり意識をさせないようにはしているんですが、もう4年生なのでちょっとは気にしてほしいかな、と。社会の風潮はどちらかというと意識しすぎる傾向に進んでいてそれもどうかなとは思うんですが、まったく気にしないというのも…。いろいろ事件もありますし、子どもたちの中でも少し浮いてしまうというか…。」と言われてしまいました。

どうやらスパッツも履いてないのに平気で足を開いて体育座りをしたり、スカートをうちわ代わりにしたり、体操着に着替える時も、いきなりシャツを脱いでしまったり…。私が子どものころはそんな感じでおおらかだったように思うんですが、世の中が世の中ですし、娘と何度か話はしましたが全く聞く耳を持ちません。

【A】
「タブー・ゾーン」というのは、他人が触れてはいけない身体の部位のことです。私たちは一人ひとり身体のプライバシーについて考えがありますが、その考え方や感じ方は、人それぞれで、育った国の文化や習俗、そして人間関係などによって違います。

特に触れられる身体の部位によって様々で、もし友達が「手」という“人前に出せる部位”に触れるなら何の問題もないのですが、性器のような“プライベートな部位”に触れたりすると、不快感から怒りまで感じることになります。愛し合う2人か、赤ん坊を世話する親だけが、自由に相手の全身に触れることができますが、その他の人には身体の接触に関してタブーの階段があるのです。

タブー・ゾーンについては、体表面を12の部位に分け、@母親、A父親、B同性の友人、C異性の友人によってどの程度触れられてもいいかを尋ねたアメリカの研究もあります。その質問では、予想されたように、性的特徴に一番近い部位がもっとも強いタブーを示し、そこから離れるほどタブーは弱くなるという結果になっています。(ディズモンドモリス著 藤田統訳 マンウォッチングより)

日本の古代の性に関わる文化は、比較的おおらかで開放的。神話の中にも、弟の乱暴な行動に怒った姉の天照大神が岩戸に隠れ、世の中が真っ暗になって困り、岩戸の前で神が裸で踊り彼女を連れ出したという場面もあるほどですが、武士の台頭と共に男女差が厳しくなり、同時に性に対するタブー・ゾーンも強く意識されるようになっていきました。

特に最近、幼稚園児の年齢の子どもの中でも極度に性的特徴の身体部位を隠すことに固執する子がいるのは、、発達段階的に気がかりです。性的特徴が顕著になり始める第二次性徴期に自然に、女の子なら胸の膨らみを気にしだしたり、男の子ならペニスの形や大きさを気にしだしたりし始めるものです。女の子は初潮の始まる前、年齢的には5〜6年生、体格のいいお子さんですと、あなたのお子さんと同じ4年生くらいからタブー・ゾーンを隠す自然な行動をします。

担任の先生が「浮いている」というほど程度がひどいのであれば、昨今子どもを狙った犯罪が多発し、心配でしょうから、性のこと、タブー・ゾーンのことなど、子ども向けの本も出ていますので、一緒に楽しみながら読んでみてはいかがでしょうか。あまり神経質にならず、あと半年ほど様子を見てもいいと思います。担任の先生のタブー・ゾーンに対する感覚の強弱もありますし、あなたのご家庭が割と開放的な人間関係でいるのかもしれませんので。
(文:大関洋子)

2018/06/07(木)
第138回【夫婦編】「夫が痴漢?!」
【Q】
夫が痴漢をして逮捕されたと弁護士さんから電話がありました。振り込め詐欺も疑いましたが、本当だということが分かり、目の前が真っ白になりました。夫は認めてないらしいんですが、逮捕が長引くと会社にも知られ解雇される可能性が高いので、なるべく早く示談にするから、とりあえず体調を崩して2〜3日入院することになったと会社に連絡してほしいというのです。

夫の言葉通り、会社に連絡しました。翌日示談が成立したとのことで、夫は釈放されました。夫が逮捕されたのを知っているのは弁護士さんと私だけで、子どもたちにも会社にも知られることなく解決しました。夫の対応は正しかったと思うのですが、私の心にわだかまりが出来てしまったんです。本当は痴漢をしたんじゃないか、なぜ無罪を主張して闘わないんだろう、そんな思いが心に湧いては消え、湧いては消えするんです。結婚して25年、夫のことは信じているつもりなのに、信じ切れない自分がいる。そんな自分がいることがとても苦しいんです。それでも夫は痴漢をしたんじゃないかという気持ちが消えることはありません。

【A】
先日(6月5日)、愛知県警が痴漢撲滅を訴える目的でポスターを作製し、500枚を貼りだしたところ、インターネット上で「逮捕=有罪の確定」と誤解させる表現があるなどとして弁護士らによる批判が相次ぎ、炎上騒ぎになりました。県警は「ポスターの本来の趣旨が異なる伝わり方をした」として撤去しました。
ポスターは、痴漢撲滅キャンペーンの一環で6月1日から県内の主要駅などに掲示されたもので「あの人、逮捕されたらしいよ」というタイトルのポスターは、痴漢で逮捕された男性がアニメ調で描かれており、この男性に対し女性2人がSNS上で「性犯罪じゃん」「仕事もクビになるよね」などと男性を犯罪者と断定して噂話をしているというものです。この表現を巡っては、ネット上で亀石倫子弁護士らが「痴漢はもっとも冤罪が多い類型の一つで、逮捕=犯罪者扱いするのは一線を越えすぎ」などと批判しており、県警にも5日昼過ぎまでに55件の苦情や問い合わせの電話が寄せられたとのことです。刑事裁判では、たとえ逮捕されたとしても有罪が確定するまでは「推定無罪」が大原則です。県警は、ポスターの制作理由を「今風で若者受けすると判断した」「痴漢は犯罪だという認識を広め、犯行をとどまらせたい、という気持ちで作った」と説明し、「本来の趣旨と異なる伝わり方になった」ので、撤去に踏み切ったと言っています。

あなたの夫は、諸般の事情を考えて示談にしたとのことですが、本当はやってないとあなたには言っているんですよね。実際、過去には冤罪を主張して、夫婦で友人の協力も得、無罪を勝ち取った事件がありましたし、TVドラマや映画「それでもボクはやってない」(2007年)など、無実を勝ち取るまで必死で闘う姿を描いた作品もありました。もしあなたの夫が冤罪だとしたら、困難があっても闘うのか、夫の判断のように示談にするのか…。「結婚して25年、夫のことは信じているつもりなのに、信じ切れない自分がいる」とおっしゃっているあなた。夫の取った行動が示談という道であろうと無罪を勝ち取るまで闘うという道であろうと、事実を知るのは夫のみです。あなたの心の中の結論がどちらになるにしても、夫ととことん話し合うしかあなたの心が晴れる道はありません。2人でしっかり向き合い、納得のいくまで話し合ってください。どこまで話し合っても納得がいかないのであれば、夫との関係を見直すことになるかもしれませんが…。
(文:大関洋子)

2018/04/05(木)
第137回【恋愛編】「女は顔じゃなくて気立て?」
【Q】
先日、7対7の合コンをやりました。3対3とか5対5は何度か経験してるんですけど、人数が少ないとこれっていう人に出会えないし、これっていう人はみんな被っちゃって、女の子同士いがみ合いになっちゃたりするので、選択肢を増やすために7対7にしたんです。みんなで被っちゃうと悲惨なことになっちゃうけど、たくさんいれば妥協も出来るかなあって思ったんです。人数が多いから大盛り上がりで、いろんな話も出来たんですけど、男の子のほとんどが「女は顔じゃない、気立てだよ」なんて言うんです。

3時間くらいしてそろそろお開きかなっていう感じになり、さてこれから本番。「誰が誰をお持ち帰り?」ってなったとたん、スッて男の子達は引いちゃって、2人の女の子を囲むようにして男の子全員がいなくなっちゃったんです。誰が見ても美人な2人を連れてですよ。「顔じゃない、気立て」って言ってたのはどこのどいつだよ!真に受けた私が悪いんだけど、それまでの3時間はなんだったんだろうって虚しくなりました。

【A】
昔は地域や親戚、あるいは会社に世話好きのおばさん、おじさん、上司などがいて「そろそろ結婚したらどう?男も女も結婚して子どもを持って一人前の大人だよ」などと写真を持って男性、女性の家を行き来してくれたものでした。最近は「そろそろ結婚」と言っただけで、パワハラ、セクハラと受け取られて大変な騒動になることもあり、周りが世話をするという風習や文化が廃れてしまいました。地域や親戚、友人などにしても、「うまくいって当たり前。まずくなるとあの人が紹介したのが悪い!と一生恨まれる」こともあって、相方をよく知っていて「似合いの相手」を選択して会わせてくれる人もとんといなくなりました。

そして、その風習に取って代わったのが結婚相談所や合コン、インターネットの出会い系サイトなどです。「合コン」の意味は、「合同コンパ」の略で、「コンパ」の語源は、「カンパニー」ですから、元々は「仲間うちで行う親睦の会」程度のことでした。それが時代の変遷と共に男女の出会いを求める場へと変わってきました。歴史的には、1970年代くらいから、若者の間で「合ハイ」(合同ハイキング)、「合ドラ」(合同ドライブ)などという言葉が使われています。今ではそれらの言葉が廃れ、「合コン」だけが残ったようです。

以前女性は男性の従属物のように考えられていて、古くは男女交際や結婚は親が決めるものとの傾向が強かったのですが、女性も男性と同等に自由に相手を選択しようという意識が高まり「合コン」が盛んになっていきます。

ですが、あなたがごく自然に「お持ち帰り」という言葉を使っているように、選択権は男性にあり「お持ち帰り」されるのは女性というのが、未だに主流です。このような場では、いくら理屈や言葉で「顔より気立て」と言っていても、3時間という短い時間の中での選択の基準は、「見かけ」ということになります。人類は昔から「種の保存」を目的にパートナーを選んできました。産む、産まないにかかわらずこの本能は生きていて、女性は男性の見た目のよさより、結婚、出産の後、自分たち親子にどれだけのエサ(食料)を運んでくれるかを選択基準(今でいうところの経済力)にするのですが、男性は自分の遺伝子をより多く残してくれる女性、すなわちそれは短時間で選択しなければならない場合、「見た目」ということになるのです。

ですが、ご安心ください。最終的に男性が結婚相手に望むのは、こうした「合コン」という方法で選んで「お持ち帰り」する「見た目」がすべての女性ではなく、「誠実で気立てのいい」女性です。なぜなら、そういう女性こそ、誰の子か分からない子どもではなく、間違いなく自分の子どもを産んでくれ、そしてしっかり育ててくれると考えられるからです。

出会いの場を「お持ち帰り」されない場に求めてみてはいかがですか?
(文:大関洋子)

2018/03/22(木)
第136回【職場編】「彼に対する課長の態度が…」
【Q】
今の会社に入社して3年になります。私のいる課の課長は30代後半の女性で、社内ではやり手の管理職と評価されていて、近々部長になるのではないかと言われています。なので、私の周りは「あの人には逆らえないよね」とか「嫌われたら大変」なんて言っていて、ゴマばっかりすっている感じです。でも、私は大嫌いなんです。実は、同じ課の2歳年上の先輩と付き合ってるんですけど、課長が彼をすごく可愛がっていて、つまらないことでもすぐ彼を使うし、それだけじゃなくて、なんかベタベタしてるように見えるんです。彼にそう言ったら、「おまえ、何言ってんだよ。俺だって仕事だよ。上司に可愛がられるのは悪いことじゃないだろっ!」って言われちゃったんです。このままだと彼もだんだん信用できなくなっちゃいそうだし、かといって、課長に彼にちょっかいを出さないでくださいなんて言えないし…。彼に対しても、課長に対してもどうしたらいいか困っています。

【A】
1985年に職場での男女差別を禁ずる「男女雇用機会均等法」が制定されてから30年、2015年やっとそこから一歩進んで「女性活躍推進法」が成立しました。一度廃案になった末の成立でした。この法律は職場での女性の活躍を目指し、企業に女性登用などの数値目標や行動計画作成を義務づけて「女性が輝く社会」を唱っています。当時、「女性の活用」という言葉が、女性を「使う」対象として考えているという批判もありましたが、この法律は、男女間の分断をつなぐ意味もありました。それは、女性が活躍しやすい職場環境=男性にも働きやすい職場環境だからです。女性について考えることは、男性について考えることでもあるのです。
さて、あなたの悩みの元凶となっている女性上司は、このような時代の流れとたくさんの女性たちの努力と奮闘の結果、その席に着いた方の一人です。にもかかわらず、あなたの彼氏である青年を「すごく可愛がっていて、つまらないことでもすぐ彼を使うし、それだけじゃなくて、なんかベタベタしてるように見える」とあなたに思わせてしまっている。恋人であるあなたから見た嫉妬とひがみが入っているのはもちろんであるにしても、これはまずい!「ゴマすり」の対象になっていることも、あなたの嫉妬とひがみを差し引いてもいいことではありません。
ただし、近々部長になるのではないかと言われ、社内では「やり手の管理職」と評価されているとのこと。女性管理職としてかなり意欲的に頑張っているのは間違いありません。もしかすると、よくないのは彼氏の方ではありませんか?この女性管理職を恨む前に、ご自分の恋人の価値観をしっかり見聞きして、彼氏としてふさわしいかどうか、この際考え直してみてはいかがでしょう。
女性上司からのベタベタや押しつけをパワハラ、セクハラとして断ることも出来るにもかかわらず、あなたの言葉に対し「おまえ、何言ってんだよ。俺だって仕事だよ。上司に可愛がられるのは悪いことじゃないだろっ!」と発していますね。彼のその考え自体、「女性活躍」の主旨に反していますし、ある意味あなたに対する暴力とも受け取れます。彼自身、女性上司に「可愛がられる」という働き方を喜んでいるわけです。
ご自分でも「彼もだんだん信用できなくなっちゃいそう」とおっしゃっていますので、女性上司に「彼にちょっかいを出さないでください」なんて言うというような子どもっぽいことを考えるのはやめて、彼の仕事ぶり、価値観を疑ってみてはいかがですか?
(文:大関洋子)

2018/03/05(月)
第135回【子親編】「義母から結婚したいと言われ…」
【Q】
10年ほど前、2世帯住宅を建てました。土地に少し余裕があったので、左右に玄関を並べ、私たちの方だけに2階をつけました。台所、お風呂、トイレは一応それぞれに付いているんですが、食事は私たちと一緒という前提で、両親の方のスペースには、間に合わせ程度の台所しか付けませんでした。玄関は2つあるとはいえ、建物の中の2つの扉で両方の行き来は自由なので実質一世帯住宅と変わりません。建って3年、突然義父が68歳で他界してしまったんです。義父が他界して7年、義母は73歳になったんですが、先日「結婚したいんだけど…」と相談を受けました。それだけなら、大賛成なんですけれど、相手が義母より10歳くらい若いし、その上隣で暮らすって言うんです。そりゃあお義母さんの家ですからどう使おうと文句は言えないんですけれど、行き来が自由な扉の向こうに夫とあまり年の違わない見ず知らずの男性が住んでるなんてあり得ないし、土地と建物も義母との共有名義。相続のことを考えるととても賛成するわけにはいきません。

【A】
義母の再婚に反対の理由が(1)相手が義母より10歳若いこと(これは義母が亡くなり相手の男性に義母と共有名義の土地建物が相続されるのが困るんですね)、(2)73歳の義母の10歳若い相手、63歳の見ず知らずの男性が行き来が自由な扉の向こうに住むこと、の2つですね。
確かにあなたが困惑しているのはわかります。相続に関して言えば、今まで少なくとも10年は同居同然の二世帯住宅で、夫の両親と暮らして来られ、それなりの苦労もし、「義母亡き後は土地建物を相続して」とお考えだったのに、10歳年の若い、見ず知らずの男性に半分も持って行かれてしまうと思うと悔しいですよね。
そして、その「見ず知らず」ですが、義母にとってもどこかで初めて出会ったときは、あなた同様「見ず知らず」だったのでしょうが、今は時間と行動を共有することで価値観が同じで死を迎えるまでの人生を共にしたいと思うような「よく知った」間柄になったのでしょう。
人は皆、初めて出会ったときは「見ず知らず」です。その「見ず知らず」同士が関わり合いながらお互いの価値観を確かめ合い、探り合って理解を深め、「知り合い」になっていくのです。人と人との関わり合いの中にこそ生きる喜びがあります。もちろん、価値観の違いが思わぬところで生じてそれが葛藤を生むこともあるでしょう。それをどう乗り越えるかも人と人の関わり合いの知恵の出しどころ、葛藤や葛藤を乗り越えるプロセスも喜びとなることもあります。義母がどのようなプロセスを経て、息子や息子の妻であるあなたには今は「見ず知らず」の男性と共に人生の最後を共にする決心をされたか分かりませんが、相当の葛藤と勇気のいる決断だったのでしょう。
あなたは、この結婚に反対の理由に2つのことを挙げています。あなたの反対の理由は、一見すべてが現実の問題に見えますが、実はその心の奥に「73歳にもなって、しかも夫が他界して7年。しかも10歳も年の若い男性と再婚するなんて!」という困惑、いかり、驚きがありませんか?これを心理学では「潜在意識」と呼んでいます。この潜在意識と現実の問題とを分けて考えましょう。夫を亡くした義母の不安や淋しさといったものにしっかりと目を向けましょう。長年連れ添ってきた夫との突然の別れ、今後も一緒に生活をしようと考えていた矢先の喪失感。そうした気持ちが、今後の生活を共にしようとする相手を欲するのは当然のことです。そんなお義母様の気持ちを理解して、今後のお義母様の再婚と幸せを応援してあげてください。
さてその上で、もしあなたが不安を感じるのでしたら、扉を壁にリフォームし、行き来は玄関を使って行き来をする、相続の問題は、お義母様とよく話し合い、遺言書を作成するとか、生前贈与なども選択肢に入るのではないかと思います。いずれにしても、まずはお義母様の今後の幸せに目を向け、その上で、腹を割ってお話ししてみてください。
(文:大関洋子)

2018/01/25(木)
第134回【親子編】「お洒落ばかりに気を遣っている息子」
【Q】
高校1年生の息子のことです。昨年、どこの高校を受験するかで、とっても悩みました。埼玉育ちでない私も夫も、埼玉県の進学校が別学中心であることに驚きましたが、私も夫も男子校という選択はしてほしくないという気持ちがありました。もちろん、息子が通う高校ですから、基本的には息子の選択ですが、息子も偏差値以上に男子だけという環境には抵抗があったらしく、共学の高校を選びました。問題はそのあとです。私も夫も、社会とは違ったある意味ゆがめられた構造の環境に置きたくないという気持ちだったわけですが、どうも息子は女子がいないのは嫌ということだったらしく、入学した途端、お洒落ばかりに気を遣うようになりました。毎日ファッション誌に出てくるモデルのような格好ばかりしています。思春期で、ある程度はやむを得ないと思います。でも、格好が人間の魅力ではないということを教えたいのですが、女の子にもてるというのは見かけだと思っているようで、どう話をしたらいいか困っています。

【A】
思春期は、昆虫でいうと「さなぎの時期」です。昆虫は幼虫からさなぎになった時、それまでの身体や手足の全部をどろどろに溶かして殻の中で再び新しい自分を創ると言われています。そして長い時間ジッとこのさなぎの中にこもって、やがて美しいアゲハチョウになったり、夏の風物詩のような蝉になって地中から飛び立つわけです。
思春期の子どもはまるで「さなぎ」のようです。子どもから大人に変わる時に、自分で作った殻に閉じこもり、自分自身を溶解し新しい自分を産み出すいわゆる「第二の誕生」を迎えるための準備を始めるのです。
親の言いつけをよく守る聞き分けの良かった我が子が、ある日突然子ども部屋に閉じこもったり、食事も一緒にしたがらなくなり、夜中になるとコソコソと動き出して冷蔵庫の中の物を食べたり、家族との接触を極力避けたりします。
こんな時期が過ぎると突然部屋から飛び出してきます。金髪、ピアス、マニキュア、息子さんもファッション誌に出てくるモデルを真似したのでしょうね。高校受験というストレスを抱えてさなぎに閉じこもっていた彼は、さなぎから飛び立つ蝶の装飾としてそれを選んだのでしょう。さなぎが殻に閉じこもっている時、親としては心配で、「いったい中はどうなっているんだろう」とのぞいたり突っついたりしたいものですが、昆虫の場合、そうされると新しい細胞を創生中のさなぎは、変形したり傷を負って成虫になることが難しくなります。
あなたも、さなぎからかえった息子の姿にびっくりしているようですが、必死で自分づくりをして、羽化しかかっているわけですから、今は触らないで、羽が乾ききって飛べるようになるまで見守ってあげてください。子どもに一切関わらないということではなく、外敵からは守ってあげるように、環境設定しながら居心地のいい空間は作ってあげましょう。
人間の魅力が見せかけの格好だけではないことに気づいてもいるはずです。羽化のきっかけと時期は一人ひとり違います。けれども、さなぎは必ず自分に似合った衣装を身につけて羽化し、ふさわしい飛び立ち方をします。そしてそのモデルは母であるあなたであったり、父であったりすることを忘れないようにしてください。
(文:大関洋子)

2018/01/04(木)
第133回【夫婦編】「夫に隠し子?」
【Q】
夫宛に差出人のない封書が届きました。夫を疑ったということではなく、差出人名がなかったのであまり気にもせず開けたんです。するとそこには「娘が結婚することになったので、一度会ってやってほしい」と書いてありました。文面からその娘というのが夫の子であることは明らか。年齢からすると、私と結婚したのとほぼ同時期に生まれたらしいのです。結婚前にそんなに親しくお付き合いしていた人がいるなんて聞いたこともないし、私とも5年間お付き合いをして結婚したので、手紙に書いてあるのが本当なら、夫は二股をかけていたことになります。しかも、子どもがいたなんていうことになったらまさに隠し子。相続にも影響してきますから、意を決して夫に手紙を見せて、問いただしたんです。夫は肯定するでもなく否定するでもなく、そんなの知らないの一点張り。手紙を見て「なんだこれは」と言って、私の目の前で手紙を丸めて捨ててしまいました。それから1ヶ月。その後は何もありません。でも、夫の様子も何となくぎこちないし、相手の女性がまた何か言ってくるのではないかと毎日不安でたまりません。

【A】
差出人のない手紙、しかも内容はあなたがビックリ仰天する話。テレビドラマや映画ならここから物語が幕を開け、過去が暴かれていくことでしょう。しかし当事者である夫本人は「「なんだこれは」と言って私の目の前で手紙を丸めて捨ててしまった」とのこと。「夫は肯定するでもなく否定するでもなく」ではありますが、「そんなの知らないの一点張り」ということなので、少なくとも肯定はしていません。むしろ「そんなの知らない」と言っているわけですから、否定ということになるでしょう。
であるならば、これが過去の真実であろうが、お二人をうらやんで壊そうとしている人の仕業であろうが、追求するのはむずかしいですね。真実であっても、その娘さんに会いに行くか行かないかは「夫」の心一つだし、娘さんが本当に会いたがっているかも不明です。差出人もないということなら認知はしてないでしょう。
相続のことを心配していらっしゃいますが、認知していないのであれば相続権はありません。もし認知されているということになれば、相続権は存在します。
認知されていない場合でも、その娘さんが、あなたの夫が実の父親であることの確認の訴えを起こし、DNA鑑定まで行けば違った展開になるでしょうが、1ヶ月間何の動きもないとすれば、それは杞憂かもしれませんね。夫の様子が何となくぎこちないと思うのは、あなたの思い込みかもしれません。このことが事実か事実でないかはあなたにとって大変大切なことでしょうが、一通の差出人のない手紙を巡って長い夫婦生活が壊れかけていることの方がむしろ問題です。
夫が「知らないの一点張り」なら、なぜ突然こんな手紙が舞い込むのか、心当たりらしいものはないか、夫と二人でこの不審な手紙の謎を探ってみるとか、むしろ、安定した夫婦関係に妻としてあぐらをかいていたかもしれず、このピンチをチャンスに変える知恵を出してみてはいかがでしょうか。夫婦の刺激剤として、緩みかけていた関係に新鮮さを取り戻せるかもしれません。
それでも「知らないの一点張り」で、あなたがこの夫婦関係を崩したくないのなら、不信感を胸に残しながらも、そっとしておくより仕方ないですね。
(文:大関洋子)

2017/12/26(火)
第132回【恋愛編】「彼から堕ろしてと言われ…」
【Q】
彼は同級生で大学3年生の時に付き合い始め、今年で5年です。大学4年生の時に1度妊娠したんです。その時は、まだ学生だし、私も大学を中退したり、休学したりするのは嫌だったので、二人で相談して中絶しました。初めての妊娠でしたけど、私にも迷いはありませんでした。それから4年、先日妊娠したことが分かりました。彼とは結婚を考えているので、私は今回は産みたいと思っていたのですが、彼は「でき婚」は周りからだらしのないカップルみたいに思われるから今回も堕ろして、結婚してからもう一度作ろうって言うんです。まさかそんなこと言われると思ってもいなかったので、今回の妊娠は嬉しかったし、これで結婚のきっかけができたという気持ちもありましたから、なおさら彼の言葉には失望しました。私としては彼との結婚は止めようという方向に傾いているんですが、結婚しないとしても子どもは堕ろしたくないんです。でも、シングルで育てる自信もないし、もし子連れということになると次の恋愛、結婚も難しくなるし…。とても困っています。
【A】
とても困っていらっしゃるでしょうね。お察しします。結論から申し上げると、こんなことを言う男とは即刻別れた方がいいでしょう。2人の間で授かった新たな命をこんなにも軽々しく堕ろすよう勧める男性は,人を愛したり共に人生の苦楽を乗り越えていくに値する相手とは思えません。人間の尊厳を傷つける人と言っても過言ではありません。
堕ろして欲しい理由が「でき婚」は周りからだらしのないカップルみたいに思われるから、というのもとんでもないことです。人から何と思われるかで1つの命を絶ってしまい、なかったことにして結婚してからもう一度作ろうという無責任な考え方こそ、何てだらしない生き方なんでしょう!そういう人生観の持ち主だったことが5年たって、2度の妊娠を経て分かったわけですから、これ以上、彼と一緒にいてもろくな結婚生活にはならないことでしょう。
私は「彼との結婚を止めようという方向に傾いている」というあなたの考えに賛成です。ただし、今、新たな命があなた様の体内で芽吹き、日々、育っている。その事を考えると、とにかく、命がけ、本当にひとつの命がかかっているのですから命がけで彼と話をしてみてください。「今回はどうしても産みたい、堕ろしたくない、結婚しないとしても子どもは産みたい」という強い気持ちを何度も何度も話してみてください。シングルで育てる自信はないけれどそれでもそうしたいくらいに産みたいという決意と覚悟を訴えてください。恋人同士の2人にとってはとても悲しい話し合いですが彼の根本的な人生観、価値観を変えてもらって2人でこの命を育み成長を見守っていくのがベスト(いや、もうこんな人あきれて物も言いたくないという気持ちではありましょうが、彼がこの説得で人生観を変えてくれればの話です)ですよね。あなたの命がけの説得で奇跡が起こる可能性にかけて早速やってみてください。
その結果が妊娠12週を過ぎても出ないとその後中絶する場合、母性保護法などで決められている初期中絶の期間が過ぎ、中絶は中期中絶として死産届や火葬が必要になったりします。シングルで育てると次の恋愛、結婚も難しくなると不安を募らせているその気持ち、そして2人の間の命をどうしても産みたい覚悟を訴えてみてくだささい。まあ偽善的ではありますが、彼の言い分を少し入れて、大至急籍を入れ「ハネムーンベビー」という、やりたくはないですが少し妥協案も出してみますか…。それでも彼が納得しないのであれば、命や人の尊厳を軽くしか考えないひどい男だったと諦めて、次に一人でこの子を育てる方策を考えてみましょう。覚悟ができれば助けてくれる人は現れるものです。もちろん、新しいパートナーも…。
(文:大関洋子)

2017/12/18(月)
第131回【職場編】「上司にいきなりキスされて…」
【Q】
ちょっと前になりますけど、職場場の上司にエレベーターの中でいきなりハグされそうになったんです。すっと身をかわして、その時はハグされなくてすんだんですけど、つい先日、私だけ会議室に呼ばれて会議室に行くとドアを閉めた途端キスされたんです。あまりに突然だったので、よけきれなくて頬にキスされました。社内の相談室に相談に行こうと思っているんですけど、その2回のことを除けば、他のどんな上司や先輩よりいい人だし、迷っています。それに原因を作ったのは私かなあ…と。上司の誕生日にみんなでプレゼントをしたんです。その時私だけ乗り遅れちゃったんで、一人でネクタイをプレゼントしました。おしゃれな人なのでちょっと派手目なやつだったんですけど、翌日してきてくれて、けっこうみんなに褒められてるのに、私からもらったって言わないんですよ。たぶん私の気持ちを勘違いしちゃって、私からモーションかけているように思ってるんだと思います。

【A】
これは、2つの観点から考えられますね。
1つは、社内のセクシュアルハラスメント(セクハラ)という観点、もう1つはあなたに対する強制わいせつ罪という観点です。セクハラという観点から言えば、明らかにセクハラですから、すぐに会社の相談窓口へ話しべきと考えます。たとえあなたがどんな理由で一人だけ別にネクタイを贈ったとしてもです。
セクハラ対策は、セクハラの有無に関係なく、事業主の義務として厚生労働省は定義づけています。その第2条で「セクシュアルハラスメントとは、職場における性的な言動に対する他の従業員の対応により、当該従業員の労働条件に関して不利益を与えること」としています。セクハラは受け流しているだけでは状況は改善されませんので、不快と感じる性的な言動を受けたときは、我慢したり無視したりするのではなく、はっきりと拒絶の意思を相手に示してください。厚生労働省の定義は少々堅苦しく書かれていますが、簡単に言えば「性的なことに関する嫌がらせ」を指します。例えば、男性上司が女性の部下に「最近太ったんじゃない?」と言うこともセクハラになりますし、職場のカレンダーやポスターがセミヌードの女性(または男性)で、それを見て不快と感じればセクハラに当たります。「髪、切ったんだね」というような身体的なことに対する声がけも不快だと感じれば該当します。加害者にはまったくそのつもりがなくても、被害者が嫌だと感じればセクハラになります。
もう1つの観点は、強制わいせつ罪という観点です。
刑法176条は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつ行為をした者も、同様とする。」と強制わいせつ罪を規定しています。条文を読む限りでは、「暴行又は脅迫」なんて受けていないとお考えになるかもしれませんが、「無理やりキスをする」のは、強制わいせつという判例があります。自由を奪うような行為全体を暴行と考えるので、無理やり抱きついて身体を触ったり、キスをしたりする行為も強制わいせつ罪が成立するということです。ただし、実際に罪に問えるかというとどう立証するか問題があるので、密室での行為ということになると、怪我を負っていたり、防犯カメラに録画されていたりしない限りハードルは高いと言えます。
あなたの場合、2度とこのような行為を受けないためには、まず社内の相談室に相談しましょう。男女雇用機会均等法は事業主に対し「対策を講ずる義務」を規定しています。会社の相談室を利用しづらい場合は、都道府県労働局の相談窓口も利用できます。
(文:大関洋子)

2017/11/06(月)
第130回【子親編】「姑と同居したら…」
【Q】
昨年義父が他界したことをきっかけに、義母と同居しました。義母は、私の妻として、嫁としてのやり方がよほど気に入らないらしく、いちいち口出しをします。「洗濯物は乾燥機で乾かすんじゃダメよ。消毒の意味もあるんだら日光に当てないと」「味噌汁は出汁の素じゃダメ。美味しくないし健康によくないし」「掃除は丁寧にね。窓を拭いたら最後はから拭きしないと」等々。私も仕事をしているので、とてもそこまで手が回りません。夫とは、家事より仕事ということでお互い納得しているので、夫も家事を分担してくれています。義母は夫が家事をやっていることが気に入らないのでしょうか?とうとう最近では「あなたたちもう少しちゃんとした夫婦になりなさい」と。私も夫も、十分ちゃんとして夫婦のつもりなんですが。義母と喧嘩せずに同居を続けるにはどうしたらいいか困っています。

【A】
今年のジェンダーギャップの順位は、前回の順位より3位後退して過去最低を更新、144カ国中114位になりました。11月5日の朝日新聞朝刊「ひもとく」の欄に「「女性の活躍」って」と題する記事が掲載されており、「すべての女性が輝く社会作り本部の会合」とのキャプション付きで、安倍首相の他11人のメンバーが写っている写真(今年6月のもの)が載っていました。本部名からして担当大臣は当然女性だろうと思いきや、「加藤勝信」というれっきとした男性、しかも写っている11人のうち女性はたった1人という有様です。
さて、あなたは夫婦の間で「家事より仕事」ということでお互い納得されているわけですが、お義母様の時代はまだまだ「女は家事育児」「男はしっかり外で仕事」という時代。そんな時代を生きてきたお義母様の言う「ちゃんとした夫婦」というのは、妻が洗濯物を晴れた日にパンパンと手で叩いて干し、味噌汁の出汁は煮干しか鰹節から取り、窓拭きは水拭きしたあと乾拭きし、そして美味しい食事を作って出し、後片付けまでちゃんとやる。そしてまた翌朝には、夫より早く起きて朝食の支度、洗濯、掃除…。そういうイメージです。
そんなお義母様と喧嘩せずに同居を続けるというのは無理というもの。どうしても喧嘩をせずに同居を続けるというなら、お義母様の言うことを聞いてすべてこなしても、それほど大きな手間と時間になるわけではないので、すべてこなすしかありませんね。「やっぱり洗濯物は日当たりに干すと日光の香りがして気持ちいいですね」「やっぱり煮干しで出汁を取ると味噌汁が美味しいですね」「窓ガラスは乾拭きするとピカピカになりますね」という具合にです。
お世辞や我慢では続かないので、あなたが少しずつそういうやり方に慣れ、あなた自身もそういうやり方の方がよりいいと感じるようになることです。ただし、それらの家事をすべて妻であるあなたがやるのではなく、夫にも分担してもらいましょう。いきなり全部こなすのが難しいようであれば、まず1つ、少し慣れたらもう1つと、徐々に増やしていってみてください。そうしながらお義母様と仲良くなっていってください。
もし、あなたのやり方をお義母様に受け入れてほしいということでしたら、夫との家事の分担を徹底し、お義母様があなただけでなく夫にも注意をしなければならない状況を作りましょう。息子には言いにくいものですよ。その上で、お義母様にご夫婦2人で「家事より仕事」という話をしてみましょう。お義母様とあなたの問題として解決しようとするのではなく、お義母様とご夫婦の問題として解決するようにしてみてください。
(文:大関洋子)