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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2013/11/22(金)
第39回【親子編】「いくら何でも父親を避けすぎじゃない?!」
【Q】
高校1年生の息子と中学2年生の娘がいます。夫婦仲も悪くはないし、親子関係もいいし、とてもいい家族だと思っています。でも、最近それが崩れそうになってきました。というのは、娘が極端に父親を嫌うんです。父親が入った後のトイレは除菌スプレーを持って入り、トイレ中にスプレーしてから入るし、お風呂は息子の後は気にしないのに、父親が入った湯船には絶対入らずシャワーだけ。流しのボールに父親が使った茶碗が浸けてあると、別なボールに水を張り絶対父親の茶碗と同じ水には浸けない。あまりにひどいので、はっきり聞いてみたところ「だってお父さん、臭いし汚いんだもん!」と言います。私から見たら全くそんなことはありませんし、息子もそんな風には思っていないと思います。2、3年前までは、一緒にお風呂に入ったり、一緒に遊ぶことも多かった子なんです。父親と娘は仲がいいという話をよく聞きますが、うちは全く逆なんです。

【A】
よくあることです。女の子の心理的発達の一つの通過点と考えてください。「男性」という性を意識し始めたことの表現で、「男性」の代表が父親なのでしょう。この年齢の女の子は極端に父親を避けてあなたの娘さんのような行動を取ったり、もっとひどくなると「お風呂で裸になるのも嫌」という子や「お父さんに話しかけられるのも、話しかけるのも嫌」と言って、一切口をきかない時期のある子もいます。人間は何の関心もない人には「好き」とか「嫌い」とかの感情は抱かないものです。強い嫌悪感を表す心の裏側、潜在意識の底には、相手に強い関心を抱き、相手から関心を持ってもらいたいという気持ちが存在します。娘さんも無意識に「男性」や「性」に関心を抱き、それが「父親」という対象に向けられたのです。高校1年生の「兄」は対象外なのです。「父親」は「母親」のパートナー、「母親」の「性」の相手と捉えているので、同じ家の中の男性でも「兄」に対しては嫌悪の感情を表さないのに、父親に対しては「これでもか、これでもか」というほどの態度を示します。本人もわざと意識してやっているわけではなく、内面のもやもやしたものがうまく表せず、極端な行動に出るわけです。初潮が始まり、毎月やってくる月経や胸の膨らみ、身体全体が丸みを帯びてくる自分の身体の変化に精神的な成長が追いつかず、戸惑っている時期なのです。

「お父さん、臭いし、汚い」というのは、実際に臭かったり汚かったりするのではなく「性」を汚れたものと感じ、それに関心を持つことへの恐れとか不安とかを表していると受け取ってください。夫婦仲も親子関係も悪くないということですが、子育ての中で小さい頃から「あなたは女の子だから」とか「女の子なのに」とか、「男は男らしく、女は女らしく」という昔ながらの価値観で性的役割の期待に基づいた言葉かけをしてきませんでしたか? また、「性」に関わることをタブー視してきませんでしたか? こうした伝統的、保守的なタイプの子育てをする子どもは小さい頃から性的役割を意識した行動を心がけるようになったり、「性」に関心を持つことを好くないことと思ったりする傾向があります。すると、思春期に「性」を意識し、関心を持つことに罪悪感を抱き、娘さんのような行動を取って、異性への関心を表現することがあるようです。

あと数ヶ月、叱ったりり問い詰めたりせず、そっと見守ってあげてください。クラスで好きな子でもできれば関心はそちらに移ります。お父さん(夫)とは、娘さんの行動の気持ちの「わけ」をよく話し合っておいてください。
(文:大関洋子)

2013/11/07(木)
第38回【夫婦編】「不妊治療してるんですけどセックスレスなんです」
【Q】
結婚して10年になります。夫は結婚直後から「子どもはほしくない」と言い続けていたので、私もほしくないと言っている夫を説得してまで子どもを作ろうとは思いませんでした。でも私も38歳。後がなくなってきた今では、どうしても子どもがほしいっていう気持ちが強くなってきたんです。夫に気持ちを伝えたら、夫も反対はしなかったんですけど、実は3年前からセックスレスなんです。セックスレスで子どもはできるわけないんですけど、産婦人科に相談に行ったら、いろいろ調べられて、「不妊治療をしましょう」って人工授精を勧められて…。妊娠だけを考えたら、私の年齢では当たり前なのかもしれないけれど、子どもがほしいていう私の気持ちって少し違うような気がするんです。

【A】
男性の性行為は、「種の保存(遺伝子のコピー)」が原点ですが、人間だけはコミュニケーションの大切な手段として発達してきました。「種の保存」としてのセックスは営みならば繁殖期にだけ性行為を行えばいいわけですが、私たち人間は排卵期にだけ性行為をするわけではありません。大型ほ乳類は、遺伝子的には私たち人間と従兄弟に当たるくらいの類似性がありますが、彼らも繁殖期には繁殖期であることが分かるよう雌のおしりが赤く腫れたり、仕草が変わったりします。雄は、外見からだけでも繁殖期と分かる雌と性行為を行うことで妊娠につながる仕組みになっています。最近の研究では、大型類人猿の種であるボノボは、種の保存が目的でない性行為を行っていることが分かってきました。友好、友愛を示す性行為を繁殖期でない時期に行って、親密度を深めたり、行為自体を楽しんでいる写真が発表されています。

さて、あなたのご夫妻の場合、愛のメッセージとしての性という点がすっぽり抜け落ちたまま種の保存、妊娠のみを目的とした人工授精に一足飛びに行く方法をドクターから勧められているわけです。あなたも「子どもがほしいっていう私の気持ちって少し違うような気がする」とおっしゃっているわけですから、まずは夫との話し合いをなさってはいかがでしょうか。なぜセックスレスになっているのか、どうすればそれが解消できるのか、そちらの問題解決が先だと思います。「夫も子どもを作るということは反対しなかった」とのことですから、あなたのことを嫌いになったとか、今後離婚を考えているとかいう、2人にとって危機的な状況ではなさそうですが、このままその点を飛び越して人工授精を行うことは2人の愛とか心とかいう目には見えないけれど大切なものに背中を向けて人生を歩いて行くことになります。

最近、私のカウンセリング研究所でもこのようなご相談がありました。実際にこういう形で第一子、第二子と出産し、子宝には恵まれたものの、何かずっと違和感があるということでした。

「いろいろ調べられて」とのことなので、ドクターとしてはセックスレスも「不妊」の一つと診断して、一足飛びに人工授精を勧めたのでしょうが、心理カウンセラーとしては、その前のご夫婦の話し合いをぜひ行っていただきたく回答申し上げます。
(文:大関洋子)

2013/10/17(木)
第37回【恋愛編】「真剣でまじめな様子の彼に惹かれる私」
【Q】
彼とは英会話スクールで知り合いました。将来の海外勤務に備え、英会話を学んでいるとかで、スクールの中でも目立って熱心な人でした。私は海外旅行のために日常会話ができればという程度だったので、彼の真剣な様子に惹かれて付き合い始めました。付き合い始めて半年になりますが、とにかく彼はまじめ。何に対しても真剣に取り組みます。それはそれでいいことなんですが、そんな彼から見ると私の行動はすべていい加減に映るらしく、いつも私のやり方を非難します。関係が近くなったこともあり、最近は彼も遠慮がなくなり、私を怒鳴ることもしばしば。別れようかと思うこともありますが、堅実で、何に対しても真剣な彼の生き方は、正反対な性格の私にとっては、とても魅力的に映ります。

【A】
結論から言ってしまえば、なるべく早く別れてください。
あなたのやり方を「いつも非難し」たり、「関係が近くなったこと」 で「遠慮がなくなり私を怒鳴ることもしばしば」とのこと。「別れようと思うこともありますが」と言いながら、「自分の性格と違って堅実で真剣なところが魅力」と言ってズルズル付き合っているようですが、交際して半年で非難したり怒鳴ったりする男性は、結婚すればかなりの確率で暴力をふるうようになります。
いわゆるDV夫です。

あなたにはまじめで何事にも真剣な彼の性格と生き方が今は素敵に見えるのでしょう。けれども、「まじめさ」というのは、裏を返せば「心が狭く、自分の考え方や感じ方と違う人を許すことができず、真剣さが度を超して、怒鳴ったり叩いたりということ」になりかねません。

私のカウンセリング研究所に相談に来る方の多くは、「結婚するまでは大声も出さず優しかったし、まじめで何事にも真剣な人だなあと思って結婚したけれど、間もなく怒鳴る、蹴るになった」と言います。暴力が始まっても「私が悪いんだから」と思って我慢しているうちに子どもが生まれ、今度は「子どもを私一人では育てられない」などと思って、また怒鳴られ、殴られ続けてしまう人もいます。しかも、それを見て育つ子どもたちにも、手が震えたり、言葉が出なくなるというような影響が出たりもします。

あなたを速く別れさせるために脅しているわけではなく、人は非難され続けたり、怒鳴られ続けたり、殴られ続けたりしているうちに、正常な判断能力がなくなって、いわゆるマインドコントロールされた状態になってしまいます。それを見ながら育つ子どもたの中には、びくびくして発達が遅れたりする子出てきてしまうのです。

今ならまだ間に合います。一日も早く別れてください。
私たち人間の特徴の一つに、一人ひとり違うこと、多様性があります。あなたが自分の持っていないまじめさに憧れを抱く気持ちは分かりますが、もし彼があなたを真剣にまじめに愛してくれているのなら、あなたの持つ性格もプラスに受け取って、決して非難などせず、彼の持っていない「持ち味」として大切にしてくれるはずです。
どうぞ、そういう方をパートナーに選び直してください。
(文:大関洋子)

2013/10/03(木)
第36回 【職場編】「だから女はだめなんです」
【Q】
私の会社には、40代後半のお局様みたいな人がいるんです。お局様っていうと、何となく怖そうで嫌なイメージですけど、私は必ずしもそうは思っていなくて、「面倒見のいいお姉様」っていうイメージで捉えています。でも、仕事はちょっとっていう感じかな。つい先日、そのお局様が、入社2年目の男の子に、お説教っていうかちょっと注意をしたらしいんです。中身はなんだったか分からないんですけど、そしたら、その男の子が「そんなこと僕だって分かってますから。いつもいつもうるさいんですよ」とか言ってぶち切れちゃったんです。それで終われば二人の問題でよかったんですけど、その男の子、そのあといろいろな人に「だから女はだめなんですよ。僕は女になんか言われたくないですね」なんて誰かれかまわず言うもんだから、若い女の子たちは、「お局様のせいで私たちまで悪く言われちゃってる」ってむくれちゃうし、女の先輩たちは、「ガキのくせに態度でかすぎ」ってカンカンになるしで、会社の中めちゃめちゃなんです。

【A】
「女性も学びたい!」と声を上げたために銃で頭を撃ち抜かれた15歳の少女マウラさんの事件はまだ記憶に新しい。私にはこの事件は衝撃的でした。その上、瀕死のマウラさんが入院したイギリスの病院の周囲を「アイ アム マウラ」と書いたプラカードを持った女性たちが彼女の命を助けてほしいと祈っていた1枚の写真も私にはショックを与えました。イギリスという先進国でもまだ女性たちは自由に学べなかったという事実を知ったからです。

1789年に起きたフランス革命の人権宣言は男性の権利しか規定されていなかったので、翌々年、オランプ・ド・グージュが「女権宣言」を発表したのですが、彼女の行動は「扇動罪」と断定され、1793年にギロチンにかけられました。世界で最初にフェミニズム(個人の尊厳を訴え、性差別の撤廃を求める)の声が上がったフランスでも、こんな悲惨な歴史があったことは、あまり学校でも教えてくれません。日本では女性が選挙権を持てたのは1945年、第二次世界大戦に敗れたあとのことです。私たち女性が選挙に行けるようになって、70年そこそこなんですよね。

「お局様」という言葉も江戸幕府の大奥で将軍のお世継ぎ誕生のために集められた女性たちの中で、もう「性」のお相手ではなくなった女性が「局」(部屋)を与えられて、若い女性の教育係にされた歴史からきた呼称で、決して尊敬や信頼を込めた呼称ではなく、「年を取って使いものにならなくなり、若い女性に嫉妬心を持っている女性」を表現する時に使います。

現にご相談者の職場でも、女性自らが「お局様みたいな人」と呼んでいるのが「女は若いうち」という差別と偏見に満ちあふれていることがわかります。まずあなた自身の中にある「女は若くて、かわいくて何も言わずにおとなしいのがいい」という偏見を捨ててください。40代後半のその女性は「怖そうではなく面倒見のいいお姉様」というのならなおさらです。

女の先輩たちは「ガキのくせに!」って怒っているというのですから、どうぞ仲間割れしないで、あなたも一緒にそこに加わり「女はだめ」「女になんか言われたくない」と明らかなセクハラ発言をした男性に異議を申し立ててください。
このまま「お局様のせいで」などと甘いことを言っていると10年、いえ5年後にはあなたも「お局様」と呼ばれ、陰口を言われます。この際、きっちり上司に話し、男性全員に指導させてください。

「女性にも男性と同じ人権を!」と主張してギロチンにかけられた200年前の女性の死を無駄にしないためにも、また売春防止法により、それまでの国策としての売春が禁止された現在でも、未だ性を売る女性が罰せられ、買う男性が罰せられないという差別をなくすためにも、「だから女は・・・」という言葉を私たちの中から消していきましょう!
(文:大関洋子)

2013/09/20(金)
第35回 【子親編】「女なんだから××」なんて…
【Q】
義父は戦前の生まれ。何かにつけて「女なんだから××」と言います。特に「嫁」については「こうあるべき」という考えがあるらしく、他の立場の女性に比べ私には厳しいように感じます。私が義父に最初に注意されたのはお茶の入れ方。義父にお茶を持っていくと、「女なんだからお茶くらい入れられなくてどうする!こんな薄いお茶はお茶じゃない。入れ直してくれ」と言われました。大声で怒鳴られたわけではないけれど、すごく怖かったし、腹も立ちました。女だからお茶をちゃんと入れられなきゃならないわけじゃないし、だいたい私の両親は薄いお茶が好きだし…。「そんなのおまえの好みの問題だろ!お茶くらい自分で入れろ!」と言い返したいくらいでした。夫の実家に行って義父に「女なんだから××」と言われないことがありません。私は両親に「女だから」と育てられたことはないし、強い違和感を感じます。夫の父ですからなんとかうまくやりたいと思うのですが…

【A】
女性は、幼い頃、「女」へんに「良い」と書き娘と言われ、結婚すると「女」へんに「家」となって「嫁」になる。そして「嫁」が年を取ると「女」へんに「古い」と書いて「姑」になる。「女」へんの字を上げてみるだけでなんて腹立たしいことでしょう。ポジティブな字はあまりありません。「女」の「子」と書いて「好き」という字があります。「好き」という意味を考えるといい意味にも取れますが、「女」は「子」でなくてはならないわけで、私のように年寄りは「好き」ではなくなってしまいますね。「娘」も同様ですね。
「姦」なんて最悪です。女が3人寄れば「姦しい」(かしましい)。「うるさくてたまらない」という意味です。小学校のPTAで講演に呼んでいただいた時、この話をしました。「男」という字を3つ書いたらどう読むのでしょう?と尋ねたら、皆さん首をひねっていました。私が黒板に「男という字を3つ書いて「うっとうしい」はどうでしょうと言うと、100人くらいの皆さんが大笑いになりました。大勢の中に男性は校長先生とPTA会長さんだけだったんです。ちょっとばつが悪かったでしょうか…。
もちろん、「男」を3つ書く字なんてないんですが。

さて、私たちの文化や生活はいわゆる男尊女卑と言われる歴史の上に長い間暮らしてきました。皆さんご存じのシンデレラは、フランス語で「灰かぶり」という意味で、いつも台所でかまどの灰をかぶって料理や洗濯、掃除をしているということです。シンデレラの展開は、魔法使いのおばあさんの助けでパーティーに行かせてもらって、そこでガラスの靴が脱げて…。白雪姫も皆さんご存じですよね。毒リンゴを食べて仮死状態なって、そこへ王子様がやってきて…。どちらもじっと待っていると最後は幸せになれるというお話しです。
ところが、人魚姫はどうでしょう。人魚姫は自ら王子様が好きになり、その気持ちを必死に王子様に伝えようとします。けれどもそれは果たせず、最後は海の泡となって消えてしまうのです。
これらは200年ほど前の童話ですが、このような童話の中にも女性はどうあるべきかがしっかりと示されているんです。男性は女性の身ごもる子どもが誰の子どもかはっきり分からないので、確実に自分の遺伝子を守るためには、女性を家に置いておく必要があったのです。

さて、シンデレラや白雪姫の話から200年ほど後世に生きているあなたは、義父に「お茶くらいご自分でどうぞ!」と言ってみますか?
それもいいかもしれませんが、解決にはならないので、「男」は「男」で、白馬に乗って登場しては、死体を「美しい!」と言って抱き上げなければならない辛い歴史の中に生きている、空威張りばかりしている気の毒な存在とでも考え、双方で少しずつ「女なんだから××」という回数を減らす努力をしてみてはいかがでしょうか。「男尊女卑」は女だけでなく、男もしんどいものですから。
(文:大関洋子)

2013/09/05(木)
第34回【親子編】「息子はかわいいのに娘はかわいくない」
【Q】
小学5年生の息子と3年生の娘がいます。息子はよく私のそばに寄ってきて、手伝いをしてくれたり、肩を揉んでくれたり・・・。たまには、私に逆らって、怒鳴り合いになることもありますが、しばらくすると息子の方から寄ってきて、私にお世辞を言ったりします。そんな息子を私もかわいいと思って、息子のためには何かやってやろうかなと思うのですが、娘は全然違って、私が何か頼んでも、全然言うことを聞かないし、それを怒ると開き直って、かえって険悪な状態になったりします。そうなると、2、3日口をきかなくなることもしばしばで、私にとって娘は厄介者でしかありません。そんな気持ちを子どもたちにも、夫にも悟られないようにしているつもりですが、先日、夫から、「2人を平等にかわいがってやらないとまずいだろっ?!」と言われてしまいました。

【A】
100年ほど前に精神科医フロイトは「エディプスコンプレックス」という言葉を使って、ご相談のような状況を説明しています。つまり、子どもが初めて異性として関心を持つのは、男の子なら母親、女の子なら父親であるというのです。この学説に基づけば、あなたの気持ちは「当然」ということになります。「エディプス」(オイディプス)は、ギリシャ神話に登場する王の名で、その神話は予言者に「生まれてくる王子は父を殺し母と結婚する」と告げられた父に一度は捨てられたエディプスが、結局父親とは知らずに父を殺し、母親とは知らずに母を妻としてしまい、母は自害、エディプス自らも目を刃物でえぐってしまうという悲劇です。
エディプスコンプレックスについては、フロイト自身も、幼いころ、母に淡い恋心を抱いた記憶を記しています。

皆さんのご家庭でも、少なからずこの傾向はあって、幼い息子に「大きくなったら、僕、お母さんと結婚する」とか、幼い娘に「私、お父さんと結婚する」とか言われ、なんてかわいい息子、なんてかわいい娘なんて思ったことがあることと思います。だから、子どもたちにとっては、異性親が、まあ初恋の人のようなもので、同性親はライバルということになります。もちろん、この内面の心理は、発達とともに薄れて、忘れられていきます。息子たちは父をライバルとし、娘たちは母をライバルとしつつ、それを乗り越え発達していくというわけです。

あなたは、人間としての発達の一つの段階を体験しているわけで、夫の言葉は、無意識のあなたの意識を指摘したことになるわけです。もしかすると、あなたの夫には、娘をかわいいと思うような、あなたとまったく逆の感情が無意識にあるのかもしれませんね。

この状況は、それぞれ同性親を無意識にライバルとして感じることで、子どもたちの発達を促すのですから、いつまでも続くと俗にいう「マザコン」「ファザコン」と言われる過剰な関係の母と息子、密接過ぎる父と娘となって、発達を阻害することになります。夫から指摘を受けたことをきっかけに、「あって当たり前のことではあるけれど、度を超すと子どもたちの発達に支障がある」と考えてみてください。おそらく、あと2〜3年もすると、自然に息子さんはお母さんから離れていき、娘さんが近づいてくるはずです。そのとき、息子さんを自分の方から離してやれる母親になってください。息子さんを「良くいうことをきく夫」「自分の都合のいい改造夫」に育てないことを願います。

最後にもう一つ。これは私の浦和カウンセリング研究所にもよくあるご相談なんですが、母親が兄や弟をかわいがると、女の子たちは、「お母さんは私が女だからかわいくないんだ」「お兄ちゃんや弟は男の子だから大切なんだ」と受け取ってしまい、成長の過程で「女だから」という言葉を自己卑下として伸び悩んでしまうことも多いので、十分注意してください。
(文:大関洋子)

2013/08/22(木)
第33回【夫婦編】「真っ直ぐ向き合おうとしない夫」
【Q】
33歳、結婚して5年になります。子どもはほしいと思うんですがまだいません。夫と知り合ったのは、OL時代によく行ったパブでした。仕事をしてる時って、いろいろなストレスがあるので、仕事帰りに友達と飲みに行くことが多かったんです。夫もよく友達と飲みに来ていて、意気投合したっていうか・・・。夫婦として、仲がいいとも悪いとも・・・。でも、最近どうしても納得がいかないことがあるんです。それは、夫が私と真っ直ぐ向き合おうとしないこと。つい先日も些細なことで喧嘩になったんですけど、私が本気で怒ってると思うとすぐにお酒を出してきて飲み出すんです。そうなると、私の話をまともに聞こうとしない。子どもの話題でもそうです。そろそろ不妊治療も考えた方がいいんじゃないって言っても、そうだなとは言うけれど、そんな時もすぐお酒。ああ、まともに話をする気がないんだって・・・。真っ直ぐ向き合わない夫婦なんて、夫婦でいる意味がないと思います。

【A】
結婚して5年、夫婦として夫が真っ直ぐに向き合ってくれないという相談ですね。「男はなぜ結婚する」のか?と考えてみることにしましょう。なぜヒトの進化の過程で結婚という配偶形態が生まれたのか?という問いは「なぜ一人の女に何十年にもわたって資源を提供し続ける男たちが生まれたのか?」という疑問になります。もしヒトの子どもがオス、いえ男性の助けなしには育たないなら、その助けが必要な期間だけ一緒にいて、さっさと次の相手を探した方が自分の遺伝子をもった多くの子孫を残せるのになぜそうしないのかということです。ヒトの男性の妻子への献身度は、他の大部分の哺乳類のオスが子育てに参加しないのに比べ、例外的に高いと言えます。オスが子育てに参加する種は5%にも満たないのです。
なぜ?という疑問が湧きますが、1つの理由は献身の証しを示さないとセックスすることが難しく、従って自分の遺伝子をもったコピーを残すことができないということでしょう。女性にとってセックスすることは妊娠の可能性、そして9ヶ月のわたる妊娠期間、厳しい出産、さらに授乳を含む数年にわたる子育ての覚悟が必要なのです。今のような避妊手段のなかった昔のこと、これだけの大仕事をしなければならない私たち女性は、当然セックスをする前に男の献身の証しがほしいのです。そして男たちはあの手この手で献身度を示します。危険な狩りの結果手に入れた獲物を相手に差し出したり、安全な隠れ場所を提供したり・・・。女性はセックスだけ求める男ではなく自分や子どもを守ってくれる男かどうか時間をかけてじっくり見定めます。そしてそのテストに合格するため男たちは最大の献身の証しである永続的な配偶関係=結婚を約束することになるのです。

また、そうすることによって人間の女性だけは排卵期がハッキリわからず、妊娠可能な時期だけ発情して交尾する他のメスの種とは違うことも、「結婚」という形態の発生のもとだと言われています。排卵のサインを出さないヒトのメスを長期間独占しておくことにより、オス(男)生まれた子がほぼ自分の子だという証しを手に入れるための形が「結婚」ということでもあります。
科学が進歩してそういった結婚の原点の理由はなくなりました。だからこそ、ヒトの夫婦はしっかり向き合ってこそ夫婦。あなたのおっしゃる通りです。

行きつけのパブで知り合ったとのこと。当時はお二人ともストレスをお酒で解消していたわけですよね。あなたの夫は、それが今も続いているとあなたは感じている。それでは、あなたはどうでしょうか?様々な問題と真っ直ぐ向き合っていますか?もしかすると、夫から投げかけられた問題に真っ直ぐ向き合っていないのかもしれません。妻であるあなたも永遠の献身を相手にだけ求めるのではなく、彼から投げかけられた問題にあなたご自身が真っ直ぐ向き合っているかどうかの検証からはじめてみてください。
(文:大関洋子)

2013/08/08(木)
第32回【恋愛編】「えっ? 二股!?」
【Q】
彼と付き合い始めて1年半です。女友達と飲みに行った居酒屋で隣が隣どうしになって知り合いました。「ナンパ」だったら付き合い始めなかったと思うんです。でもその時は、私が醤油差しを倒して、彼のズボンを汚してしまったので、「クリーニング代も出さなきゃ、菓子折くらいは送らなきゃ」って思って、住所とメールアドレスを私の方から聞いて、だんだん連絡取るようになって・・・。そんなやり取りの中から、いい人だなって思って付き合い始めたんです。私は、結婚も視野に入れています。ところが先週、私くらいの年齢の女性と二人でコース料理を食べているのを目撃しちゃったっです。それって普通じゃないですよね。「えっ? 二股!?」って思いました。彼って全然そんなことしそうなタイプじゃないので、自分の目を疑いましたけど、どう見たって彼だし・・・。その話を真っ直ぐ彼にぶつければいいのかもしれないけれど、「いやいや、何か事情があるんだよ」と思う私もいて、彼には切り出せません。

【A】
「結婚」を視野に入れている、とおっしゃっていますが、そのことは彼とも何度も、いえ何度もでなくても何度かでも話し合われたのでしょうか?
折角、こうしてご相談くださっているのに、最初から厳しいことを申し上げることをお許しください。

実は、こういった思い込み、思い違いによりトラブルのご相談が私のところにはたくさんきます。それでまず、そのところを確認させていただいたわけです。私たちは、物事を自分の都合のいいように考える傾向があり、そのおかげで相当ひどい状況におちいった人生でも、そうは思わず、何とか乗り越えて生きていけるものではあります。が、物事が「恋愛」とか「結婚」とか、かなり「相手」の気持ちや意志が大きくかかわってくることとなると、「相手」がどう思い、どう考えているのかがとても重要なことになります。もちろん、相手がどう思っていても「自分はずっとあの人のことを愛し続ける。ただし相手の重荷にならないように、遠くから・・・」などという純愛もないことはないのですが、あなたの場合はどうも自分の中で結婚計画が勝手に(ごめんなさい)でき上がってしまっていたようにも思えます。

出会いもナンパではないから大丈夫と言っていますが、あなたの方から積極的にかかわってのこと。その積極性には拍手を送り応援したいと思いますが、彼の方としてはズボンの汚れのことで連絡をとってきた女性(あなた)に好意は感じたのかもしれませんが、実は他にも様々な人間関係があり、そこにあなたが割り込んだのかもしれませんよね。

あなたと彼がどの程度の交際をしていたかにもよりますが、良好な性的関係にも発展して、お互いの今までの人生やこれからのことも話し合っていたとするならば、「二股?」あるいは「裏切り?」というあまり穏便ではないことが起こったことになります。ただ、ご相談の中から読み取れる事実としては、「彼は二股をかけたり、裏切ったりするタイプじゃない」とあなたもおっしゃっていますので、もしかする彼とのこの1年半は、あなたが彼への想いを募らせていたけれど、彼の方は「何人かいる女友達の一人」だったのかもしれません。

「何か事情がある?」とすればそういう事でしょうか?
彼にぶつけてこの「友情」あるいは「愛情」が壊れるのが心配ならソッとしておくしかありませんが、この際、ぜひ彼に自分の思いを「ぶつける!」のではなく、丁寧に「話して」みてはいかがでしょうか? 自分の気持ちも大切にしながら、相手の思いも大事にする「私はこう思う」というIメッセージ(アサーションスキル)を使われることをお勧めします。
(文:大関洋子)

2013/07/25(木)
第31回【職場編】「女の気持ちがそんなに簡単にわかるわけないじゃん!」
【Q】
入社して4ヶ月が経ちました。学生時代に考えていたよりは、男女が平等で、仕事の上で差別されてるっていう感じはありません。もちろん、女性がお茶汲みなんていうのはないし、仕事の内容も男女というよりは、それぞれの能力に応じて割り振られている感じです。そんな風なので、会社に不満はないんですけど、5歳上の男性の上司が「僕はフェミニストだから・・・」ってやたらと女性の気持ちが分かるようなこと言うんです。「うちの会社って、仕事に男女差がないだろっ。それって僕が上司に進言してるからなんだ」とか言っちゃって、自慢するっていうか・・・。確かに乱暴ではないんですけど、「フェミニスト」って言われれば言われるほど、「それって差別じゃん」って感じるんです。女同士で話してるとすぐ割り込んできたりして、「うん、うん。わかる、わかる」なんて言うんです。これもセクハラですよね。気持ち悪いです!

【A】
「フェミニスト」とは、「女性の権利拡張や男女平等を主張する人」を指します。歴史的には19世紀にフランスで女性の参政権を求める運動が起こり、ヨーロッパを中心に広がって行きました。日本では、20世紀前半に、平塚らいてうたちが「婦人解放運動」として文芸雑誌を発行しました。まだ、女性には選挙権もない時代でした。女性が文章を書くという行為さえ「跳ねっ返り」「女らしくない」と批判、非難の的になる時代に「青鞜」と名付けたその雑誌の最初のページに彼女はこう書き出したのです。「元始、女性は太陽であった」と。彼女たちの努力もあって、第二次大戦後、日本でも女性にやっと選挙権が与えられ、今日では法的にも男女の不平等は禁じられるようになりました。しかし、実際には、仕事や家事育児の面での日常的な差別は続いているのが現状です。
私の浦和カウンセリング研究所へ相談に来る方の多くが、悩みの根っこはこの男女差別です。

さて、あなたの上司は、こういった長い女性たちの人生をかけた運動やそれを本気で支えた男性たちの血のにじむような努力の歴史を知っているわけではなく、「フェミニスト」を気取っているだけのようですね。

こういう上司、いますよね。こういう男性がいたためにフェミニズムは一時「女性をちやほやする」「女性を甘やかす」という意味に取られ、社会から批判の対象になったこともありました。どうもこの上司は「女性を大切にする」ということを売り物にしているように思えます。ただ、あなた自身も「確かに乱暴ではない」と認めているので、レベルの低い「フェミニスト」かもしれません。なんとか本物のフェミニストになっていただくよう働きかけてみてはいかがですか。

あなたの会社は「お茶汲みなんてない」し、仕事の内容もそれぞれの能力に応じて割り振られているとのこと。大企業は別として、現状では相当「男女平等」が通用するラッキーな会社へ就職できたと思います。

「フェミニスト」と言われるとかえって「差別」を感じるというのもよくわかります。なぜなら、「フェミニズム運動」の考え方の一つに「女性を弱者と規定した上で優遇する措置」というものがあるからです。だから、上司の言葉に「差別」を感じるのでしょう。
女性同士の会話に割り込んで「わかる、わかる」という言動をセクハラと思うこと。

セクハラの定義は、男女とも、性を対象にして不快感を引き起こす言動を総称しています。職場にヌード写真のついたカレンダーを貼ったり、上司が部下に「恋人いる?」と何度も聞いたりするのも、男性女性に関わりなく、セクハラに当たります。ですから、もし本当に「気分が悪い」のであれば、その旨、上司に話して遠慮してもらうのもいいでしょう。できれば、こういう上司を女性の味方につけるよう、私たち女性も権利を主張するだけでなく、きちんと義務を果たし、本物のフェミニストを増やして行けたらいい世の中になると思います。
(文:大関洋子)

2013/07/11(木)
第30回【子親編】「子どもができないことで態度が変わった夫と義母」
【Q】
30代も半ばを過ぎ、焦ってたっていうか・・・。36歳のとき、お見合い結婚をしました。結婚して5年になりますがまだ子どもはいません。夫が長男ということもあり、夫と夫の両親は子どもをほしがっています。今考えると、そのための結婚だったのかもしれません。2年ほど前から不妊治療を始めましたが、まだうまくいきません。そのせいか、姑からの風当たりが強くなってきました。結婚して間もないころは、私にすごく気を遣ってくれて、いい関係のように感じました。でも、違ったんです。私に気を遣ってくれていたんじゃなくて、夫のご機嫌を取るために私に気を遣ってる風を装っていたんです。夫の態度も最近は変で、私と姑が険悪な雰囲気になると必ず姑の側に立って意見します。なんか夫と義母の距離が近いっていうか、義母は夫に義父の代わりをやらせているように思います。

【A】
あなたの問題の根本は、あなたが感じているように「義母が夫に義父の代わりをやらせている」というところにあります。今、子どもができないことで問題の根本がはっきりしてきましたが、たぶん、今までもこれからも、このこと(夫と義母の距離が近いということ)があなたと夫との関係をゆがめていくことと思います。ただでさえ不妊治療は女性の側に肉体的精神的負担がかかる辛いものですが、このような夫と義母の態度では、ますます妊娠の可能性を少なくしてしまいます。

また、もし不妊治療がうまくいって妊娠でき、出産したとしても、めでたしめでたしと終わるわけではなく、折に触れ、事に当たり、夫と義母の距離の近さは問題を引き起こすことでしょう。お子さんの成長にさえ悪影響を与えかねません。もちろん、あなたの人生も不幸になるかもしれませんね。

大げさなことを言うように思うかもしれませんが、こうしてお話しすることで問題の根本がはっきりしたのですから、この際「私と義母が険悪な雰囲気になると必ず義母の側に立って意見する」夫と話し合い、問題解決を目指しましょう。そうしないと、一生あなたはこの問題で苦しむことになります。

いわゆる「マザコン長男と子離れしていない母親」の距離を遠ざけるのは一朝一夕では難しいことですが(30年以上もの間、夫と義母はそれで心地よく生きてきたのでしょうから)、人間は「変わる」という特徴を持った動物です。そして、夫婦の関係は二人で築いていくものでもあります。夫や義母を責めるとか攻撃するとかいう態度ではなく、今、私に相談していることを自分の気持ちを抑えたり、我慢したりせず、まっすぐそのまま夫に訴えてみましょう。

あなたの相談は、「事実」というよりは「自分はこう思う」「自分はこう感じた」ということが主で、多少は思い込みの部分もあるかもしれません。また、「つらい」とか「悲しい」とかいう感情も出していないのですが、「私は〜のように思ってとても辛い」とかいう話し方で、諦めずに夫と何度も何度も話してください。

その話し合いの中で、夫が義母との距離の近さに気づき、あなた自身も30代半ばを過ぎたための焦った結婚だったけれど、夫を愛し、義母と夫の距離よりも、あなたと夫の距離を近くする工夫をすれば、そのことがきっと「小さな命の誕生」に近づくことにもなると確信します。
(文:大関洋子)