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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2014/11/28(金)
第63回【夫婦編】「性の営みだけが大事なわけじゃないけれど…」
【Q】
結婚して7年。35歳になりました。
外国映画とか観てるとよく出てきますよね、老夫婦が手をつないで散歩をしてるシーンとか普通にキスしてるシーンとか…。私が結婚に対して描いていたイメージって、そんなイメージ。
習慣が違うので、日本の男性にそんなこと期待しても無理なのはわかりますけれど、具体的に手をつなぐとかキスをするとかじゃなくて、年を取っても仲良くいられたらいいなみたいな…。
なのに、35歳ですでにセックスレス。夫にそんな話をすると「恋愛時代じゃあるまいし結婚して何年になると思ってるんだよ」と返ってきました。
もちろん夫婦って性の営みだけが大事なわけじゃないけれど、結婚してるからこそ性生活も大事だと思うんです。でも私からはなかなか切り出せないし、切り出したとしても夫から返ってくる言葉は「恋愛時代じゃあるまいし…」。このままの生活だとどんどん夫との距離が遠くなりそうです。

【A】
「性の営みだけが大事なわけじゃないけれど」ということですが、そもそも性の営みとは何なのでしょう?
「ヒト」の男を含むオスと「ヒト」の女を含むメスが有性生殖するようになった遙か昔に、自分の遺伝子を残すために行った行為なわけです、その前のバクテリアなどの単細胞生物は、自分の身体を二つに分裂させて増える無性生殖で子孫を増やしていました。

オスとメスの違いは、ヒトのようにペニスなどの外性器の違いで区別のつくものとサンマや鯖のように外見では区別がつきにくい生き物も多いのですが、単純に「精子」を作るのがオス、「卵子」を作るのがメスというのが生物学的な定義です。
その両者が精子と卵子を結合させるのに行う行為が性行為と定義してしまうと身も蓋もないわけですが、いろいろな有性生殖をする生き物の中で、ヒトだけは目的が子孫を残すためだけではなく「愛のコミュニケーション」のために行うようになって長い歴史があります。
今では大型類人猿の中でボノボという猿の種が自分の遺伝子を残すためだけではない愛と友情のしるしの性の営みをすることがわかってきましたが、ヒトほど回数は多くないようです。

そんなわけで、35歳のあなたがまだ結婚7年目にしてセックスレスというのはいかにも寂しすぎますよね。すでに子どもを持ち遺伝子を残していたとしても、むしろそれらがヒトがヒトの特色である性の営みを愛と友情のための手段として楽しめる時期なのではないかと私も思います。
あなたが言うように年を取っても仲のいい夫婦のイメージとして、手をつなぐとかキスをするとかのシーンが思い浮かびますが、日本の文化としては夫婦が人前でべたべたするのはみっともないという感覚があるので、そういった行為さえなかなか出来ない夫婦が多いようです。

男性が会社で歯車の一つとして働かされていて、妻との愛を確かめ合う余裕がないのもセックスレスの原因ということもありますし、男性の機能に問題がなく、マスターベーションでなら射精できるのに、妻との行為になると射精障害になったり、EDになってしまい性行為さえままならず悩んでいる夫婦もいます。夫婦の価値観や生育歴、文化・習慣の違いが心身の違いになって現れたりしています。
このまま夫婦の距離がどんどん遠くなってしまわないうちに、何が夫に「恋愛時代じゃあるまいし」と言わせているのか、夫の様子をよく観察、いえいえ見守ってあげたり、考えてみたりして、夫婦の価値観をお互いが寄り添うように工夫してみてはいかがでしょうか。
うれしい時や悲しい時に軽いハグをするくらいなら、あなたの方からでも出来るかな?

(文:大関洋子)

2014/11/13(木)
第62回【恋愛編】「やっぱり僕の片思い?」
【Q】
36歳独身です。
最近、彼女とうまくいかないんです。きっかけは、夏の富士山へのドライブかな?
帰りにすごい渋滞にはまっちゃって、彼女は、「一度高速を下りて、2、3時間休んだら空くんじゃない?」って言ったんですけど、あんまり遅くなっちゃうのもどうかと思って、そのまま渋滞の中を走り続けました。時間はかかったけど、彼女と一緒だったから僕はそれなりによかったんですけど、「下りればよかったのに…」って彼女が何度も言うんで、「それで渋滞が解消するかわからないよ」って言ったら不機嫌になっちゃって。そのことがあってから、ちょっと関係がまずくなっちゃって、お茶に誘っても「今日は忙しいから」って断られることが多くなって…。
渋滞を予測しなかった僕が悪いんですけど、渋滞くらいでそうなっちゃうって、やっぱり僕の片思いだったんですね、きっと。

【A】
「渋滞を予測しなかった僕が悪いんですけど」と反省し「渋滞くらいでそうなっちゃうって」と嘆いていらっしゃいますね。そして結論を「僕の片思い」としてしまっています。
あなたが今後もこういう物の考え方を続ける限りずっと「片思い」パターンで人生終わってしまいます。要するに悪いのは「渋滞」や「渋滞を予測しなかった」のではなくて、その「考え方」と「感じ方」なのです。あなたは女心という人の心の奥をわかっていません。

いいですか、彼女は富士山へのドライブを承諾してあなたと一緒に出かけているのですよ。
ならばその時点であなたに好意を持っているのは間違いないでしょう。
しかも、彼女は「高速を下りて2、3時間休んだら空く」と提案しています。
なのにあなたは「あんまり遅くなるのもどうか」と考え、そのまま走り続けます。
そりゃ、その後彼女は不機嫌になりその後のお誘いは断られることでしょう。
おわかりになりませんか?

彼女は「高速を下りて2、3時間休む」と具体的に提案しています。
36歳の男とその相手がどこで2、3時間休むんですか?
まさかそば屋で2、3時間、それとも道の駅でも探しますか?
彼女の提案は二人きりで休めるところを提案していたのではありませんか?
最近は、高速道路のインターチェンジあたりには、温泉付きのラブホテルなんかもありますよね。
よく言えば、あなたは謙虚で誠実、優しくて人に丁寧な対応を心がけている青年なのでしょう。
でも、そのときの彼女からしたら、「気が利かなくて、勇気がなく、私の気持ちを推し量れない鈍感なやつ」と映ったのでしょう。だいたい大人の女性は、何かきっかけがあったらOKしようと思っていなければ、二人きりの長距離ドライブなんかに行きません。

あなたは、なんと素敵なチャンスとタイミングを逃してしまったことでしょう。
さらに、「渋滞くらいでそうなっちゃって、やっぱり僕の片思い?」などとぐずぐず悩んでいます。
今、ちまたで流行っている「壁ドン男」なんてやつは、前世紀の遺物もいいところ、博物館にでも行ってしまえ!と思うくらい古くさい「おまえは俺のものだ、ついてこい」だの、「刑は終身刑」だの、そんなの恋愛ごっこなだけで、女性は本気で好きになりません。
ちゃんと対等に二人で愛を育てていく方が好きに決まっています。

ですから、あなたももっと自分の感性を磨き、本を読んだり映画を観たりして、恋愛の台詞の機微を学んで、チャンスとタイミングをつかんでください。
言葉の奥の気持ちや言葉ではない表情や動作を読み取るトレーニングをして、彼女との関係が修復されることを祈ります。

(文:大関洋子)

2014/10/30(木)
第61回【職場編】「会社のマタハラよりつらい同僚のマタハラ」
【Q】
結婚して5年です。
仕事のこともあり、子どもを作らずに過ごしてきたんですが、もう34歳。
そろそろ限界かなあと、昨年子育て支援の充実した地域に引っ越して、現在妊娠7ヶ月です。
会社には恵まれていて、産休も育児休暇も希望すればけっこう取れるし、職場復帰もできるので、少し育児休暇を取って復帰しますと言ったら、「退社しないで頑張るんだ?」と上司に言われ、受け取り方によってはマタハラ?とも思いましたが、励まし取ることにしました。ショックだったのは同僚です。

妊娠の話をしたときは「おめでとう!」と祝福してくれたのに、職場復帰の話をしたら、女の人たちは、「えーっ、辞めないのぉ?」と明らかに「私たちに負担がかかるでしょ!」という反応。
男の人たちは「だから女は使えないよな」と陰でこそこそ。
復帰後、こんな雰囲気の中で働くのかと思うと辞めた方がいいのかなあと迷います。

【A】
まだまだこれが私たち働く女性を取り巻く現状でしょうね。
「産休も育休も希望すればけっこう取れる」というのは、本来そうあるべきですが、「恵まれている」と言われてしまいそうですよね。
1986年男女雇用機会均等法が施行され、「すべての男女差別が撤廃された」ことになっていても、この法律は罰則のない努力義務規定が多く、期待されたほどの効果があるとは言えませんでした。

企業側は「総合職」と「一般職」という職種による人事制度を導入して、女性がそれまで通り楽で補助的、けれども昇進・昇給には閉ざされた一般職を自ら選択した形を取るジェンダー・セグリゲーション(男女の職種分離)を実施し、実質的な差別を温存してしまいました。その結果、賃金格差や女性が結婚・出産により一時的に就労をやめ、子育てが一段落したところで再就職することで起こるM字型労働力率は残ったままです。

1999年には、男女雇用機会均等法の改正が行われ、差別への対応が「努力義務」から「差別の禁止」へと強化されましたが、改正後も「男女の労働のあり方そのものを見直す」という根本的な問題に対しては不十分です。家事・育児さらには介護までも女性だけが引き受けるというケースがほとんどですから、結局、女性は結婚、出産、育児により、キャリアを中断せざるを得ないわけです。
こういう背景の中で、あなたのケースのように上司や男性はもちろん、同僚の女性からも妊娠したら「周りに迷惑をかけないようにいったん辞めるのが常識」という習慣、慣例が当たり前になってしまっているのです。家事・育児は、おとぎ話の王子様に出会うように理解ある男性に出会って結婚することができれば、五分五分または五分五分以上に男性に負担してもらうということはできるかもしれません。とはいえおとぎ話はおとぎ話、女性に理解があるという程度の男性では、なかなかそうはいかないものですね。

同僚の女性や男性たちの反応は、あなたにとって辛いことでしょうが、なんとかこうした偏見に満ちた現状を打破するため、迷いながらでも職場復帰を果たしてください。
あなたが家事・育児をこなしながら復帰して必死で働く姿を見て、同僚の女性や男性も応援していくれると信じています。もちろん夫の支えがあってのことですが、あなたのように出産がすんだら職場復帰をするのが普通をいう社会を創ることが男女共に幸せになる道なのですから。

(文:大関洋子)

2014/10/17(金)
第60回【子親編】「私の前と姑の前で態度が違う夫」
【Q】
夫の実家を建て直し、3年前から夫の両親が1階、私たち家族が2階と3階の2世帯住宅に住んでいます。玄関は別々ですので同居と比べると楽ですが、義母は何かと我が家の生活に口を出します。ある程度は仕方ないと思いますが、私が気に入らないのは夫の態度です。夫に義母に対する文句を言うと、私には「俺から義母さんに強く言っとく」って言うのに、そういうことがあった後は、むしろ義母の態度がおかしくなるんです。最初は、夫が義母に文句を言ってくれたから、義母の態度がおかしくなると思っていたんですけど、夫に「義母さんもそんなに先が長いわけじゃないんだから、我慢できるところは我慢してくれよ」って言われ、夫は私の前と義母の前では態度が違うんだっていうことに気づいたんです。夫は義父には厳しい人なので、義母にもちゃんと話してくれていると思っていたんですが、どうやらどちらにもいい顔をして、夫が私と義母の関係を悪くしていたんです。

【A】
夫との両親、特に母親との関係は夫を間に立てようとするとこじれます。あなたが気づいたように「我慢できるところは我慢してくれよ」とあなたに言っている通り「夫が義母との関係を悪くしている」んですから。こう言われればあなたは腹が立つわけです。
当然、自分の母親には「俺からあいつに強く言っとく」と言っているのでしょう。人の言動には、必ず「目的がある」という心理学からすれば、夫は妻と母親の両方から頼りになるいい夫、いい息子と思ってもらいたい人なのでしょう。ところが、その目的は大外れで、このように妻は立腹して相談しているわけですし、母親の方も嫁の愚痴を嫁の代わりに言いに来る息子に決していい気持ちではないでしょう。

こういうどちらにもいい顔をしてどちらからもよく思われようとする中途半端なやり方は結局どちらからもよく思われないばかりか、結果として間に立った夫、息子を自分の味方にしようとする「夫・息子争奪戦」へと発展し、泥沼化していきます。問題の本質はどこかへ行ってしまい見えなくなって、いわゆる嫁姑の醜い争いにしかなりません。

あなたはちゃんと「夫が私と義母の関係を悪くしていた」と分析しているのですから、このやり方は今日限りきっぱりやめましょう。そして、この悪いやり方の形跡を消去するためにちょっと勇気を出してください。一階に住んでいるお義母さんの所へ何かあなたの作った夕飯のおかずの一品でも持って降りていき、「お義母さん、どうもこの味付けうまくいかないんです!いつも××さん(夫の名)はおふくろの味はちょっと違うんだよなあ…って言ってあまり食べてくれないんです。味付けのこつを教えてもらえます?」とでも言ってみてください。あなたは「玄関は別々なので楽」と言っているし、「私が気に入らないのは“我が家の生活に口を出す姑ではなく夫の態度”」とはっきりしていますから、きっとこの作戦でうまくいくと思いますよ。
「口を出すのもある程度仕方ない」とも思っている賢いお嫁さんでもあるのですから、2〜3日に一度くらい、料理の味付けや夫の好き嫌いや変な癖やらについて、お義母さんの知恵を借りに行くという名目でお義母さんと仲良くなってください。

あなたたちの生活に口を出したがっているお義母さん、すっかり喜んでいろいろ教えてくれるでしょう。そして段々「全くウチの息子ったら小さい頃から人にいい顔して自分てものがなくてね。いい人って思われたいために本当は損ばかりしているのよ。本人は気づかないのかしらね?あらっ、私がそういう息子に育てたってこと?はははっ、ごめんなさいね!」というふうになること間違いなし!

夫はこの際抜きにして、自分でお義母さんと仲良くなる作戦に切り替えてください。夫も大喜び、夫の両親も、そしてあなたもハッピーになれますから。
さあ、勇気を出して実行してみてください。嫁姑の関係が泥沼化しないうちに!
(文:大関洋子)

2014/10/02(木)
第59回【親子編】「月経が始まった娘に…」
【Q】
小学5年生の娘の月経がちょっと前に始まりました。
赤飯を炊いてお祝いをしてあげようかとも思ったんですが、月経をことさら意識するみたいなこともある意味で女性差別につながるかなあと思って、「おめでとう。よかったね」と声をかけただけですませました。

娘をかわいがっている夫ですが、わりとクールな人なので、夫も「おめでとう」くらいですむのかなあと思ったら、洗濯機のそばにあった娘の汚れたパンツを見て明らかに動揺している様子。
それに追い打ちをかけるように、娘が男のお友達の話をしたものだから、娘への対応が急によそよそしくなってしまいました。思春期を迎え、男女関係が難しくなる時期に、娘にとって最も身近な異性である夫の態度の変化がとても気になります。

【A】
男にとって自らの身体の中から毎月決まって血を流す女は、何とも不思議な生き物に映るようです。そもそも女と男の根本的な違いがここなので、お互いここのところはよくわからない、よくわからないところにはなるべく触れない方がいい、したがって自分(男)という生き物とは違いのはっきりした娘とは距離を置く、よそよそしくなる。こういう結果が今の夫の態度の変化だと思われます。

動物の中には人のようにペニスなどの外性器の違いでオスとメスの区別がついたり、ライオンやシカのようにたてがみや角のあるなしで性別が区別できるものもいます。
でも、ペニスのあるなしやたてがみや角のあるなしの外見的違いがなく、オスとメスの区別がつきにくい生き物、たとえばサンマやアジのような魚がどうやって区別するかというと精子を作るのがオスで、卵子を作るのがメスというような区別の仕方。
この精子と卵子の受精卵によって新しい生命が誕生するわけですから、オスとメスの違いはシンプルだけれど、重要な違いですね。ところがお互いここのところは自分の身体に起こることではないのでよく理解できず、まさに「君子危うきに近寄らず」と避けて通ろうということになるわけです。

もし、あなたに男の子がいたら精通のあった日を言えますか?
男の子の精通も女の子の初潮同様、前兆はあります。
女の子は初潮が始まる頃に胸が膨らみ身体全体が丸みを帯びた柔らかい線に変化しますが、男の子の場合は、身体が筋肉質になり声変わりして喉仏が出てきたりします。
でも精通はいつ?と聞かれても、女の子のように出血するわけではないので、母親は気づかないことがほとんどです。ある日、パンツの数が少なくなっていたり、子どもの部屋のゴミ箱に捨ててあるティッシュからそれと気づいて、「あーっ、この子も男になったんだぁ」と感じるかもしれませんね。
そんなときには、息子さんと距離を感じたりすることと思います。

たぶん、あなたの夫も、自分の娘との違いを目の当たりにして、戸惑いや自分の一部のような気がしていた娘が他の男のものになっていくという嫉妬、一抹の寂しさなど、複雑な感情の整理ができなくて困っている状態なのでしょう。父親として自然にそれを受け入れ、娘の成長を喜べるようになるまでの過渡期と考え、お子さんのことではなく、むしろ夫婦の今後の生き方や性の関係に目を向け語り合ういい機会ととらえてはいかがでしょうか。

(文:大関洋子)

2014/09/18(木)
第58回【夫婦編】「風俗通いがエスカレートしている夫」
【Q】
夫のスーツをクリーニングに出そうとしてポケットに何か入っていないかと探ったら、キャバクラらしい店の女の子の名刺が出てきたことがありました。
仕事関係の方とのお付き合いもあるし、キャバクラくらいとあまり気にはしていませんでした。

ところが先日、財布を忘れたと駅に着いた夫から電話があり、私が駅まで持って行くことになったんですが、つい中を覗いてしまったんです。
覗いたりすることないんですけど、「いくらくらい持ってるのかな」っていう程度の軽い気持ちだったんです。そしてら、「××さんてとっても優し方ですね。また指名してください」て書いてある女の子の名刺を見つけてしまいました。名前も偽名だし、たぶんデリヘルです。
「まさか夫が…」と思ったんですけど、その後も別な女の子の名刺が出てきました。
このまま放っておくか、それともきっちり話をするか、迷っています。

【A】
ギクシャクするのを覚悟して、「きちっと話をする」しかないでしょう。
男という生きものには二種類ある気がします。
「恋人や妻以外の女性には、性的な興味を持たない男性」と「決まった恋人や妻がいるのにそれ以外の女性の性に常に関心がありチャンスさえれば決まったパートナー以外と性交渉を持ちたいと思っている男性」の二種類です。その中間もいるにはいます。
「恋人や妻以外の女性に興味関心はない事はないけれど、人としての理性がブレーキをかけて実際にはパートナー以外の女性とは性関係を持たない男性」のような…。この人は前者に入れておくことにしましょう。

一夫一婦(妻)制の結婚制度の歴史はそう古くはなくて、租庸調の税を納めさせるための権力者がとった制度から始まったと言われています。
元々、私達人類は繁殖期以外でも性関係を持つことが出来、その行為によって授かった生命は、他の動物と違い、極めて未熟で生まれ、ちゃんと歩いたり危ないことと危なくないことの区別がつくまでには、少なくとも3年はかかります。
これらのことから男性は、自分の子であることの確証を得るためにパートナーを独り占めしようとし、自分の遺伝子を持っている我が子のためなら少なくとも3年はその母と子に獲物を持ってくる。女性も子供が何とかと育つ3年間くらいは男性にそばにいてもらわないと困る。そういった駆け引きの中で、関係の安定している(居場所が特定しやすい)一夫一婦制は権力者の税を得るための法的な制度ともなりました。

こう考えてくるとあなたの夫が妻以外の女性と性関係を持っているというのは、人間としての理性に欠け、種の保存の欲求に突き動かされる種類の男性ということにほかなりません。
一夫一婦制がゆるやかであった時代は女性に対してもそこから逸脱することにゆるやかでしたが、今は「浮気は男の甲斐性」とか「女性は性欲を我慢できるが男性は我慢できない」などといった誤った風潮がはびこっているため、男性にだけ縛りが緩くなっています。

特定のパートナーであるあなたがありながら、他の女性の性を求める風俗、デルヘルという場で性を商品化して買っている。そういう行為を放っておく?確かに止めれば止めるだけ陰に隠れてコソコソやるようになるのかもしれませんが、このまま放っておけばいつかは直るというものでもありません。
自分の正直な気持ちを「きちっと話」してください。もしそのことでもめて、離婚話に発展するとしてもです。法的な慰謝料はあまり高くはないのですが、今後の長い夫婦生活を自分の気持ちを抑えて生きていくのではなく、二人で質を高めるよう、ここでは充分言い合ってください。
もっとも夫には言い返す言葉はないはずですが…。

残念ながら、あなたは人として質の低い男性を選んでしまったわけですので、「きちっと話をして」夫婦関係を再構築するよう努力してみてください。

(文:大関洋子)

2014/09/03(水)
第57回【恋愛編】「簡単に男を信じられない私」
【Q】
彼は3歳年下の職場の後輩です。お付き合いを初めて2年になります。
私は、一度結婚に失敗して、5歳の娘を一人で育てています。
彼は、お付き合いする前から私がシングルマザーであることを知っていたんですが、それでも恋愛の対象としてお付き合いを初めてくれました。

最初、私は恋愛というよりは、職場の友人としていい関係でいられればと思い、お茶をしたり、食事をしたりしているつもりでした。
そのうち、娘も一緒に食事をしたり、遊びに行ったりするようになったんですが、すっかり娘が彼になついてしまって。彼は、そろそろ結婚をと考えてるみたいなんです。
彼はいい人だとは思うんですけど、前の結婚のことを考えると、どうしても男を簡単に信じることが出来ません。もし彼との間に子どもが出来たら、前夫の子をかわいがらなくなるのではないかということも心配です。

【A】
望んでいたチャンスが訪れたとき、それに応じる事は案外難しいものです。
あの偉大な科学者マリー・キコリーでさえ危うくチャンスを逃しかけたと語っています。運命が自分に何をさせようとしているのか、自分に何が求められているのか、それを感じたならば、素直にそれに従ってみることも大切だと思います。
失敗するのではないかうまくいかないのではないかなどと悩んで、その出会いをやり過ごしてしまわないように…。

運命の出会いという瞬間が一生のうちに、何度かやってきます。
あなたが前の結婚で傷ついて男を簡単に信じることができなくなっている気持ちもわかりますが、お付き合いを始めた時3才だった娘さんが5才になるまでにすっかりなついていらっしゃるんですよね。2年という年月、3才から5才までの小さな娘さんに信頼されている男性をあなたも信じてみてはいかがですか?

結婚して彼との間の子ができたら今の娘さんを可愛がらなくなるのではないかとも心配していらっしゃいます。確かにそういう事例のご相談もないことはないのですが、ごく少数です。自分たちの子どもができたら前夫の子をかわいがれない男は2年間も娘さんをかわいがってなつかせられないと思います。

カウンセリングのゲシュタルト療法の創始者パールズ博士は「過去も未来も今、目の前にないものである。実際に体験しているのは“今ここ”だけだ。
過去と未来は実際には存在しない、だから大切なのは“今ここ”にある事をどう受けとめるかだ」と言っています。過去や未来のことをくよくよ考えることで心のフィルターが目づまりをおこして通りが悪くなり、本当にやりたいことが素直にやれなくなってしまうわけです。やってみないことは何も始まりません。

せっかくの出会いや彼の想いに耳や心を閉ざさずに、とにかく彼をパートナーとしての新しい人生を考えてみてはいかがですか?
娘さんの天使のように純粋な判断力を信じて…

(文:大関洋子)

2014/08/22(金)
第56回【職場編】「女を利用して営業するな!」
【Q】
私は総務部で事務職をしています。
営業職ではないけれど、会社を訪ねてくるお得意先の社長さんや営業の皆さんの窓口になることもよくあります。そういうお得意先の皆様に「外で打ち合わせをしませんか」とか「今度飲みに行きませんか」とか誘われることもあります。私は事務職なので、本来の役目から言えば、接待や営業は範囲外と理解して、プライベートなお誘いとしてやんわりと断ってきました。

ところが先日、お得意様のTさんからお誘いを受けているところに社長がいて、「Tさんは、君に用があるって言っていらっしゃるんだから、外で話をしてあげてくださいよ」と言われました。
Tさんはいつも私を変な目で見ている気がするし、社長もそれを知ってるはずなのに、女を武器にしたみたいな営業を仕掛けようとしている会社のやり方には納得がいきません。

【A】
このようなケースは完全にセクハラですねえ。俗っぽい言い方をすれば、色仕掛けの営業とでも言いましょうか…。男性にちやほやされるので、それをあまり嫌がらない女性も多く、なかなかなくならないのですが、あなたはそういう営業のための接待が嫌なんですよね。あなたのそういう感覚、大事にしましょう。

社長はあなたが営業職でなく事務職なのにもかかわらず、あなたの性的な資質を利用して営業成績を上げようとしていると考えられるわけですから、当然セクハラに当たると考えるべきで、訴えれば社長は法的制裁を受けることになるでしょう。社長から身体を触られるとか、飲みに誘われるとかの直接的なセクハラではないにしても、本来社員がそういう状況にならないよう努めなければならない社長の責任ですから、性的資質を利用しようとしたことだけでなく、そういった状況から守らなかったということだけでも、責任は免れませんね。

昨今、セクハラについてはかなり厳しい基準が設けられていて、男性の上司が部下の女性に肩たたきやマッサージをさせたり、その逆に女性の上司が部下の男性に宴会で裸踊りをさせたりなどというのは当然のこと、男性が女性にお茶くみを強いる(女性の上司が男性にという場合もあるでしょう)、宴会でお酌を強いる、特別な事情がないのに水着の女性(あるいは男性)のポスターやカレンダーを貼ったりするなどというのも、セクハラです。
ですので、どうしても嫌で、やめさせるための強硬手段を取るとい言うなら、法的手段に出るというのもありですが、あなたの場合は、社長に法的制裁を科そうとしているわけではなく、現状、なんとか顧客に気に入られている私を、性的な道具として営業に使わずに、きっちり事務職としての仕事をさせろということですよね。
あなたの相談からは、会社にそれほど多くの不満を持っているとは考えにくいので、たとえ法的手段に訴えてあなたが勝ったとしても、そのことで働きづらくなっては元も子もありません。

本来は、こういうことを一つ一つきちんと社長や上司と筋を通して話し合い、自分の本来の仕事は事務職であること、今回のように営業として顧客を外で接待することは採用時の業務内容に含まれていないこと、その上、誘った男性顧客があなたに対し、女性として好意を持っている(あるいはよくない意味で女性として興味がある)ことを知っている社長が、それをあえて利用して職務命令とも取れるやり方であなたに指示を出したことは、職務命令違反であるときっちり告げて断るべきでしょうが、これにはよほどの勇気と決意が必要で、時には会社を辞めることすら覚悟しないとできないことです。

とはいえ、とても腹の立っているあなた。勇気を出して、社長にはっきりあなたの気持ちを伝えましょう。お得意様の前で、「Tさんは、君に用があるって言っていらっしゃるんだから、外で話をしてあげてくださいよ」なんて言える社長さんとあなたの関係は、よほど悪いか、かなりいいかのどちらか。いい関係なら、今回のようなことは2度と起きないはず。まず、あり得ないとは思いますが、もし悪い関係でこじれるようなら、退社も覚悟で臨んでみてください。

(文:大関洋子)

2014/07/31(木)
第55回【子親編】「女性にオープンな義父」
【Q】
義父は68歳。
定年退職して家にいるんですが、多趣味というか、人を集めるのが好きというか…。琴をやったり生け花をやったり…。
もともと兄弟が多かったために、お盆やお正月に親戚が集まるための広い居間があるので、お琴や生け花の先生を呼んで、近所の女性の皆さんとお稽古をしています。
退職後の男性が「濡れ落ち葉」になることが少なくないことを思えばよほど増しなんですが、お稽古仲間とはいえ、そういう女性の皆さんが台所に入ったりすることを嫌がらないどころか、積極的に手伝ってもらったりしちゃうんです。
お湯を沸かしてお茶を入れるくらいはいいんですけど、冷蔵庫に買ってきたものを入れたり、冷蔵庫の中のものでお茶請けを作ったり…。
義母がどう思っているかはよくわかりませんけれど、私は嫁としての立場がなく、「台所には来ないで!」と叫びたくなります。義父の女性にオープンな性格も大事にしてあげたいんですけど、嫁の立場ももっとわかってもらいたいんです。

【A】
「何の問題も無し」です。
むしろあなたと義父母の関係はとても良いと言えます。
義父は嫁であるあなたをすっかり信用し切っているから自分の友人を平気で台所まで入れるのでしょう。その上義母は多分夫のこういうやり方に慣れていて何も不満はないようですからなおさらのことです。

当然永い結婚生活の中で夫の生き方に異義を唱えた時期もおありだったでしょうが(嫁という立場のあなたでさえ「台所は私のもの!」という思いがあるのですからましてや妻ならばもっともっと不快な思いや「台所には来ないで!」という思いをされたことでしょう)、言っても言っても妻の思いを聞く夫でもないことを悟られて「夫のしたいようにさせておく」という処世術を身につけられたのでしょう。

そして息子の妻であるあなたのことも永年つれ添った古女房と同等に扱っているわけです。しかも集めている女性たちは琴や生け花の先生や生徒さんたち。
いいですねえ、これも。あなたもおっしゃっているように「濡れ落ち葉」になるどころか上品で文化的なお仲間の女性たちに囲まれて楽しい日々を送っていらっしゃるわけですから。
そしてお義母様は台所もオープンに心もオープンにしていらっしゃって気をつかうこともやきもちをやくこともせず、永年培った「夫とはかかわらないというかかわり方」を修得されているようですね。

きっとお義父様はお義母様のそういうかかわり方が心にさびしくてそういった女性方を集めていらっしゃるのでしょうから、あなたもできれば「嫁の立場」などという古い考え方は捨てて、人生の大先輩たちに「あらっ、素敵!それどうやって作るのか教えて下さい!」とか「お琴の音色って癒やされますよねえ」とか「まあ、このお花、こういう風に生けると一段と可憐ですねえ!」とか、お義父様のそばでお仲間に入れてもらってはいかがでしょうか?

お義父様はきっと停年までの永い間、堅いお仕事、公務員とか警察関係とか管理に追われる日々を送り、長男としてご兄弟の面倒をみてのご勇退。退職後は優雅に人生を送りたい、そして仕事でかかわってきた武骨で人を蹴落してでも自分が上にいこうとする男たちではなく、穏やかで優しい女性たちに囲まれて人生を終りたいと思っていらっしゃるのではないでしょうか。

あなたのように人に気を使えて優しい女性を妻にできた息子のことをちょっぴりうらやましいと思っていらっしゃるかもしれません。あなたのお連れ合いも、全く安心し切って、両親をあなたに委ねていらっしゃるようですから。

(文:大関洋子)

2014/07/17(木)
第54回【親子編】「娘だってしっかり怒ってよ!」
【Q】
小学1年生と3歳の娘がいます。
夫はサラリーマンですが、それほど残業もなく、朝8時に家を出て帰宅は7時から9時の間くらい。ほぼ毎日娘2人と朝食、夕食を摂ります。そんなせいか娘たちは夫になついていて、娘たちを怒るのは私、甘やかすのは夫みたいな構図が出来ています。
私が怒って厳しい顔をしていても夫の顔は緩んでいるので、怒っても効果がなくだんだんやることがエスカレートしてきました。

先日は、トイレに買った覚えのないガムの包み紙が落ちていたので娘たちを問い詰めると、下の娘がスーパーのお菓子売り場から持ってきてしまったものらしく、2人でこっそり食べていたというのです。とてもショックでした。
夫に「大変なことなんだからあなたも怒ってよ!」と頼んだのですが「男の子なら殴って叱るのもありだろうけど女の子だろっ。優しくし言って聞かせればそのうちわかるよ」と言って2人を膝の上にのせてニヤニヤしながら話すだけです。

【A】
全くあなたのおっしゃる通りですね。
ちょっと見には父親はお子さんたちと朝晩食事を摂り、母親のあなたが厳しく叱り優しくフォローをして子育てのバランスが取れているように見えますが、「男の子なら殴って叱るもありだろうけど女の子だろっ」という言葉から、これは明らかな「男女差別」です。

ましてや今回のように、たとえ3歳の娘さんであっても、ほしいからといって売り場から黙って持ってきてしまう行為、その上お姉さんと2人でトイレでこっそり食べていたという行為から、「悪いこと」と知っているのは明らか。それを「ニヤニヤしながら話す」などもっての外です。そして「男の子なら殴って叱る」というのも、二重に間違った子育てです。一つは、「男の子なら」「女の子なら」という差別的子育て、もう一つは「殴って叱る」という暴力的子育て、その二つの点で大きく間違った子育てになってしまっています。

「男の子なら」「女の子なら」という性の違いを考ええる子育てが必要なのは、思春期に女の子には初潮があり、男の子には精通があるということを心がけておくことくらい。
それも、女の子は毎月出血するのだから大変でいたわるべき存在だとか、昔のようにけがれのある身体だから女は参加すべきでない(たとえば陶芸の窯焚き、大工さんの建前、高野山の女人禁制など)とかいう方向での性の違いにならないことが大切なのに、あなたの夫は、すでにこの流れにしっかり乗って子育てをしてしまっています。
このまま育てると2人の娘さんたちは「私は女なんだから」と人に甘えたり媚びたりして生きるようになり、その代わり「女なんだから」とやりたいことを我慢して男の人に従って生活するのが当たり前という女性になってしまいます。

この万引きという犯罪行為を3歳の娘さんは重大なこととは思わず行ったわけですが、行為の重大さについて、きちんと教えて叱る必要があります。
ここで大切なのは、二つ目の「男の子なら殴って怒る」、「女の子なら優しく膝の上に乗せてニヤニヤ話をする」ということにならないこと。「殴って叱る」は、男の子であろうと女の子であろうと、基本的に間違いです。
暴力的な子育ては、将来、子どもの心に大きな傷になってのこり、子から親への暴力になったり、人生に自信がなくなったり、決していい結果につながらない上、子から子へと引き継がれていってしまうこともよくあります。

ここでは、人々が物を作り、それを私たちがお金で買うことでその人たちが生きている社会の仕組みをきちっと話し、父親が毅然とした態度を取ることで、3歳の娘さんも、「もう絶対しちゃいけない」とわかるはず。

どうか今回のこと以外でも夫婦でよく話し合い、「男の子だから」「女の子だから」という男女差別的な子育てや暴力的子育ての考え方を変えてもらうよう努力してください。そして、あなた自身の中にも「だって私、女だから」などという内なる男女差別がないか点検してみてください。

(文:大関洋子)