この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。 主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。 ■大関洋子プロフィール■ (浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー) 1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。 著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。 |
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2012/07/26(木) |
第6回 【職場編】「女なんだから我慢しろ!」 |
【Q】
今春、専門学校を卒業して就職しました。美術系の学科だったこともあって、学校への求人はあまりありませんでしたが、パッケージのデザインの仕事の求人があり、やりたかったこととピッタリだったので、面接を受けました。面接では「いきなりデザインというわけにはいかないが、実力さえつけばデザインの仕事をやらせる」ということだったので、合格した時は小躍りするほど嬉しかったです。 1ヶ月の研修があり、配属されたのは総務部、社長の世話係。秘書のようなといえば聞こえはいいですが、実際やっていることといったら、社長にお茶を持っていったり、プライベートな世話をしたり・・・。「君はなかなか気が利くね」と褒めてくれるんですが、褒められれば褒められるほど、嫌気がさしてきます。会社を辞めようかと、一応学校からの紹介だったので進路指導の先生に相談に行くと「おまえ、女なんだからそれくらい我慢しろ」と言われてしまいました。 【A】 残念ですねぇ、悔しいですねぇ、全く! 2012年、21世紀が幕をあけて12年も経つのにこんな言葉が、しかも専門学校の進路指導部の先生から出るなんて!大体この会社の社長もプライベートな世話をさせる?「肩が凝ってるから、ちょっとここの所を叩いてくれないかね」とか、 「痛風の(あるいは糖尿の)薬をまた取りに行っておいてくれないかね」とか、 「その帰りに、ホレ、わしの好物のアレ、アレを買っておいてくれたまえ」みたいな… もう言語道断、その会社はどこの何つう会社!? その専門学校の教師は何て名前!? 訴えてやりましょうよ、2人共、パワハラ、セクハラで! と私も怒り心頭に達するわけです。 私がご相談者の年齢だった50年前にはこういうことは日常茶飯事、母に怒りをぶつけても「世の中そういうもんだよ」と言われ、「会社でいい子をするんだよ、仕事場がどうしても嫌なら早く結婚したらいい」となだめられ、結婚すればしたで「お前は俺の女房だろ、俺の言う通りにするに決まってる!」と言われる時代でした。 ああ、50年早く生まれすぎた! あと50年後に生まれたかった! と、日毎夜毎悔しい思いを重ねてきました。 そして、私の後輩達にはこんな悔しい思いをさせたくない、そう思って頑張ってきたのですが・・・。 表立ってのパワハラ・セクハラは減ってはいますが、意識の深い部分では、あまり変わっていないのが実態です。 私の研究所へも「夫が毎日機嫌が悪く私の作ったご飯や味噌汁を食べる気にもならないと食卓に投げつけ、子どもや飼い猫にも当たります。時には戸棚を壊したりします。私は夫をどうなだめ、どう振る舞ったら優しいいい妻になれるのでしょうか」とか、 「夫は9年前から色々な女性とつきあっています。私が夫を癒してあげられないからだと言われて我慢しています。どうしたら夫に喜んでもらえる奥さんになれるか教えて下さい」と、一生懸命「いい妻、いい女」に自分が変わる事を求めてお見えになります。 さて、ご相談者の方、悔しいですね。どうしましょうか? もし、もう一度進路の先生に会う機会があったら、発言を取り消してくれるように普通のトーンで言ってみることから始めてみませんか? 出来れば毅然として・・・ そして会社でも少しずつ自分の専門の仕事をやらせてもらえるように頼んでみましょう。その代わり私たち女性も「女だからこのくらいで・・・」という甘えはしないことにしましょう。世の中で上位にいる男性だって、まったく逆な意味できついのですから。 |
(文:大関洋子) |
2012/07/12(木) |
第5回【子親編】「義父に身体を揉まされる私」 |
【Q】
結婚して3年、まだ子どもはいません。夫は一人っ子で、将来は夫の両親との同居も選択肢の一つと考え、夫の実家から歩いて5分くらいのところに住んでいます。私も働いていますが、夫は食事を済ませ夜遅く帰ってくることが多く、そんな日は私だけ夫の実家にお邪魔して夕飯をご馳走になることもあります。嫁というより、まるで娘のようにかわいがってもらっています。でも最近、実家を訪ねると必ず義父に身体を揉まされるんです。きっかけは、義父の肩が凝っていると感じた私が、「お義父さん、肩揉みましょうか」と声をかけたことでした。はじめの頃は、私が声をかけなければ揉まされることはなかったのですが、徐々にそれが日課のようになり、今では夕飯をご馳走になりに行くというより、出張マッサージのようです。しかもほとんど裸のような格好で全身を揉まされ、「いい嫁だ」「かわいい嫁だ」とか言われると、「触りたくもない!」と叫び出したくなります。両親との関係は、切ってしまえない関係なので、将来のことがとても不安です。 【A】 あなたは、「将来のことがとても不安です」とこの相談を結んでいますが、ハッキリ言って将来は何の心配もありませんのでご心配なく。 あなたは、この「裸のような格好で全身を揉まされる関係」が発展すると将来どういう不安が生じるとお考えなのですか? 私にはどうもお義父様との「性的関係」を「無意識」のうちに心配していらっしゃるように思えるのですが、違いますか? ドイツの精神科医、ジークムント・フロイト(1956-1939)は「人は無意識によって動かされる」と言っています。そして、このお義父様への「出張マッサージ」的行動は、お義父様からの欲求ではなく、あなたからの積極的働きかけ「お義父さん、肩揉みましょうか」という声がけから始まっています。「はじめの頃は私が声をかけなければ揉まされることはなかった」とあるところから、かなり何度もあなた自身が「お義父さん、肩揉みましょうか」と声をかけていたことが窺える。それも、「義父の肩が凝っている」と「感じた私」がです。まず、感じたのはあなたなわけで、それはフロイトのいう「無意識」のレベルで、義父の肩を揉むことで「いい嫁」「かわいい嫁」と思ってもらいたいという思いがあなた自身の中にあったということです。 また、なぜお義母様ではなく、お義父様なのか? もしかすると、お義父様が自分の肩を自分でトントンしているのを見たりしたのかもしれませんが、それにしてもあなたは、お義母様には声をかけていない。当然のことながら、義父と嫁という関係とはいえ、あなたは無意識のうちに義父を異性と認識して声をかけているのです。 よく言われることですが、「父親と女性の好みと息子の女性の好みは似ている」とすれば、お義父様も嫁のあなたを憎からず思っているであろうことを、あなたは無意識のうちに承知しながら声をかけているのかもしれません。 「夫は食事を済ませ夜遅く帰ってくることが多く」とあり、そんな日はご自分から夫の実家へ出向いている。回が重なり「触りたくない!」と叫びたくなっているとのことですが、最初に「夫の代わり」のようにして、義父に触りたかったのはあなたの方なのかもしれませんよ。まだお子さんがいらっしゃらないようですが、「赤ちゃんできました」とでも報告するチャンスに恵まれれば、その一言でこの出張マッサージ風の習慣はなくなります。あるいは「今度はお義母様を揉みましょうか?」とでも言ってみてください。あなたの無意識の中にある義父に「褒められたい」「触りたい」という気持ちにあなた自身が気づいてくれさえすれば、すぐにでもやめられることですから。 まだ、お義母様の嫉妬は買っていないようですが、そろそろそういう危険もあるので、この習慣はやめる時期に来ているようですね。 とはいえ、帰宅の遅い夫を待ちわびて、夫の実家でその寂しさを埋めるとは、なんて「いい嫁」「かわいい嫁」なんでしょう。 |
(文:大関洋子) |
2012/07/02(月) |
第4回【親子編】「息子のベッドに成人雑誌が・・・」 |
【Q】
高校2年生の息子と中学2年生の娘がいます。梅雨の晴れ間で、息子のベッドの布団を干してやろうと布団を上げたとき、ベッドの脇に隠してある雑誌を見つけました。探ろうというつもりはなかったんです。何か落ちているから拾ってやろうと、つい手に取ってしまって・・・。表紙を見ただけで、いかがわしい内容のものと分かりました。コンビニの雑誌売り場にあるようなやつです。息子も高校2年生なので、「男の子なら普通のこと」「こういうことがない方がおかしい」、頭の中ではそんな風に思っているんです。でも、実際息子がそういうもの見ていると思うと、汚らわしい感じがして動揺します。そして、頭と心が一致しない自分に、さらに動揺してしまって・・・。もう女の子と何かあるのかもしれないと考えると、とても心配です。どう息子に話したらいいでしょうか。 【A】 「男の子なら普通のこと」とは思うものの、息子がいかがわしい成人雑誌を見ていると思うと汚らわしいと感じる、「こういうことがない方がおかしい」と頭では思うのに心はざわざわして動揺する、そんな自分にうろたえる。息子を持つ母親なら一度は経験する出来事ですね。 高校2年生といえば充分に異性に興味があり、高校生の性体験者も3〜4割前後と言われています。「もう女の子と何かあるのかも」と考えて「とても心配」していらっしゃる。そう「何かあっても」おかしくない年齢。「何か」という言葉は当然「女の子(もしくは女の人)との性の交わり、性の関係を持つこと」を指しているのですよね。あなたは、それを「何か」というぼかした言い方で表している。その言い方自体、「性への興味」「性の行為」をいかがわしい、汚れたものとあなたが考えているということに他なりません。 そして、昨日までピュアで天使のような少年だと思っていた息子さんが、その汚らわしい行為をしているというショック。 ご相談者のあなたの心の動揺の原因は二つあります。一つは「性とは隠微で恥ずかしく汚らわしいもの」というあなたご自身の体験と価値観。そしてもう一つは、「自分の息子はいつまでも純粋で天使のごとく汚れのないもので、性への感心など決してないはず」というあなたの思い込み。 この二つの思い込みが意識と無意識の間を行ったり来たりしている状態で動揺しています。 世界の様々な国には、様々な性文化や性習慣があり、その表現法や考え方も多種多様です。けれども共通していることは、その行為の結果が「種の保存、生命の再生産」へとつながる可能性のある行為であるということ。そのための性の行為は他の自己表現と比較して、特別なものとして扱われています。そして日本の風土と歴史の中では、特に為政者たちによって、恋愛や性の関係は汚れた恥ずべき行為のように考えさせられてきました。なぜなら、性や愛の関係の中では、士農工商のような身分の差別はなく、人は平等になることができ、為政者にとっては不都合だからです。太古の昔や庶民はむしろ「性」の喜びを分かち合うことに大らかだったと考えられています。そうした大らかな「性」を生きる楽しみにしていた様子が、万葉集や風土記には残っています。 高校2年生の息子さんも、「性」を生きる喜びの一つとして感じられる心身に発達したのです。 ただ、ほとんどの生物が「性交=生殖」としての意味しか持たないのに、人間だけは性交を「愛の表現」「愛のコミュニケーションの手段」として活用します。コンビニ販売のいかがわしい雑誌では、「快楽としての性」は扱っていても、「愛の表現」「愛のコミュニケーション」としての「性」は抜け落ちています。愛情の表現としての性、性の行為や喜びは、決して恥ずべきものでも汚れたものでもなく、生きる喜びや幸せにつながるものであることを、あなたと夫との関係性(あなたと夫も性の関係を楽しむとか)や日ごろの小さな愛の行動でモデリングしてください。 とはいえ、「この年でそんなの無理」とおっしゃるかもしれませんから、そういう場合は、質のいい映画や小説などに彼の興味がいく日常が、家庭の中にあるといいですね。 そしてもう一つ。 幼児は少年になり、少年は大人の男性へと発達します。「天使の声」と言われるウィーン少年合唱団の少年たちも、声変わりする(ほぼこのころに精通が起こります)と「天使の声」からは退団することになっています。あなたの息子さんもいつまでもあなたの天使ではなく、順調に人としての発達段階を歩んで新しい家族作りのトレーニング期に入ったことを理解し、ご夫婦で喜び合ってください。 もちろん、雑誌は見なかったことにして、そのままベッドの脇に隠したままにしてあげてくださいね。 |
(文:大関洋子) |
2012/06/14(木) |
第3回 【夫婦編】「いい夫の条件て何?」 |
【Q】
結婚して3年。まだ子どもはいません。夫は、他人から見るととてもいい夫なんです。優しいし、親切だし、気も利くし。そういう点では、私から見てもいい夫かな・・・。どこかレストランに行けば、入り口のドアは必ず開けてくれる、まず私にメニューを開いて渡してくれる・・・。彼にはそれが普通みたいなんです。紳士っていうか・・・。友達の旦那なんて、居酒屋行って、さっさと自分の飲み物頼んで、自分のが来たら先に飲み出しちゃったりするようなタイプが多いから、たぶん私の夫はいい人なんですよね。でも、家にいてもあまり会話はないし、いつも何か仕事のことをしてるんです。でも、何か頼めば文句も言わずにやってくれるから、私のために頑張ってくれてるんだなって思おうとするんですけど、「この人、なんで私と一緒にいるんだろう? 私じゃなくてもいんじゃない?」って・・・。いい人だって思うから、文句も言えないし、喧嘩もできない。友達に愚痴っても「何言ってんのよ!あなたの旦那はいい人だからいいじゃん」で終わり。最近、彼と一緒にいること自体が苦しくなってきちゃって…。 【A】 「えっ? この相談て、私が書いて投稿した?」って一瞬思っちゃいました。私の夫も、周りから見ると「とてもいい夫」で、私の両親にもとてもよくしてくれたので、私が夫の愚痴でも母に言おうものなら、 「何言ってんの! あなたがわがままなだけじゃないの! 少しはあなたも妻らしく我慢しなさい!」 と叱られ、友達に言おうものなら、 「あらっ、ごちそうさま! それって、のろけ? もしよかったら、うちの夫と取り替えてあげてもいいわよ」 と笑われ、本気で私の胸の内の辛さなど聞いてくれる人はいませんでした。 その上あなたは、あなた自身が「いい夫かな・・・」と思ってしまうんですよね。だって、よその夫は妻のことは二の次、三の次なのに、あなたの夫はあなたのためにドアを開け、メニューを開き、頼めば何でもしてくれるんですものね。こういう夫は、子どもができるとまめで子育ても上手い。子どもはあなたよりパパを好きになること請け合いです。 とはいえ、あなたは苦しい。 結局、「いい夫」か「悪い夫」かは、親や友達や社会が決めるのではなく、あなた自身が決めることなのです。あなたの夫を世界中の人が“いい人”と言っても、あなた自身が「一緒にいることが苦しい」って思っているとしたら、それはやっぱり苦しいんです。 いい夫の条件なんて、時代や国、もっと言えばそれぞれの人によって、まったく違います。私の母たちの時代は、夫にたくさん愛人がいれば「浮気は男の甲斐性」などと周りに言われ、「あんた、お金のたくさんあるいい男捕まえたじゃない。浮気なんて我慢しなさいよ」と諭された。時代が下って今は、あなたの夫のように、優しくて仕事熱心な男がいい男の条件になる。そういえば、ちょっと前までは「三高」とか言って、「高収入」「高学歴」「高身長」な男性がもてはやされましたね。 おわかりですか? そう、彼がどうかということよりも、あなた自身がどう思うか、どう感じるかの問題なんです。いくら夫があなたのことを愛していると思っていたり、愛していると言ってくれたり、当の本人の“あなた”が、「愛されてるなあ」と思えなければ、愛されていることにはならない。人がなんと言おうと「この人、私じゃなくてもいんじゃない?」と感じるなら、その感覚を大事にしてください。 いくら、「私のために頑張ってくれている」と思おうとしても、いつも家に仕事を持ち込んで「僕には話しかけないで!」みたいなオーラを背中から発していると感じるようだったら、あなたの夫は「いい夫のふり」をしているだけかもしれません。ただ、このふりも3年間続いているようなので、もしかしたら、あなたの心の内側の苦しさに気づかず、「これだけしてあげているんだから大丈夫」と思い込んでいるという可能性もあります。いずれにしても、この「一緒にいること自体が苦しい」というあなたの気持ちを率直に夫に話して、二人の意識や価値観のずれについて話し合い、修正してみてください。たとえ喧嘩になったとしてもです。別れるという選択肢もありますけれど、その後でもいいんじゃないですか。 さて最後に、読者の皆さん、お友達にこういう悩みの人がいたら、「のろけ?」と思わず、話をよく聞いてあげてください。夫が“いい人”と思われているということは、妻は逆に“悪い人”、“わがままな女”と思われがち。誰にも分かってもらえない胸の内、とっても苦しいはずですから。 |
(文:大関洋子) |
2012/05/31(木) |
第2回 【恋人編】「妹が私の恋敵?」 |
【Q】
彼とは付き合い始めて3年になります。会社の同僚で、最初はグループで飲みに行ったりしていましたが、半年くらい経ったころ彼から誘われ、お付き合いを始めました。プロポーズはまだだけど結婚は既定路線です。ところが、先日彼の家を訪ねると、洗面所に青とピンクの歯ブラシが並んで置いてあったんです。ショックでした。その時は何も言わず、数日後「この前洗面所に歯ブラシが2本あったけど…」と言ってみました。そしたら「妹だよ」とあっけらかんと言うんです。その時思い出したんです。去年の秋皆で飲みに行こうって相談してた時、「今日は妹の誕生日で、一緒に食事することになってるから」って彼がみんなと飲みに行かなかったことがあったって。彼に妹を紹介されて、一緒に食事に行った時も、3人で歩いていると、急に彼の妹が私と彼の間に入って、彼の腕に捉まったりしたんです。その時は仲のいい兄妹でうらやましいと思ったんですけど、考えてみると、それって変ですよね。結婚を真剣に考えているだけに、そんな彼の態度が不安です。 【A】 不安ですよねぇ。大いに不安になっていいと思いますよ。「彼に別の女性がいた」というのと違って、「妹のピンクの歯ブラシが並んで置いてある」とは・・・。まだ「浮気発覚!」の方が対処が楽だったかもしれませんね。彼は妹をまるで恋人か妻のように扱っていますよね。 このように兄妹・姉弟を恋人のように思う感情を、シスターコンプレックス(シスコン)、ブラザーコンプレックス(ブラコン)などと呼んでいる人もいます。元はドイツで活躍したユダヤ人の精神科医フロイト(1856−1939)が100年ほど前に唱えたコンプレックス理論から派生しています。フロイトは、4、5歳の子どもが異性親を好きになる傾向を発見し、それをギリシャ神話になぞらえて『エディプス感情』と名付けました。そして、その感情がいつまでも続くようであると、それは『エディプスコンプレックス』という「心のくせ」、「心の偏り」となり、その感情をきちんと意識しないと状況に流されがちになると考えたのです。 あなたの彼の場合は、「母と息子」ではなく、「兄と妹」という変形版というところでしょうか。実際、ヨーロッパでは、紀元前950年程昔の古代エジプト人「オシリス王」の妹「イシス」が、妹でもあり妻でもあったと記されています。日本でも古事記や万葉集には、「吾妹子」(わぎもこ)の記述が度々登場し、大昔は兄と妹の恋愛や結婚は珍しいものでもなかったことを教えてくれます。 人口が少なく異性の出会いも少なかった昔は、種(しゅ)の保存のためには手近な兄や妹、姉や弟で間に合わせよう(あまりいい表現ではありませんが)としたり、幼少期から一緒に暮らしていて安心安全ということもあったりしたのでしょう。しかし、時代が経つと血族結婚は遺伝子の組み合わせに問題が多いらしいことがわかり、三親等内の婚姻を禁止するようになりました。 このように古い歴史を紐解くと、あなたのライバルは手強い相手のようです。とは言っても、あなたの友人知人で逆に「お兄ちゃんなんて全く好みと違う!」とか「妹の顔も見たくない!」という兄妹もいますよね。それは、自分の子孫をより多く残すためには、遺伝的に自分とは遠い(お互いの欠点を補い合うような)遺伝子の結合を求めようとする本能に近いものが働いているからと考えられます。現代の世では特殊な例を除いて、母と息子、兄と妹などの関係は、それぞれに適切なパートナーができることによって自然に消滅していきます。 さて、あなたの彼の場合、あなたと付き合って3年で、まだこの様子だとかなり根の深い感情が残っているように思います。そろそろあなたの気持ちをはっきり話してみてはいかがでしょうか? 不安・不審な気持ちを残しての結婚は、お勧めできません。この際、いい子になろうとせず、不快なものは不快とおっしゃる勇気を持ちましょう。そこから何かが開けるはずです。結婚はあなたの気持ちを彼がどう受け止めるかを見てからでも遅くはないですよね。 |
(文:大関洋子) |
2012/05/17(木) |
第1回 【職場編】「これってセクハラ? それとも当然のお付き合い?」 |
【Q】
大学を卒業して、今の会社に就職して3年です。私の部署は、私を含め女性が3人、男性が8人で、入社以来お世話になった上司が、今春異動になり、新しい上司の下で働くようになりました。以前の上司とは、食事に行ったり、飲みに行ったりしましたが、常に4〜5人のグループでした。ところが、今度の上司は、二人で行きたがります。他の人たちとの関わり方を見ていても、男性同士二人で出かけたりもしているようなので、そういうやり方の人なのかなあとも思うのですが、なんだか服装が軽装になったとたんに誘われ出したような気がして、とても嫌な気分です。「私って意識しすぎ?」なんて思うこともあり、そう考えると、上司の対応以上に自分が嫌になったりもします。上司は36歳、既婚者で、お子さんが二人。社内では将来を有望視されている人です。 【A】 これをお読みになった読者の皆さんの中で「男性上司」の立場におられる方は、「なんだよそれ?! たまにはおごってやって、他の人がいたら言えないような愚痴や悩みも聞いてやろうとしてるのに“セクハラ”?! 冗談じゃないよ!」とお思いになったでしょうか? あるいは、「“服装が軽装になったとたん、誘われ出した?” 何言ってんだよ、こいつ! その二の腕で? そのペシャンコな胸で? ハッ?!」みたいに思いました? それとも、「図星!」って感じましたか? いずれにしても、これは「アウト!」です。 時間外や休日に「女性の部下」を飲食やカラオケ、ボーリングなど、とにかく二人きりで誘った場合、相手の女性が「セクハラ」(セクシュアル・ハラスメント)と感じれば、「セクハラ」になってしまいますから要注意! もちろん、誘われた女性の側が、その行為を喜んで受け入れているように見えても、実は「嫌なのに耐えている」なんてことだってありますからね。 「“いやよ、いやよ”も“好き”のうち」 なんて言葉がありましたけれど、今、男性上司が考えなければいけないのは、むしろ、 「“いいわ、いいわ”も“いや”のうち」 とでもいったところでしょうか。 さて、ご相談のあなた、新しい上司は「男性同士でも二人で」出かけたりしているから「これが彼のやり方?」と思ってあげようと無理をしていますよね?! 異性のあなた(これが欧米なら同性でもというところでしょう)が「二人で行きたがる」と感じるような誘い方は言語道断。一昔、二昔前ならいざ知らず、今の世の中、ご自分の心に素直に従って、「No thank you!」とおっしゃっていいのです。 ましてや、「軽装になったとたん」と感じるのであれば、それもそのあなたの「感じ」を大事にしてください。いつまでも、母や祖母たちの時代のように「女であることで自分の感情(行きたくない)や自分の感覚(薄着になったとたん)」を押し殺したり、見て見ぬふりをするのはやめましょう。あなたは上司のことを「既婚。お子さん二人。将来有望(視)」とおっしゃって、その方に「下心があるはずがない」とか、「好意を無視しては失礼」とか考えていますね? 外国映画に出てくるキャリアウーマンのように、かっこいい台詞は吐けなくても、とりあえず「ありがとうございます。また、皆さんとご一緒にでも、お誘いくだされば伺わせていただきます」とかなんとか、やんわりと断ってみてはどうでしょうか。 日本の文化の中では、男性上司が女性の部下を誘ったら、受けて当然という意識が長い間ありました。自分の心に従って「嫌」ということは「女らしくない」とか「かわいくない女」という評価を受けてきました。そして、挙げ句の果ては、会社をやめざるを得なくなったり、うつ病を発症したりしてきたのです。もう、そういうことはやめましょう。 そして、最後に男性の方々へ! 「“はいはい”と黙ってついてきたのに、なんで俺が“セクハラ”って訴えられなきゃなんないの?!」とショックを受ける前に、ご用心、ご用心! まずしっかり、女性を対等な一人の人間として扱うトレーニングをなさってくださいね! ※セクハラ 職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること(改正男女雇用機会均等法)。セクハラの構成要件としては、「相手の意に反する性的な言動がある」「職場の労働条件について不利益を受けるか、就業環境が害される」こと。 |
(文:大関洋子) |