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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2014/01/30(木)
第43回【夫婦編】「理屈で私を言い負かす夫」
【Q】
夫とは大学の資格試験受験のためのサークルで知り合いました。彼(夫)は2年先輩で、リーダー的存在。女子学生のあこがれの的でした。サークルでは、論文を読み合ったり、議論したり・・・。彼の話はいつも明快で、的確。「こんなに頭のいい人がいるんだぁ?!」と思いました。知り合って1年が過ぎたころ、彼の方から声をかけてくれて、ドライブに行きました。運転もうまいし、連れて行ってくれるところも完璧。器用っていうんですかねえ。彼は資格試験に一発合格、私の卒業を待ってすぐ結婚しました。とにかく彼は誰から見ても完璧なんです。もちろん私から見てもです。でも、けんかをすると絶対折れません。すごい勢いで理屈を言い、私が反論できなくなるまで言いつのるんです。夫婦って、そんな関係じゃないですよね。私はいたわり合うのが夫婦だと思うんですが、夫は私に勝たないと気がすまないんです。ちょっと疲れました・・・

【A】
オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という短編、若い夫婦の物語です。貧しい二人がクリスマスにそれぞれが相手に贈り物をしようと考えるんですが、なんとしてもお金が足りない。妻は夫に懐中時計の鎖を買ってあげたいと考えている。その時計は夫の父の形見だけれど鎖がなかった。夫は妻に、長く美しい髪をとめる髪飾りを買ってあげたいと思っていた。クリスマスの日、二人はお互いへの想いを込めて妻は夫に時計の鎖を、夫は妻に髪飾りをプレゼントした。その資金となったのは、それぞれが大切に思っていたもの。そう、妻は自らの髪を売り、夫は父の形見の時計を売って相手が喜ぶであろう品物を手に入れたのです。

時計のない夫への「時計の鎖」のプレゼント、髪の短くなってしまった妻への「長い髪をとめる髪飾り」のプレゼント。
あなたはこの短編を読んだことがおありですか?
夫婦とか恋人とかというものの基本が「愛」に基づいて構築される関係というあなた。夫婦の関係はあなたのおっしゃる通り「いたわり合い」や「思いやり」、得とか損とかを超越したところ関係のはず。でもあなたが彼を選択した基準は、「頭がいい」「リーダー的存在」「女子学生のあこがれの的」「運転もうまい」「器用」「資格試験一発合格」etc.。とすれば、彼を選択した時点で、お互いにいたわり合いとか思いやりとかは、ほぼ放棄したものも同然だったのです。ここまで完璧な男性が、夫婦げんかで理屈の合わないことで納得するはずはありません。正しいと思ったことは、絶対に正しいと主張するに違いありません。それがあなたにとって魅力だったのですから。でも夫婦って、あなたのおっしゃる通り「正しいか正しくないか」ではないんですよね。たとえ理論的、科学的には間違っているにしても、「そうかぁ、君はそう思うんだね」「あなたはそう感じるんだね」というふうに言い合いたいですよね。

疲れたあなたに提案です。
カウンセリング技法の1つに「役割交換法」というのがあります。人の立場が理解できなず悩んでいるときにお勧めしている方法で、あなたの場合なら、「妻が夫の」「夫が妻の」立場に役割を変えて演じてみる方法です。夫は協力してくれないかもしれないので、空の椅子を置き、そこにあなたが座っていると思って、夫の役になったあなたが空の椅子に向かって声に出して語りかけてみてください。これをエンプティチェア法と言います。きっと夫が言いつのる原因が「私にもある」ことに気づいていただけることと期待します。

夫婦の関係はどちらか1人で築くものではないはず。夫がすごい勢いで理屈を言う前にあなたが起爆剤を仕掛けているかもしれません。それに気づけば、頭のいい夫さんのこと、きっとすぐ理屈で言い負かすのではなく、優しい言葉をかけてくれるようになると思います。
(文:大関洋子)

2014/01/16(木)
第42回【恋愛編】「堅実で失敗を嫌う彼」
【Q】
今の彼とは、友達の紹介で知り合い、付き合い始めて1年です。野球で言うなら、攻撃より守備を固めて失点しないで勝つみたいなタイプ。いつだったか「失点がゼロなら、負けはないんだよ」って言ったことがありました。その通りですけどね。付き合い始めてから、土日のどちらかは絶対デートをしているし、平日でも食事を一緒にすることがあるので、相当な回数会ってると思うんですけど、待ち合わせで私が待たされたことって一度もないんです。私だって結構早く行ったことあるんですよ。でも、必ず彼が待ってる。いつだったか「どれくらい前に来てるの?」って聞いたら「今、来たとこ」って。そんなわけないのに・・・。それと、朝と晩に毎日メールが来るんです。それも5分の狂いもなく。内容は、「おはよう」「おやすみ」くらいのたわいもないことです。最初は誠実で優しい人だなって思ってたんですけど、さすがにちょっと変じゃん、って気持ち悪く感じてきました。

【A】
面白くないですよねえ、こういう人。いるんですけどね、けっこう。野球だって敬遠のフォアボールで打者を歩かせちゃったり、ちまちま勝つための作戦を使う監督のチームとか面白くないです。そういう試合運びをする監督は、勝ってるのに観客動員がうまくいかず監督解任なんてなっちゃったりしてね。やっぱり長嶋野球ですよね(笑)

人間失敗してもいいですから、精一杯逃げずに戦ってほしい。生物の中で失敗が許されているのは人類だけなんですから。他の動物は、失敗は「死」を意味します。失敗するやつは生き残れない、失敗しないやつだけが生き延びる。結果、失敗しないやつの遺伝子だけが受け継がれ、ますます失敗しなくなる。ちょっと冒険してみようか?なんて考えるやつの遺伝子は伝わらないんです。渡り鳥だって、いつも行く島は面白くないから、別な島にしてみようかな?なんて考えて、別の島へ飛んでいけば、ほとんど死が待っている。よほど運がよくなければ生き残れない。うまく生き残ったとしても、種の保存は難しい。先祖代々やってきたことを踏襲する以外に種を継続することが難しいのが人間以外の動物なんです。私たち人間だけは、選択が許され、万一その選択に失敗したとしても、100%死が待っているわけではありません。むしろその反対に「失敗は成功の母」という諺さえあるくらいです。ノーベル賞を受賞した科学者たちの多くが、実験の失敗の結果生じた化学反応などからノーベル賞に結びつく結果にたどり着いたと発言していることからもわかる通りです。こういう失敗の数々を重ねて動物の中で唯一「人」という種だけが文明や科学を限りなく発展させてきているのです。

長々と書きましたが、要するに、今あなたが「何かちょっと変じゃん、って気持ち悪く感じてきた」その感覚は当たり前なんです。まさに彼は「人」という種の本質であるところの「選択し、失敗を繰り返しながら進化を遂げていく」という特性を持っていないということになるからです。もっとはっきり言うなら「おまえは人間かぁ?!」ということなんです!

朝晩の5分の狂いもないメール、一度も待たされたことのないデートは、はじめは確かに誠実な生き方に映るかもしれません。でも、たった一度きりの人生。こんな風に判で押したような毎日の繰り返しで生きていきたくありませんよね。起こるはずのことが起こらなかったり、起こるはずのないことが起こったり、それの連続が「人生」というもの。そのとき2人で力を合わせて臨機応変に対応しながら生きていく。それが人生の面白みではないですか。
1年で違和感を感じたあなた。彼はあなた向きの人ではなかったようですね!
(文:大関洋子)

2013/12/20(金)
第41回【職場編】「媚びを売る女に腹が立つ!」
【Q】
私の勤めている職場は圧倒的な男社会です。上司に指示された書類を作って持って行くと、男性社員のものは即OKが出るのに、私だと「いつになったらまともな仕事ができるんだ?!」と怒鳴られて作り直し。この前なんて、同僚の男の子が忙しくて作れなかった書類を代わりに作ってあげたんです。その男の子が上司に持って行ったらすぐOKになりました。真実を暴露してやろうかとも思ったけど、その子に食事おごってもらっちゃったし暴露はやめましたけど、ただの差別だっていうことがよく分かりました。でもまあ、それはそれで、同僚からは差別されてないし、女だからって差別できないくらいの仕事をしてやるぞって思うんです。私が一番腹が立つのは、そういう差別をする男に媚びを売る女。同僚にもいるんです。私かわいいでしょみたいなブリッ子しちゃって、平気で尻振っちゃうやつ。「おまえみたいなやつがいるから私が差別されるんだ!」って叫びたくなります。

【A】
そのお気持ちよく分かります。女性の中に内なる偏見があって、「男は度胸、女は愛嬌」とばかりに任侠ドラマよろしく振る舞う男や女がこうした差別を助長させているのはおっしゃる通りです。私たち女性でさえ心の奥深くに「女はこうあるべき」という「常識」が根っこを張っていて、これを変えるのは容易なことではありません。男女差別をしっかり感じて怒っているあなたは小さい頃から「女だから〜しなさい」とか「女だから〜してはだめ」と親から言われずに育った数少ない幸せな女性なのでしょう。

実は私たちが普段から生活のよりどころとしている「常識」の中には「男は〜であるべき」「女は〜であってはならない」などという思い込みや矛盾が潜んでいます。生まれてすぐ着せられるベビー服にしても女の子のものはピンク色でレースのひらひらやリボンがついていて「かわいく」できているし、与えられるおもちゃも女の子は人形、男の子は自動車というように。幼稚園でも制服のあるところでは女の子はスカート、男の子はズボン。
男の子なら言葉遣いが多少乱暴になっても「男の子らしくなってきた」と肯定的にとらえられるのに、女の子だと「女の子でしょ、そんな乱暴な言い方はやめなさい」。それとは逆に、転んで膝をすりむいたりすると女の子には「よしよし、大丈夫?」となるのに、男の子だと「男の子でしょ、泣くんじゃないの!」。数え切れないほどの「常識」が私たちの中に刷り込まれていきます。絵本の中では、おとなしくてかわいくて優して、台所仕事の好きなシンデレラや白雪姫は王子様がやってきて幸せになれるのに、荒波の中王子を助け、自ら王子を追いかける人魚姫は声を失い、最後は泡となって消えてしまう。

小学校に入学して、名簿が男女混合名簿だったという方はほとんどいないのではないでしょうか。1985年のナイロビ世界女性会議で日本の男女別の名簿が問題になりました。1986年に男女雇用機会均等法、1999年に男女共同参画社会基本法が制定されましたが、現実は法律に追いついていません。

あなたが職場で腹を立てているのはよく分かります。実際にはあなたの作った資料なのに男性のものと勘違いした上司がすんなりと受け取ったエピソード。ほんとに腹に据えかねます。一緒に腹を立ててくれる女性、最近は男女差別を不快に思っている男性も少数ながらいるので、そういう方たちと手を結んで、おしゃべり会からでいいので勉強会(勉強などとは言わずに、まず理解者を中心の飲み会という程度の)でも始めてみてはどうですか。できれば男に媚びる女性もご一緒に。頭を銃で撃たれたにもかかわらず、「女の私たちも勉強がしたいのです」と言い続けるマララさんの勇気をたたえながら。
(文:大関洋子)

2013/12/06(金)
第40回 【子親編】義父の行動は何のアピール?
【Q】
結婚してちょうど1年。まだ子どもはいないので、結婚前から勤めていた会社で、今も事務をしています。住まいは、夫の実家から車で15分くらいのところで、休みの土、日とか、どこかへ出かけてお土産を買ってきたときなどには、実家に顔を出すようにしています。両親ともとてもいい人で、すごくよくしてもらっていると思うのですが、私が行くと、義父は時間に関係なく必ずお風呂に入り、バスタオルを腰に巻いただけで私の前に座ったり、栄養ドリンクを飲んだりするんです。義父にそういう行動を取られると、早く孫を作れっていうアピール?って思ったり、私にモーションかけてるの?って、感じたりします。もしかすると私を嫁としてでなく、女として意識しているのでしょうか。確かに魅力的な男性ではあると思いますが義父は義父。私としては困ってしまいます。

【A】
ハハハッ!息子の妻にこういう行動をしてアピールするお義父様(おとうさま)も、それにうろたえて困っているあなたも、かわいい人ですね。あなたのお話からするとあなたの夫もお義父様の妻であるお義母様も何とも思っていない様子。もしかしたら自分の父親が妻を気に入ってくれているのをほほえましく思っていてくれる夫なのかもしれませんし、お義母様も取り立てて「まあ、お父さんたら、そんな格好、××さんの前でなさらないでください!」と本気でとがめるわけでもなさそうなので、暖かで和やかな家庭なのではないですか?むしろ彼の家庭ではお義父様の行動は別段、取り立てて変わった行動として目くじらを立てるほどのものではないのでは?
あなたの夫やお義母様の「困っている様子」は出てきていないので、「困っている」のはあなた一人のような感じがします。

実はこういう風に他者から見るとそれほど変だと取りざたされないのに、自分だけがその相手から好かれている?とか、憎まれている?とか感じてしまう現象を精神科医フロイトは、「投影」と呼んで、心の奥深い部分で自分が感じていることをあたかも「相手が感じていること」として受け取ってしまう心の状態と言っています。現にあなたも最後にポロッと「確かに魅力的な男性ではあると思いますが」とおっしゃっているところから、その確率は高いように思われます。仮にお義父様の行動があなたを女性として意識しての行動であったとしても、あなたの中に「魅力的な男性ではあるが義父は義父」というストッパーがかかっているのですから、あなたは節度ある行動を取っているはず。お義母様やあなたの夫が不快な思いをしている感じがない間は、あなたはあなたで「困った」と思いつつ、「困った」と思う自分の方が意識し過ぎているかもしれないという視点から、お義父様の様子を観察してみてください。視点を変えると「エッ?もしかして私?」という自分でもびっくりするような自身の無意識の意識に気付くかもしれません。

とりあえず、「困っている」のがあなたの意識の中でとどまっている間は、ご自分の意識を探索しながら、事を荒立てず様子を見ましょう。夫やお義母様がとがめ立てしないのであれば、自分の思い過ごしだったという解決の仕方もあります。その程度の距離間でお義父様が息子の妻に好意を持っていたり、あなたがお義父様を意識したりするのは、家庭円満の源にできると思います。
健闘を祈ります。
(文:大関洋子)

2013/11/22(金)
第39回【親子編】「いくら何でも父親を避けすぎじゃない?!」
【Q】
高校1年生の息子と中学2年生の娘がいます。夫婦仲も悪くはないし、親子関係もいいし、とてもいい家族だと思っています。でも、最近それが崩れそうになってきました。というのは、娘が極端に父親を嫌うんです。父親が入った後のトイレは除菌スプレーを持って入り、トイレ中にスプレーしてから入るし、お風呂は息子の後は気にしないのに、父親が入った湯船には絶対入らずシャワーだけ。流しのボールに父親が使った茶碗が浸けてあると、別なボールに水を張り絶対父親の茶碗と同じ水には浸けない。あまりにひどいので、はっきり聞いてみたところ「だってお父さん、臭いし汚いんだもん!」と言います。私から見たら全くそんなことはありませんし、息子もそんな風には思っていないと思います。2、3年前までは、一緒にお風呂に入ったり、一緒に遊ぶことも多かった子なんです。父親と娘は仲がいいという話をよく聞きますが、うちは全く逆なんです。

【A】
よくあることです。女の子の心理的発達の一つの通過点と考えてください。「男性」という性を意識し始めたことの表現で、「男性」の代表が父親なのでしょう。この年齢の女の子は極端に父親を避けてあなたの娘さんのような行動を取ったり、もっとひどくなると「お風呂で裸になるのも嫌」という子や「お父さんに話しかけられるのも、話しかけるのも嫌」と言って、一切口をきかない時期のある子もいます。人間は何の関心もない人には「好き」とか「嫌い」とかの感情は抱かないものです。強い嫌悪感を表す心の裏側、潜在意識の底には、相手に強い関心を抱き、相手から関心を持ってもらいたいという気持ちが存在します。娘さんも無意識に「男性」や「性」に関心を抱き、それが「父親」という対象に向けられたのです。高校1年生の「兄」は対象外なのです。「父親」は「母親」のパートナー、「母親」の「性」の相手と捉えているので、同じ家の中の男性でも「兄」に対しては嫌悪の感情を表さないのに、父親に対しては「これでもか、これでもか」というほどの態度を示します。本人もわざと意識してやっているわけではなく、内面のもやもやしたものがうまく表せず、極端な行動に出るわけです。初潮が始まり、毎月やってくる月経や胸の膨らみ、身体全体が丸みを帯びてくる自分の身体の変化に精神的な成長が追いつかず、戸惑っている時期なのです。

「お父さん、臭いし、汚い」というのは、実際に臭かったり汚かったりするのではなく「性」を汚れたものと感じ、それに関心を持つことへの恐れとか不安とかを表していると受け取ってください。夫婦仲も親子関係も悪くないということですが、子育ての中で小さい頃から「あなたは女の子だから」とか「女の子なのに」とか、「男は男らしく、女は女らしく」という昔ながらの価値観で性的役割の期待に基づいた言葉かけをしてきませんでしたか? また、「性」に関わることをタブー視してきませんでしたか? こうした伝統的、保守的なタイプの子育てをする子どもは小さい頃から性的役割を意識した行動を心がけるようになったり、「性」に関心を持つことを好くないことと思ったりする傾向があります。すると、思春期に「性」を意識し、関心を持つことに罪悪感を抱き、娘さんのような行動を取って、異性への関心を表現することがあるようです。

あと数ヶ月、叱ったりり問い詰めたりせず、そっと見守ってあげてください。クラスで好きな子でもできれば関心はそちらに移ります。お父さん(夫)とは、娘さんの行動の気持ちの「わけ」をよく話し合っておいてください。
(文:大関洋子)

2013/11/07(木)
第38回【夫婦編】「不妊治療してるんですけどセックスレスなんです」
【Q】
結婚して10年になります。夫は結婚直後から「子どもはほしくない」と言い続けていたので、私もほしくないと言っている夫を説得してまで子どもを作ろうとは思いませんでした。でも私も38歳。後がなくなってきた今では、どうしても子どもがほしいっていう気持ちが強くなってきたんです。夫に気持ちを伝えたら、夫も反対はしなかったんですけど、実は3年前からセックスレスなんです。セックスレスで子どもはできるわけないんですけど、産婦人科に相談に行ったら、いろいろ調べられて、「不妊治療をしましょう」って人工授精を勧められて…。妊娠だけを考えたら、私の年齢では当たり前なのかもしれないけれど、子どもがほしいていう私の気持ちって少し違うような気がするんです。

【A】
男性の性行為は、「種の保存(遺伝子のコピー)」が原点ですが、人間だけはコミュニケーションの大切な手段として発達してきました。「種の保存」としてのセックスは営みならば繁殖期にだけ性行為を行えばいいわけですが、私たち人間は排卵期にだけ性行為をするわけではありません。大型ほ乳類は、遺伝子的には私たち人間と従兄弟に当たるくらいの類似性がありますが、彼らも繁殖期には繁殖期であることが分かるよう雌のおしりが赤く腫れたり、仕草が変わったりします。雄は、外見からだけでも繁殖期と分かる雌と性行為を行うことで妊娠につながる仕組みになっています。最近の研究では、大型類人猿の種であるボノボは、種の保存が目的でない性行為を行っていることが分かってきました。友好、友愛を示す性行為を繁殖期でない時期に行って、親密度を深めたり、行為自体を楽しんでいる写真が発表されています。

さて、あなたのご夫妻の場合、愛のメッセージとしての性という点がすっぽり抜け落ちたまま種の保存、妊娠のみを目的とした人工授精に一足飛びに行く方法をドクターから勧められているわけです。あなたも「子どもがほしいっていう私の気持ちって少し違うような気がする」とおっしゃっているわけですから、まずは夫との話し合いをなさってはいかがでしょうか。なぜセックスレスになっているのか、どうすればそれが解消できるのか、そちらの問題解決が先だと思います。「夫も子どもを作るということは反対しなかった」とのことですから、あなたのことを嫌いになったとか、今後離婚を考えているとかいう、2人にとって危機的な状況ではなさそうですが、このままその点を飛び越して人工授精を行うことは2人の愛とか心とかいう目には見えないけれど大切なものに背中を向けて人生を歩いて行くことになります。

最近、私のカウンセリング研究所でもこのようなご相談がありました。実際にこういう形で第一子、第二子と出産し、子宝には恵まれたものの、何かずっと違和感があるということでした。

「いろいろ調べられて」とのことなので、ドクターとしてはセックスレスも「不妊」の一つと診断して、一足飛びに人工授精を勧めたのでしょうが、心理カウンセラーとしては、その前のご夫婦の話し合いをぜひ行っていただきたく回答申し上げます。
(文:大関洋子)

2013/10/17(木)
第37回【恋愛編】「真剣でまじめな様子の彼に惹かれる私」
【Q】
彼とは英会話スクールで知り合いました。将来の海外勤務に備え、英会話を学んでいるとかで、スクールの中でも目立って熱心な人でした。私は海外旅行のために日常会話ができればという程度だったので、彼の真剣な様子に惹かれて付き合い始めました。付き合い始めて半年になりますが、とにかく彼はまじめ。何に対しても真剣に取り組みます。それはそれでいいことなんですが、そんな彼から見ると私の行動はすべていい加減に映るらしく、いつも私のやり方を非難します。関係が近くなったこともあり、最近は彼も遠慮がなくなり、私を怒鳴ることもしばしば。別れようかと思うこともありますが、堅実で、何に対しても真剣な彼の生き方は、正反対な性格の私にとっては、とても魅力的に映ります。

【A】
結論から言ってしまえば、なるべく早く別れてください。
あなたのやり方を「いつも非難し」たり、「関係が近くなったこと」 で「遠慮がなくなり私を怒鳴ることもしばしば」とのこと。「別れようと思うこともありますが」と言いながら、「自分の性格と違って堅実で真剣なところが魅力」と言ってズルズル付き合っているようですが、交際して半年で非難したり怒鳴ったりする男性は、結婚すればかなりの確率で暴力をふるうようになります。
いわゆるDV夫です。

あなたにはまじめで何事にも真剣な彼の性格と生き方が今は素敵に見えるのでしょう。けれども、「まじめさ」というのは、裏を返せば「心が狭く、自分の考え方や感じ方と違う人を許すことができず、真剣さが度を超して、怒鳴ったり叩いたりということ」になりかねません。

私のカウンセリング研究所に相談に来る方の多くは、「結婚するまでは大声も出さず優しかったし、まじめで何事にも真剣な人だなあと思って結婚したけれど、間もなく怒鳴る、蹴るになった」と言います。暴力が始まっても「私が悪いんだから」と思って我慢しているうちに子どもが生まれ、今度は「子どもを私一人では育てられない」などと思って、また怒鳴られ、殴られ続けてしまう人もいます。しかも、それを見て育つ子どもたちにも、手が震えたり、言葉が出なくなるというような影響が出たりもします。

あなたを速く別れさせるために脅しているわけではなく、人は非難され続けたり、怒鳴られ続けたり、殴られ続けたりしているうちに、正常な判断能力がなくなって、いわゆるマインドコントロールされた状態になってしまいます。それを見ながら育つ子どもたの中には、びくびくして発達が遅れたりする子出てきてしまうのです。

今ならまだ間に合います。一日も早く別れてください。
私たち人間の特徴の一つに、一人ひとり違うこと、多様性があります。あなたが自分の持っていないまじめさに憧れを抱く気持ちは分かりますが、もし彼があなたを真剣にまじめに愛してくれているのなら、あなたの持つ性格もプラスに受け取って、決して非難などせず、彼の持っていない「持ち味」として大切にしてくれるはずです。
どうぞ、そういう方をパートナーに選び直してください。
(文:大関洋子)

2013/10/03(木)
第36回 【職場編】「だから女はだめなんです」
【Q】
私の会社には、40代後半のお局様みたいな人がいるんです。お局様っていうと、何となく怖そうで嫌なイメージですけど、私は必ずしもそうは思っていなくて、「面倒見のいいお姉様」っていうイメージで捉えています。でも、仕事はちょっとっていう感じかな。つい先日、そのお局様が、入社2年目の男の子に、お説教っていうかちょっと注意をしたらしいんです。中身はなんだったか分からないんですけど、そしたら、その男の子が「そんなこと僕だって分かってますから。いつもいつもうるさいんですよ」とか言ってぶち切れちゃったんです。それで終われば二人の問題でよかったんですけど、その男の子、そのあといろいろな人に「だから女はだめなんですよ。僕は女になんか言われたくないですね」なんて誰かれかまわず言うもんだから、若い女の子たちは、「お局様のせいで私たちまで悪く言われちゃってる」ってむくれちゃうし、女の先輩たちは、「ガキのくせに態度でかすぎ」ってカンカンになるしで、会社の中めちゃめちゃなんです。

【A】
「女性も学びたい!」と声を上げたために銃で頭を撃ち抜かれた15歳の少女マウラさんの事件はまだ記憶に新しい。私にはこの事件は衝撃的でした。その上、瀕死のマウラさんが入院したイギリスの病院の周囲を「アイ アム マウラ」と書いたプラカードを持った女性たちが彼女の命を助けてほしいと祈っていた1枚の写真も私にはショックを与えました。イギリスという先進国でもまだ女性たちは自由に学べなかったという事実を知ったからです。

1789年に起きたフランス革命の人権宣言は男性の権利しか規定されていなかったので、翌々年、オランプ・ド・グージュが「女権宣言」を発表したのですが、彼女の行動は「扇動罪」と断定され、1793年にギロチンにかけられました。世界で最初にフェミニズム(個人の尊厳を訴え、性差別の撤廃を求める)の声が上がったフランスでも、こんな悲惨な歴史があったことは、あまり学校でも教えてくれません。日本では女性が選挙権を持てたのは1945年、第二次世界大戦に敗れたあとのことです。私たち女性が選挙に行けるようになって、70年そこそこなんですよね。

「お局様」という言葉も江戸幕府の大奥で将軍のお世継ぎ誕生のために集められた女性たちの中で、もう「性」のお相手ではなくなった女性が「局」(部屋)を与えられて、若い女性の教育係にされた歴史からきた呼称で、決して尊敬や信頼を込めた呼称ではなく、「年を取って使いものにならなくなり、若い女性に嫉妬心を持っている女性」を表現する時に使います。

現にご相談者の職場でも、女性自らが「お局様みたいな人」と呼んでいるのが「女は若いうち」という差別と偏見に満ちあふれていることがわかります。まずあなた自身の中にある「女は若くて、かわいくて何も言わずにおとなしいのがいい」という偏見を捨ててください。40代後半のその女性は「怖そうではなく面倒見のいいお姉様」というのならなおさらです。

女の先輩たちは「ガキのくせに!」って怒っているというのですから、どうぞ仲間割れしないで、あなたも一緒にそこに加わり「女はだめ」「女になんか言われたくない」と明らかなセクハラ発言をした男性に異議を申し立ててください。
このまま「お局様のせいで」などと甘いことを言っていると10年、いえ5年後にはあなたも「お局様」と呼ばれ、陰口を言われます。この際、きっちり上司に話し、男性全員に指導させてください。

「女性にも男性と同じ人権を!」と主張してギロチンにかけられた200年前の女性の死を無駄にしないためにも、また売春防止法により、それまでの国策としての売春が禁止された現在でも、未だ性を売る女性が罰せられ、買う男性が罰せられないという差別をなくすためにも、「だから女は・・・」という言葉を私たちの中から消していきましょう!
(文:大関洋子)

2013/09/20(金)
第35回 【子親編】「女なんだから××」なんて…
【Q】
義父は戦前の生まれ。何かにつけて「女なんだから××」と言います。特に「嫁」については「こうあるべき」という考えがあるらしく、他の立場の女性に比べ私には厳しいように感じます。私が義父に最初に注意されたのはお茶の入れ方。義父にお茶を持っていくと、「女なんだからお茶くらい入れられなくてどうする!こんな薄いお茶はお茶じゃない。入れ直してくれ」と言われました。大声で怒鳴られたわけではないけれど、すごく怖かったし、腹も立ちました。女だからお茶をちゃんと入れられなきゃならないわけじゃないし、だいたい私の両親は薄いお茶が好きだし…。「そんなのおまえの好みの問題だろ!お茶くらい自分で入れろ!」と言い返したいくらいでした。夫の実家に行って義父に「女なんだから××」と言われないことがありません。私は両親に「女だから」と育てられたことはないし、強い違和感を感じます。夫の父ですからなんとかうまくやりたいと思うのですが…

【A】
女性は、幼い頃、「女」へんに「良い」と書き娘と言われ、結婚すると「女」へんに「家」となって「嫁」になる。そして「嫁」が年を取ると「女」へんに「古い」と書いて「姑」になる。「女」へんの字を上げてみるだけでなんて腹立たしいことでしょう。ポジティブな字はあまりありません。「女」の「子」と書いて「好き」という字があります。「好き」という意味を考えるといい意味にも取れますが、「女」は「子」でなくてはならないわけで、私のように年寄りは「好き」ではなくなってしまいますね。「娘」も同様ですね。
「姦」なんて最悪です。女が3人寄れば「姦しい」(かしましい)。「うるさくてたまらない」という意味です。小学校のPTAで講演に呼んでいただいた時、この話をしました。「男」という字を3つ書いたらどう読むのでしょう?と尋ねたら、皆さん首をひねっていました。私が黒板に「男という字を3つ書いて「うっとうしい」はどうでしょうと言うと、100人くらいの皆さんが大笑いになりました。大勢の中に男性は校長先生とPTA会長さんだけだったんです。ちょっとばつが悪かったでしょうか…。
もちろん、「男」を3つ書く字なんてないんですが。

さて、私たちの文化や生活はいわゆる男尊女卑と言われる歴史の上に長い間暮らしてきました。皆さんご存じのシンデレラは、フランス語で「灰かぶり」という意味で、いつも台所でかまどの灰をかぶって料理や洗濯、掃除をしているということです。シンデレラの展開は、魔法使いのおばあさんの助けでパーティーに行かせてもらって、そこでガラスの靴が脱げて…。白雪姫も皆さんご存じですよね。毒リンゴを食べて仮死状態なって、そこへ王子様がやってきて…。どちらもじっと待っていると最後は幸せになれるというお話しです。
ところが、人魚姫はどうでしょう。人魚姫は自ら王子様が好きになり、その気持ちを必死に王子様に伝えようとします。けれどもそれは果たせず、最後は海の泡となって消えてしまうのです。
これらは200年ほど前の童話ですが、このような童話の中にも女性はどうあるべきかがしっかりと示されているんです。男性は女性の身ごもる子どもが誰の子どもかはっきり分からないので、確実に自分の遺伝子を守るためには、女性を家に置いておく必要があったのです。

さて、シンデレラや白雪姫の話から200年ほど後世に生きているあなたは、義父に「お茶くらいご自分でどうぞ!」と言ってみますか?
それもいいかもしれませんが、解決にはならないので、「男」は「男」で、白馬に乗って登場しては、死体を「美しい!」と言って抱き上げなければならない辛い歴史の中に生きている、空威張りばかりしている気の毒な存在とでも考え、双方で少しずつ「女なんだから××」という回数を減らす努力をしてみてはいかがでしょうか。「男尊女卑」は女だけでなく、男もしんどいものですから。
(文:大関洋子)

2013/09/05(木)
第34回【親子編】「息子はかわいいのに娘はかわいくない」
【Q】
小学5年生の息子と3年生の娘がいます。息子はよく私のそばに寄ってきて、手伝いをしてくれたり、肩を揉んでくれたり・・・。たまには、私に逆らって、怒鳴り合いになることもありますが、しばらくすると息子の方から寄ってきて、私にお世辞を言ったりします。そんな息子を私もかわいいと思って、息子のためには何かやってやろうかなと思うのですが、娘は全然違って、私が何か頼んでも、全然言うことを聞かないし、それを怒ると開き直って、かえって険悪な状態になったりします。そうなると、2、3日口をきかなくなることもしばしばで、私にとって娘は厄介者でしかありません。そんな気持ちを子どもたちにも、夫にも悟られないようにしているつもりですが、先日、夫から、「2人を平等にかわいがってやらないとまずいだろっ?!」と言われてしまいました。

【A】
100年ほど前に精神科医フロイトは「エディプスコンプレックス」という言葉を使って、ご相談のような状況を説明しています。つまり、子どもが初めて異性として関心を持つのは、男の子なら母親、女の子なら父親であるというのです。この学説に基づけば、あなたの気持ちは「当然」ということになります。「エディプス」(オイディプス)は、ギリシャ神話に登場する王の名で、その神話は予言者に「生まれてくる王子は父を殺し母と結婚する」と告げられた父に一度は捨てられたエディプスが、結局父親とは知らずに父を殺し、母親とは知らずに母を妻としてしまい、母は自害、エディプス自らも目を刃物でえぐってしまうという悲劇です。
エディプスコンプレックスについては、フロイト自身も、幼いころ、母に淡い恋心を抱いた記憶を記しています。

皆さんのご家庭でも、少なからずこの傾向はあって、幼い息子に「大きくなったら、僕、お母さんと結婚する」とか、幼い娘に「私、お父さんと結婚する」とか言われ、なんてかわいい息子、なんてかわいい娘なんて思ったことがあることと思います。だから、子どもたちにとっては、異性親が、まあ初恋の人のようなもので、同性親はライバルということになります。もちろん、この内面の心理は、発達とともに薄れて、忘れられていきます。息子たちは父をライバルとし、娘たちは母をライバルとしつつ、それを乗り越え発達していくというわけです。

あなたは、人間としての発達の一つの段階を体験しているわけで、夫の言葉は、無意識のあなたの意識を指摘したことになるわけです。もしかすると、あなたの夫には、娘をかわいいと思うような、あなたとまったく逆の感情が無意識にあるのかもしれませんね。

この状況は、それぞれ同性親を無意識にライバルとして感じることで、子どもたちの発達を促すのですから、いつまでも続くと俗にいう「マザコン」「ファザコン」と言われる過剰な関係の母と息子、密接過ぎる父と娘となって、発達を阻害することになります。夫から指摘を受けたことをきっかけに、「あって当たり前のことではあるけれど、度を超すと子どもたちの発達に支障がある」と考えてみてください。おそらく、あと2〜3年もすると、自然に息子さんはお母さんから離れていき、娘さんが近づいてくるはずです。そのとき、息子さんを自分の方から離してやれる母親になってください。息子さんを「良くいうことをきく夫」「自分の都合のいい改造夫」に育てないことを願います。

最後にもう一つ。これは私の浦和カウンセリング研究所にもよくあるご相談なんですが、母親が兄や弟をかわいがると、女の子たちは、「お母さんは私が女だからかわいくないんだ」「お兄ちゃんや弟は男の子だから大切なんだ」と受け取ってしまい、成長の過程で「女だから」という言葉を自己卑下として伸び悩んでしまうことも多いので、十分注意してください。
(文:大関洋子)