| この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。 主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。 ■大関洋子プロフィール■ (浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー) 1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。 著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。 |
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| 2026/09/10(木) |
| 第336回【職場編】「“かわいいだけじゃだめ”に決まってんだろっ!」 |
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【Q】入社して4年になります。今の会社を選んだのは、それなりの規模の会社だし、社員の和を大事にしていて、コンプライアンスもしっかりしていてパワハラ、セクハラがないって評判だったからです。よほどのことがない限り残業を強いられることも、飲み会への出席を強いられることもありません。ただ1つ嫌なことがあるんです。うちの会社も忘年会だけはやるんですけど、千人くらいの規模なので、各部ごとに余興をやって、社長賞、敢闘賞、努力賞、ユーモア賞の4つの賞が出ます。1、2、3位という順位ではないですけど、実質順位ですから、賞を取ろうとするとどうしても見栄えのする若い女子社員中心のダンスパフォーマンス的なものになりますよね。当然練習しなきゃですから、私の部では、20代の女子社員が9月から11月まで月2回、6回練習して本番に臨むんです。今年はきゅーすと(CUTIE STREET)の「かわいいだけじゃだめですか?」をやることになりました。中心になっている後輩から連絡があって、動画のURLが送られてきました。衣装も用意するそうです。出ないっていうのもありですけど、あとでいろいろ言われそうで、簡単じゃありません。女同士でセクハラしてどうする!「いい大人が“かわいいだけじゃダメ”に決まってんだろっ!」って叫びたいです。
【A】「かわいいいだけじゃだめ」に決まってます。時代は変わったとは言え、容姿の良さや男への媚びの売り方の上手さを求める人もまだいるので、それをなじっての歌と取れますよね。この歌の歌詞が科学的でないと主張して、批判的に捉えている人たちもいます。さだまさしさんの「関白宣言」が出た時も同じようなことが起こりました。 「かわいいだけじゃだめですか?」の歌詞には、「本当はかわいいだけじゃないのです」というくだりもあります。戦国時代の小野小町や紀元前のクレオパトラ、ちょっと前の時代のマリリンモンローまで登場させて、愛を取り合う戦いに、(かわいさをアピールするため?)「本気出してた」と、徹底してかわいさのアピールを主張しているのです。まさか、これが史実だなんて捉える人もいないですよね。もっともクレオパトラや小野小町を実際に知る人なんていないので、絶対そうじゃないと言える人もいないわけですが。まあ、ジョークです。 「関白宣言」の「めしはうまく作れ いつもきれいでいろ」と言った直後に「できる範囲でかまわないから」と言っています。あとから述べている「幸せは二人で育てるもので どちらかが苦労して作るものではないはず」「愛する女は おまえただ一人」が言いたかったわけです。「関白宣言」も炎上して、批判を受けましたが、私は歌詞を真っ直ぐ受け取るには無理があると思います。要するに矛盾したことを言っているんです。 「かわいいだけ」ではやっていけない、人間的に魅力もない…、ネット上には様々な意見がありますが、私は「かわいいだけじゃだめだよ」と言っていると捉えています。男性が女性のパートナーを選ぼうとしたとき、はっきりした目的とか考えとかがあれば別ですが、おそらく「かわいいだけ」の女性は選びません。男女逆も然りだと思います。結婚相手に求めるもののアンケート調査で、多くの人が挙げるのは「価値観の一致」で、男女共同じです。そんなことも踏まえて、今回のことを理解してみましょう。 あなたは、そう捉えた上で、忘年会の賞争いに、こともあろうか20代の若い女性を選んで、この歌を振り付き、衣装付きでやろうとしている後輩、こういう内容が受賞への近道と思わせている会社の姿勢に腹を立てているんですよね。あとのことを考えると「出ない」とも言い出しづらく、とても嫌な気分になりながら6回の練習に出ようとしています。 6回の練習に出る間に、後輩がどんな理由で「かわいいだけじゃだめですか?」を選んだのか、批判する口調でなく話をしてみるのもいいと思います。あなたの怒りの内容と後輩の考えとの距離を縮められるかもしれません。20代の女性を集めるとのことですから、あなたと同じ感覚の人が出てくることもありますよね。 「振り付き、衣装付き」という内容はこのまま進んでいったとして、例えば最後に「かわいいだめじゃだめですよ」というプラカードを出すというようなことを提案できませんか?ユーモアがあり、賞レースでは、高評価に繋がったりする可能性もあります。 今回のことをキッカケとして、社内の男女平等意識を1段進める方向で努力してみてください。私は必ず進むと思います。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/08/27(木) |
| 第335回【子親編】「母亡き後の父に困っている」 |
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【Q】一昨年、夫の母が69歳で亡くなりました。ちょっと言い方は悪いですが、夫も私も何度か手術を経験している4つ年上の父の方が先に亡くなり、病気とは縁のなかった母が残されることを想定していたので、父のこと、ちょっと不安に思ったんです。母は社交的な人で、昔からの友人や地域の皆さんとも交流があり、忙しくしている人でした。父は70歳まで技術職として働いて、退職後は義母と2人で食事に行ったり、旅行に行ったり楽しく過ごしていましたが、母以外とはまったく人間関係のない人だったので、あまりにも早い母の他界で、2年になろうとしている今も、ほとんど家から出ることがありません。我が家から車で10分ほどのところに住んでいるのですが、1人で何をしているのかもわからず、週に3、4回私が食事を作りに行き安否確認をしているような状況です。私の周りを見ると連れ合いに先立たれて1人になってもそれなりに元気に生活している人がほとんどなので、父にも元気にとまではいかなくても、それなりに生きてほしいと思うのですが、同居もダメ、旅行も食事もダメという父をどう扱えばいいのか、とても困っています。
【A】お義父様の日常生活を心配してのご相談ですね。優しいお心の方で、夫の父親のことをとても気にかけていらっしゃいます。おっしゃる通り、男性はどうしても地域との交流は少なく、人生の大方の時間を仕事での人間関係の中で生きてくる人が多いですよね。女性は仕事を持っていたとしても、子どもがいれば母親同士や若いころからの友人などと情報交換しながら子育てをしたりしていますので、仕事以外の人間関係が自然と出来上がっています。夫に先立たれ、寂しくなったとしても夫の世話や束縛からなくなったことで、自由を手に入れ、逆に元気で生き生きする人もいるくらいです。お義母様は社交的な方だったのことですから、ご近所の方とのお付き合いや自治会活動、お子さんに関わることなど、お義母様がほぼおやりになっていたのでしょうね。 お義父様は、技術職のお仕事を退職された後、お母様との旅行や食事を楽しんでいらっしゃったとのこと。そしてお義母様亡き後、2年も経つのにほとんど外出もせず、あなたが同居を提案してもダメ、旅行も食事もダメと言われ、あなたはお義父様をどう扱えばいいか困っています。 結論から申し上げれば、今のまま、お義父様が生きたいようにさせてあげてください。確かに地域との交流もなく、近くに友達もおらず引きこもっていると思うと、あなたとしては何とかしなくてはと考えるのも当然です。お義母様が家事全般をおやりになっていたでしょうから、週3〜4回食事を作りにいってあげていることは、あなたとしては安否確認が主な理由だとしても、お義父様にとっては大変助かることだろうと思います。 「3年寝太郎」という昔話をご存じですか。母に亡くなられた少年がその悲しみで3年うつうつと寝ていて心配した村人が食べ物を運んでいる。そこへ大洪水が村を襲う。それまで寝ていた太郎が突然起き上がって大洪水に立ち向かい村を救う。そんなお話しです。この昔話は、人が自分の支えになっていた大切な人を亡くし、その別れを納得して受け入れるのには3年かかるという心理を表したものと解釈されています。お義父様もお義母様の早すぎる死を2年では受け入れかねていらっしゃるのかもしれません。 最近では、男性でも地域と結びついて生きている人が増えてきていますが、まだまだお義父様のようなケースが多いようです。もう少しすると息子たち夫婦の助けを受け入れられるようになるかもしれません。それまで、そっと見守って差し上げてはいかがでしょうか。もちろん、食事作りは、はっきり拒否されない限り続けて上げてくださいね。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/08/19(水) |
| 第334回【親子編】「つい嫁の愚痴を言ってしまう私」 |
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【Q】結婚して40年、小2、小1の娘のいる38歳の息子、3歳の娘のいる35歳の息子がいます。毎年、夏にはみんなで旅行に行くんです。以前は夫がホストをやっていて、コテージやBQQ道具の手配とか、食材の調達とか、すべて夫がやっていました。さすがにそろそろ世代交代しようということになったんですけど、ここで気づいたことがあるんです。私と夫の関係は、私がフルタイムの仕事をしていたこともあって、家事育児の負担は半々というか、7:3くらいで夫の方が負担していた感じ。息子たち夫婦も、子どもが生まれた後も、嫁はフルタイムの仕事をしているので、夫と私ほどじゃないにしても家事育児の負担は半々くらいが当たり前ですよね。にもかかわらず、私は、買い物や食事の支度の段取りが悪いって、それとなく嫁に指示をしちゃうんです。さすがにあまり強い調子で文句を言ったりはしませんけど、夫に愚痴を言っては、「そうだね」って答えさせて、不満を解消しています。夫の実家に行った時、義母から「嫁なんだから…」って言われてムッときたことが何度もあったのに…。冷静に考えれば段取りが悪いのは嫁ということでもなく息子たちなのに、食事のこととなると、つい女性の仕事と考えてしまう私の意識をどう変えていったらいいでしょうか。
【A】結婚して40年というと、あなたは70歳前後の女性でしょうか。地域にもよりますが、あなたの育った時代はまだ家父長制が色濃く残っていて、男女平等というかけ声はあったものの平等にはほど遠い時代でした。今でさえ、こうしてジェンダー平等の問題が取り上げられるようなわけですから、言うまでもありませんが。 最近の状況はというと、ようやく育児休暇が法的に保証され、公務員や政治に携わる皆さんが「見本」のように取得しています。女性が働くことも、1985年に男女雇用機会均等法の制定、1997年、2006年の改正により、差別禁止の義務化やハラスメント対策などが段階的に強化され、法環境は整いつつあり、女性が少しずつ働きやすくなってきました。 あなたが働き始めたころ、結婚して家事育児を両立させようとしていたころは、戦後教育が根付き始め、方向性として男女平等は示されてはいたものの、国政の世界では市川房枝さんのような女性政治家、地方やマスコミレベルでは浦和市議会議員の小沢遼子さんなど、活発に活動し、過激な活動で知られる「中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合」(俗称;ピンクヘルメット)など、様々なウーマンリブ運動も起こり、男女平等の芽は出てきたとはいえ、平等とは言えない時代です。それが最近になって形式上だけでもやっと整ってきたというところでしょうか。 そうは言っても、まだまだ男女平等を実践できていない夫婦がほとんどの中で、あなた方夫婦は夫7:妻3というかなり先進的な家事の負担割合を性に囚われることなく実践してきました。とても素晴らしいことですね。 最近、自転車やベビーカー、抱っこひもを使ったりして、保育園へ子どもの送迎をする男性を見かけるようになりました。あなたが働き始めたころは見られなかった風景ですよね。保育園の数も十分とは言えず、保育園に対する意識も「本来子育ては母親がするべきものだけれども保育園に預かって頂いている」的な、保育園を利用することは肩身が狭い時代でした。そういった意識は、急速に変わってきていますが、男性が外で働き、女性が家事を担うという意識も根強く残っています。皇室典範の改正論議で見えたように政治の世界では顕著です。 そういう時代を生きてきたあなたが、夫との関係の中では平等を実現してきているとは言え、頭の中の意識とは裏腹に「家事育児の段取りは女性がすべき」という幼少期のステレオタイプの意識が心の底に残っているのは当然です。「自分は幸運にも夫が7割の家事育児をやってくれているし、義母から「嫁なんだから…」との扱いを受け、ムッとしているにもかかわらず息子の至らなさはさておき、嫁に不満を持ってしまう私の意識をどう変えていったらいいか」とのご相談ですが、「私はそういう自分である」ということをしっかり受け止めて悩むことです。悩むことがあなたの意識を変えていく一番の近道です。嫁の2人は、あなたたち夫婦の様子を見ているので、あなたの嫁に対する「指示」を不平等とは受け取っていないと思いますよ。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/07/16(木) |
| 第333回【夫婦編】「夫の不倫を許したはずなのに…」 |
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【Q】夫が28歳、私が25歳の時に結婚しました。2年後に息子が生まれ、その2年後に娘が生まれて4人家族です。娘がお腹にいるころから、私がいっぱいいっぱいになってしまって、夫が私に寄ってきても拒否するようになり、娘が2歳になるくらいまでの3年間ほぼセックスレスになっていました。ちょうどそのころ夫がスマホのLINEで女性とやり取りしているのを私が見てしまい、不倫していることが分かりました。問い詰めたところネットで知り合った女性とのことでした。子育てで大変な私に対して、この対応かと思い、離婚も考えるくらい腹が立ったんですけれど、娘の妊娠中からセックスを拒否していた私にも少しは責任があると考え、許すことにしたんです。あれから3年、夫が求めてきた時にはなるべく嫌な顔をせず受け入れるようにしてきました。今のところ、夫も不倫はしていないようなのですが、夫の態度が少しでも普段と違ったり、いつも食べないものを食べたり、洋服や靴を買ったりしただけで、不倫を疑って喧嘩になります。頭の中では過去の不倫は消化したつもりなんですけれど、どこか引っかかっているみたいで、今、改めて離婚した方がいいかなと思うようになりました。
【A】夫の不倫が分かった時は、「子育てで大変な私に対して、この対応かと思い、離婚も考えるくらい腹が立った」のですよね。人生のどの時期に夫に不倫をされてもその裏切りには腹が立ちますが、上のお子さんの世話と第2子の妊娠、出産のタイミングではなおさらです。結婚した夫婦にとっては新しい家族を迎えて幸せの絶頂期といってもいい時期ですし、女性は新しい生命を授かる喜びもさることながら、妊娠や出産、子育てに対する不安も抱えており、精神的にも、肉体的にも最も大変な時期ですから。夫にとっても妻を精神的にも実際にも支えてまさに苦楽を共にする時期です。あなたが「いっぱいいっぱい」と表現なさるのもよく分かります。 そんな時の夫の裏切りは、あなたにとってどんなにか辛かったでしょう。 それでもご自分が第二子の妊娠中に夫が求めた性関係を拒否したことにも「この不倫は私にも責任がある」と考え許しました。そして夫婦関係を再構築するため、夫の不倫発覚後は、夫のセックスの求めに応じてきました。「なるべく嫌な顔をせず受け入れるようにしてきた」わけです。あなたの言葉から推察すると、夫に不倫をされないためにあなたは「嫌と感じる時」も性関係を持っていたように思えます。「過去の不倫は消化したつもり」と言っていますが、「どこか引っかかっている」とも言っています。あなたと夫の関係、特に性に関する関係が、完全に元に戻ったわけではなく、あなたの我慢によって体裁だけを整えたわけですから、引っかかっているのは当然です。しかもあなたは夫が、すべてご破算にして不倫を許してもらったという気持ちでいることを感じていますよね。 夫に対し、一度許してしまったという事実は2人の間からは消せませんが、一旦あなたは不倫を許す前の気持ちに戻しましょう。その上であなた自身の気持ちを整理してください。やっぱり許すという気持ちになるかもしれませんし、やっぱり許せないという気持ちになるかもしれません。そして、その気持ちを持って、夫と話をしてください。「許すって言っただろ」と夫から責められるかもしれませんが、夫婦関係は理屈ではありませんので、あなたの気持ちをもう一度夫にぶつけましょう。そこに戻らない限り、「どこか引っかかっている」状況を今後もずっと引きずることになり、あなたは我慢の生活を強いられます。辛いことではありますが、そこを乗り越えられないと家族に真の幸せは訪れません。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/07/02(木) |
| 第332回【恋愛編】「恋愛は条件が必要?」 |
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【Q】学生時代から親しかった女友達が4人いるんですけど、3人がここ2年の間に結婚しました。結婚願望が一番強かったのは私なんですけど、まだ付き合っている男性すらいません。結婚していないもう1人の友人も付き合っている相手がいて、本人曰く「もうじきプロポーズされそう」なので、このままだと私だけが取り残されることになりそうです。私は相手にこれといった条件を求めず「この人と一緒にいたいと思う人と結婚したい」と思っていたのですが、友達4人は自分の人生設計があるらしく、それに沿った人生を送るために、「最低限これくらいは必要」と相手に条件を付けていたんです。例えばある程度のルックスとか、ある程度の収入とか、何でも言うことを聞いてくれるとか。私は恋愛も結婚も、好きっていう気持ちがあってこそと思っているし、結婚願望が強かった私としては条件を付けずに相手を探す方が簡単と思っていたので、条件なんて考えたことなかったのに、結果的には条件を付けて相手を探していた4人の方が早く結婚することになっちゃったんです。恋愛に条件は必要ってことなんですか?
【A】人の価値観は社会の変化や注目される人物や物事によって大きく変化します。戦後の復興から高度成長、バブルによって、国民の多くが追い求めたのは精神的豊かさよりは経済的豊かさでした。どん底の貧しさを経験した国民は、経済的豊かさがなければ精神的豊かさも得られないと考えたからです。そういう時代に女性が結婚相手に求めたものは高収入です。一般的に言って学歴によって収入は変わるので、より高い学歴を求め、さらに他人との比較で「人に自慢できる夫=高身長の美男子」との思いから、女性が男性に求めるものは「3高」(高身長、高学歴、高収入)となりました。そのころは冷蔵庫、洗濯機、掃除機の「三種の神器」が全世帯に普及し、テレビも一家に1台から一人に1台の時代になり、一億総中流社会と言われました。 バブル期が訪れ、さらにバブルが崩壊すると、人々の意識は一変します。女性の社会進出もいくぶん進み、経済的自立を手に入れる女性が増え始めると、外で働かない主夫という存在が注目されるようになります。主夫の登場は、それまで家庭を顧みず会社におけるより高い地位、より高い収入を求めていた男性にとってはカルチャーショックであり、なかなか認められない存在でしたが、「男は外、女は内」という社会構造の中で、ワンオペ家事育児を強いられ、自由を奪われてきた女性からは、家庭に目を向ける男性、主婦の苦労を共有できる男性として圧倒的支持を得ることになります。結婚に求めるものも「3高」から「3優」(私に優しい、家族に優しい、家計に優しい)へと変化していきます。この流れはさらに大きな社会の変化となり、残業をしない定時退社や参加を強要される飲み会の減少などにもつながっていきます。 さてあなたは、そういう時代を経てさらに日々変化を続ける今に生きています。政治に対する女性の進出が遅れていることで、ジェンダーギャップ指数は低位に甘んじている日本ですが、ここ数年の女性の社会進出は顕著で、日本航空の鳥取三津子氏に代表されるような大企業の女性経営者も増えてきています。 そんな中、あなたは「恋愛に条件は必要か」と悩んでいます。分かりやすく言うと「結婚相手を探すにはある程度の条件で範囲を絞った方が見つけやすいか」ということですよね?あなたは友達4人は「ある程度のルックスとか、ある程度の収入とか、何でも言うことを聞いてくれるとか」という条件の下で相手を探すことにより、恋愛、結婚へつながったと考えていて、自分にはそういった条件を付けず、恋愛、結婚にはまず「好き」という気持ちが大事と言っています。でも、あなたは本当に条件を付けずに探しているのでしょうか? 実はあなたは、「条件を付けずに探している」のではなく、「条件を付けられない」「条件を絞れない」から相手が見つからないのではありませんか?それにあなたは何となく気づいていますよね。あなたは4人について「自分の人生設計があるらしく」と言っています。まったくその通りで、4人は「自分はこう生きたい」というものを持っている。恋愛、結婚に必要なのは、相手がそんな条件に合った人間なのかというより、自分がどう生きたいかということが必要なんです。自分の生き方が見えなくては、どんな相手が自分にふさわしいのか分かりません。昭和、平成とまだまだ女性が男性に従って生きてきた時代には、男性に「3高」や「3優」といった条件が求められましたが、令和4年の内閣府男女共同参画白書によると、20歳から39歳の独身男女の「結婚相手に求めるもの・求めたこと」のアンケートでは、男性の1位「一緒にいて落ち着ける・気を遣わない」、2位「価値観が近い」、3位「一緒にいて楽しい」、女性の1位「一緒にいて落ち着ける・気を遣わない」、2位「価値観が近い」、3位「一緒にいて楽しい」でした。経済力や容姿との回答は上位3位までの半分以下、学歴に至っては30分の1程度です。 「3高」「3優」のような漠然とした内容ではないので一概に比較できませんが、経済力、容姿、学歴という数字が非常に低いことは、世の中の変化を反映したものになっていると感じます。 あなたは、友達が相手にどんなことを求めたか、どんな相手と結婚したかを気にするのではなく、あなた自身がどう生きたいか、どんな人生を送りたいかを考え、しっかり生きることから始めてください。そんなあなたの生き方を見てあなたに惹かれる男性も現れることでしょうし、あなたが惹かれる男性も現れると思いますよ。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/06/19(金) |
| 第331回【職場編】「クール・ビズもほどほどにしてほしい」 |
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【Q】
今年から東京都は夏場の男性のTシャツ、短パンが部署によっては解禁になったとか。すごく画期的でいいことのように報道されてるんですけど、私はちょっと…。都民と直接関わることはないみたいですけど、部署内では他の職員と一緒ですよね。私なんかは、同じ部署にそういう格好の男性がいると、くつろいでいるみたいに見えてやる気を削がれちゃいます。それに男性はそういう格好が許されるなら、女性はどこまで許されるのかなって考えちゃいますね。うちの会社はそこまでじゃないんですけど、クール・ビズにすごく積極的なんです。会社が許すギリギリのところで軽装を競っている感じです。私は生理痛がひどくて、身体を冷やしたくないので、エアコンの効いている社内では肌は出さないし、足先も冷えるのでスキーの時のような靴下を履いているんです。クール・ビズじゃない時はそれほど目立たないんですけど、夏場はどうしても目立ちます。社内では「生理痛のひどい女」みたいなレッテルを貼られてるみたいで、男女を問わず私に「体調大丈夫?」とか「生理痛がひどいときは休めば?」とか声をかけてくれるんです。なんか、さらし者みたいじゃないですか?生理休暇も取れないわけじゃないですけど、そんな状況ではかえって取りにくいですよね。クール・ビズも度を超すと、困ってしまう人もいるので、私がそれほど目立たない程度のクール・ビズにしてほしいです。 【A】 ご指摘のクール・ビズは、今では当たり前になりましたが、未だに賛否両論あるようで、「夏場の暑い時期にスーツにネクタイという格好から解放されるのは、とても楽で仕事の効率が上がる」という意見がある一方、クール・ビズで対応されている側からは「遊んでいるように見えて、対応に不安に感じる」とか「クール・ビズになってから対応が雑になった」とかいう意見も聞かれます。 このクール・ビズには、ちゃんと目的があることをご存じですか? クール・ビズが始まったころのいきさつをなんとなく覚えている方は、「ああ、そうだった」と思う方もあるかと思います。第1次小泉内閣で環境大臣に就任した今の都知事、小池百合子氏が小泉総理に「(温暖化対策として)夏場の軽装による冷房節約」を1つのキャッチフレーズにしたらどうかとアドバイスし、環境省主導のもと、夏場の暑い時期にエアコン設定を28度以上として、その室温に対応できる服装としてネクタイや上着を着用しない、いわゆる「ノーネクタイ・ノージャケット」を推奨したのが始まりです。小池氏が旗振り役として盛んに呼びかけたので、「クール・ビズ=小池百合子」の印象をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。「クール・ビズ」(COOL BIZ)という表現は、2005年4月に行われた環境省の一般公募によって選ばれたもので、「涼しい」や「格好いい」という意味の英語のCOOLと仕事や職業の意味を表すbusinessの短縮形BIZを掛け合わせたものです。 クール・ビズの実施期間は、当初「6月1日から9月30日まで」の4ヶ月としていましたが、2011年の東日本大震災に伴う電力不足・電力危機も考慮して、政界・官公庁や一部の上場企業によっては前倒しで5月から実施するところも増え、2012年からは環境省が「スーパークールビズ」を打ち出しましたが、2020年に環境省はクール・ビズの実施期間を廃止、当時の環境大臣小泉進次郎氏が「ネクタイを締めるかどうかは、一人ひとりが決めていくことが大事」と各自が気温に応じた服装をするよう呼び掛けたことにより、環境省によるクール・ビズ、ウォーム・ビズの呼びかけは、2020年度が最後になりました。環境省のホームページには、環境省が推奨する服装基準が掲載されていましたが、現在は削除されています。 本来のクール・ビズの目的は、温暖化対策だったんですね。それが今では、ただの暑さ対策だったり、軽装の方が楽というだけだったり、場合によっては個々のオシャレだったりになってしまっていますよね。温暖化対策としてのクール・ビズは日本発祥なわけですが、世界に広がっているかといえば、微妙です。広げようという動きもありましたが、文化の違いもありそれほど広がっていないというのが現状です。国際的に見たときには、正装の重要性というのは意識されていますので、自由奔放に思えるトランプ大統領も服装には厳しく、いつもスーツにネクタイです。ゼレンスキー大統領との会談の際、ゼレンスキー氏が軍人でもないのにスーツにネクタイでなかったことが無礼だっと言って怒ったということが話題になりました。 さて、あなたの会社は温暖化対策としてのクール・ビズを実践していますか? エアコンは28度以上になっているでしょうか? なってませんよね。もう完全に本来の目的はどこかに行ってしまいました。もし、目的が意識されて、社内のエアコン設定が28度以上になったら、あなたの真夏の寒さ対策はほぼ必要なくなりませんか? なかなか簡単ではありませんが、まず上司であったり、社内の環境を管理している担当者に、あなた個人のこととしてでなく、本来のクール・ビズの目的に沿った社内対応になるよう相談してみてください。室温が高くなると、かえって軽装、薄着になるということはあるかと思いますが、あなたは少し楽になりますよね?真正面からの答えになっていないかもしれませんが、個人差の大きい問題なので、あなた個人の問題としてでなく、まず会社全体のクール・ビズの捉え方という観点から解決を図ってみてください。社内にあなたのことを理解してくれる友達を増やすことも大事ですね。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/06/01(月) |
| 第330回【子親編】「お互い拒否の両親」 |
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【Q】
夫の両親は、結婚して50年。義父が80歳、義母が76歳、昨年金婚式のお祝いをしました。仕事はしていませんけど、2人ともまだまだ元気で、毎日あちこち飛び回っています。義母は演劇や音楽が好きなので、しょっちゅう1人で都内へ出かけています。義父は人と関わるのが好きなので、お花の先生やお琴の先生にうちに来てもらって、近所の皆さんとカルチャーセンターさながら、定期的に講座みたいなものをやったりしています。ただ2人の関係がすごく悪くて、2人ともお互いに関わろうとしないんです。全面拒否ですね。義父は義母の作った物は食べない、自分の洗濯物も洗わせない、自分の部屋には絶対入れない等々、関わりを持とうとしないんです。義父のそんな態度をいいことに義母も義父との関係を拒否しています。介護が必要になった時には、当然私たちが見ることに抵抗はないんですけど、まだ2人とも元気なのに、2人の関係が悪いために、今の2人に今の状態のまま関わるのは、両方に気を遣わなくちゃならなくてすごく大変です。お義父さんの面倒を見ればお義母さんはどう思うか、お義母さんの面倒を見ればお義父さんはどう思うか、対応にとても疲れてしまって…。元気とは言っても両方が拒否し合っている状況では何が起こるか分からないので放って置くわけにもいかず、対応に困っています。 【A】 義父母の関係がすごく悪くて「全面拒否」でお互いに関わろうともしないことに気を遣って疲れてしまっている。優しくてとてもいいお嫁さんですね。お互い関わろうとしない義父母を何とかして関わらせたいとお考えなんでしょうが、今となっては無理なことです。昨年、50年の結婚生活を祝って金婚式をされたようですね。50年という半世紀をかけて作りあげた2人の関係が「関わらないという関わり方」と理解してください。 「何が起こるか分からないので放って置くわけにはいかず」と言っていますが、お2人は「関わらないという関わり方」をしていますので、良きにつけ悪しきにつけ、ほとんどご一緒のことはないので、万一あなたが心配するような脳出血や心筋梗塞?などになったとしても、救急車を呼んだり、心臓マッサージができるわけでもありません。「何が起こるか」の中に、2人が急接近してどちらかを傷つけるような場面も想像できません。2人が50年という年月をかけて選んだ「関わらないという関わり方」を尊重して、あなたはお2人を「放って置いて」ください。 それをあまりに冷たい態度だと思うなら、義母が嫌がらなければとの前提でですが、たまには一緒に演劇やコンサートに行ったり、義父のお花やお琴のお稽古や発表会のお仲間に入れてもらったりしてはどうでしょう。あなたにそうしたたしなみがないとしても、やってみると楽しかったり、ためになったりするかもしれません。その体験を義母や義父に楽しげに伝えて「今度は3人で行きましょう」などと無理に誘う必要もありません。 ただ、お義母さんと一緒の時はお義母さんとの時間を、お義父さんと一緒時はお義父さんとの時間を楽しめれば充分です。そのうち孫の誰かが「私もやりたい」と言って加わるようなことでもあれば、もっと楽しくなりますよね。お義母さんと一緒の時はお義母さんの息子(あなたの夫)の愚痴をお義母さんに訴えて、お義母さんは夫(お義父さん)の悪口をあなたに話す。2人で夫や息子を蚊帳の外にして義母と嫁が仲良くしましょう。 そういう生活の中で何かが変わるかもしれません。もちろん何も変わらなくてもかまいません。あなたの心配りや優しさはお2人に伝わると思いますよ。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/05/28(木) |
| 第329回【親子編】「子どもと何して遊ぶ?」 |
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【Q】
小学2年生の娘と保育園年長の息子がいます。私も夫も特にジェンダーフリー論者ではありませんけど、子どもが成人した時、ジェンダーが障害になって選択の幅が狭まったり、私たちの子育ての影響で悩んだりすることがないように、できる限りジェンダー的発想に基づいた子育ては避けようと、夫とは話しているんです。でもジェンダーバイアスにはすごいものがあって、私と夫にものしかかってくるんです。20年後くらいにはAIの進化でまったく違った世界になっているかもしれないのに、どうしても今を基準に子育てを考えてしまいます。夫は子どもたちが大好きで、時間を作っては子どもと遊んでくれるんですけど、この前私に「子どもたちと何して遊んでやったらいいんだろう?」と悩みを打ち明けてくれました。夫が言うには「男らしくとか、女らしくとかまったく考えてないつもりなのに、娘とは“おままごと”みたいなことして遊ぶのに、息子とだと“××レンジャーごっこ”になっちゃうんだよ。娘と“××レンジャーごっこ”できなくはないけど、息子と“おままごと”っていうのはねぇ。外で野球とかサッカーをしても娘には“今だけの遊び”って思うのに、息子には“将来はサッカーやらせようかな”って思ったりしちゃう」。夫の言うことは、まったくその通りで、私たちの接し方が子どものジャンダー的発想を養ってしまっていると強く悩んでいます。 【A】 ご夫婦でとても素晴らしい感覚をお持ちですね。給料の格差、社内での昇進格差、家庭内での性役割等、ジェンダーギャップを感じる方は多いと思いますが、親が子どもと遊ぶ時の内容にまで踏み込んで疑問を感じる方はそれほど多くないと思います。 結論から申し上げると、お二人がおっしゃる通り、どうしても男の子、女の子で遊びに差が出ますよね。これをすべてなくし、男の子、女の子でまったく同じ遊びをさせようとするのは無理です。子どもたちは、親子関係の中だけで生きているのではなく、社会の一員でもあるわけですから、様々なところから影響を受けます。それを無理矢理遮って子どもたちを育てようとすれば、子どもたちと周囲との間で摩擦が生じ、子どもたちは友達の中で孤立することになるかもしれません。大切なのは、どんな意識を持って子どもたちに接するかという親の姿勢です。あなた方の子どもに対する接し方は決して間違っていないので、これからも自信を持って遊んで上げてください。 人は誕生した後、周りの人たちから様々な働きかけを受けます。これを交流分析を考案した精神科医、エリックバーン は「ストローク」と呼んでいます。このストロークは人生早期の経験に基づいて、幼児は「自分はこういうものだ、周りの世界はこういうものだ」と決め、同時に「そのような自分がこの世界でどのように周りの人たちと関わり合って生きていくのか」を決める「幼児決断」をします。以後、この決めたものに従って人生を送っていくと言っています。そしてこの生き方の方向性を決める決断を「人生脚本」と呼んでいます。 自分では気づかないので、「無意識の人生計画」とも言われます。私たちは4歳の時までに自分の人生脚本の要点を決め、7〜9歳までに要点をこと細かに完成させると言うのです。この脚本は自分で決めたものなので、「再決断」をすることはできますが、ちょうどあなたの2人のお子さんはまさに両親を中心とした周りの方のストロークを受けて「人生脚本」を作っている時期に当たります。子どもの遊びは、年齢や性別、発達、好みによって特徴がありますが、最近は性差に囚われず多様な遊びを取り入れる傾向も強まっています。心理学や教育の観点からも性別に関わりすぎず、様々な遊びを経験することで、子どもの創造性、コミュニケーション能力の発達に良い影響を与えると言われているからです。幼児期には女の子はままごとやごっこ遊びが王道、男の子は乗り物やバトルごっこ、ヒーローごっこなど、力強さや勝敗を楽しむものを本人も好んだり、父母や周囲も古くからの「らしさ」を強調する遊びをさせてしまい、「女の子は優しくおしとやか」で「男の子は強さや勇気や外遊び」というステレオタイプになりがちです。年齢が上がるにつれて、性別にかかわらず楽しめる遊びも増え、ボードゲーム(囲碁、将棋なども含め)、スポーツなどもできるようになります、。プロスポーツの世界では、女性も活躍しています。つい先日は、競馬の世界で女性騎手が初めてGTレースで優勝しました。 また家庭の中では、男性が家事を担う時間も増え、料理を楽しんだり、育児を楽しんだりするようにもなって来ました。 最初に申し上げた通り、ご夫婦の対応は間違っていませんので、これからもお子さんとの楽しい時間を過ごしてくださいね。親のうち、どちらか片方が対応するのでなく、子どもたちと両親が一緒に遊ぶ時間をたくさん持つのもいいかもしれませんね。最も大切なのは親の背中を見せること。夫婦間のジェンダーギャップをなくし、男女平等な夫婦関係をしっかり築いてください。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/05/15(金) |
| 第328回【夫婦編】「私を慰めることで成り立っていた夫の優しさ」 |
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【Q】
夫とは2年間の交際を経て、昨年28歳で結婚しました。夫は大学の2年先輩でサークルで知り合ったんですけど、学生の時は別な彼氏と付き合っていて、その彼と卒業後も1年間一緒に暮らしていました。ところが彼が浮気していることが分かって別れたんです。寂しくて落ち込んでいる時、慰めてくれたのが今の夫です。学生時代には、今の夫の優しさが分からなかったんですけど、前の彼のことをごちゃごちゃ言ったりすることもなく、私に寄り添ってくれる姿勢とか、日常の振る舞いとか、すごく優しくていい人だっていうことに気づきました。夫のことを十分理解している気になって、結婚するならこの人しかいないと思ったんです。 ところが、結婚した途端、状況がガラッと変わりました。結婚生活がすごくしらけているんです。何が不満なのか説明できないんですけど、一緒にいても楽しくないし、ウキウキしません。立て直そうと思って、色々考えてはいるんですけど、「この人しかいない」って思った夫の優しさは、「私を慰めること」で成り立っていただけで、結婚して慰めることが必要なくなり、これから2人で何か作っていこうって思った時には、優しさを実感できなくなって、何もできない人って感じるようになりました。夫は私と語る言葉も持っていない感じです。この人とこれから先何十年も一緒にいるって考えると、どんどん気持ちが落ち込んでいってしまいます。 【A】 「結婚した途端、状況がガラッと変わった」「夫の優しさは“私を慰めること”で成り立っていただけ」「結婚して慰めることが必要なくなり、これから2人で何か作っていこうって思った時には、優しさを実感できなくなって、何もできない人って感じるようになった」と落ち込んでの相談ですよね。「2人で何かを作っていくこと」が恋人や夫婦の関係をより親密にすることはあなたも分かっていて、それが出来ないことに今後の生活への不安を感じている…。 人は大きな失敗や失恋などで気持ちが落ち込んだとき、「言語」より「非言語」で寄り添ってくれる方が、癒やされ、気持ちが楽になることがよくあります。親や身近な人を亡くしたりしたときも、どんな言葉をかけられるより黙ってそばにいてくれる、それだけで癒やされるものです。言葉はとても大切なものですが、大きな悲しみの前ではその力は充分に発揮されず、「どんな言葉もかけられたくない」と感じたりもします。 同棲していたほどの元彼と別れたあなたへの夫の対応は、まさにそんな状況だったのだろうと思います。あなたが言葉で慰められることを欲していなかったのです。「前の彼とのことをぐちゃぐちゃ言ったりすることもなく」ともおっしゃってもいるので、何か言われることで、元彼との関係を思い出したり、元彼を否定されたりすることも嫌だったんですよね。そんなあなたの気持ちに今の夫はぴったりはまったわけです。 言葉の始まりは、5〜10万年くらい前のホモ・サピエンスの時代に集団生活で複雑な情報共有、道具作りや未来の計画を伝え合う必要があり言葉が生まれたと考えられています。近年、200万年くらい前の遺跡が発見され、危険を冒し協力して得た大型動物の肉を家族や仲間で分け合うため、すでに言葉らしいものがあったのではないかと考えられるようになってきました。 木々を渡る風の音、鳥のさえずり、危険や喜びを表す様々な音から言葉を生み出した時、人間の世界は広がり、大きな発展をすることになったのです。 さてあなたは今の夫を「何もできない人」「私と語る言葉も持っていない感じ」と言っています。結婚前「結婚するならこの人しかいない」とあなたが思った夫は、結婚前と結婚後で変わりましたか? 「結婚した途端、状況がガラッと変わった」のは、夫ではなくあなたですよね。辛い悲しみから言葉で癒やされることを欲していなかったあなたでしたが、寄り添ってくれた夫のおかげで、気持ちを立て直すことができました。ところが、結婚して夫とどんな生活を作っていこうかと考えたとき、「非言語」で寄り添ってくれるだけでは、何かを生み出すことはできません。今、あなたと夫の間に必要なのは、「非言語」の関係ではなく、言葉によるコミュニケーションなのですが、どうやらそこが欠けているようです。 「癒やされたい」「慰められたい」という気持ちから「何かを生み出したい」となったあなたは、違ったものを欲しているわけですから、ここは夫との関係を仕切り直しましょう。「立て直そう」というより、むしろ夫との関係をゼロから考えてみてください。夫はどんな人なのか、あなたは結婚に何を求めているのか…。新たな恋愛をするくらいのつもりで、夫との関係を構築し直してみてください。うまくいかない場合は、結婚そのものを考え直すことになるかもしれませんね。 |
| (文:大関洋子) |
| 2026/04/23(木) |
| 第327回【恋愛編】「結婚の主役はだれ?」 |
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【Q】
今年32歳になりました。3年前地元にある結婚相談所に入会したんです。ここは会員に対する対応が丁寧で、トラブルも少なく成婚率も高いということで、入会を決めました。大手やマッチングアプリほど登録者数が多くありませんが、カウンセラーの対応は丁寧で、なかなか相手を選べない私にとことん付き合ってくれ、相手のいいところ、悪いところ、どんな生活設計が考えられるかなど、不安を払拭するようなアドバイスをしてくれます。成婚料で経営が成り立っているようなので当然なんですけど、最近その丁寧さが逆にうっとうしくなってきました。結婚して子どもを2人持つという家族像を描く人が多いので、私が男性から声をかけてもらえるのは35歳まで、それ以降は、金は持っているけれど、介護してもらうために結婚したいという高齢男性ばかりになってしまうと言うんです。そうなるとどんどん選択肢が狭くなってしまうので、相談所としても困るらしく、親にアプローチするようになったんです。親は結婚にすごく前のめりなので、私の気持ちに関係なく、話が進んでいったりします。気に入った相手がいると親も相談所もしつこくて、冷静に結婚を考えられなくなってしまうんです。結婚の主役は私なのに…。自分で相手を見つけるのは難しいので、相談所はやめたくないんですけど、こんなに嫌な思いをするなら結婚しないことも視野に入れようかと思うようになりました。 【A】 あなたが人生の一大事として「結婚」を考え、地元の結婚相談所に入会。「成婚」を迫られ、うっとうしくなり、「結婚しない」ことも視野に入れようかと思っての相談ですね。 「結婚」を年齢で限界を作ったり、相談所のスタッフが親にアプローチしてまで成婚をさせようとしたり、「結婚」の本質が思わぬ方向へ走り出してしまいました。元々、今のような一夫一婦制の結婚制度は、明治時代に制定された旧憲法の中にあるもので、そこには、家長の許可なく結婚できず、恋愛は「悪事」とみなされていました。(「やまとなでしこの性愛史」和田好子著)そのころは、親の勧めるまま、1〜2回のお見合いで結婚を取り決められ、何度かお見合いを繰り返すだけで非難されました。女性の婚期もごく短く、17、8歳から23歳くらいまで。23歳を過ぎると、「嫁き遅れ」と言われてしまうので、勝負は21歳くらいまででした。そうして結婚したら最後、離婚はとても不名誉で難しく、夫と別れて実家に戻った女性は「出戻り」という差別用語で悪口を言われたものでした。 本来、日本文化の中の「愛と性」は、もっとおおらかで緩やかに結ばれていた結婚だったのに、明治時代に「愛と性」を排除した兵隊要員としての子産みの道具となっていったのです。 現在は恋愛をスタートとした結婚が許される時代になりました。昔のように「夜這い」(元々はお互いに人生観の同じ、相性のいい相手を呼び合うところから始まり「呼ばい」と言われていたようです) 最近では、昔のように親戚や上司が相性のよさそうな男女を紹介しようとすると、職場では、パワハラ、セクハラと騒ぎになるし、親戚の人たちは、うまくいかず離婚にでもなると恨まれることになったりするので、紹介ということはほとんどなくなりました。 結果として紹介をプロに頼むとか、インターネットを利用するとかなるわけですが、プロに頼り過ぎると、あくまでビジネスですから、今回のあなたのようなことになったり、インターネットでは、騙されるということになったりすることが起こります。方法として、プロやインターネットに頼るということを一概に否定はしませんが、大切なのは自分がどんな人とどういう人生を過ごしたいか、築きたいかといった、あなた自身の価値観をしっかり持つことです。 人生100年時代と言われる昨今、結婚を子作りと結びつけず、老後を2人でどう過ごすかに目を向けた結婚の形なども現れ、どんどん多様化が進んでいます。出産年齢も、3、40年前までは30歳以上での初産は高齢出産とみなされ、医療的ケアが必要と位置づけられていましたが、今では40歳での初産も珍しいとは言えない時代になりました。結婚と子作りを結びつけて考えるにしても、単純に年齢から考えるのではなく、自身の価値観の問題と捉えて考えてみてください。 |
| (文:大関洋子) |