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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2019/08/01(木)
第166回【職場編】「“スカートでないと”って何で?!」
【Q】
入社して2年目、主に不動産を扱っている会社で総務部に配属されています。1フロアに総務、企画開発、経理、営業など、いくつかの部署があり窓口業務もあります。顧客との直接対応があったり、直接対応がないにしても背の低いパティションがあるだけなので、役所みたいに訪れた人からは社員は丸見えです。そんなようなので、服装を管理されるのも仕方ないとは思うんですが、女性だけに制服があって、その制服がタイトスカートにジャケットです。男性はスーツですから女性もそれに準じているっていうのは分かりますがパンツはないのは…。この時期、外からいらしたお客様や外営業から戻った社員は汗だくで入ってきますから、エアコンはガンガン。なのにストッキングは厚手のものはダメで、膝掛けでは対応しきれないんです。外に出た瞬間、暑いと感じるよりむしろ冷えた身体が温められてホッとするほどです。女子社員何人かで上司にパンツも作ってほしいと何度かお願いしたんですが「女子の制服はスカートでないと…」と取り合ってくれません。

【A】
3月16日(土)の朝日新聞夕刊文化面に「少女漫画が問う 女性の現実」とういう見出しで「元アイドルが主人公の“さよならミニスカート”」と副題のついた記事が掲載されました。この漫画は作者の牧野あおいさんが「高校の時に先生から“スカートを短くしていたら痴漢にあうぞ”と言われて“何で被害者側が責められるのだろう”と理不尽に感じた」経験から「こうだったらいいのに」とうい思いを描いたものです。

主人公の女子高校生仁那は、同級生の男の子が「スカート、男に媚び売るためにはいているんだろう!」「(変質者に)触られて当たり前」と言うのを聞いて腹が立ち、髪を短く切り、スラックス姿で学校に通い、「スカートはあんたらみたいな男のためにはいてんじゃねえよ」と返します。小学生などの少女向けの月刊漫画誌「リボン」(集英社)に「さよならミニスカート」というタイトルで昨年の9月から連載が始まりました。「この漫画に無関心な女子はいても、無関係な女子はいないー」とうい宣伝文句を付けて。

連載直後から、ネット上には「気持ちを代弁してくれた」「リボンを読んでいたあの頃の私に読ませたい」などと共感の声が広がり、リボンは作品のホームページを開設して相田聡一編集長(43才)が「連載の面白さが伝わるまで、連載をし続ける覚悟」という異例のコメントを出しています。まだまだある無意識の役割や偏見に向き合う姿が反響を呼んでいるとうい内容でした。

追いかけるように7月の記事では「♯KuToo 変わる常識 職場のヒール見直しの動き」というタイトルで女性が職場でヒールのある靴を履くよう強いられることに異を唱える「♯KuToo」運動の広がりが報道されました。各業界でこれまでの常識を見直す動きが出てきたと書かれていました。

日本航空や全日空など大手航空会社はCAの服装について「黒のパンプス、ヒールの高さ幅3〜5」と定めています。車椅子の乗客に付き添って坂を下る時は、後ろ向きで進むと決められているそうですが、靴が安定しないため危険を感じることがあると言います。航空会社によっては、スニーカーを採用するところも出てきたと報じています。アパレル企業で働いていた女性は、指定されたヒール15cmの厚底ブーツで店頭に立っていて巻き爪になり、手術を受けたがそれでも「自分の足が悪いんだと思い込んでいた」と語っています。

すべての女性が同じスカート、同じ靴という意識を変える時がやっと訪れました。まだブランドショップの売り場などでは、「診断書を出せば指定の靴でなくてもいい」という程度の変革ですが、あなたもたくさんの仲間がいることを信じ、上司に「冷えた足腰を痛め働けなくなれば管理責任を問われるかも」などと訴え続けてください。

(文:大関洋子)

2019/07/18(木)
第165回【子親編】「子どもができないうちの同居は…」
【Q】
29歳で結婚して、3年経ちました。夫は3歳年上で、現在35歳。一人息子なので、将来両親と同居するということを前提とした結婚でした。両親ともまだ60代ですが、義父が軽度の心筋梗塞を患ったこともあり、そろそろ同居してほしいと言われました。今の住まいの整理もあるので、まだ同居はしていませんが、同居の準備というか、両親との生活に慣れるために、ちょくちょく泊まりに行くようにしているんです。泊まりに行くと必ず言われるのが子どものことです。結婚して3年ですから、両親の期待は分かります。私も子どもはほしいと思いますが、今のところ「もしできたら産もう」という程度のスタンスなんです。ところが、私の顔を見るなり「まだできないの?」と言われるし、食事の時はほぼ妊娠、出産、子育ての話です。同居は嫌ではなかったのですが、ここまで子どものことを言われると気が重くなり、同居は無理なんじゃないかと思うようになりました。

【A】
厚生労働省が2018年6月1日に発表した人口動態統計によると、2017年に生れた子どもの数(出生数)は前年より3万人余り少ない94万6060人となり、過去最少を更新しました。

一人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.43と2年連続で低下しています。全国で最も出生率が低い東京都はさらに下げていて、仕事と育児の両立環境に課題を抱えていることが浮き彫りになっています。さらに女性の人口そのものが減っていて、出産可能期とされる15歳〜49歳(8割の女性が25歳〜39歳で出産しています)の女性人口は2498万人と前年より1.3%減になっています。

この統計からするとあなたは出産適齢期でもあり、もし仕事を続けたい希望があれば、ご両親が孫の出生を待ち望んでいるわけですから、仕事と育児の両立環境の課題もクリアしていると思われます。ですが、ご自身もまだ32才、夫も35才という年齢、子どもは欲しいけれど「もしできたら産もう」という程度のスタンスとのこと。同居の準備で泊まりに行く度に「まだできないの?」と言われたり、食事の時には、ほぼ妊娠、出産、子育ての話。ここまで言われると気が重くなり、将来、同居を前提として結婚したのに、同居も無理!?と思うようになってしまっているわけです。

これは、心理学上もっともなことなんです。精神分析理論の創始者であるジークムント・フロイト(1856〜1939)は、人の性格を構成する機能は何であるか、それぞれの機能はどういう関係にあるかを「性格構造論」の中で述べています。その一つに「防衛機制」という観点があり、人は自分を守るためにいくつもの方法で他者からの侵入を阻止していると言っています。世の中に「防衛機制」を持たない人はいないとも言っています。

ですから、せっかくあなたは、「同居」するつもりだったのに、義父母から妊娠、出産のことで圧力をかけられているため、「できたら産もう」と思っていた気持ちを傷つけられ、「同居」さえ「無理」と思うようになってしまいました。とても残念なことです。本来、妊娠にまつわることは、夫婦にとってとても大切で、二人の深い愛に裏付けられて進む事柄ですから、いかに孫を待ち望んでいる義父母であっても介入すべきことではありません。
ただ、今後のことを考えるとケンカごしで、あるいは夫から両親に文句を言うというのもいい方法ではないと思います。

今日、私に相談されたままの気持ちを穏やかに義父母に話してみてはいかがでしょうか?
(文:大関洋子)

2019/07/04(木)
第164回【親子編】「親が口添えして何が悪いんですか」
【Q】
38歳で未婚の息子、バツイチで2人の子どもがいる34歳の娘、娘が1人いて結婚している28歳の息子の3人の子どもがいます。私自身は、現在夫と2人で幸せな生活を送っています。子育てに専念していて再婚する気持ちになっていない娘のことはあまり心配はしていませんが、結婚したことのない長男が気がかりでなりません。2年ほど前「子どもほしいだろ?」と訊いたら「子どもはいつだって作れるよ」と答えたので、誰か相手がいて結婚も近いのかなと期待したんです。ところがそれっきり。先日、1年ぶりくらいに家に顔を出したのでさりげなく訊いてみたら、付き合っている女性がいるって言うんです。家を行ったり来たりしているみたいなんで、果物とか、お菓子とか、「彼女にあげて」と息子に4、5回送ったんです。そしたら、電話で「何考えてるんだよ!付き合ってるのはお母さんじゃなくて僕!」と怒鳴られてしまいました。もうそろそろ年齢的に限界だし、私の周りには、お母さんが口添えして結婚させたっていう人がたくさんいるのに…

【A】
立派ですねぇ。38歳のご長男。あっぱれ、おっしゃる通りです。「付き合っているのは、お母さんじゃなくて僕!」です。その通り。お見事という他ありません。その女性と交際しているのはご相談されているお母さんではなく、ご長男なんですから。余計な差し出口は無用。百害あって一利なしです。

心理学的にもドクターフロイト(1856~1939)が、精神分析理論の中で100年前に提唱したように、人間は「潜在意識(無意識とも言う)の部分が大きくて、顕在意識の部分はほんのわずかである」ということなので、まるで馬という潜在意識に乗っている御者のようなものだと考えてもいいでしょうか。その馬のように大きな潜在意識は幼少期につくられると言われています。38歳になった今、自分以外の他者から指示命令されると、自分の生き方を邪魔された気がして、指示命令された逆のことをしてしまうことがよくあります。

もしかしたらご子息は「そろそろ、彼女を母親や家族に紹介してもいいかな」と無意識の部分では考えていて1年ぶりくらいに家に顔を出し、付き合っている女性がいると言ったのでしょう。せっかく、そういう感じになっていたのに、母親であるあなたが余計なことをしたので、カタツムリが殻から頭を出したら、その頭をツンツン突かれた気がして、又、殻の中に頭を引っ込めてしまいましたよね。
その上、「年齢的に限界」とおっしゃっていますが、子どもの授かる年齢ですか?それとも、38歳で独身では、昔「男やもめにウジがわく」と言っていたように、その年になって嫁に来てくれる人もいない息子を持つはずかしい母の限界ですか?そのどちらも、もう古いですよね。医学的にも、社会的にも、8050問題にはまだ間がありますし、そもそも、恋愛や結婚という人の心の中核をなす、繊細でナイーブで、ひとりひとり価値観の異なるはずのものに「年齢的にも限界」と言っているあなたの考えを改めてほしいものです。

さらに子育てに専念している娘さんは、心配していないという、その心は、女性はシングルでも子育てをしていればよくて、男性である長男は、その年齢には子どもの2、3人もいて妻や子を養ってこそ男というもの!という古いジェンダーギャップがあるのではないです?
どうぞあなたの古い固定概念を見直して、ご長男をそっと見守ってあげてください。
(文:大関洋子)

2019/06/19(水)
第163回【夫婦編】「何でも占いに頼る妻」
【Q】
妻が6年前、私の勤めている会社に入社してきて知り合いました。社員仲間で何度か飲みに行くうちに親しくなり、4年前に結婚、1歳の娘がいます。妻は、子どもが小さいうちは、子育てに専念したいということで今は専業主婦をしています。交際のきっかけは、私の血液型がO型、妻の血液型がA型だったこと、私の星座が獅子座、妻が射手座だったことがきっかけだったんです。妻が言うには、どちらも相性がいいので、結婚したら幸せになれると確信したんだそうです。私は冗談と受け止めて、妻も私と付き合いたと思っているので、そう言ってくれているんだと思ったんです。ところが、子どもがほしいとなった時、「牡羊座の子どもを産みたい」と言うんです。言われるままに6月に生まれるよう妊娠して、牡羊座の娘が出来ました。それだけではないんです。住まい選びインテリアもすべて風水や占いで決めます。占いも楽しむ程度ならいいですけれど、ここまで来ると…。私の人生とか子どもの人生とかが占いで決まるかと思うと将来に不安しか感じません。

【A】
我が国では昔から「大難は中難に、小難は無難に」と願って仏教ではご祈祷を、神道ではお祓いを行ってきました。日常生活の中で、今でも地鎮祭や交通安全祈願として車をお祓いしてもらったり、産まれた赤ちゃんを神社へ連れていってお宮詣りしたり、成長のお願いには7.5.3のお詣りをしています。結婚式も「人前結婚」をする人もいますが、多くの人は神様や仏様の前で結婚することを報告し、どんな時も助け合う事を誓い、末永い幸せを願います。この誓いはしばしば破られることがあるにしても、神仏に誓った「気持ち」は多少のブレーキになったり神様仏様に守ってもらっているという「気持ち」になったりします。

日本の古代史をひもといてみると、政治や裁判も全て占いでまかなっていた長い歴史があります。今、考えるとゾッとするようなことですが、古墳時代には「盟神探湯(くかたち)」といって犯人を決める裁判で、熱湯の中へ手を入れて、やけどをしなければ犯人ではなく、火傷を負えば犯人とされたり、亀甲占いとして亀の甲を焼いたり鹿の肩甲骨を焼いたりして、そのひびの入り方で政治や災害を占ったりしていた様子が古事記や日本書紀に残っています。邪馬台国を支配してと言われている卑弥呼は、占いの名手だったのでしょう。5世紀から8世紀の飛鳥時代にかけて中国から色々な占いが伝わり、現在、日本に残っている占いは、このころのものが現代に合うよう形を変えたものと言われています。

平安時代は、ご存知のように占い師が宮廷で大活躍をした時代らしく、「陰陽師」が明治3年に廃止されるまで、なんと日本の公的機関として長い歴史を刻み続けました。科学的研究や医学的文明も発達していない時代に、天候や災害、病気を占ったり、治したりするには、この「陰陽師」に頼るよりほかに仕方なかったのでしょう。今では天候は占うのではなく、気象庁や天気予報士が科学的データに基づき適確にお天気を予測してくれますし、病気も何かの占いではなく、多くの原因がほぼ解明され、それに対応する薬や手術などの治癒法が施されています。悪魔払いや除霊をする人もいますが、科学的、医学的文化の発展発達が私達の生活を快適にしてくれています。

さて、「妻が占いに頼っている」とのことですが、彼女の潜在意識の中に、特に幼児期に人間の力ではどうすることもできない出来事に何度か出会っているのだと思います。(精神分析理論)それがトラウマになり占いを信じ過ぎていると考えられるので、優しく、幼児期の忘れているような出来事を思い出し語ってもらってください。少しづつトラウマから解放されるでしょう。占いも気持ちを穏やかにしたり、希望を与えてくれたり、注意を喚起してくれたり、生活に潤いを与えてくれる程度になってくれたらいいですね。
そして困難なことは2人で乗り越えて行くようにするからねと、約束してあげてください。
(文:大関洋子)

2019/06/13(木)
第162回【恋愛編】「彼の気持ちが揺らいでしまって…」
【Q】
彼とは大学の理系学部の先輩後輩で、彼が2つ上です。私と彼との間では「私が卒業して就職したら結婚」ていうことで、ほぼ決まっていたんです。彼は、小さい会社ではあるけれど研究職、私は上場企業のエンジニアの卵ということで今年就職して、お互い希望通りの職に就くことができて、これで結婚って思ったんです。ところが、私の両親が彼の会社が中小企業で、就職して2年も経つのに、給料が私の7割にも満たないことで猛反対なんです。そんなこと分かっていたことなので、私も彼も乗り越えられると思っていたんです。なのに彼がついてこられなくなっちゃって…。別々に生活していると、彼の給料では余裕がなくて、食事に行っても遊びに行っても私がお金を出すことが多いし、私の両親の猛反対にあったことで彼がすっかり弱気になってしまって…。結婚すれば、生活も楽になるのに、彼は私に養われているみたいに感じるらしく、気持ちが揺らいでしまっています。

【A】
「彼の気持ちが揺らいでしまっています」とおっしゃっていますが、「揺らいでいる」のは、彼ではなくあなたではないですか?
彼の給料が私の給料の7割にも満たないことに「私の両親」が「猛反対」とも言っています。両親の猛反対にあったことで「彼がすっかり弱気になってしまって」とありますが、これも弱気になってしまったのはあなたですよね。その上、食事に行っても遊びに行っても私がお金を出すことが多い、と。親はもちろん、あなたの心が揺れる根底には「男は一家の大黒柱」「男が妻や子どもを稼いで養う」「男の給料は当然女より上」というジェンダーギャップの考えがあります。

確かに統計上は男女差が全くない国、アイスランドに日本が追いつくには100年以上かかると言われていますが、それでもギャップは僅かずつでも埋まりつつあります。1990年代には「主夫」という言葉も使われ、2000年の統計では、専業主夫が1万6千人、専業主婦が2万1千人と出ています。(国勢調査による)

「イクメン」などという言葉も普通に使われるようになって、男は外で仕事をし、女は家で家事育児が当然という固定概念が崩れてきました。その後、主夫の数は年々増加し、2005年には専業主夫2万1千人、兼業主夫3万人、2013年には、専業主夫の数が2.6倍になり、2015年には専業主夫世帯の割合が全体の5%。100世帯のうち5世帯は男性が外で働いて給料を取らず、家事育児をしていることになります。ここ5年で3倍も増加しました。

リーマンショックの影響もあるとは思いますが、2013年以降、緩やかに景気が回復しているにもかかわらず、専業主夫の割合が増えていることを考えると、必ずしもリーマンショックの影響とは言えません。「夫が失業したから」「夫が病弱だから」といったネガティブな理由だけでなく、「男が女、子どもを養う」という概念が薄れてきていると言えるでしょう。「男が女を養う」のではなく、「収入の多い方が少ない方を支える」という考えが根付きつつあります。

私の夫は、今から47年前、中学2年生の時の弁論大会で、「男尊女卑と女尊男卑」というタイトルで、「外で仕事、うちで家事」という役割は、本来性差ではなく、個の問題でなくてはならないと主張し、周りから非難を浴びたそうですが、その後実際にに専業主夫になり、社会に大きな影響を与えました。もしかすると、夫の出現がなければ、日本社会のジェンダーギャップは今よりはるかに遅れていたかもしれません。

アメリカを初めてする欧米諸国では、女性がトップにいる企業は珍しくなく、彼女たちは夫より高給を取っています。お互いに好きな仕事をしている、あるいは妻が社会進出を目指しているなど、それぞれの夫婦、家庭の事情で給料の高低を気にせず、幸せに暮らしている夫婦、家庭が増えています。どうぞ、まずあなたの根底にある「男と女」の役割を考え直してください。
(文:大関洋子)

2019/06/03(月)
第161回【職場編】「課長にはなったけれど…」
【Q】
今の会社に勤めて10年になります。先日、部長から「僕が君を課長に推薦したんで、近々人事から課長の辞令があると思う」と言われました。それから数日後、部長の言う通り課長の辞令がありました。同期の男性で課長はいないので、課長一番乗りです。結婚もしているし、子どももほしいと思っているので、いずれ産休と育休を取るだろうことは、部長はもちろん会社も分かっているので、思い切った人事をしてくれたととても嬉しく思いました。
ところが社内では、外向けのアピールのために女性課長を作ったともっぱらの噂で、そう言われてみると、他の課長の下には10人以上の部下がいるのに、私の下には3人しか部下がいません。しかも「女性政策課」という新しい課で、何をする課なのか全く指示がありません。これから課長として会社とどう向き合っていけばいいのかとても迷っています。

【A】
1985年に制定された男女差別を禁じる「男女雇用機会均等法」から30年近く経ってやっと2016年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が施行されました。それも何年も前から女性官僚たちが発案し、「女性が輝く社会」を目指して国会に提案していたものが何度も廃案の憂き目を見た末、やっと制定されたものです。

「女性活躍推進法」と呼ばれ、「男女雇用機会均等法」から一歩進んで職場での女性の活躍を目指し、企業に女性登用などの数値目標や行動計画の作成を義務づけています。その正式名称の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の示す通り、「働く女性の活躍を後押しします」という法律です。まさに今、あなたはこの法律を「絵に描いた餅」に終わらせることなく具現化されようとしています。

それがたとえ会社のイメージアップのための社外向けアピールだとしても、たとえ部下が3人しかいなくても、そしてその課の名称が今までなかった「女性政策課」という課であるとしても、揺るがずたじろがず、真っ向から辞令を受け取って、しっかり同期の中の先頭を走ってください。新しい課なので何をやったらいいか指示もないと言っていますが、それはすべてあなたに任されたということでしょう。

どう向き合ったらいいか分からないと弱音を吐いていらっしゃいますが、何十年、何百年という長い間、働く女性たち、働きたいと思っても働けなかった女性たち、そういう人たちや先輩たちが苦労して築いてきたものをあなた自身は苦労せず手にしたのですから、しっかり向き合ってください。

会社としては、出産、育児も考慮に入れてのモデルケースとしてあなたを登用、重用したのです。アンペイドワークと言われる育児、看護、介護のために、第一子出産を機に6割の女性が離職し、育児後、再就職する時はパートやアルバイトなどの非正規雇用が56.6%、それでも働きたくても働けない女性が300万人います。そして、女性管理職はたった1割しかいない現状の中での辞令です。

2018年のジェンダー指数は2017年の114位から少し上がって110位になりましたが、G7の中ではもちろん最下位。男女差別のないアイスランド、ノルウェー、スウェーデンに追いつくのは108年後とも言われます。女性管理職のモデルケースとしての不安はあるのは当然ですが、この歴史を踏まえ健闘をお願いします。そのためには夫の協力は必須ですね。
(文:大関洋子)

2019/05/16(木)
第160回【子親編】「義姉の介護を受け入れない母」
【Q】
父が他界して3年、82歳になる母は、少し身体が不自由になり、1人で何でも出来る状態ではなくなりました。5年ほど前から兄夫婦が同居していて、介護の必要になった父を最期まで自宅で看取ってくれました。義姉が本当によく面倒を看てくれて父は幸せだったと思います。
なので、母も安心して任せていたんです。ところが、拒否というほどではないんですが、母は義姉の介護を受け入れたくないらしいんです。何かあるとすぐ私に電話をかけてきて「嫁に身体を触られるのは嫌なんだよ」と言うんです。ヘルパーさんならいいみたいなんですけれど、ヘルパーさんのいない時間帯は私を呼ぶんです。車で10分ほどのところなので何とか対応はしていますが、母の気持ちの中には、未だに「息子を奪った嫁」みたいな意識があるみたいなんです。決して母と義姉と仲が悪いというわけではないんですけど…

【A】
アンペイドワークという概念は1995年の北京女性会議で採択された行動綱領で示され、家事や育児、介護などの無償労働を再評価するために生まれたものです。あなたのお母様は今まさに長男の妻のアンペイドワークに支えられて生きています。しかもこの義姉は亡くなったお父様も5年ほど手厚く介護して看取ってくれています。それにもかかわらず身体を触られるのような介護はさせたくないと言って実の娘のあなたをいちいち呼びつける。赤の他人のヘルパーさんならやってもらっているのに…。お母様の心の中には、ずっと「息子を奪った憎き女性」という感覚が消えないみたいだとおっしゃる。

今さらと思われるかもしれませんが、お母様にこの無償でありながら生活を支えるのに不可欠なアンペイドワークの貴重な兄嫁の価値を理解してもらうことが、高齢ではあっても同じ女性として大切です。「息子を奪った憎き嫁」というエディプスコンプレックスの意識があるのなら、まだ認知の能力は高いわけですから。

100年ほど前、精神科医フロイトは、ギリシャ神話の中の、父の国と闘って父を殺し、母親とは知らず残された王妃である母と結婚、母は自死、自らは目を突いて放浪の旅に出たエディプス王の物語になぞらえて、母に執着する息子や息子にこだわる母親の関係をエディプスコンプレックスと呼んでいます。

せっかくお義姉様は亡きお父様にもつくし、お母様にも嫌がらず良くしてくださっているのですから、人生最後の時を義姉に感謝して過ごしてほしいものです。幸い表面上2人は仲は悪くないとのことですから、まずあなたが母に呼ばれる度にたとえ10分のところでも駆けつけるのはやめてください。あなたの行動もアンペイドワークの最たるものですし、お母様には「私には私の生活があって無理」とはっきりおっしゃってください。

お義姉様と相談して、「お義姉様には感謝していること」「手伝うのはやぶさかではないけれど、母にお義姉様に心から感謝してもらいたいために母のところに駆けつけるのをやめること」を提案してください。そして、「私の代わりに兄さんにやらせること」も合わせて提案してください。おそらくお母様は「息子にやらせるなんてかわいそう」とおっしゃるでしょうから。

まだ考える力が残っていて、義姉を拒否する力があるうちに事を運んでくださいね。いずれ、誰に介護されているのか分からない日々が来てしまいますから。
(文:大関洋子)

2019/04/18(木)
第159回【親子編】「息子の怒り方が分からない」
【Q】
結婚して10年、小学2年生の息子と幼稚園年長の娘がいます。1年くらい前から、息子が私に突っかかってくるようになりました。「宿題やりなさい」と言うと「いやだ!」と返してきますし、「明日の学校の用意をしなさい」と言うと「めんどくさい!」と言います。夕飯の時は、カレーのにんじんやスパゲッティのピーマンを全部拾って出してしまうので、食べるように注意すると、「こんなまずいもの食えない!」と言うので「とにかく食べなさい」と言うとティッシュペーパーに包んでゴミ箱に捨ててしまったので、腹が立って、つい叩いてしまいました。一度叩いてしまうと、そういう怒り方が常態化してしまって、それからは何度も叩きました。叩くととりあえず言うことを聞いてはいたのですが、3ヶ月ほど前から不登校になり、何を言っても返事もしなくなってしまいました。娘とは、仲良くやれているんですが、息子をどう怒ったらいいのか分かりません。最近、すっかり気力がなくなってしまったように感じます。

【A】
あなたの問題は4つあります。まずはじめは、いかなることがあってもお子さんに暴力はやめてください。
絶対に良い影響は与えません。今は叩かれることで母親の言うことを聞くかもしれませんが、思春期、青年期に母親に暴力を振るったり、逆に萎縮してやる気をなくしたりします。

次に発達心理学上の問題です。アメリカの発達心理学者であり、精神分析家でもあるホーンブルガー・エリクソン(1902〜94)は人生を8つの段階に分けて、その年齢ごとの発達課題を示しています。
発達課題をそれぞれの段階で達成することで次の段階に進めるとエリクソンは言っており、達成できず失敗した場合、心理的に問題が生じるとしています。
あなたの2年生の男の子の発達課題は、幼児期にクリアした「乳児期より活動範囲を広げることにより獲得した自主性」を伸ばして「学校生活を通じて、より勤勉性を獲得する」ことです。
この時期は特に「自己管理の習慣」を身につけ、「道徳性、良心の形成」を獲得していく時期です。小学校に通い始め、勉強の楽しさや友達と遊ぶことの楽しさを知る時期でもあります。
この時期には、周囲の大人が適切にサポートせず、ただ叱っているだけでは、問題は解決しません。かえって子どもは「自分には出来ない」と劣等感を抱き、反抗的ななります。その上、手を挙げる、叩くというあなたの行為は、お子さんの心と体を最も傷つけるものです。自意識や知的好奇心が強まり、ボキャブラリーが増え、情報を収集したり、同時にまだ心身のぎこちなさが残る頃でもありますので、暴力を振るうのは絶対やめて、あなたの気持ちをちゃんと言葉にして伝えてください。

3つ目の問題は、「娘」とはうまくやっているのに「男の子」には手を挙げてしまうことです。これは精神科医フロイト(1856〜1939)の言う「エディプス・コンプレックス」と関わっています。フロイトは、子どもは「無意識に異性親に、より深い愛情を抱き、同性親には嫉妬する葛藤感情を持つ」と言っています。この愛情や嫉妬の衝動は、無意識下で抑圧されているので、このことを充分理解して、何らかの方法で解放しないと一種のしこりか屈折になります。「エディプス・コンプレックス」は、ギリシャ神話の中で、赤ん坊の時、川に流されて隣国の王子となったエディプスが、親とは知らずに実母と結婚してしまい、自ら目を突いて死のうとしたエディプス王の話から取られています。
お子さんは大好きな母親から暴力を振るわれ、叱られるわけですから、益々屈折して反抗的になります。どうかお子さんを叩かず、抱きしめて、言葉で伝えてあげてください。

最後の問題。あなたはもしかすると「夫」への不満を息子さんに向けているのかもしれません。発達心理学や精神分析理論のことを述べましたが、この最後の問題の可能性が強いと考えられるので、身に覚えがないか、よく自分の心の中を点検し、夫の不満は夫にぶつけ、息子さんに向けないようにしてください。
(文:大関洋子)

2019/04/04(木)
第158回【夫婦編】「他の男よりはマシと思うけど…」
【Q】
結婚して4年、2歳の娘がいます。私も仕事をしているので、娘を保育園に預けています。夫は比較的時間を作りやすい仕事なので、保育園の送迎をしてくれたり、娘のおむつを替えてくれたり、家事育児に協力してくれる方だと思います。
育児のことだけいえば、私より夫の方がいろいろと気づいてくれるので助かっています。

でも、夫は自分の考えを私に押しつけたり、理屈で言い負かそうとしたりするところがあるので、辛くなることがけっこうあるんです。つまらないことなんですよ。例えば娘に着せる洋服がこれじゃ暑いとか寒いとか、子どもにこういうものは食べさせない方がいいとか…。私がハンバーグを食べに行きたいと言ったら、「今、ダイエットしてるから外食はしないって言ってなかったっけ?!」って言われ、結局うちで食べたこともありました。そりゃ、ダイエットはしてるけど、疲れていて食事を作るのがおっくうな時もありますよね。
他の男よりはマシと思うので何とかやってますけど、このままだと限界が来ちゃうんじゃないかって不安です。

【A】
確かに、家事育児にかなり協力的なことから考えると「他の男よりはマシ」と思います。

「次世代育成支援対策推進法」に基づいて、地方自治体が実施している子育て支援は、少子化対策の一環であり、経済的支援、精神面の支援、そして職業と育児の両立支援の3つに分けられます。

ところが、このどれもが「母親を子育ての責任者とみなして」施策されています。父親に「育児休業の取得を義務づけ」たり、「残業や単身赴任をさせない」といった根本的な改革ではなく、子育て支援を小手先の「ママ支援」ですませようとしているのが感じられる施策です。法律が男性の子育てを支援しようとしていても、現実には子育てや家事労働全般は、圧倒的に女性によって担われています。
次世代育成支援対策推進法という法律は、平成15年に10年間の時限立法として成立施行され、平成26年の改正によって、さらに10年延長されました。実際には、いかに家事育児が女性の肩に重くのしかかっていて「子育ての責任者は母親」という現状であり、根本的改革が進んでいないかということでしょう。イクメンプロジェクトと呼ばれる男性の育児休業取得推進事業の男性の取得率は平成15年の0.7%、現在は5.14%と上昇傾向にはあるものの、利用する男性は少ない(内閣府男女共同参画局)状況です。
そのような中で、あなたの夫は「他の男よりはマシ」に家事育児を分担しているかのように夫本人も、あなたも思っているわけですが、「ハンバーグ食べに行きたい」と言ったあなたに対して返した言葉は「質の低い決めつけ」というか、妻であるあなたの本質を愛しているとは思えないような言い方です。あなたや子どものことを心から愛し、男女差別のない家庭、男女差別のない世の中を築こうとしている夫、男性の言葉とは思えません。

イクメンプロジェクトに乗って、妻、女性を大切にしている“ふり”をしているように思えます。
今は「家事育児に関わる男性がかっこいい」という風潮があるので、そういう“ふり”をしているに過ぎないのではないですか?
とはいえ、あなたの夫は「他の男」よりは優しくて、努力もしていますので、限界が来る前にしっかりあなたが「キレ」て、「このままでは私や子どもを愛しているとは思えない!」と怒ってみてはいかがでしょう。
頭では「男女差別」はいけないこと、家事育児は女性だけの役割ではないことが分かっている数少ない貴重な男性のように思います。きちっと話して教育(?)すれば、本物の「妻への愛」も育ってくると期待します。
(文:大関洋子)

2019/03/28(木)
第157回【恋愛編】「絶対彼じゃなきゃダメ?」
【Q】
彼とは、結婚相談所で知り合いました。たくさんいる男性の中から容姿や雰囲気、学歴、職業、年収などを見て相手選びをしてたんですけど、コーディネーターの方がピックアップしてくれた方何人かとお会いして、付き合うことにしたのが彼です。好みの雰囲気だし高収入なので何の不満もなく、そろそろ結婚というところまで来ています。

ところが、先日友人の結婚式で新郎新婦の様子を見ていたら、私たちの関係とあまりにも雰囲気が違うので愕然としました。その数日後、その友人とお茶をしたら、夫なしの人生なんて考えられないと話すんです。その時一緒にお茶していた別の友人も「わかるーっ!私もそう!」と。正直、私にはそういう気持ちが分からなくて…。彼を好きだし、愛しているとは思うんです。でも、絶対彼じゃなきゃダメかっていわれると…。結婚て、子どもを作って安定した生活が送れて、普通に幸せな家庭を築ければいいと思っていた私は、2人の話がショックでした。恋愛とか、結婚とか、そういう風じゃないと幸せじゃないですよね。彼との結婚をやめようか迷っています。

【A】
「結婚」という価値基準をどこに置くかということにつきると思います。すなわち、人生の価値基準、「自分の人生をどう生きるか」ということです。

あなたは「子どもを作って安定した生活が送れ、普通に幸せな家庭が築ければいい」と思っていたんですよね。だから、そもそも結婚相談所へ申し込み、コーディネーターがピックアップしてくれて付き合った人の中で「好みの雰囲気」と「高収入」という価値基準で結婚相手として彼を選びました。たぶん、彼は彼なりの価値基準、例えば、妻として料理や掃除、洗濯が上手で、優しくて夫を立ててくれて、子どもが生まれればいいお母さんで、昔で言う「良妻賢母」というような価値基準であなたを結婚相手に決めているのでしょう。

ところがお友達は、「夫なしの人生なんて考えられない」と言っている。もしかしたらお友達のお相手選びの価値基準は「安定した生活」や「高収入」より、「この人しかいない」という非常にシンプルな価値基準なんですね。もちろん、経済的には苦労することが分かっていたりしても、「私も頑張って働くからね」ということだったり、「子どもの保育園の送り迎えは僕がやるよ」という未来だったり、結婚前には、周囲から年の差のことで反対されたり、年老いた親の面倒を見ることになる立場だったりするのが分かっていたかもしれないし、学歴も相手の方が低かったり、職業も売れない小説家とか、勝てないプロゴルファーとかだったりと、あなたが選択基準にしたほぼすべてのことからは遠いかもしれません。

「ハイリスク、ハイリターン」というのも変ですが、要するにあなたのように整った環境から2人の結婚生活をスタートするのか、何もない真っ白、むしろ障害を2人で一つ一つ取り除いてスタートして、2人で幸せを作っていく結婚生活を選ぶのかということでしょう。

日本国憲法第24条には、「結婚は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とし、相互の協力により、維持されなければならない」とあり、続いて「配偶者の選択、財産権、住居の選定、その他、家族に関する事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」とあります。

古来、日本の男女の出会いや交際は、わりと自由でおおらかで、五穀豊穣を祈ったり、取り入れの祭礼で男女が歌い踊る歌垣の慣習の中で、お互い気に入った同士が求愛求婚をしていました。武士の台頭や戦争によって、仲人が間に入る形式が行われるようになり、最近は、あなたのようにゼロからの出発でないお見合い結婚が1割弱、恋愛結婚が約9割となっています。ただ、離婚の割合は恋愛結婚で3組に1組が離婚するのに対して、お見合い結婚の場合は、1割程度だそうです。

ご自分の人生をどういう価値観で生きるか、じっくり考えてみてはどうでしょうか。
(文:大関洋子)