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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2017/03/15(水)
第113回 【夫婦編】「単身赴任の夫が帰ってこない」
【Q】
結婚して15年になります。
夫は転勤が多く、自宅からそれほど遠くない場合は、夫に少し無理をお願いして、自宅から通勤してもらうのですが、遠方になると逆に子どもたちに負担はかかりますが、家族全員で引越をしてきました。
子どもが小さいときから数えると東京から始まって、大阪、福岡、札幌、そして東京と4回引っ越ししてきました。今はまた大阪ですが、子どもの受験のことがあり単身赴任してもらいました。2年になります。
土日はほぼ休みなので、最初は金曜の夜帰ってきて、月曜の朝少し早目に出て行くというパターンだったんですが、「夜遅いのはきつい」「朝早いのは辛い」と言って帰りが土曜になり、出かけるのが日曜になり、今では月に1度しか帰ってこなくなりました。
友達は「それって絶対女だよ」と言います。そう言われてみると私もそんな気がしてきて、子どもの受験を控え、とても不安になってきました。
【A】
夫がサラリーマンで、父親の転勤に子どもが小さいうちは家族全員で全国どこへでも転々と引っ越しをしてついて行く、子どもが受験期にさしかかると夫が単身赴任をする。よくあるパターンですよね。あまりに当然のように考えられていて、この不自然さが批難されることはなく、「大変ねぇ、でも仕方ないわよね」で片付けられています。
歴史的に考えれば、第二次大戦前までは、日本の人口の過半数を占めていた農家では、妻や子どもも含めた一家全員で農業に邁進することが当然でした。そして、その暮らしぶりは、土地と密着していたわけですから、あなたのお宅のように東京、大阪、福岡、札幌、そして東京と4回も流浪の民のように引っ越すこともありませんでした。
また、妻であり母であるあなたのような女性が生産労働に従事せず、家事、育児を第1の役目とする「主婦」という形の生き方をするようになったのも歴史的には比較的新しいのです。
もう少し詳しく歴史をたどれば、明治・大正期、産業化が起こり、主として土地を与えられない農家の次男以下が大都市に流入し、第一次大戦によって好景気になったことをきっかけにサラリーマンが登場。同時に国家に労働力や兵力として人的資源を安定供給する場としての家庭が必要とされてきたことが女性の専業主婦化していくという流れを生み出しました。
この流れは、第二次大戦後、1970年代まで続きます。
その後「これからは女性も仕事をする時代」という流れになり、兼業主婦が多数派を占めるようになり、女性が仕事と主婦業の二者択一、あるいは二重負担に悩むという状況が生まれました。
あなたは専業主婦で、子どもが小さいときは夫の転勤について引っ越し、今は受験のお子さんのため夫に単身赴任してもらい、大阪から土日毎に帰ってきてもらうという生活を2年続けてきたわけです。
夫の年齢もあがり、子どもも大きくなった今、夫が月に一度しか帰らなくなったわけを友達に「女だ」と言われ、「そんな気」になって不安になっていますが、どうか、大きな世の中の流れの中で、あなたも子どもさんも、そしてあなたの夫もバラバラにならざるを得なかった生活の仕方を選んできた我が身のこと、そして夫の身になって考えてみてもらえませんか?
ただただ浮気疑惑の不安に踊らされるのではなく、そんな生活に疲れた夫が寄港する港を職場近くに女性に求めたのかもしれないことを含めて、夫を理解するための共通の時間と場を持つよう努力してみてください。
(文:大関洋子)

2017/03/06(月)
第112回 【恋愛編】「彼はバツイチで29歳年上」
【Q】
彼はバツイチで29歳年上の58歳、父より2歳年上です。仕事の取引先の人だったんです。
最初喫茶店でお茶しながら仕事の話をすることが多かったんですが、だんだんお茶が食事になり、しばらくして仕事以外で会うようになりました。
彼は一度結婚に失敗しているせいかとても優しくて大人です。私、自分で自分をわがままと思うんですけど、そんな私を包み込んでくれるようにそのまま受けとめてくれるんです。これまで年上の男性と恋愛している女性を軽蔑していたんですけど、自分が年上の男性と付き合ってみると、大人の男性の魅力に圧倒されて、同世代と付き合いが幼稚に感じるようになりました。今は真剣に結婚を考えています。
でも、不安もあります。もし子どもができたとして、子どもが成人するとき彼は80歳。生きてるんだろうか、介護することになってないだろうか、その前に父と母をどう説得しようか…。
恋愛していて幸せなはずなのに、毎日が苦痛になってきました。
【A】
毎日が苦痛になってきているなら、この恋愛、ちっとも幸せじゃないですよね。しかも苦痛の種になっている彼の年齢のことっていくらあなたが悩んでも、考えても変わりようがありませんものね。
悩んで苦しんで考えて2人で乗り越えられるなら、今どんなに苦痛でもあえて悩むことも仕方がないでしょう。でも彼が29歳年上であるという事実は、いくら悩んでも現実なんです。
というか、あなたは父親より2歳も年上の男性だから、同世代の男性より優しくて包容力があり、父親が娘を可愛がるように可愛がってくれるのが嬉しくて、それで真剣に結婚を考えるようになったんですよね。
もし、その自分の選択を大事にするなら、子どもが生まれて成人式には80歳の父親であることや、もしかしたらあなたが介護しているかもしれないこと、もちろんご両親が諸手を挙げて賛成するわけもなく説得に手間取ることや、あなたが今、不安に思っていることのすべては、あなたが29歳年上の男性を恋人に選び結婚して人生の伴侶にしようとしたその時からついて回ることは自明の理!
なので、それが不安で毎日が苦痛なら、その選択を撤回する、すなわち29歳年上の男性と恋愛したり結婚しようとすることをやめることですね。わがままな自分を父親のように甘やかしてくれるから好きで、そこのところだけとって父親のように年を取っているところは不安だ苦痛だというのは、それこそわがままというものです。
私に折角ご相談くださったのに厳しいお答えをするしかありません。そして、もしこの厳しい回答を読んで、「それでも彼が好き、長い間介護したあげく、私より何十年も先に若い私と幼い子どもを残して死んだとしても、短い結婚生活の一日一日を本当に大切に生きていこう。めぐり逢えた幸せを感謝しよう!」とあなたが決意して考えを固めるなら、ご両親もキットこの愛を引き裂こうとはせず、応援してくださることでしょう。
今のように、わがままを受け入れてくれるところだけいいとこ取りし、介護はいや、幼い子どもが残されるのはいやなどという生半可な考えなら、お相手の方にも大変失礼になりますから、この恋愛はおやめになった方がいいでしょう。
(文:大関洋子)

2017/02/16(木)
第111回 【職場編】「私なりの努力の成果なのに…」
【Q】
就職して3年になります。総合職だと最終的にはお茶くみにされるなんていう時代遅れな話も聞いたので、営業を希望して、希望通り営業に配属されました。
営業で人脈を広げて、ある程度実績を積んだら、将来独立起業なんていう夢も持っているんです。営業の女性社員でそんな風に考えているのは私くらいかなあ?
みんなの話を聞くと、人脈を広げるっていうところはまでは一緒なんですけど、結局結婚相手探しっていうことみたいなんですよ。そんな程度だから、結果がついてくるわけないですよね。
そんなわけで、私の成績だけが目立ってるんです。もちろん私なりの努力の成果なのに、誰かに「枕営業してる」って噂を立てられちゃって、上司には呼ばれるし、みんなの目が気になって会社に出られなくなりそうです。

【A】
ひどいですねえ、あなたの勤めている会社。同僚があなたの好成績をねたんでなんやかや噂をするのはまあ仕方ないとして、上司に呼ばれたんですね?!これはもちろん、褒められたりかばわれたりしたのではなく「事の真偽を確かめる」ためみたいなことで呼ばれたんですよね。
もうこんな会社、セクハラとパワハラで訴えてやりましょう!
そして、それ相応の慰謝料をもらってやめましょう!
あなたのようにやる気もある女性は、きっともっとまともな会社で大切にされますよ。だいたい「枕営業」などという下品な言葉であなたの目立っている営業成績を非難するなど、もっての外です。
芸能界の「枕営業」が、度々週刊誌やネットで話題になりますが、「枕営業」とは、いつでも相手と寝られるように枕を持ち歩いているかのように仕事上の人間関係で性交渉を行うことを条件に利益を生み出す営業スタイルのことを言います。言葉自体も下卑ていますが、その心根がいやらしい!
あなたの一生懸命さを“あいつ、すぐやらせるんだって”みたいに噂している男たちや女がいる会社なんて、今ごろもう時代遅れ。会社全体が社会から取り残され、つぶれてしまうでしょうよ。そうなる前に、もっと前向きなあなたをきちんと評価してくれる会社を探しましょう。
根本的には、女は結婚して子を産み、家事育児に励み、夫を立て貞淑に尽くす、この思想、男女の役割を押しつけるジェンダーの考え方が問題なんです。
政府は「女性の輝く国にしよう」とかけ声をかけていますが、2002年に38,000件だったDVの相談件数は、2013年には10万件を超えています(内閣府)。しかも、検挙件数は2000件止まりです。民間シェルターのまとめ役をしている近藤恵子さんによると、DV被害の経験のある人女性は3人に1人で、20人に1人は殺されそうな目に遭い、3日に1人は実際に殺されているとのことです。
こういう土壌の中からあなたのようにやる気で頑張っている女性を「枕営業」と噂し、上司までがそれをかばうどころかあたかも真実のように真偽の確認をする。そんな状況が生まれているのです。
悔しいし、悲しいでしょうが、周りにいる信頼できる友人、知人、または専門家に力になってもらってあなたのような方が高い評価を得て本当に輝いていられる社会を作りましょう。
そのためには私も応援していきます。
(文:大関洋子)

2017/02/02(木)
第110回 【子親編】「私だけが孤立してしまって」
【Q】
結婚して2年になります。夫は一人っ子で大事に育てられたっていう印象の人で、乱暴なところのない優しい人です。あんまり我の強いところもないし、妻としては楽な夫ですね。よく周りからは「いいご主人ね」って言われます。
でもそれも良し悪しですよね、何でもお義父さんとお義母さんの言いなりなんですから。もちろん、お義父さんとお義母さんも、いい人なんですけど、細かいというか、お説教好きというか…。
結婚して間もないころから、顔を合わせる度に「夫婦は××であるべき」とか「××が夫婦生活のコツ」とか、まあとにかく私に教えてくれようとするんです。根本には、働いている私に対する文句っていうか、もっと妻らしく息子に尽くせっていうのもあるのかな?つい先日、私がちょっと自分の考えを話したら、義父とぶつかってしまって…。
それだけなら、大したことじゃないんですけど、私だけが孤立してしまって、お義父さん、お義母さん、夫の3人から責められているような構図になってしまって困っています。

【A】
何とも気分のよくない人間関係ですね。夫の両親も息子の妻にまで細かく、説教好きというのも問題ですが、最大の問題は夫がこの両親の言いなりだということです。
少年時代から両親に大事に育てられ、結婚した今でも夫としての責任ある行動が取れない。大人になりきれない成人の男性の心の病をアメリカのダン・カイリー博士は「ピーターパン症候群」という著書の中で、これは精神医学用語ではなく「誰でも持っている問題の一種である」と言っています。男性によく見られる症状で、ピーターパンの物語の窓から妖精のティンカーベルがやってきて、ネバーランドへ招待され、ネバーランドではいつまでも子どものまま大人になりきれないという話に基づいています。
特徴は、結婚したり子どもが生まれたりしても夫、父親として責任ある言動が取れず、無責任ですぐ他人へ責任転嫁する、妻や恋人に母親のような存在を求めるが人前ではプライドが高く男性らしく振る舞おうとする、さみしがり屋だが周りとの精神年齢に差があるため本当の友達ができにくい、ナルシストで男尊女卑の考えを持つ、などです。表面的には立派に見えるように振る舞うので、あなたも夫のことを「優しい人」「楽な夫」と言っていますし、周りからも「いいご主人」と言われていますね。
このピーターパン症候群は、病気ではなく20世紀初頭からメディアや政治動向が男尊女卑から男女平等へと向かう流れがあり、男の子の子たちの深刻な性役割の葛藤の中で出現したと考えられています。父親はしっかりした社会人で、母親は家事育児を問題なくこなす専業主婦、特に何不自由なく育った子どもの長男に多い傾向とされています。
改善するには、恋人や妻である女性が、ピーターパン物語の中の母親のように上手に世話を焼くウェンディのような役割を果たすのではなく、協力して一緒に冒険をする妖精ティンカーベルのように、時間とエネルギーをかけ、話をしていくしかありません。
義父母とやり合って摩擦を起こすのではなく、義父母とは適当な距離を置き、症状のチェックをしながら、年齢や立場相応の大人になってくれるよう支援してください。
お子さんがいないのであれば、離婚という選択もありますが、その場合、次の夫選びでもこのタイプを選択しないよう気をつけてください。
(文:大関洋子)

2016/12/15(木)
第109回 【親子編】「野球部のマネージャーというのは…」
【Q】
中学3年生の娘がいます。年明けには高校受験を控えていますが、甲子園の常連校に行きたいと言っています。夏の甲子園で女子マネージャーのことが話題になったのがきっかけで、マネージャーとして選手を支え、甲子園に行きたいと言い出しました。
これまで陸上で頑張ってきて、それなりの結果も残していたので、夏前までは女子駅伝で有名な高校に進学したいと言っていたのですが、今では野球部のマネージャーに傾いているようです。
自分で決めた目標ですから大事にしてやりたいという気持ちもありますが、男の子との関係や一人の人として自分自身が何かをするというのではなく、女子として男子を支えるという部分にどうしても抵抗を感じてしまいます。
男子野球部や男子サッカー部の女子マネージャーというのは、どう考えても性差による役割分担なので、将来、性役割の固定化につながっていってしまうのではないかと心配です。

【A】
全くおっしゃる通りです。私たちは生れた時から、いや生れる前から男か女かのどちらかに分類され、ずっとそれがその後の人生についてまわります。親やまわりの人がかける言葉も胎内の子が女の子か男の子かわかった瞬間から違ってきます。女の子なら「〜ちゃんはいい子よね。やさしい子ね…」、男の子だと「〜君!元気な子になるのよ!!」と呼びかけてお腹をさする毎日が始まります。
生まれようものなら女の子の産着はピンクや花柄の可愛いもの、男の子には元気のいいキャラクターものや男の子っぽい(と思われている?)色のものがお祝いに次々と送られてくることになります。おもちゃ類も同様です。女の子には乗り物やロボットなどのおもちゃは与えられず、男の子には人形やおままごとの道具は与えられません。本も同様で、年齢に即した男の子っぽいもの、女の子っぽいものが与えられることになります。節句もしかり。女の子にはおひなさま、男の子には鯉幟や兜差を多くの親やおじいちゃん、おばあちゃんが大喜びで買ってくれたりします。
そして幼稚園、小学校などの集団による教育が始まれば園をあげての男の子、女の子という区別が行われます。名簿順や制服、教材等々。まさに「女の子らしく」「男の子らしく」なることが人として普通で当然のように教育されます。
1992年までは家庭科は女子だけの必修科目でした。1993年になって中学校で、その翌年高等学校でやっと共修が行われるようになりました。それでもしばらくの間は女の子は調理実習、男の子は工作で本棚をつくったりコンピューターの勉強をしている学校現場がたくさんありました。有名男子高の男性教諭で強硬に「うちの学校の生徒は優秀だから調理など机上で学べば充分。家庭科室はいらない!」と言い張っていた先生を私は知っています。
校長先生やリーダー格のの先生に男性が多い学校で9年間の義務教育をされれば、あなたのお子さんだけでなく、ほぼ全員が女の子は人にやさしく、選手の汚れたユニホームを洗ったり、道具類の後始末をしたり、飲物の準備をするという補助的な仕事を、男の子はそういう女の子のためにも元気に勇敢に敵と闘い、勝利を勝ち取る誇り高い仕事をという風に考えるように育ちます。
今話題のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」も新垣結衣さん演ずる「森山みくり」が仕事として家事を担うという設定ですからまさにそういった状況の上に成り立っているドラマということが言えます。このジェンダーバイアス(=男女の性別による偏見)を解放して人々の行動や生き方を性別の枠組に押し込めず多様な個性が尊重される社会を作ろうという考え方「ジェンダーフリー」は歴史の上でやっと始まったばかりです。価値観は人それぞれなので、どちらが正しいと簡単に申し上げられることではありませんが、真の男女平等には「ジェンダーフリー」が必要でしょう。
お子さんとよく話し合ってください。
(文:大関洋子)

2016/12/05(月)
第108回 【夫婦編】「ベタベタだけの夫じゃ、不安」
【Q】
結婚して2年になります。知り合って3年で結婚しました。
基本的には優しい人かなあ…。男性は結婚すると変わるなんて言われますけど、そういうところもありません。最初の1年くらいは、相手はどんな人とか、何考えてるんだろうとか、お互いに探っていたんです。ぼろは出さないようって言うか…(笑)
そのうち彼も力が抜けてきて、ナチュラルな感じになったんです。彼のナチュラルな感じっていうのは、場所も考えないベタベタなんですよ。それが愛情の表現だと思ってるみたい。そういう風にオープンな人って日本の男性には珍しいので、最初私も悪い気はしなかったんです。「フランス人みたい!」なんて思っちゃって。特に嫌なところもないし、結婚ていうことになったんですけど、彼って全然変わらないんです。もちろん、そんな彼と結婚したわけですけど「彼って一生このまま?」って考えると、将来が不安で…。
私の気持ちの中には、「頼れる夫」っていうのもあるのにベタベタだけではあまりにも頼りなくて…。

【A】
いいですねえ。いいですねえ。このまま共に白髪になるまでベタベタ夫でいてくれたら、いいですねえ。確かにおっしゃる通り、フランスのシャンゼリゼ通りには白髪のご夫婦が仲よく手をつないで歩いていたり、中年のご夫婦が、青になった交差点の人混みの中で立ち止まってキスをしていて、そこだけ人の流れが迂回していたりしました。ぜひ日本でもこんなカップルを流行らせたいなあと20年位前に思いました。
今では日本でも若いカップルはベタベタしていますが、あなたのように結婚して2年経っても内でも外でもベタベタという夫婦は珍しい。もう一度申し上げますが「彼って一生このまま?」とおっしゃるように「一生このまま」でいてもいいですね。特にそのベタベタがナチュラルで対象が妻のあなたに限っているようですし…。
ただし、問題がひとつ、それはそんな彼をあなたが「将来が不安」とか「頼れる夫に」とか感じ出していることです。はじめはあなたも優しい人だし、愛情の表現として悪い気はしなかったんですよね。それなのに2年経つうちに、あなたと彼の価値観がズレてきたところが問題。まあ女性は種の保存の主たる役割として妊娠、出産、それに続く授乳や子育てがありますから、心身共にそれに備えて大人になっていきます。小中学生、いや人によっては高校生、大学生でも精神的には女性の方が発達過程が早い。同級生の男の子は子どもに見えた経験をお持ちの女性も多いでしょう。
勿論、性差や発達は統計的な概念で直接個人に当てはまるものではないし、性差が性役割を正当化する根拠には絶対なり得ませんが、彼のベタベタがうっとうしくなり頼れる夫がほしくなったのも一理あると思います。
お話の様子では彼も、外、社会ではとりあえず一人前の人間として働いているようですが、そこで変に人にベタベタしたり依存性があったりすると、人格形成上、心配ですが、ベタベタするのは妻のあなたに限っているようですので、あまり心配せず、お子さんでもできればきっと赤ちゃんにメロメロになるタイプでしょうから、それまでのちょっとの間、あなたも甘えながら待ってみてはいかがでしょうか?
お子さんが一人、二人とでき、社会でも後輩や上司から頼られる立場になってくると、彼もあなたにまで手が廻らなくなって、「あ〜、昔はよかった」などとベタベタしているカップルを見て、思う日が遠からずやってくることでしょう。
まっ、日本文化の中ですから人前ではあなたがやんわりと彼をたしなめるようにしてはどうですか。
(文:大関洋子)

2016/11/17(木)
第107回 【恋愛編】「占いを信じている彼」
【Q】
彼とは付き合って半年です。彼の前に付き合ってた男性はどちらかというと乱暴だったんで、彼はとっても優しく感じてます。でも…。
この前、食事に行ったときのことなんですけど、「オレ、今日金運が悪いんだよ。スマホで星占い見たら“財布落とすかも”って。だから、今日は財布を置いてきちゃった。悪いけど、食事代出しといてくれる?」って。せいぜい2000〜3000円のことだから、その時は黙って出したんですけど、彼、占いとかほんとに信じてるみたいで、「今日は東の方角はダメ」とか「今日のラッキーカラーは赤」とか、ほとんどの行動を占いみたいなもので決めてるんです。
最初は冗談だと思ったんですよ。だから私も彼に合わせて、「じゃあ今日は西ね」とか「どう?この赤い服…」なんてやってたんです。
ところがどうも本気らしいってことが分かってきて…。私の気持ちより占いが優先なんです。
でも、まさかねえ、大人の男性がほんとに本気なんてこと、ないですよねえ?

【A】
どんなに科学や文明が進んでも人間の知恵だけではどうにもならないってこと、たくさんありますよね。
ほんの一瞬の差が生死を分けたり、あの時のあの人との出会いが人生の幸不幸を分けたり…これを私たちは「運命」とか「運がいい・悪い」とか言っています。
そして悔いても悔いてもどうにもならない別れとか、あの時こうしていればとか、ああやっていればとか…。自分を責めても責めても後悔しきれないこととかを悩んで悩んで悩み抜いて「もうこれは死ぬしかない」となった時、私たちは「運命」とか「運」とかいう言葉にすがって、「ああ、これは運命だったんだ。運が悪かったんだから仕方がない」とあきらめることによって、死の淵から這い上がって生き延びるのです。
あなたの彼のようにあまりにも簡単にほとんどの行動を“占いみたいなもの”で決めているとなると、「運命」に立ち向かうための努力とか、「運」にたどり着くまでの努力とかをせず、「運が悪かった」と他力本願的にあきらめてしまうような生き方になります。
努力して努力して、死ぬほど苦しみ、それでもどうしようもなくて「運が悪かった」と自分を納得させ生き延びるしかない時が人生には何度かあります。それをあまりにも軽々しくたかだか2000〜3000円の食事代をあなたに払わせるために「金運が悪いから払っといて!」と言うようでは、これから先、何が起こっても努力無しに「占いが凶だから」の一言で片付けられてしまうことでしょう。たとえ、あなたと別れることになったとしてもです。
占いの歴史は古く、古代では政治さえ左右していた時代もあります。亀の甲のひび割れの仕方(亀甲占い)で政治のやり方を占ったり、本当の犯人を見つけるため熱湯に手を入れさせて(ぬかだち)犯人を見つけたり、まったく非科学的なものから、太陽や星、風の動きを研究したり、あるいは多くの事例から割り出して吉凶を決めるものまで、様々ありました。
とはいえ、今の世の中、あなたの彼の「占い優先」の生き方は、もし本気だとしたらあまりにも無責任と言わざるを得ません。また本気で信じていないとすればもっとひどいことで、あなたとの関係を手軽に自分勝手に決めるための隠れ蓑に使っているということでしょうから、どんなに前の彼より「乱暴でなく優しい」とあなたが感じているとしても、それはまやかしの優しさ。すぐに別れることをお勧めします。
(文:大関洋子)

2016/11/04(金)
第106回 【職場編】「扶養の範囲内って頭にくる!」
【Q】
今年も11月になりました。この時期になると憂鬱になるんです。
うちの会社は女性の割合が多くて、それも主婦のパートの。主婦向きの仕事が多いんです。1日6〜7時間、週に3〜4日勤務なんていう人が多くて、扶養の範囲内で働きたいって感じ。この時期になると年内の給料が103万円を超えないように勤務を調整するんです。私たち社員がパートの人の分まで働かなきゃならなくなっちゃって…。
会社に何とかしてほしいって言っても求人広告にお金を出して人を増やすにはあまりにも短時間で短期だから、会社も何もしてくれません。
結局、私たちみたいな社員の負担が増えるだけなんです。負担が増えたって給料が増えるわけじゃないから頭にきますよね。パートの人たちが出勤したときの給料を私たちに回せって言いたいです。
国も会社も悪いんですけど、扶養にこだわって仕事をセーブしちゃう主婦の人たちって、一人の人として経済的に自立しなくていいんですかねえ?子育て中なら分かりますけど、子育てが終わった人も同じなんですよ。離婚の危機とかなったらどうするんでしょう?

【A】
あなたのお怒りはよく分かります。まったくこの「扶養の範囲」ってやつ、何なんでしょう。あなたのような社員はしっかり税金を取られるのに、主婦のパートの税金が控除されるって制度。
この制度が始まったのは1961年で、妻の収入が103万円以下の場合、給与所得控除の最低補償額65万円と基礎控除38万円が適用され、本人に所得税がかからないのと同時に夫にも配偶者控除(ここが問題なんですね)が認められ、所得税が減額される。103万円を超えて働くと夫婦合算の手取りが逆転してしまって働いた分が反映されない結果になるので、妻はそれ以上働くことにブレーキをかける。そのことで、あなたのような社員に負担がかかることになるわけです。
まあ、この103万円の壁というのも、1987年に「配偶者特別控除」という制度が設けられ逆転現象を是正できるようにはなりましたが、夫や妻の収入によって控除額が階段状に低くなります。
この制度の始まりは「内助の功」をルール化したもので、「夫が外で稼ぎ、妻が家庭を守る」という家族像を固定化している制度だという意見もあります。主旨としてはあくまでも扶養控除から別枠の控除で、低所得の人たちにも最低生活を認めるための優遇措置の一種で、専業主婦の家庭を優遇するためのものではなかったようです。ただ、現状としてはあなたが「この時期憂鬱になり」「頭にくる」という事態が起こっています。
あなたの怒りの解決方法として国がこの制度を見直すことが基本ですが、今年、政府と自民党の間でかなり踏み込んだ話になり、2017年からはこの制度が「配偶者控除」から「夫婦控除」に換えるというところまで来てまとまるのかに思いましたが、「配偶者控除」をなくすことへの抵抗も根強く、選挙を意識する中、結局見送られることになりました。男女平等へ一歩踏み出せるところでしたが、今のところそちらへ舵を切る見通しは立たなくなりました。
また、会社としても限られた期間のことですから求人広告を出す費用対効果を考えると何もしてくれないでしょう。
こうなると変化を期待するのは難しいですから、「頭にくる」と腹を立てるだけ「損」と考えて、ご自分の「考え方」か、「感じ方」または「行動」のどれかを変えてみませんか?
これをカウンセリングでは「認知行動療法」と言います。原理は「不幸な出来事が起こるから人は不幸になるのではなく、その出来事をどう受けとめるかだ」ということです。あなたのように「パートの主婦が休んだ」=「私の負担が増える」=「頭にくる」と考えるのを自動思考と言います。これをあなたも言っているように「パートの主婦が休んだ」=「私は社員として働く」=「一人の人として経済的に自立している!」=「離婚の危機が来ても大丈夫!」というように変えてみましょう。
コツは、はじめは「うそっ!」と思っても何度も何度も自分に言い聞かせてみることです。何度もそう言い聞かせることで、だんだんその気になれると思いますよ。
(文:大関洋子)

2016/10/20(木)
第105回 【子親編】「息子の嫁との関係が…」
【Q】
2年ほど前に息子が結婚しました。結婚直後は同居したんです。
同居を始めて1ヶ月くらいしたころ、突然息子に「今、マンション探してるんだ」と言われました。ずっと同居すると言ってくれていたのに、突然だったので理由を聞いてみたんですが、「まだ新婚だからね」と言葉を濁されました。
それから2週間ほどして出て行きました。私一人になってしまったのでちょっと寂しくはなりましたが、しばらくしたら戻ってくるだろうとあまり大げさには考えていなかったんです。
ところが先日、買い物に行ったとき、偶然息子たち夫婦を見かけて…。たぶん私が先に気づいたんです。近づいていこうとしたんですが、向こうも私に気づいたらしく、急に嫁が息子から離れて、私の視界から消えました。嫁が明らかに私を避けている様子が分かったので、息子のところに行っても私は嫁のこと触れなかったんですが、息子も一切嫁のことには触れないんです。
そういえば、別居してから息子は時々うちに来ますが、嫁は1度も一緒に来ません。なぜなのか私はまったく思い当たることがないので、これから息子夫婦とどう付き合っていけばいいのか困っています。

【A】
冷たいようですが、これからも息子さん夫婦とはそういう関係で付き合って行かれるしかないでしょうね。
なぜなら、息子さんの妻にそこまで避けられているのに、あなたの方は「私はまったく思い当たることがない」とおっしゃっているからです。
息子さん夫婦が同居して1ヶ月くらいで出て行かれたとのこと。その間に何があったのか思い出してみてください。あなたに思い当たることがなくても、向こう、息子さんの妻(嫁)の方にはどうにもあなたと一緒に住んでいられないことが数々あり、息子さんもその様子を見るに見かねたということでしょう。息子さんもあえてその理由をあげつらってあなたを非難せず「新婚だからね」と言葉を濁して去って行かれたのは、息子さんのあなたに対する優しさと、同時に事の深刻さを含んでいます。
いわゆる嫁と姑の問題は、その間に息子が入ってどうにか出来る問題ではありません。息子が嫁の肩を持って「母さんのこういう言い方、ああいうやり方、直してもらえないかなあ…。そうしないとうちのやつがかわいそうだよ」などと言おうものなら、あなたは直すどころか「息子はすっかり嫁にたぶらかされて、今までの優しい息子が変わってしまった。嫁はなんて性悪な女なの!」と意地悪になって、嫁をいびることになりますよね。
また、もし息子さんが嫁に「おまえなあ、母さんも年だし、そういつまでもあの勢いで生きてるわけでもない。もう少しお袋に合わせてやってくれよ」とでも言おうものなら、もっと大騒動が持ち上がり、「私よりお母さんの方が大事なのね。私出て行きます」と別居から離婚の事態に発展することもないとは言えません。
息子さんの選択はけっこう正しくて、言葉を濁しつつ、同居を解消され、ご夫婦は何とか仲良くやっておられるご様子。隠れてしまった嫁の気持ちを詮索せず、隠れたことに触れなかったあなたも賢いと思います。
息子さんが一人で訪ねてこられたときには、嫌みにならない程度に旅行のお土産や彼女の好きそうなちょっとした小物などを持たせたりして、あなたが歩み寄る努力をしつつ、ご自分の何がそんなに相手を遠ざけてしまったのかを考え、とりあえず、今は別の楽しみを見つけて過ごしてください。ご自分の生き方のくせを見直す最後のチャンスかもしれません。
まれにあることですが、もし息子さんの嫁がメンタルに問題を抱えていて、人間関係をうまく築けない人だとしたら、そういう場合も「こうしろ、ああしろ」と言えば言うほど相手の心にダメージを与えてしまいます。余計なことを言わず黙って見守ってあげてください。
(文:大関洋子)

2016/10/06(木)
第104回 【親子編】「姉弟で仲がよすぎて…」
【Q】
結婚して15年、中学1年生の娘と、小学6年生の息子がいます。
決して友達がいないというわけではありませんが、どちらかというと二人とも内向的で、友達と外で遊ぶというよりは、家で本を読んだり、工作みたいなことをして何か作ったりするのが好きです。
小さい頃から二人でとても仲がよく、小学校入学前は、ほとんどの時間を一緒に過ごしていました。小学校に上がってからも同様で、私としては徐々にでいいから友達と遊ぶ時間が増えてくれたらいいなあと思っていました。
姉が中学生になり、部活動も始まりましたから、これで別々の行動が増えてくれるだろうと思ったのですが、今も変わらず二人で過ごす時間がほとんどです。思春期を迎え、そろそろ異性に興味を持ってもいい時期なのに、姉弟と一緒に過ごしている時間ばかりで、ちょっと心配になってきました。

【A】
アメリカの教育学者、ロバート・J・ハヴィガースト(1900−1991)は、「人は乳児期、児童期、青年期と段階を経て発達していく。そしてそれぞれの段階にはそれぞれの発達の目安となる達成課題がある」と言っています。
人は赤ちゃんから一足飛びに大人になるわけではなく、一定の順序、方向性を持って発達していきます。社会に適応し、人格を形成する上で、各発達段階に応じて達成しておくべき社会的、心理的課題があり、それを「発達課題」と呼んでいます。
人生の発達段階で次の段階にスムーズに移行できるようにするには、それぞれの発達課題をクリアしていくことが必要です。各段階の課題を避けて通ったり、クリアできなかったりした時は、心身の不調があとの段階で現れたり、社会とうまく適合できず、生きづらさを感じたりします。
ハヴィガーストは、乳幼児期、児童期、、青年期、壮年期、中年期、老年期の6つに人生の段階を区分し、社会的役割や習得すべき身体的技量など発達課題をそれぞれ6〜10個ずつ具体的項目として示しました。そしてその中に児童期には「遊び仲間とうまく付き合うことの学習」「男子あるいは女子としての適切な社会的役割の学習」、青年期には「両性の友人との新しい成熟した人間関係を持つこと」「男性または女性としての社会的役割の達成」を挙げています。
要するに、あなたは中学1年生の娘さんと小学6年生の息子さんがこの「発達課題」をクリアしていないと感じ、心配してご相談されたわけです。けれども人間は他の動物と異なり、発達にはかなり個人差や柔軟性があります。早くに発達課題をクリアしてしまったり、ゆっくり乗り越えたりしてどこかで積み残した未消化の課題をやりこなすこともあります。ですから、発達課題「姉弟以外の遊び仲間とうまく付き合うことの学習」が今クリア出来ていないとしても、あまり窮屈に考えず、1つの目安と考えてください。
お子さんは学校、部活動もちゃんとこなしていますし、この年齢では無理に引き離すのではなく、少し環境を変えたり、体験を広げたりすることを促す工夫をされてはいかがでしょうか?
あなた自身もママ友とのお付き合いや仕事などで、ご家庭から外へ出てみるなどしてみてください。
万葉の時代のように交通機関もなく人口も少なかった頃には、姉と弟、兄と妹などの恋愛も多く、万葉集の歌の中にも恋愛の歌が残っていますが、今はそんな遠い昔とはまったく違った社会環境ですから…。
(文:大関洋子)