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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2023/01/10(火)
第248回【夫婦編】「帰省したときの夫の態度が…」
【Q】
毎年、年末を迎えると憂鬱になります。お正月に夫の実家に帰省するのがストレスなんです。夫の両親は悪い人ではないんですよ。すごく良くしてもらっているとは思っているし…。なので、変な言い方ですけど、私と子どもだけで行くならいいかなって。何がストレスかっていうと、夫の態度です。夫の両親に対する態度がうちでの普段の夫と極端に違って、ただのマザコン、ファザコンに見えて気持ち悪いし、私に対してはすごく高圧的になるんです。結婚して間もないころは、そういう態度を取るのも「私はあなたたちの子ども、育ててくれてありがとう。大人になってこんなにしっかりしたんだよ」って両親を安心させるためのポーズなのかなって思っていたんです。ところが、いつになってもそんな風だし、最近ではあれが夫の本性だって思うようになりました。そう思うと一気に愛情が冷めるっていうか、この先夫についていっていいか不安になります。

【A】
私が感心したのは、「変な言い方ですけど、私と子どもだけで行くならいいかなって」とあなたがおっしゃっているということです。これはちっとも「変な言い方」「変な考え方」ではなく、夫のご両親とあなたとの関係は「とても良い」ということですよね。夫抜きでも夫のご両親に会いに行ける、いや、むしろ夫抜きの方がいい、ということは、あなたと夫の関係も修復可能だと思います。なぜならあなたが「気持ち悪くて一気に愛情が冷めた、不安になった」という「マザコン」「ファザコン」の夫の態度は、夫の両親の対応が変われば修正できますし、夫の両親を信頼しているあなた、ご両親からも「すごく良くしてもらっている」あなたなら、夫の両親に息子との関係性を変えてもらうよう頼んで受入れてもらえるはずだからです。

次に「マザコン」(マザーコンプレックス)の起源についてですが、これは100年程前の精神科医フロイトが言いはじめた「エディプス・コンプレックス」という言葉が元になっています。ギリシャ神話の中の物語で国王の息子として生まれたオディプスは神託により「父を殺して母と結ばれるであろう」と言われ、国王である父の命令で隣国へ捨てられます。そこの王子として青年になり旅へ出ますが、その途中、実父とは知らずに父と闘うはめになり殺してしまします。そして実母とは知らず女王の国を苦しめていたスィフィンクスを退治し国を救った英雄として実母・王妃と結婚します。実父を殺し実母と結ばれた事実を知ったオディプス王子は自分の目を刺し、盲目の旅人としてどこへともなく放浪して行くという神話です。ファザコンという心理学用語はなく、マザコンに対応したものと思われます。あなたの夫は両親に甘えていますので、マザコンというよりピーターパン症候群に近いと思われます。フロイトの言う「エディプス・コンプレックス」は「それぞれ男の子は母親、女の子は父親(異性親)に、強く愛着を感じる」という学説です。

あなたの夫は、おとなにはなりたくなくて永久に子どものままでいられる「ネバーランド」に皆を連れて行こうとしているピーターパンなのだと思います。どちらにしてもあなたの夫は異性親の母親に甘え(エディプス)ウエンディやティンカーベルの妖精に頼るピーターパンのように「年齢的には大人だけれど精神的に大人になれてない男性」なんです。だから母親に甘えて、あなた、ティンカーベルにも魔法で自分の好きなようにしてもうおうと高圧的になるのです。
どうか夫のご両親としっかり組んで夫を修正してください。
(文:大関洋子)

2022/12/27(火)
第247回【恋愛編】「女を武器に使った恋愛はダメ?」
【Q】
彼との出会いは居酒屋でした。女友達3人で入った居酒屋に彼は男友達3人で来ていたんです。彼を見た瞬間「いい男じゃん!」って思いました。友達2人も同じだったみたいで、向こうから誘われるように、3人でそれとなく流し目を送って誘われることに成功しました。それから6人で飲みに行くようになったんですけど、私も友達も狙っているのは彼です。何とか彼の気を引こうと2人より短めのスカート、胸を強調させるようなトップスを着て会うようにしたんです。しばらくすると彼が私を意識し始めたのが分かりました。そして私が見ごと彼をゲット。それから2年です。仲はいい方だと思います。ところが最近、結婚を意識するようになったら、「本当に彼でいいの?」って思うんです。私は彼のどこが好きなんだかよく分からないし、おそらく彼も私のどこが好きなんだか分からないんだろうと思います。出会ったときに男としての彼にひかれ、彼には女としての私にひかれるようにアプローチして…。でも今考えると、「男」とか「女」とかいうものに惹かれるんじゃダメで、長い人生を考えたとき、「人としての彼」、「人としての私」に惹かれないとダメなんじゃないかと思うようになりました。男性と付き合うときに「女」を武器に使って付き合いだした男性とはどこかで破綻しちゃいますよね。

【A】
「居酒屋」で狙った彼を「女を武器」に見事ゲット。「あるある」のシナリオで、もしこのまま結婚したら、その結果も「あるあるの破綻?」。あなたはよくぞそれに気づきました。あなたは、ご相談になる前にちゃんと正しい答えが出ています。『「男」とか「女」とかいうものに惹かれるんじゃダメ」「人としての彼」「人としての私」に惹かれないとダメじゃないか』って。

まったくその通りです。あなたの場合、「女の武器」も身体勝負の直球で、ライバルより「短いスカートを履く」「胸を強調させるようなトップスを着る」など、まるで人間以外の動物が繁殖期にやるような雄を誘うやり方のようです。もう少しひねった「女の武器」には@都合が悪くなったり、困ったことに直面するとグズグズ泣いてみせる「女の涙」作戦、A手作りの料理とかクッキー、ケーキなどを持っていく「胃袋をつかめ」作戦、Bさりげなく腕や肩などに触る「ボディタッチ」作戦、C何かと彼に頼ってみたり、猫なで声を出したりする「甘え上手」作戦など、様々ありますが、ともすると「あざといやつ」と思われ、距離を置かれてしまうこともあります。それに比べ、あなたのとった「足や胸を見せる性欲作戦」は単刀直入。彼は「雄としてそれに引っかかった」とあなたは思っているようですが、それでも2年も仲のいい交際が続いているとのこと。居酒屋で出会って、彼は最初、あなたの「チラリズム」に一生懸命さを感じて恋が実ったのかもしれませんが、もし本当にあなたの「女の武器」にだけ惹かれたのなら、2年は続かないでしょう。「人としての彼」「人としての私」ってなんだろうと考え始めた今から、「人としての魅力」を作ってください。もしかすると彼にも同じ気持ちが芽生え始めているかもしれません。

発達心理学で、青年期の発達段階に欠かせないものに「モラトリアム期間」があります。元は「猶予期間」という法的用語ですが、「ヒト」が「人」になるためには、社会人となり、責任ある立場になるまでに「自分とは何か?」「どこへ行こうとしているのか?」をしっかり考える期間が必要だと言われています。この恋愛をきっかけに、遅れてやってきた「モラトリアム期間」だと捉え、自他共に成長されることを願っています。
(文:大関洋子)

2022/12/19(月)
第246回【職場編】「コンペはスカートな」
【Q】
私の会社は、時々ゴルフコンペを開きます。そういう時は、多少ゴルフのできる女子社員とまだ無名な女子プロゴルファーを動員します。私は多少できるので、コンペの時は必ず参加させられるんです。ゴルフは嫌いじゃないので参加させられるのはいいんですけど、服装は「スカートな」って言われるのと、部長が私の家まで迎えに来るのがすごく嫌なんです。もちろん自宅の住所は知られているのは仕方ないんですけど、直接ドアのところまで来られてピンポン押されるのはちょっと。「どこかまで行きますよ」って言っても、「手間じゃないから」の一点張りで聞く耳を持ちません。スカートのことも「もう足を出す年齢でもないし、冷えるのでパンツじゃダメですか?」って聞くと「そうだよな」と言いながら「そのために2万円手当出してるんだから頼むよ。営業の一部だから」と言われてしまいます。もちろん勤務にはしてくれているんですけど、会社が手当を出してるとは思えないので、部長がポケットマネーで出しているんだと思います。

【A】
部長のポケットマネーの2万円、部長が家のドアまで来てピンポンを押す。あなたも「勤務にはしてくれているけど、会社が手当を出してるとは思えない」と言っている通り、スカートで来てもらいたいのは部長ですよね。これは明らかに「セクハラ」です。
ゴルフウエアのスカートは、ミニスカートやフレアスカートには基本的にインナーが一体化していたり、下に短パンを履いていたり、いわゆる「見せパン」を履いていたりするので、部長が期待する「チラリズム」とは一線を画してはいます。それでも部長はティーアップの時やグリーン上でパッティングラインを読むときにアングルによってはスカートの奥まで見えそうでドキドキしているのでしょう。

NHKの女子プロゴルフのテレビ中継を観ていたら、パッティングラインを読む選手に対するアングルが、ほとんどすべてスカートの奥まで見えそうなアングルになっていたことがあって、驚いたことがありました。民放のテレビ中継では、そんなアングル見たことがありません。カメラマンの故意としか思えない頻度だったので、問題にならなかったのが不思議なくらいです。NHKという公共放送でそんなことがあるのですから、「スカートな」との要求は、部長にとって特別なことではないのかもしれません。

1565年ごろ、スコットランドのメアリー女王がシートン城の近くでゴルフに興じていたころは、まるで夜会にでも行くようなパフスリーブ(ちょうちん袖)にロングドレス、頭には鶏のトサカのような帽子を被っていました(女性服飾史による)。スカートの裾が短くなったのは、第一次世界大戦後、女性の社会的地位が叫ばれ、機能性を優先するようになってからです。女性ゴルファーのファッションも紆余曲折ありながら、動きやすいように軽快になっていきますが、ゴルフファッションの原則は不特定多数の集まるゴルフ場で周囲の人に不快感を与えないこと。ファッションは時代と共に変質していきますが、どんな時代のファッションもこの原則に則っていることは変わりません。

2017年、全米女子プロゴルフ協会は「スカート、スコート、ショーツは、立っているときも屈んだときも、いついかなるときも、ボトムエリアを隠し得るに十分な長さでなくてはいけない」と決め、競技重視へと動き出しています。男性の視線を集めるウエアよりも試合で競い合う方に情熱を傾けろと言っているわけです。

日本では宮里藍さん(ヘソ出しファッションで有名)が登場したころから女子プロゴルフ人気はうなぎ登りで、最近では男子ツアーのTV中継がない日に女子のTV中継だけがあるということもあるくらいです。日本の女子プロゴルフ界は現時点でアメリカとは逆のルックス重視、ファッション重視の方向に進んでいるように見えます。ギャラリーやTV視聴者の興味もルックスやファッションに影響されていることも確かでしょう。たまにレギュラーツアーにも出場する息子の友人の女子プロゴルファーはコンペに引っ張りだこだそうです。コンペに呼ばれるのは、女子であることが重要な要素になっているという現実があります。

とは言え、それは自分自身を売り物にしたプロの世界のこと。ゴルフの実力はもちろん、時にはルックスやファッションを売り物にしてでも有名になることが必要なのは当然です。あなたは、ゴルフのプロではなく一般企業の社員です。コンペに参加するとしても、ゴルフの実力やルックス、ファッションなどで賃金を得ているわけではないので、参加を強いられている他の女子社員と一緒に「性的」なことを売り物にしようとするのはやめてもらうよう部長や上司に勇気を出して話してください。理解してもらえない場合には、コンペの参加自体を断りましょう。
(文:大関洋子)

2022/11/24(木)
第245回【子親編】「ジェンダーフリーで育てたいのに…」
【Q】
結婚して10年、8歳の息子と6歳の娘がいます。結婚するときから夫の両親との同居が既定路線だったので、義父が70歳になったのを機に同居しました。私も夫もフルタイムで働いているので、私達が帰宅するまでは義母が子どもたちを見てくれています。もちろん両親には感謝しているんですけれど、困ることも少なくないんです。特にジェンダーの問題。義母も女が働くことには反対じゃないんです。でも「男らしさ」「女らしさ」は大事と思っているみたいで、8歳の息子に「男の子は泣かないの!」とか「しっかり勉強していい大学、いい会社に入るのよ」とやっちゃうし、6歳の娘には「女の子なんだからそんなに乱暴なことはしないの!」「いいお嫁さんになるのよ」とやるんです。現代社会で信じられないような言葉なんですけど、義母はそう教えるのがいい子育てと思ってるわけですよ。義母と過ごす時間が長いので、影響は避けられないし、義母のおかげで私も仕事ができていることもあるので、強く言えなくて、どうしたらいいかとても困っています。

【A】
「正しさ」が時代によって変わるのは過去の時代の「正しさ」を「間違っていた」と考えた人がいたからです。今、あなたは義母に子どもたちを見てもらえているので、夫婦共フルタイムで働けています。困ったことに義母は、昔ながらの「男らしさ」「女らしさ」を大事に思っていて、まったくステレオタイプの「らしさ」を孫に教えています。「男の子は泣かないの!」「女の子なんだから乱暴なことはしないの!」という義母の言葉は、この手の人がよく使うフレーズです。

そして、もっと困ったことには実は私たちの心というか身体にこの「らしさ」が染み込んでいて、「私はそんなことは言わない」と思っている人でも、女の赤ちゃんにはフリフリのついたピンクのもの、男の赤ちゃんにはフリフリのついていない青系のものを選びますよね。「私はジェンダーフリー!」と思っている人でさえ、せいぜい頑張って「白」か「黄色」止まり。色もピンクは「可愛い」、青は「りりしい、知的」という思い込みがあったりします。自分ではそれはジェンダーだとわかっていても、周りを気にして合わせている人もいるかもしれませんが。

子どもたちに与える絵本もこうした思い込みから「白雪姫」や「シンデレラ」「人魚姫」などなどは女の子に、男の子には「ピノキオ」や「機動戦士ガンダム」。そしてそれらは益々、女の子には「女の子らしさ」男の子には「男の子らしさ」を植え付けて、幼い心に「将来こうあるべき」「こうあらねばならない」という思いをふくらませてしまいます。これは、幼児教育の分野で顕著ですが、小中高と進んでも、この「らしさ」は無言で教え続けられます。男らしさと女らしさは「差別」ではなくて「区別」だという人がいますが、それは進化の過程で洞くつ生活をしていたころの話です。

さて義母に「男の子は〜」「女の子は〜」と言うのはやめてほしいと強く言うのは難しいとのことですから、まずあなたたち夫婦がその「らしさ」から自由になっている同居生活を義父母に示してください。「あなたの両親ではなく夫の両親との同居が既定路線」だったことが、まさにジェンダーギャップの表れだと思いますが、状況からしてそれを変えることは不可能だと思いますので、あなた方夫婦の関係を少しずつご両親に見せることから始めましょう。もちろんあなた方夫婦の関係がジェンダーフリーであり、夫婦関係に満足していることが大前提ですが…。
(文:大関洋子)

2022/11/14(月)
第244回【親子編】「嫁へのプレゼントはエプロン」
【Q】
我が家は、家事も子育ても夫婦平等にこなします。ほぼ完全にジェンダーフリーと言えると思います。子どもたちも成人して、息子2人が家庭を持ったのですが、先日息子たち家族と旅行に行く機会があったんです。それぞれ子どもがいて、夫婦でよくやっているなあと感じているので、嫁に感謝の気持ちを伝えるつもりで、お土産という程度のプレゼントを用意したんです。夫には話さず私が用意したんですけど、選んだのは「エプロン」でした。宿について2人の嫁に「いつもありがとうね」と言いながらプレゼントを渡すと夫が「えっ!エプロンなの?」と言いました。私もハッとして「あっ、やっちゃった!」と思いました。自分ではジェンダーフリーのつもりでいるのに、無意識に染みついているものが時々出てしまうことがあります。もし相手が婿だったらエプロンはなかったと思います。こういう感覚が子どもにジェンダーを植え付けていくんだよなぁと反省しました。どうしたら私に染みついたジェンダーの感覚が抜けるんでしょうか…

【A】
11月7日の朝日新聞に「共働き妻の“ワンオペ”いつまで?」という見出しで「家事育児夫との差4時間38分、15年変らぬ負担」という記事が出ていました。「ワンオペ育児」の言葉を社会に広めた明治大学の藤田結子教授らがまとめた調査で、6才未満の子を持つ共働き夫婦の一日の家事・育児関連時間は、妻は6時間33分、夫は1時間55分という結果が出ています。

妻のワンオペ育児の背景には夫の「長時間労働」が指摘されてきましたが、今回の調査では早めに帰ってくる夫が何人もいましたが、妻がいくら言っても育児や家事をやらない夫がいるというのです。なぜでしょうか?ここであなたの相談の心や体に染みついたかのような「男らしさ」「女らしさ」が出てくるのです。調査の対象になった男性達は、出世や昇進にとりつかれておらず、仕事がそんなにしたいわけではないのに、妻が育児や家事をする間、夫がスマホゲームをしている家も少なくなかったそうです。育児や家事をまめにやる女性が「女らしい」というジェンダー分業的な「支配の志向」だと藤田教授は言っています。そして、ここがまたとても厳しいところですが、女性の方も「女らしさ」の規範を心の深いところで、そのように捉えているということです。まるであなたの様に…。

高所得の女性は、家事代行サービスを人知れず使ったり、ミールキットを買ったりしてしのいでいますが、それ以外の女性たちは、近所に実母などがいなければ、他者にケアされていないのです。今、私も近所に「実母」などがいなければと書いてしまいました。「実父」でもいいし、夫の父や母でもいいのに、なぜ社会的に家事育児はもちろん介護まで(夫の両親の介護も含めて)も女性の仕事と決まったように言われているのか…。そしてそれができる女性が「女らしい」とたたえられるのか…。15年経っても調査での情勢の負担は変わっていません。

おそらく、あなたが教育を受けた保育園や幼稚園、小学校では、保育士さんや先生は女性なのに園長先生や校長先生は男性が多かったり、出席簿の順番は男の子から始まっていたりしていたことでしょう。高校で家庭科共修が始まったのもまだ二十数年前のことです。やっと始まったばかりのジェンダーギャップの解消も2021年の世界経済フォーラムの公表では、1位はアイスランド、日本はずっと下の120位でした。

さて、あなたの問題点は何でしょう。そう、自分はジェンダーフリーのつもりなのに「嫁」に「エプロン」を渡して「女らしさ」をそこに求めていたんです。無意識にすり込まれた「男らしさ」「女らしさ」は、あなたの中にも存在するんですね。それに気づいたあなたは立派です。そして、「えっ!えぷろんなの?」と言ってあなたに気づかせてくれた夫を持ったことに感謝しながら次の世代を育ててください。
(文:大関洋子)

2022/10/27(木)
第243回【夫婦編】「夫を信用できないのは私がいけないの?」
【Q】
夫の行動に不信感を持っています。残業とか休日出勤とか言ってどこにいるのか分からない時間があったり、明らかにどこかに遊びに行ったらしいレシートが財布に入っていたり…、本人に訊いてものらりくらりで納得がいきません。夫は「これ以上説明のしようがない」って言うんですけど、ごまかしているとしか思えません。先日、興信所に頼んで、一週間夫の行動を調べました。結果、何もなかったんですけど、それ以上はお金が続かなくて…。夫のスマホはロックがかかっていて見られない。でもパソコンでスイカの履歴は見られたので3ヶ月ほど遡って調べたら、仕事とは関係なさそうなところに何度も行っているのが分かったんです。それを夫に突きつけたら、逆ギレされて「人の財布の中身を見たり、行動をチェックしてるのかよ!」と怒鳴られました。夫は「そんなに俺を信用できないなら離婚しよう」とまで言うんです。私は専業主婦で子どももまだ小学生ですから離婚は考えていません。信用しろって言われても、信用するなんて無理です。夫は信用しない私が悪いって言うんですけど、私が悪いんでしょうか?

【A】
日々、辛いでしょうね。もし、あなたが過去に男性からひどい裏切りをされたり、親から虐待を受けたりして、愛着障害やアダルトチルドレン的な症状を持っていないとするならば、夫の行動に不信感を持っているのは正しい勘だと思います。昔から「女の勘は鋭い」と言われていますが、これには根拠があります。
女性は洞窟で生活していた時代から、子どもを身ごもり出産して育ててきました。その間、数年間は男性が狩りで獲ってきた獲物を分けてもらって生き延びるしかなく、男性の行動や機嫌に敏感になっていたと考えられます。今は、とっくにそんな時代は終わっているのですが、遺伝子の中に相手の言動に敏感なものが残っているのでしょう。

さて、あなたの夫ですが、興信所に1週間、行動を調べてもらっても何も出ないというのなら、「本当に何もない」か「興信所に気づいてあえて何もしないでいた」とも考えられます。1週間程度では確かな調査というには期間が短すぎるように思います。最近、興信所では多種多様な機材を駆使したり、多くの情報を収集したりして、正確な調査をし、離婚の訴えの時など、裁判所も証拠採用するところまでなっています。

あなたが日常的に感じている不信感の根拠である残業、休日出勤、財布の中のレシート、Suicaの履歴、等々を突きつけた時の夫の「人の財布の中身を見たり、行動をチェックしてるのかよ!そんなに俺を信用できないなら離婚しよう」という言葉から判断すると、あなたが考えているように「外に誰か付き合っている人がいる」というのもまんざらでもないように思います。

具体的な人がいるかどうかは別にしても、あなたとの夫婦関係に充実感を持っていないことは確かです。大切なことは、夫の不審な行動が始まって、あなたがそれをチェックし、不信感を持ち始めたころ、すでに夫婦関係が壊れ始めていたということをあなたが自覚する(認める)ことです。ここまで来てしまうと、夫のいう「離婚」も視野に入れる必要もありますが、小学生のお子さんもいてあなたは専業主婦、離婚は考えていないとのことなので、いったんこの状態を白紙に戻して、夫をできるだけあなたの監視から解放してみてください。

おそらく、再び疑いの気持ちがモヤモヤ湧いてくるでしょうが、それはもしかすると、夫ではなくあなたの生育歴に何か原因があるのかもしれないので、ご自身の過去に、裏切りや虐待を経験していないか振り返ることもしてみた方がいいかもしれません。

フレデリック・パールズという心理学者の詩に「パールズの祈り」というのがあります。
私は私のことをする
あなたはあなたのことをする
私はあなたの期待にそうために この世に生きているのではない
あなたはあなた 私は私である
もしたまたま私たちが出会うことがあれば それはすばらしい
もし出会うことがなくても それはいたし方のないことである
(文:大関洋子)

2022/10/07(金)
第242回【恋愛編】「私ってセックス依存?」
【Q】
高校の時からけっこうな数の男性と付き合ったんですけど、いつも長続きしないんです。長く付き合いたいって気持ちはあります。でも、正直言って「“ねる”と冷めちゃう」っていうか…。周りを見るとみんな真面目で、1人の男性と付き合って、ずいぶん長く続いてるなあって思うとちゃんと結婚して子どももできたりしてるんですよ。でも、私の場合、付き合うってことになるまで私の方が必死にアピールして“ねる”ところまでは行くんです。ところが2、3回“ねる”と気持ちが冷めちゃって。前の男と比較して“こいつ下手!”って思ってしらけちゃうこともあるし、うまいんだけど、やたらしつこくて“もうイヤ!”ってなっちゃうこともあるし…。セックスだけがすべてって思ってるわけじゃないんですけど、じゃあどういう男がいいかっていうとよく分からなくて、結局「うまいか下手か」が基準になってしまってるし、だから長続きしないし…。セックス依存ですかねえ?今年28歳になって普通の恋愛がしたいって思うんですけどどうしたらいんでしょうか。

【A】
「依存」(アデクション)というのは、特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられなくなる状態のことを指します。人が依存する対象は色々ありますが、@物質への依存、A行為やプロセスへの依存、B人間関係への依存の3つに分けられます。@は、アルコール、たばこ、薬物などへの依存、Aはギャンブル、買い物、盗み(万引き)などへの依存です。あなたが心配している「セックス依存」もこの分類に入ります。Bは恋人、家族、男性、女性などへの依存で、共依存やDV、ストーカー行為に及ぶなどもこれに当たります。これらの3つは単独で現れることもありますが、他の依存と重なって併発しやすい傾向があります。あなたも恋愛関係を長続きさせようと思うのですがセックスを数回すると冷めてしまって次の相手を求めてしまうようで、依存の状態が重なっています(クロスアデクション)。

あなたが次々と恋人を替えるのは、人間関係への依存で、その人にしがみつくことで自分の不安を解消しようとして、性の関係を持ち、性の行為やプロセスの中で一時的な刺激や快楽を求めてそれを繰り返しています。
「依存」で困るのは、何かの不安を解消しようとしているのにもかかわらず、逆に生活のリズムが崩れ、体調や心の状態がどんどん不安定になることです。どの依存にも共通するのは、より強い刺激を求めて、やめようとしてもやめられなくなり、いつもそのことが頭から離れないなどの特徴です。

28歳のあなたが「普通の恋愛がしたい」と言っているので、改善が必要な状態だとご自身で気づいています。こうした依存的な状態は、もっとひどくなると自分の意志ではやめられない「コントロール障害」と言う病的なものになっていしまいます。今の状態はまだ「依存症」という病気にまでは至っていないと思われますので、なぜ今の状態になっているのかを考え、普通の恋愛ができるよう努力しましょう。

依存の初期には、不安や緊張を和らげたり、嫌なことを忘れたりするために、ある特定の行為をするわけですが、それを繰り返しているうちに脳の回路が変化して自分の意志ではやめられない「依存症」と言われる状態になっていきます。ドーパミンという快楽物質の放出を報酬、ご褒美と感じる脳の仕組みです。こうなってしまうと意志の弱さや性格の問題ではないので、自分を責めたり恥ずかしがったりせず「何かに強く我慢をしてストレスフルになっていることはなかったか」「今も我慢を続けていないか」などの点検をしてみてください。

その「元になっているストレス」を軽くしながら、自らの「やめたい」という気持ちを大切にして、「性のやり方の上手・下手」という基準で相手を判断するのでなく、「性」の関係も2人で作っていくように、「人間性」や「価値観」に目を向けて相手とお付き合いしてみましょう。
それでもひどくなっていくようなら、今回のように専門の機関で治療を受けるなり、カウンセリングを受けるなりしてください。
(文:大関洋子)

2022/09/22(木)
第241回【職場編】「私から誘ったのに…」
【Q】
職場の先輩と付き合っています。私が入社した時、2ヶ月ずつ3人が順番に指導係になってくれたのですが、最初は1年先輩の女性、2番目が3年先輩の彼、3番目が5年先輩の男性でした。3人ともすごく優しくて、丁寧に指導してくれたので、不安がなくなりました。3人の中でも彼は私にとって特別な存在に感じたので、私からお礼に食事に誘ったんです。それがきっかけで、付き合うようになりました。社内的には、社内恋愛は歓迎されないし、私としては彼との関係をこれからどうしようかという方向性がまだ見えていないので、私も彼も周りに知られないようにしているんですけど、何となく私と彼との関係が変というのが周りに分かっちゃったみたいなんです。付き合ってるって見られるのも私的にはまだちょっとなあと思っているので、周りに知られたくないんですけど、どうやら彼の態度が私に対するセクハラって思われちゃって、彼の悪口をいう人がいたり、上司にもそう思われて社内での彼の立場が悪くなっちゃっているんです。友達に「セクハラされてて大変じゃん!?」って言われたときに「そうなのよ」って言ってしまった手前、今さら付き合ってるなんて言えないし、実際付き合ってるって思われて、選択肢を潰してしまいたくもないんです。

【A】
せっかく本音で相談してくださったのに厳しい回答になってごめんなさい。でもまずは、あなたの「生き方」から考え直してください。
それは友人から「セクハラされて大変じゃん?!」と言われて「そうなのよ」と言ってしまったことです。そのため「彼の悪口をいう人」もいたり、その上上司にもそう思われて、「社内での彼の立場が悪くなっちゃったり」しているんですよね。指導係としての3人は皆優しくて丁寧で不安がなくなった上に「彼は特別な存在に感じられ」「私から食事に誘った」のにですよ。それなのに彼の立場がこんなに悪くなっている。「実際に付き合ってるって思われて選択肢を潰したくない」なんていう理由で「セクハラされてて大変」を認めてしまうなどとは人として許される行為ではありません。こういう考え方をして選択肢を広げておこうなどとするあなたは自己中心的でしかありません。もしかすると彼はこのことで上司から忠告されたり、人事異動の対象になったりして、人生が変わってしまうかもしれません。

「社内恋愛は歓迎されない」と言っていますが、それはあなたのようなこういうひどい噂を自分から流して周りの人と彼の人間関係を悪化させたり、仕事に支障が出たりするからです。本来は、日頃の仕事ぶりを見てその誠実さにひかれたり、優しさに感動したりして恋愛に発展し、結婚に至るのが理想ですよね。人柄がよりわかって結婚生活がうまくいく可能性が多いからです。

あなたの自己中心的な価値観はもしかすると「ピーターパン症候群」の種かもしれません。ピーターパン症候群というのは正式な学術用語としては認められていませんが、永遠に歳をとらない少年ピーターパンの名前をとってつけられたもので、いつまでも無邪気な子どもでいたいという願望を持っています。男性に多い症状ですが、女性にも大人になっても他者のことが考えられず自己中心的な考え方を続ける人がいます。イギリスのバリーが書いた永遠にネバーランドに居続ける少年ピーターパンの物語から取って名付けられました。身体は大人になっても精神的に大人になりきれず子どものような言動を取ってしまう自己中心的な子どものままでいたいという願望が強いのです。特別な人がなるわけではなく誰でもなり得る問題の1つです。

1人の前途ある青年をセクハラ社員と仕立て上げた自分を反省し、速やかに訂正し、大人になることをお勧めします。彼との関係もゼロから見直してください。
(文:大関洋子)

2022/09/09(金)
第240回【子親編】「“昭和”は黙ってろっ!」
【Q】
結婚して5年です。2年前、子どもが生まれたのを機に夫の両親と同居しました。産休明けから職場に復帰して、保育園の送りは夫か私、迎えは夫の両親にお願いしています。その点は義父と義母に感謝しています。でもうっとうしいこともたくさんあるんです。例えば子育てのやり方。義母は3人の子どもを育てているので、学ぶこともたくさんありますが、義母が子育てをしていたのは40年くらい前。今とはまるで違う世界ですよね。紙オムツなんて出たばっかりで布オムツを使っていたとか、果汁や離乳食をやるときはガーゼや食器を煮沸して果物や野菜をすりおろしたり潰したりして食べさせたとか、子育てを担うのは母親とか…。私は、夫も一緒に子育てをしてくれるし、楽な子育てをさせてもらってるなあとは思います。義母も「いい時代になったねえ」とは言うんですけど、私の子育ては「手抜き」と思っているのがわかります。それに今は、インターネットで調べれば、義母の話よりはるかに専門的な話もわかるから、義母の話を聞く必要もないんです。一応「ありがとうございます」って聞きますけど、「××すればいいのよ」とか言われると思わず「“昭和”は黙ってろっ!」って言いそうになります。

【A】
町の小児科医、松田道雄さんの著書「育児の百科」。1967年に診察に当たった経験を元に総合的な育児の手引き書として出版されたもので、累計販売部数は183万部以上。50年も前に書かれた育児の本が、なぜこれほど支持され続けているのでしょう。時代が変化する中で“母親の孤立”に寄り添おうとした著者の姿が見えてきます。(NHK放送文化研究所より)
子どもの年齢ごとに食事や遊び、病気への対応などについて細かく記されています。最初は百科事典のような大型本でしたが、何度も改訂され、現在は文庫本になっています。NHK放送文化研究所へ寄せられた感想はたくさんありますが、その中には「古い部分もあるけれど何より親の不安な気持ちを救ってくれる言葉がたくさんあった」「育児中に泣きながら読みました。働く母へのエールもたくさん。『預けて働くことに罪悪感を感じなくて良い』とか『瓶詰めの離乳食を与えながら笑っているお母さんのほうが良い』とか、昭和とは思えないあたたかさ」などという感想があります。
私が初めての子育て時この本に救われたのは、赤ちゃんの「消化不良」という項です。赤ちゃんの便を過剰に心配していた私は、松田先生の「赤ちゃんをそだてているので、便を育てているのではないことを忘れてはならない」という言葉にハッとしたことを今でも思い出します。

松田先生は明治41年生まれ。京都で町の小児科医をした後、60歳を前に執筆に専念し、「子どもの病気の診断や治療は簡単だが、育児はたいへんな仕事だということをあらためて感じた。育児の重労働はすべて女にしょわされている。子どもをもった女の負担を少しでもへらしたい気持ちがつのった」と「町医者の戦後」という著書の中で述べています。
1980年の改訂版の「父親になった人に」という項には、「君もいよいよお父さんだ。君に一言いっておきたい。君は年々、200人の母親が子殺しをすることを知っているか。以前の大家族の時代には古い世代がそばにいてくれた。いまは若い母親がひとりでせおわねばならない。子殺しをした母親のおおくが、育児に協力しない夫をもっていた」と親になった男性に呼びかけています。そして、この「育児の百科」は、平成10年に松田先生が亡くなられてからも、多くの人たちに読み続けられています。

幸い、あなたは夫の協力もあり、ご両親に助けられてもいますが、かなり「うっとうしい」義母に、「昭和は黙ってろ!」と言いそうにもなっています。「インターネットで調べれば」とまるで「魔法の杖」でも振るように「専門的な話もわかる」と言っていますが、本当にそうでしょうか?インターネットの向こう側の人は、あなたやあなたのお子さんを実際に見ているわけではありません。あなたの気持ちを真に受け止めてくれるわけでもありません。衝突はあるかもしれませんが、夫やご両親とも様々な話をすることこそ、ワンオペ育児からの解放であり、あなたも楽になることと思いますよ。
インターネットの情報だけに頼るのも、それこそ「手抜き」の育児になることを心してください。
(文:大関洋子)

2022/08/30(火)
第239回【親子編】「お母さんは何で仕事をしていないの?」
【Q】
高校2年生の息子と中学2年生の娘がいます。娘に「お母さんは何で仕事をしていないの?」と聞かれました。パートの仕事はしているのですが、娘は「医者になりたい」という夢を持っているので、私のような「パート」を仕事とは考えていないんだと思います。確かに「職業は?」と聞かれれば「無職」と答えると思うので、娘の考えはその通りだと思います。私は娘にちゃんと答えてあげることができませんでした。息子に聞かれたら、「あなたたちを育てるのに仕事をしていない方がいいと思ったから」とか「パートも立派な職業でしょ」とか答えたと思うんです。娘の「何で?」に答えられなかったことで、私自身「女」という立場で充実した人生を送ってこられなかったというわだかまりのようなものがあるのかなあと考えるようになりました。娘には「私のようにはならないでほしい」「自分自身の人生をしっかりつかんでほしい」と思うのですが、娘にとって私はすごく悪い見本にしか思えず、これから私がどう生きていったら娘が娘らしく生きられるのか、とても悩んでいます。

【A】
息子だったらすぐ答えられたのに、娘さんの「お母さんは何で仕事をしていないの?」という質問に答えられなかった自分に「わだかまりのようなものがあるのかなあ」と考えていらっしゃるとのこと、よくご自分を分析されていて立派だと思います。私のところへ相談に来ている方はあなたと同じような悩みを「後ろめたさ」と言っています。
ちょうど、あなたくらいの年齢の方は、憲法26条1項で「全ての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する」と学校教育では教えられてきました。人種や出自や経済力などと共に、人が生まれ持った「性別」によって教育や進路を左右されてしまうことをなくそうとするジェンダー・フリー教育は、民主主義国家としての日本に住む私達が最優先で守るべき理念としてきました。

しかしながら社会はまだ「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という枠組みに縛られています。マスコミの報道も、例えばTV番組のタイトルも相変わらず「おかあさんといっしょ」だったり、女性アナウンサーは番組のMCではなく、アシスタントとして男性の下だったり、学校教育の現場で、出席簿や整列の順が男子が先で女子が後だったり、教師の人数は女性が65%なのに校長の人数は男性が82%だったり…。高校になると女性教師が26%、男性校長が95%です。教育現場では「隠れた男女差別カリキュラム」が行われているということです。徐々に変わりつつありますが、応援団長は男子、女子はチアリーダー、男子が生徒会長で女子は副会長。挙げればきりがありません。

医学部の入学試験でも女性差別があり、男子より良い点を取っていても「女子は長続きしないから」という理由で、いくつもの医学部が女子を不合格にしていたことが、数年前明るみに出ました。ご自分自身が「女」という立場で充実した人生を送ってこられなかった「わだかまり」に気づいた今、娘にとって「悪い見本にしか思えないという心の中の思いを娘さんに話して上げてはいかがでしょうか?
今やっと日本では医学部の男性優位の入学試験が問題となり、娘さんに追い風が吹きはじめました。世界を見るとパキスタンのマララさんのように女子教育を否定するタリバンに銃撃された少女もいれば、今、その行いに対するバッシングの対象になってはいますが、フィンランドのサンナ・マリンのように34才でレジ係だった彼女を首相にした国もあります。どうか娘さんにはご自分の「わだかまり」と「後ろめたさ」を語って上げてください。そしてもし「あなた達が育った今、私はこんな仕事をしたい」とあなたの夢を語れたら素敵ですね。
(文:大関洋子)