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《 2001年8月6日掲載 》
鈴木写真館
外観写真

たそがれどきの鈴木写真館

初代アンソニー写真

初代アンソニー

館長写真

3代目アンソニーと鈴木館長さん

「鈴木写真館」

詳細情報地図こちらをクリック!)

さいたま市浦和仲町2−2−10
048−822−2468

浦和駅西口、玉蔵院山門近くに大正6年創業の長い歴史をもつ鈴木写真館があります。浦和ではとても有名な写真館で、NHKの朝の連続テレビ「なっちゃんの写真館」の撮影時に機材を貸し出したこともあります。昭和4年に改修された建物は当時では大変珍しい西洋風の作りで、今も変わらない佇まいを見せています。入り口を入るとすぐにアンティークなカメラが目に入ります。なんとそれは大正末期に作られたスタジオカメラでその名もアンソニー。「(木製ですが)乾いた桜の木を使っているので、安定して確実な写真が撮れるんですよ。」と鈴木館長さん。現役ではありませんが、今でも撮影可能とのことです。

早速、仕事場であるスタジオを見せていただきました。そこにはカメラや照明、撮影用の椅子などたくさんの撮影機材が置かれていました。数台あるカメラは用途によって使い分けているそうです。3代目アンソニーは大人数用、マミヤのカメラは少人数用、デジタルカメラは証明写真用。好きな写真を撮る時はアンソニー、マミヤのカメラを使うとのことです。私がスタジオ内で特に気になったのは、たくさんの動物のぬいぐるみです。何に使うのかお伺いしたところ、子供をあやすために使うそうです。なるほど館内に飾られた子供の写真はどれもしっかりと正面を見ていて、にっこりと笑っているものばかり。納得です。

その他、館内の壁には鈴木館長さんが撮られた写真がたくさん掛けられています。浴衣姿の女性、家族写真、成人式の写真、老夫婦の写真など、どの写真も皆さんとてもいい表情で写っています。硬い表情、不自然な笑顔の写真はひとつもありません。証明写真も見せていただきましたが、鈴木館長さんが撮ったものはどこか違います。普通の証明写真と違って無機的ではなく、温かみを感じます。これなら就職試験などの書類審査も通ってしまうのではないでしょうか。写真は撮る人によって、全く違うのですね。

鈴木館長さんは昭和56年に指導員の資格をとり、昭和57年から一級写真技能士の審査員をしていました。その後、審査員を辞められてから写真技能士の資格をとられたそうです。聞くところによると鈴木館長さんは特に写真学校は出ていないとのことで、写真のことはすべて先代から学んだそうです。その先代は埼玉県が生んだ偉人、渋沢栄一を撮影したことがあり、亡くなられる前には埼玉県のシラコバト賞を受賞するほどの方だったそうです。

帰り際、「また、いらっしゃい」と鈴木館長さん。写真は機材、技術だけではなく、写す人の人柄もあらわれるものなのですね。記念の写真を撮る際はぜひ鈴木写真館でお願いしようと思いました。

(文:たんぼ)