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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2020/06/24(水)
第187回【恋愛編】「1人は寂しいし、不安」
【Q】
私の周りは結婚ブーム。というか、これから結婚ブームになるんです。新型コロナのせいで、これまで「結婚なんて(したくない)」って言ってた友人が突然「1人は寂しいし、不安だよね」とか言い出して、どんどん婚約しちゃうんです。けっこう親しい友人だけで2ヶ月の間に3人。他にも婚約しそうな人が2人て、ここ2年くらい誰も結婚してなかったことを考えるとすごいペースなんです。周りがこういう状況だと「私も」ってなりますよね。でも去年別れちゃったので相手がいない。慌てて結婚相談所に飛び込んだんです。担当の人が「新型コロナのことで不安になってる人が多いので、今なら女性は引く手あまたですよ」って言うんです。すぐに2人に会うことができて、2人ともすぐに婚約してもいいくらいいい人だったんですけど「ちょっと待てよ、こんなに簡単に結婚していいのかなあ」って…。でも、1人でいることの不安は極限状態だし、周りはどんどん結婚して私だけが残されるのもいやだし…。結婚しないのも不安、結婚するのも不安、毎日そんなことばかり考えていて、前に進めません。

【A】
ピンクの紙面にピンクの文字が躍る結婚相談所の広告。多くの出会いと素晴らしさを強調した広告には資料請求の電話番号が記載され、「私も結婚したい」とつい電話をしたくなります。頻繁に目にする新聞や雑誌に掲載された広告です。
あなたは、周りの友達が次々と結婚を決めていくのを見て、この結婚相談所へ飛び込んだ。コロナ自粛で改めて相手や家族のいない寂しさや不安に駆られて極限状態になって…。すぐに婚約してもよさそうな人、2人に出会ったけれど、ふと立ち止まって考えた。こんなに簡単に結婚していいの?と。

そもそも現在の結婚制度では、日本国憲法第24条1項で「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として相互の協力により維持されなければならない」とあり、通説では、婚姻の届け出をする意志を持っている(入籍)、生活共同体を創設しようとする意志がある(事実婚)ことを「結婚」と呼んでいます。
古代、私たちの先祖は性に対して割と開放的で、男女間の交際は大変おおらかでした。いわゆる乱婚、雑婚という状態です。生まれた子どもたちは、夫婦の子というより村の子として育てられていました。まだ日本に仏教や儒教などの道徳規範が到来していなかった頃は、男女の結びつきは緩やかで自然でした。そして男女とも農業の労働力として助け合って暮らしていたのです。その後、武士の台頭によって結婚制度が定められましたが、男性が女性の家族の家に入る結婚が貴族や民衆の間でも多かったようです。第二次大戦後に、今の結婚制度が確立され、1960年代以降、「専業主婦」というアンペイドワークの女性たちの結婚形態が定着しました。

あなたが焦って「結婚したい。でも不安」という結婚は、2018年に586,481件と減少気味で、逆に離婚は208,333件あった(厚生労働省人口動態統計)と報告されています。人生の分岐点である「結婚」は、女性の側から言うと30〜34歳で結婚5年以内に離婚に至る率が高く、最近では50歳以上の女性の離婚も57,000件で、40年前の10倍に増えている(2013年厚生労働省)そうです。およそ2分に1組が離婚しているということになります。
離婚してもやり直しのきく昨今、一歩踏み出すもよし、熟考するもよし。できれば、結婚を目的に知り合うのではなく、日頃から働く様子、生活する様子をじっくり見ている人の中からお相手を探してみるのもいいかもしれませんね。
(文:大関洋子)

2020/06/09(火)
第186回【職場編】「テレワークも悪くはないけど…」
【Q】
テレワークって初めてですけど、満員電車からも解放されて、案外いいかなって…。ただ、うちの会社はうるさくて、外部での感染防止のために原則自宅待機なので、自宅にいることが分かるように、会議で接続した時はほんの一瞬でも背景を映り込ませる約束になっています。ある時、男性社員の背景に後輩の女性社員の服がちょっと映り込んでしまったんです。個性的な服だったので、みんな分かったと思います。会社からは厳重注意されたみたいです。それをきっかけに、上司のチェックが始まりました。会議以外に1対1で連絡してきた時も、部屋の中を映すように言うんです。私も変に勘ぐられるのはいやなので、自宅だって分かるように背景を映したんですけど、だんだんエスカレートして映させる時間が長くなってきました。それだけじゃなくて、化粧をしていないタイミングとか、ラフな服装でいるタイミングとかに連絡してくるんですよ。わいせつなことを言われるわけでもないので断りづらいんです。でも、私生活を覗かれてるみたいで気持ち悪いです。

【A】
ひどいなあ、その上司!
とんでもないやつですね。一人の男性社員の背景に女性社員の洋服が映り込んでいたということから、全員へのチェックを厳しくしたということがまず部下を信頼していない証拠ですし、あなたのように家であることを証明するために家のあちこちを撮影させたり、化粧をしていない時間やラフな格好でいる時間に連絡してくるなど、プライバシーの侵害もいいところです。痴漢同様ですよね。

会社との約束は、会議の時ほんの一瞬でいいから背景を映り込ませるということのようですが、小さいお子さんがいたり、住宅事情によって一人で利用できる部屋が確保できなかったり、様々な人がいるはずです。場合によっては、ホテルやレンタルームを利用することもあるでしょう。自宅にいることが分かるような情報を映り込ませるということ自体、無意味であり問題があると言えます。こういう問題が起こるというのは、おそらくあなたの会社はそれほど規模の大きな会社ではなく、ほとんどがトップダウンで決まっていくような会社ですよね。それでも、もしパワハラ・セクハラ等の窓口があるのなら、他にも同じような人がいないか確認して、一緒に訴え出てください。難しいことではありますが、なるべく多くの人を巻き込んで、コンプライアンスの確立を図ることが必要ですね。

オンライン(リモート)の話をちょっと…
人気番組「笑点」の大喜利が、5月31日(日)から「リモート大喜利」になりました。2回目の6月7日の1問目は「まずね、リモート大喜利のいいところを言ってください。私(春風亭昇太さん)がね、“もっといいところは?”って聞きますから、さらに続けてください」というものでした。最初に解答したのは林家木久扇さん。その答えは「リモート大喜利のいいところは、正座をしなくってもいい」、そして“もっといいところ”は「横になってしゃべってもいい」でした。この答えは「いやいやいや、横はだめですよ」と司会の昇太さんにとがめられることになりました。

オンラインには、見えるところと見えないところがありますから、どう使うかで良くも悪くもなります。すぐそばに人がいないことで気持ちが緩み、お互いに普段と違った素顔を見せたり見たりすることもあります。コミュニケーションで言葉以上に重要とされる非言語(表情や身振り手振りなど)を近くで感じることができないので、間違った伝わり方をすることがあることも頭に入れておいてください。

(文:大関洋子)

2020/06/08(月)
第185回【子親編】「両親の別居危機」
【Q】
今まで仕事人間で家庭を顧みない父と家庭第一の母と思っていたんですけど、コロナ禍で外出自粛を強いられているうちに、家庭第一の父と、家庭のことはどうでもいい母という風に考えが変わりました。父は退職後もこれまでの人間関係でゴルフに行ったり飲み会に行ったり、けっこう忙しい毎日を過ごしていたので、父は家にいられない人なんだと思っていたんです。ところが外出自粛も全然苦にならないみたいで掃除をしたり、家族のために料理をしたり。家族と一緒にいることが楽しいみたいです。それに対して母は、父に不要不急の外出はするなって言われているにもかかわらず、毎日買い物に行ったり病院に行ったり。母は必要と言うんですけど、必要とは思えません。ここ半月ほどはとても険悪です。父が家にいるのに家にいられない母を見ていると、このまま一緒に生活していくのは無理じゃないかと思うようになりました。父も感染が怖いので、どこかに部屋を借りようかなと言い出しました。

【A】
あなたの年齢が分かりませんが、お父さんが退職されて何年か経っているようなので、40歳前後の方ですよね。それなら、結論から言わせていただきますが、あなたが悩むようなことではありません。ご両親の問題なので放っておいてください。
お父さんが、外出自粛をしないお母さんからの感染を恐れてどこかに部屋を借りようとしている、これでどこが「家庭第一の父」なんですか?!「今までは仕事人間で家庭を顧みない父」と「家庭第一の母」と思っていたんですよね。ちっとも変わってないんじゃないですか!

お父さんは我が身かわいさに自粛していただけ。自分の身に危険が及ぶかもしれないと思うと、お母さんを心配して力づくでもお母さんをステイホームさせようとはせず、「自分だけ」助かろうとしているというわけですよね。子どものあなたが「父が家にいるのに、家にいられない母を見ていると、このまま一緒に生活していくのは無理じゃないかと思うようになりました」と言って心配しているのですが、一緒に生活するのが無理か無理じゃないかを決めるのはあなたではなくご両親です。

お母さんの用事は不要不急かもしれません。でも、お父さんが急に家族のために料理を作ったり掃除をしたりするようになった家にはいたくないというお母さんなりの必要かつ急を要する気分なのかもしれません。今まで仕事人間で家庭を顧みない夫に対して、「この子(あなた)が一人前になるまでは」とじっと耐えていたのかもしれません。退職後も妻をいたわって二人で旅をしたり、一緒に趣味を楽しんだりしたわけでもなく、ゴルフに行ったり飲みに行ったりしていたお父さんが、コロナが怖くて急に家にいるようになったために、自分の居場所がなくなってしまったとは考えられませんか?

お父さんとお母さんの心と心は、あなたが心配している今よりずっと前から、もう離ればなれになっていたのでしょう。今回、お父さんが自分への感染を恐れて、自分だけ別居をするようなら、お母さんはお父さんと別れる決心をなさることでしょう。もし、あなたがご両親のことを心配して何か言いたいのなら、「この機会に二人とも逃げずにちゃんと向き合って話し合って」とおっしゃってください。

(文:大関洋子)

2020/05/14(木)
第184回【親子編】「男親なんだからあなたが見てよ」
【Q】
小学3年生の娘と5年生の息子がいます。休校も長くなって、子どもたちもストレスを溜めているのかと思いきや、親が子どもとしっかり向き合っていたことなんてこれまでなかったので、むしろのびのび休みを楽しんでいるみたいです。そうなって大変なのは親の方で、子どもたちの勉強も見なくちゃならないし、家で過ごす時間をいかに充実した時間にするとか、そんなことばかり考えています。娘は、私と一緒にパンやクッキーを焼いたり、食事の支度を手伝ったり…。マスクも手作りしてみて、それなりに楽しいみたいなんですけど、息子はキャッチボールをしたり、サッカーをしたりしたいと思うんですよ。夫に「男親なんだから息子のことはあなたが見てよ」と頼んだんですけど、「俺は会社に通勤してるし、感染リスクもあるんだから、おまえが2人とも見ればいいだろ」と何もしてくれません。やっぱり息子は身体も動かしたいだろうし、外出を控えると言ったって、近所の公園でキャッチボールとかちょっとサッカーするくらいしてくれてもいいと思うんです。

【A】
ごめんなさいね。まず、あなたの意識改革からお願いする回答になることをお断りしておきます。
男の子だから「外でキャッチボールやサッカーをしたいと思う」のは、お母さん、あなたですよね。「男親なんだから息子のことはあなたが見てよ」これも、あなたが思っているんですよね。息子さんが「僕、息子、男の子だからお父さんに面倒見てもらいたいよ」と言ったわけじゃないですよね。

5年生ということなので、体格がいいお子さんだと夢精があって精通が始まる子もいますが、この性に関することだって、男の子にはお父さん、女の子の初潮はお母さんと決まっているわけではないし…。確かに経験しないとわからないこともあります。私、お産を男の先生にやってもらって「はい、次に痛みが来たらいきんで!」と言われて、「おまえ、この陣痛ってやつの痛み、わかんないだろっ?!痛いって言っても、焼け付く感じもあるし…」って思ったことはあります。

ですが、今回のコロナ自粛で家にいるお子さんにとって、父親と母親の役割分担は全く無用。むしろ、娘さんと一緒にクッキー作りやパン作り、マスク作りをやっているのなら、息子さんにもやってもらったら、けっこううまいかもしれませんよ。ただ、あなたは男女区別を徹底して育ててきているようなので、はじめは「何で俺が?!」と異議を唱えるかもしれません。そこは今回の体験をプラスに活用して、息子さんに「楽しそう!」と思ってもらい、ご一緒してみませんか?もしかしたら、この体験がきっかけで世界的なシェフや服飾デザイナーが我が家から羽ばたくかもしれません。

そして夫さんからは、「俺は会社に通勤してるし、感染リスクもある」と断られていますよね。正論だと思います。子どもはこの自粛期間をそれぞれその子らしく過ごしています。むしろ、子どもにまっすぐ向き合うことに疲れてきているのは親の方。あなたも「子どもたちもストレスを溜めているかと思いきや、むしろのびのび休みを楽しんでいるみたいです」とおっしゃっています。まったく、その通りなんです。
「私が疲れたので早く学校や園を再開してほしい」と正直に語り、娘、息子、夫にあなたがカリキュラムを課すのをやめて、それぞれにやりたいことをやりたいようにやってもらい、その中であなたが支えてもらえることがあるという発見をしてください。

(文:大関洋子)

2020/04/27(月)
第183回【夫婦編】「夫のことが好きではない自分」
【Q】
子どもの学校が休みになり、私も仕事を休むことにして、毎日家で過ごしています。緊急事態宣言が出されてからは、夫もテレワークだけになり、ずっと家にいることになりました。最初の2、3日は良かったんですけど、もう限界。一日中夫の顔を見ているのなんて新婚旅行の時以来ですけど、夫の行動や仕草にいちいちムカついて、夫のことが好きではない自分に気づかされました。子どもがいなければ、すぐにでも家を出たい気分です。外にでも出てみれば気分が変わるかなあと思い、1人で散歩をしたり、買い物をしたり…。でも、いったん好きではないって思ってしまうとどうにもそこから抜けられなくなってしまいました。この状態がしばらく続くかと思うとぞっとするし、一緒にいることが苦痛なんだと思ってしまった今となっては、状況が変わったとしても夫婦でいることは無理かもしれません。

【A】
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、緊急事態宣言が発出されました。7都府県では収まらず、全国に発出されたわけですが、不要不急の外出自粛が要請され、要請に協力した企業、商店などへの休業補償がやっと本格的に検討され、支給が本決まりになると、各企業がテレワークに取り組み始めました。あなたの夫の会社もいち早くテレワークで在宅勤務を導入したんですね。妻のあなたも子どものために仕事を休んでいるので、一日中夫婦で顔を合わせている。お子さんがいるにしても、新婚旅行以来久々の夫婦水入らずなのに、3日で限界ですか?!確かに今、「#コロナ離婚」というキーワードで検索すると、不平不満のツイートがたくさんヒットします。

前回ご紹介したほかにも「子ども勉強、見るように頼んだら、いつの間にか2人でゲームに没頭してた」「夫が掃除してくれたけど全くきれいになってない。洗濯も洗い直し」「夫に“掃除して”と頼んだら、“掃除せなあかんなら家出るわ”と言われた。出ていくがいい!」などなど。象徴的なものに「私の敵はコロナであり旦那でした」。
私の研究所へも40代の男性から「私が少しでも妻の手助けをしようとして料理を作ったのに、味が薄いとか濃すぎるとか文句ばかり」「洗濯洗剤の量が違う。干し方も」と言われる等の切羽詰まった電話が続いています。要するに、この新型コロナによる外出自粛の事態は「夫婦とは何か」、「家族とは何か」を考えさせる試金石になっているということです。

過去の歴史の中でも、天災、人災を問わず、人類にとって命に関わる未曾有の大惨事が起きると、人は自分にとって何が一番大切なことなのか、誰が一番大切な人なのかを考え、そして決断し、行動してきました。タイタニック号が沈む時、誰を救命ボートに乗せ、自分はどう命を終えるか、夫婦2人で静かに時を待った人もいれば、妻だけを無理矢理ボートに押し込んだ夫もいました。
人の生き様が問われる時に当たって、3日で夫といることが限界なら、今後30年、40年、人生を共にすることは諦めて、自立の道を探すしかないでしょう。今、気づいたようですが、もうだいぶ前からあなたの夫への愛情はなくなっていたということです。
(文:大関洋子)

2020/04/20(月)
第182回【恋愛編】「私より両親の方が安心?」
【Q】
緊急事態宣言で出勤は週1回、あとは自宅でテレワークになったので、ほとんど外出をしなくなりました。一人暮らしで不安です。今のところ、新型コロナウイルスに感染したような症状はありませんけど、どこで感染するかわからないし、知らないうちに感染していて、もし高熱が出て動くことも大変ってなったらどうしようって、ずっとそんなことばっかり考えちゃうんです。2年間付き合っている彼がいるんですけど、彼は両親と一緒に暮らしていて、家族中感染っていうリスクはありますけど、一人じゃないので私みたいな不安はないみたいなんです。彼の両親にも何度も会っていて、結婚にも賛成してくれているので、一緒に暮らそうって彼に言ってるんですけど、半年くらい前は一緒に暮らしてもいいようなこと言っていたのに、今はその気がないみたいなんです。こういう時は、私より両親と一緒の方が安心っていうことなんですかねえ。

【A】
せっかくご相談いただいたのに、こんなことを申し上げるのは酷かもしれませんが、お二人の恋愛は「新型コロナウイルスの蔓延」という未曾有の試金石によって「終わりを告げた」ということでしょうか。

古来、天災人災を問わず、人の命を左右するような大きな出来事によって、人は自らの生き方を問われ、その人その人の価値観と人生観が問われます。昔から複数回の世界的大流行が記録されているペスト、身体が黒くなるので黒死病といわれた病気では、14世紀に起きた大流行で、当時の世界人口の4億5千万人の22%に当たる1億人が死亡したと推計されています。19世紀末に北里柴三郎によって原因菌が突き止められ流行は減りましたが、近年でもペストの感染は続いています。

このような感染症で人々の生命が脅かされる事態に出会うと、人は「自分はどう生きたかったのか?」「自分の本当にやりたかったことは何だったのか?」、そして「自分にとって一番大切な人は誰なのか?」といった問いに意識、無意識にかかわらず、向き合わざるを得ないのです。イタリア、ポンペイの大噴火の遺跡を現地で見たことがあります。女性は皆小さな子どもを抱いていたり、子どもの上に四つん這いになり覆い被さっていました。ところが男性は、自分だけでも逃げようとしている姿のまま、掘り起こされています。あのとき見た光景は忘れることができません。

あなたの彼はこの新型コロナウイルス感染で「緊急事態宣言」が全国に出されたにもかかわらず、のうのうと両親のいる実家で暮らしているんですよね。しかも、恋人であるあなたは一人暮らし。その上、テレワークで出勤は週一回。心配じゃないんでしょうか?彼の勤務態勢はわかりませんが、少なくとも、恋人であるあなたは7日のうち6日は家にいる。本当にあなたのことを大切に思っていたら、今こそ一緒に暮らそう!と彼の方から言うはずです。

ウェブで「#コロナ離婚」と検索すると、不平不満を吐露しているツイートが数多く見られます。「妻が俺と同じ空間にいると“蕁麻疹が出そうなほどいやだ”と言うので、一人台所の床でナポリタンを食べています」「何もせず、きっちり三色食べるだけの夫!?」などなど。一方、結婚相談所では「一人では不安」「結婚願望はあったが、いつかではなく今」という相談が多数寄せられているそうです。婚活関連の会社の株価は急騰しています。新型コロナウイルスの感染拡大により、奇しくも「夫婦とは何か?」「家族とは何か?」という問いが突きつけられることになりました。
(文:大関洋子)

2020/04/06(月)
第181回【職場編】「休んでいる私に対する社内の雰囲気が…」
【Q】
我が家は夫と小学2年生の娘、4歳の息子と私の4人家族で、夫も私も正社員として働いています。新型コロナウイルスの件で小学校が休校になってから、私が会社を休んで子どもを見ています。当初、学童と保育園は休まないということでしたが、うちの地域はなるべく自粛してほしいと言われ、結局私が休むということになったんです。なんとか有休を使わずに休めることにはなったんですが…。休みも長くなり、溜まった仕事もあるので、先日夫に休んでもらって出社したら、雰囲気が最悪なんです。うちの会社はテレワークができないので全員出社していて、休んでいるのは2人だけ。派遣の人が切られたため、正社員の仕事量は2倍くらいになっていて、休んでいる私ともう1人の女性に対する風当たりが半端じゃありません。表面上は「大変だね」って言ってくれているんですが、私たちにムカついているのはよくわかります。特に女性社員の態度がひどくて、終息したあとのことを考えると不安でたまりません。

【A】
4月3日(土)の朝日新聞夕刊には「感染加速 世界100万人」「死者5万人」「爆発的患者増」「欧州 医療崩壊の危機広がる」等々大きな見出しが躍っています。今朝4日(日)の朝刊には、「自宅療養 窮余の策」「死亡いかに減らすか」「家族感染リスク見えず」と緊迫した社会状況が掲載されています。そして、その隣の面には「「休校延長」小中の4割超」とあり、74市各教育委員会に状況を聞いたところ通常通り新学期を始めるのは36市区、再開を延期するのが35市区、未定が3市区。再開する市も「検討の余地あり」の様子が書かれています。

このような未曾有の状態の中で、あなたのご家庭には小学生と保育園に通っている2人のお子さんがいて、ほんとにご苦労されていて大変だろうとお察し申し上げます。テレワークのできない会社で、全員が出社しているとのことですが、今はまだギリギリのところ、瀬戸際と小池都知事が言っていますが、多分、もう何日かすると「特別措置法」に基づく「緊急事態宣言」が出るかもしれません。日本医師会の会長さんは「もうそうしてくれないと医療崩壊する」と記者会見で言っていましたので。

そうなると、さすがに会社を休まずにはいられないあなたたち2人に対して、女性社員がムカついてひどい態度をとる余裕はなくなります。「自粛要請」が出ても、外国のように守らない人を拘束したり、罰則はありませんが、会社としてもなんとか工夫をして規模を縮小して社員を休ませたり、会社自体を休業したりしなければならない事態が目前だと思います。

日本人の歴史を振り返ると、戦時中には特攻から生きて帰ってきた青年というのは名誉ではないし、お国のために死んで当たり前という雰囲気に押され、それに国民がなびくという同調圧力がかかっていました。あなたの会社でも「私はこうやって新型コロナ感染が広がる中、会社のために頑張っているのに、小さな子どもがいるからといって、大手を振って休んでいるなんてずるいじゃない!」という無言の同調圧力があなたにかかっていて、とてもつらいことと思います。

終息したあとのことを「不安でたまらない」とおっしゃっていますが、新型コロナ感染がどこで誰から感染したかも経路がたどれなくなっていたり、有名なコメディアンが医師たちの必死の尽力の甲斐もなく亡くなられたりすると彼女たちもあなたが自宅にいなければならなかったことをしっかり理解するに違いありません。
(文:大関洋子)

2020/03/27(金)
第180回【子親編】「母が外出をやめない」
【Q】
父が他界して83歳の母が1人暮らしをしています。車で10分ほどのところなので、特に問題もなく、ヘルパーさんに来てもらったり、デイサービスを利用したりして、楽しく生活しているみたいでした。

新型コロナウイルスの感染が怖いので「落ち着くまで休めば」と話したんですが通い続けていました。ところが施設からしばらく休業する旨の連絡をもらいました。私はホッとしたんですが、母は家にいるのが嫌らしく、デイサービスは週に2日だったのに、休みになってからは毎日出かけるようになったんです。どこに行っているのか聞いてもまともな答えが返ってこないので、先日後をつけてみたら、デイサービスに一緒に通っていた男性と喫茶店でお茶してるんです。喜んでデイサービスを利用していた理由がよくわかりましたが、時期が時期だけに外出はさせたくないので困っています。母も感染リスクは十分承知しているはずなのに、相手が男性だとまともな判断力が働かないんでしょうか。

【A】
今日の朝日新聞朝刊には「デイサービス休止 不安と焦り」という大きな見出しが載り「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、名古屋市が一部地区の全デイサービス事業所に休業を要請して間もなく2週間。独居や老老介護の高齢者への支援をどうするか。感染予防は。介護現場の対応は割れた」「名古屋市、126カ所に休業要請、割れた対応」「独居で入浴や食事が難しい人に限り(1日3〜4人)サービスを続ける」「区社協の内山和美事務局長は「多くの家族から『デイに行かせたい』と要望があるがあまり大勢だと感染予防の趣旨に反してしまう」と苦悩する」「家族、リハビリの早期再開を」等々の記事が紙面一面に綴られています。

そしてその横には、日本老年医学会理事で東京大学教授の飯島勝矢さんの「外出控える高齢者、衰え防ぐには 動かない時間減らす」という見出しで「テレビばかり見ている、誰かと話すこともない − そんな日々を続けていると筋肉が減り、フレイル(虚弱)が進みます。免疫力や抵抗力、体の回復力も落ちます。2週間の寝たきりにより失われる筋力は7年間分の量に匹敵する」「まず、動かない時間を減らすことが大切です」「人と交流して話すことはとても大切で認知機能の衰えを防ぐことにもつながります」という記事があり、「人混みは避けた方がいいですが」「大勢が集まる機会が減る今こそ、家族や友人、近所の人らで支え合ってください」と結んでいます。

長々と新聞記事を引用しましたが、要するにあなたのお母様は新型コロナウイルス感染防止のため休止になったデイサービスの苦境を、日本老年医学会理事の飯島先生の提言通り実行していらっしゃることになります。そして「恋」はすべてを燃やし尽くすほど強く体内のホルモン分泌を活発にすることも医学的にエビデンスのある通りで、そのホルモン分泌はまさに免疫力、抵抗力をつけ、コロナウイルスに対抗できること間違いありません。

心理学的に申し上げるなら、お母様は好きな男性と一緒にいる、お茶を共にする、話をする、等の行動によって、多幸ホルモンと呼ばれているオキシトシンの分泌が活発になり、免疫力、抵抗力を増していると言えるでしょう。このホルモンは幸せホルモンと言われる如く、生きる喜びを湧き出させてくれます。

「喫茶店でお茶」「母も感染リスクは十分承知」とのこと、お母様も人混みは避けたりして感染予防には気を遣ってらっしゃることでしょうから、むしろお母様の「恋」を暖かく見守ってあげてはどうでしょうか。もしかしたら、あなたは外出による感染の心配より、お母様の「高齢の恋」に違和感、嫌悪感を抱いていませんか。

(文:大関洋子)

2020/03/27(金)
第179回【親子編】「息子というライバルに負けて」
【Q】結婚して18年、中学3年生の息子がいます。妻が私をどう思っているかわかりませんが、私は愛情を感じていないわけではありません。そうは言ってもお互いに愛情を感じていると思える瞬間はほとんどなくなりました。そんな瞬間があったのは結婚して5年間くらいだったでしょうか。妻は高学歴、高収入ということもあり、割と強いタイプです。そういう妻に惹かれて結婚したんですけど、リスペクトされないことにちょっと疲れました。しかも、妻といい関係を続けようとした時、邪魔になるのが息子なんです。女親が男の子をかわいがるなんてよく聞く話ですけど、息子がかわいがられているというよりは、妻の愛情のすべてが息子に注がれていて「私と息子がライバル関係にある」、そんな感じです。息子とのライバル関係に敗れた私の居場所は家庭にはない気がして、気持ちを外の女性に向けようかなんて考えています。

【A】
オーストリアの精神科医、ジークムント・フロイト(1856年〜1939年)は精神分析の創始者として知られています。彼は神経病理学者を経て精神科医となり神経症の患者を治療するうちに、その病気の根底に、無意識の意識、「潜在意識」があることを発見し、たくさんの精神病患者を治しました。

フロイトの理論の中心となったひとつに「コンプレックス理論」があります。彼のいう「コンプレックス」とは「心のくせ」「心の偏り」という意味で、自分の内なるコンプレックスに振り回されていると生きづらく、損ばかりしてしまいます。しかもそれを「潜在意識下」、要するに無意識でやっている、とあなたのように家庭崩壊の危機につながってしまいます。人の言動の裏に潜むコンプレックスを知っていると、そのコンプレックス、心のくせ、心の偏りを刺激する言動をコントロールでき、自分や相手の抵抗(不機嫌、反発、怒り)を予防でき、行動や考え方を変化させ、危機を回避することができます。

ここであなたに知っていてもらいたい「心のくせ」は、フロイトが「エディプス・コンプレックス」と名付けた無意識の意識です。彼の提唱した5つのコンプレックスの中の典型例で、4〜5才の子どもはだれもが異性親を好きになる傾向があり、異性親はその子を好んで愛する傾向があるという理論です。ギリシャ神話の中で占い師の宣託で川に捨てられたエディプス王子が成人して、実の親とは知らずに父を殺し、母と婚姻する悲劇から名付けられた理論です。

このエディプス感情が青年期まで続くようであれば子どもにとっても両親にとっても生きづらくなりますが、息子さんが中学3年生ということですから、あなたが妻にリスペクトされない、相手にされないことに不満や怒りを抱いて息子をライバル視することは、ますます、無意識のうちに自ら、このコンプレックスの渦に巻き込まれて家庭危機を招くことになります。まもなく息子さんは母離れする、もうしている、と思いますので、後は妻が子離れするのを助けるように、高学歴、高収入とのことですから、夫として彼女を支え、できるだけ、結婚して5年間くらいのことを思い出し、2人で食事や旅行に誘い出して、息子さん抜きの共有の時間を持つようにしてください。

あなたが「他の女の人に…」という気持ちは、フロイトのいう5つのコンプレックスの最後「退行コンプレックス」といって、いくつになっても幼児性が抜けず、人に頼ってばかりいるくせを実行することになり、ますます妻のリスペクト(尊敬)からは遠くなるのでおやめになり、夫婦の愛を回復するよう努めてください。
(文:大関洋子)

2020/02/06(木)
第178回【夫婦編】「念願の家は建てたけど…」
【Q】
ちょっと郊外になってはしまいましたけど、昨年土地を買って夫と相談しながら間取りを決め、家を建てました。35年ローンを払い続けると思うと不安もあるけれど、今後の生活設計にマッチした間取りの家が建てられるということで思い切ったんです。ダイニング、リビング、書斎、寝室、子ども部屋2つ、客間。大きな家ではないけれど、収納も多く作って、とても気に入った家になりました。ところが、家が建つと「俺の帰りが遅い時は先に寝てていいよ。書斎も客間もあるから、起こさないようにそっと寝るから」とか言って、客間で寝るようになったんです。今では早い遅いにかかわらず毎日です。今後の夫婦生活のことも考えて建てたはずの家だったのに、家庭内別居のきっかけを作ってしまっただけでした。「寝室で寝れば?」と何度か言ってはみましたが、寝室で寝ることはありません。こんなことのためにローンを組んだのかと思うととてもやるせない気持ちです。

【A】
折角、念願の家を建てたと思ったら家庭内別居のきっかけを作ってしまっただけとは…。
今後の生活設計にマッチした間取りの家として子ども部屋を2つ、夫婦の寝室も書斎や客間とは別に作って、性の関係を含めた夫婦生活も充実させようと意気込んで「夫と相談しながら間取りを決めた」はずなのに…ですよね。あなたは「夫と二人で相談」した「つもり」だったのですが、実は既にこの時、夫とあなたの「夫婦の関係性」と「夫婦という価値観」がずれいていたんですね。大きく「今後の人生設計」が夫とあなたでは違っていたということでしょう。35年ものローンが組めたということは夫の年齢はまだ若いわけで、あなたが土地を買って自分好みの設計で家を建てることに夢中になっている間に、夫の心は少しずつ離れていったのではありませんか?

人生の大きな目的のひとつが「小さいながら郊外に素敵な家を建てること」に向ったあなたと、これからその家と土地のために何があっても35年は働かなくてはならない人生を背負った夫との心のズレにあなたは気づかなかったのでしょうか…。あるいは、あなたの夫はあなたの夢のような幸せを壊さないために仕事に熱中しているうちに、帰宅してあなたと食事をしたり話したり、性の営みをするのはわずらわしくなってしまったのかもしれません。

近ごろ、色々な理由で家庭内別居を選択する夫婦が増えています。離婚の前段階としての家庭内別居もありますが、もちろんあなたの場合は少なくともその気はまったくなく、夫も家庭内別居の始まりは「俺の帰りがおそい時は先に寝てていい、起こさないようにそっと寝るから」ということでした。ですから夫が円満に離婚をするための一つの準備をしている、(離婚の理由となる「夫婦関係の破たん」の条件として長期間の家庭内別居とセックスレスがあります)とは思えません。自分好みの家が建てられたことであなたは夫に「私の夫だから」と過度に要求しはじめたり、夫だからやって「当然」と思ったりはしていないでしょうか?

ちょっと古い統計ですが、2016年厚生労働省の発表では結婚した夫婦が62万1000組、離婚した夫婦が21万1140組だそうで、単純に割ると約3分の1が離婚していることになります。「ゆるやかな離婚準備」でもある「家庭内別居」の解消に向けてしっかり自分と夫と向き合ってください。

(文:大関洋子)