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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2013/02/21(木)
第20回 【子親編】「義母だってまだ充分若いので・・・」
【Q】
38歳、会社員です。妻は大学を出てすぐ私の勤める会社に入社して、部下になりました。私より10歳年下です。自己紹介をしたときの彼女の様子が初々しく、その瞬間、惹かれるものがありました。すぐに付き合い始め、1年ほどで結婚しました。現在、結婚5年目です。妻は結婚を機に別な会社に移りました。お互いそれほど仕事が忙しいというわけではありませんが、たまに2、3時間どちらかが遅いということはあります。妻の実家が歩ける距離なので、妻が遅いときは、妻が義母に電話して、義母が私の夕飯を作りに来てくれたりします。先日も義母が来てくれました。恥ずかしいことですが、その時夕飯の支度をしている義母を見ていたら、なんだかドキドキしてしまったんです。それから、義母を見ると、また同じような気持ちになるのではないかと思い、義母の顔をまともに見られなくなってしまいました。義母は49歳。俗に言う美魔女タイプというのでしょうか。

【A】
私たち「ヒト」は長い長い進化の過程を経て今という時代に至っています。動物、特に大型ほ乳類の一種である私たちヒトは、生き残りをかけて自分の遺伝子を次世代に残すため、過酷な戦いを続けてきました。他の生物との生存競争で他の種に負けない強い種として、また、その時代の環境にうまく合う種として生き残ってきました。その上、同じ「ヒト」という種に属する個体間の生き残り競争にも勝たなければなりませんでした。
これは他の動物との生存競争とは違い、目先の「自分の遺伝子残し競争」です。つまり、この「遺伝子残し競争」に勝利するためには、オスはより適合するメス(より強い子孫を残すためには遺伝的に遠い関係の方がいいとされる)を捜すことに必死になり、メスも同じように自分の遺伝子を持つ子どもを安全に育てられるよう協力してくれるオスを見つけることに必死になります。

大部分のほ乳類のオスは子育てに参加しません。オスが子育てに参加する種は5%にも満たないとも言われています。ヒトは、直立二足歩行になって、骨盤の形がしっかりはしましたが、間が狭くなったことで、産道を通る大きさに限りがあり、子どもが未熟で生まれてくることになったので、オスの子育て参加が必要になったと考えられています。

こういった進化の過程から狩猟採集生活社会では、オスは生物学的にメスの妊娠出産能力に着目し、よりたくさんの子どもを残せると考えられる相手を選びます。メスはメスで、より強い自分の子どもを提供してくれるであろうメスを選びます。このようにして私たちは、人類の長い進化の歴史を作ってきました。だから現代社会であっても、男性は子をつくる能力を充分に備えた性的に成熟した年代の女性を選択し、女性は社会的地位が上がり、収入や資産が安定している男性を選ぶことが多くなるわけです。

ところが、時はすでに21世紀。狩猟採集生活からは、遠く離れ、種の保存のために血眼になって競争する必要はなくなりつつあります。もちろん、生物学的見地からは種の保存の原則が続いている考える方がいいと思われますが。

ですから、あなたが10歳以上年上の義母にときめきを覚えても何の差し支えもないと思いますよ。ただし、義母が美魔女タイプと言っているのは、やはり狩猟採集生活社会の男と同じように、できるだけたくさんのメスと性交をし、たくさんの子どもを残そうという原始的欲求の表れでもありましょうが。

お義母様とあなたの“妻”とは、遺伝子がつながり、同じ環境で生きてきた親子。多くの部分がよく似ているはずです。そう考えると、“妻”に惹かれたあなたが、お義母様にときめくのは当然。でも、あなたは最近、“妻”をしっかり見ることが少なくなってはいませんか。

いずれにしても、ご自分のときめきを人類の進化の過程から見直し、ドキドキを楽しむところくらいまでになさってはいかがでしょう。それ以上の関係は夫婦、親子の関係を壊す覚悟をしてからにしてくださいね。
(文:大関洋子)

2013/02/07(木)
第19回 【親子編】「6年生にもなって“ママ、一緒に寝よっ!”という息子」
【Q】
37歳、専業主婦です。小学6年生の息子と小学3年生の娘がいます。夫は商社勤めで、毎朝7時過ぎには家を出て、夜10時前に帰宅することはほとんどありません。その分、休みの日には子どもたちの面倒もよく見てくれます。どちらかというと甘い父親です。決して子どもたちを乱暴には扱いませんし、暴力を振るうこともありません。娘は他のお子さんと比べやや幼い感じで、1年生といっても通るくらいなので、小さな子どものようにかわいがっているように思います。困っているのは息子のことなんですが、6年生にもなって、私がお風呂に入っているといきなり入ってきたり、「ママ、一緒に寝よっ!」と私をベッドに誘ったりするんです。やめるタイミングも見つからず、これまで一緒にお風呂に入ることも多かったですし、幼い頃からよく添い寝をしていたので、一緒に寝ることにもそれほどの違和感はありません。そうは言ってもさすがに6年生にもなると身体は大人のようですし、手や足を絡めてくるようなことがあると私の方がドキッとしてしまうこともあります。どのタイミングで、どう話して、どうやめるのか、とても困っています。

【A】
人間には急成長期が2度あります。生まれてから2歳になるまでの間と思春期の2度です。人間以外の動物は生まれるとすぐに急速に成長し、あとは徐々に成長して大人になります。ところが人間だけは生後2年目くらいまで急に成長した後、成長のスピードが落ち、6歳から12、3歳くらいまではゆっくりゆっくりとしか成長しません。そして、12、3歳ころから18歳ころまでの思春期と呼ばれる時期にもう一度急激な成長をするのです。この時期の成長を「思春期スパート」と呼んだりします。

2歳までと思春期に2度急激に成長して、その間は成長がゆっくりになるというこの人間の成長にだけ見られる特徴は「人間にだけ長くて安定した子ども時代がある」ということを表しています。すなわち、この長い安定した子ども時代に様々な課題や危機にぶつかりながら、それを解決することで一歩一歩「人間性」を獲得していくのです。

あなたの息子さんは今、その人間だけの「長い安定した子ども時代から思春期に移行する時期」なのです。「思春期」は、はっきりした基準はありませんが、概ね12、3歳くらいから始まるとされています。この時期の一番はっきりとした成長は、生殖可能な身体を持つ生理的成熟を迎えるということで、女児は初潮を、男児は精通を体験します。この身体的変化は、内面の心理的変化にも大きな影響を及ぼし、自分と他者との違いに気づいたり、自分を独自の存在であると感じたりします。また、そのため他者と比べて劣等感や孤独感に悩んだりするのもこの時期です。自分の心身の変化と環境の変化を調整しながら適応しなければならず、たくさんのエネルギーを必要とします。その時、あなたのお子さんのように不安になって、お母さんのそばにいたいと思うのです。お母さんは「6年生にもなって」とか「身体は大きいくせに」とか感じたり、言ったり、からかったりせず、心身の急激な変化に戸惑っているお子さんの内面を理解し、そのままそっと受け入れてあげてください。

間もなくお子さん自身が自分の心身の変化に納得すると、お母さんは「あらっ、あの時は何だったの?!」と拍子抜けがするくらい母親から離れていくものです。ここで、無理矢理離そうとすると、かえってこの時期を長引かせて、いわゆるマザコン(マザーコンプレックス)になることがあります。

この時期が過ぎると、青年期の発達課題である「Who am I?」(私って誰?)「Where am I going?」(どこへ行こうとしてるの?)というような「自分という存在」について自ら問いかけることになります。アイデンティティの確立と言われるものです。
この人生最大の難問を解決しなければならない時を予感した子どもたちが、不安に襲われるのは、多少の表現の違いはあっても、人間なら誰しも当然のことと共感的態度で接し、成長の一段階と受け止めてあげてください。

できれば朝早く出社し、夜遅く帰宅する父親の出番が休日以外にもあるとお子さんの母親離れが早くなると思いますが…。子どもがそういう時期にさしかかった時、父親はちょうど働き盛りということもあり、なかなか難しいとは思いますが、努力の姿勢を見せるだけでもいいと思います。あなたの気持ちはずっと楽になるはずですよ。
(文:大関洋子)

2013/01/24(木)
第18回 【夫婦編】「それは家事の手伝いじゃないでしょ?!」
【Q】
夫とは結婚10年目です。6年前出産を機に、私は一旦仕事を辞め、子育てに専念していたのですが、昨年2人目の子どもが幼稚園に入園したので、パートですけど仕事に出始めました。夫は家事を手伝ってくれると言って料理をするのですが、どうもいろいろな人に料理ができるということを自慢したいらしく、やたらと珍しい調味料を揃えたり、包丁を何本も揃えたりしては、知り合いを集めてホームパーティーをしたがります。先日は、そのホームパーティーの準備と称し、100g800円もする牛肉を500gも買ってきてローストビーフを作るし、七面鳥を買ってきて3時間もかけてオーブンで調理していました。結局食べきれず、半分くらい捨てる羽目になったのですが、「夫は準備だから仕方ないよ」と平然と言うんです。家事の手伝いなんてとんでもない!結局夫が料理をしている間、子どもを見ているのは私。パーティーの時、夫の作る料理以外の接待はすべて私。家事を手伝うどころか私の負担が増えているだけです。もちろんお金もすごくかかります。こんなんだったら、ゴルフにでも行ってくれて、家にいない方がよほどましと思います。

【A】
「人には、5つの性格が備わっているが、その5つの性格のうちどれが重いかでその人の全体としての性格が決まる」と言ったのはエリック・バーンという心理学者です。バーンは性格をまず大きく3つに分けています。一人の人間の中にはどんな小さな子どもでも、逆にどんな高齢な方たちでも「親的な性格」(ペアレンツ)、「成人的な性格」(アダルト)、「子ども的な性格」(チャイルド)が混在していると言っています。
そしてそれらの頭文字を取って「P」「A」「C」と表記します。
さらに「P」(親的な性格)と「C」(子ども的な性格)はそれぞれ2つずつに分けられて、「CP」(「支配的親の性格」(コントロールペアレンツ))、「NP」(「養育的親の性格」(ネイチャーペアレンツ))、「FC」(「自由な子どもの性格」(フリーチャイルド))、「AC」(「びくびくおどおどする性格」(アダプテッドチャイルド))となります。
この5つの性格が、一人の人間の中に常に存在していると考えたのです。
その呼び方で、もう内容はおわかりと思いますが、「CP」は人をコントロールしようとする性格、「NP」は人に対し養育的に接しようとする性格、「A」は成人としてバランスの取れた理性的な考えをもって行動できる性格、「FC」は子どものように自由でのびのび何でも言ったり行動したりできる性格、「AC」は人の顔色をうかがいおどおどびくびくしてしまう小さな子どものような性格です。
これを「交流分析」と呼んでいて、5つの性格のうち、どの性格が重いかを測る「エゴグラム」という心理テストもあります。小さな子どもの中にも「NP」が強く、人の面倒を見るのが好きな子や、「A」が強く、大人顔負けのきちんとした理性的な判断をする子もいます。

前置きが長くなりました。
さて、あなたの夫ですが、「C」、特に「FC」(フリーチャイルド)の性格が強いようですね。自分が自慢したいための料理、ホームパーティーの準備、調味料や包丁の収集・・・。こういうパートナーとうまくやっていくためには、あなたの中にある5つの性格のうち「CP」(コントロールペアレンツ)の部分で夫を支配しようとしたり、「AC」(アダプテッドチャイルド)の部分でおどおどびくびくしたりするのではなく、「NP」(ネイチャーペアレンツ)の部分で、
「あらーっ、一流料理店のディナーより素晴らしい味だわ!」
とほめてあげたり、あなたも自身の「FC」の部分で茶目っ気たっぷりに
「わーっ、この七面鳥すごーい!私にも手伝わせて〜!」
といったような関わり方を試してみてはいかがでしょうか。
相手の5つの性格のうち、どの部分が自分にとって不都合かを判断して、その部分と自分の5つの性格のどの部分で対応したらうまくいくのかを「分析」しながら接してみてください。
また、あなた自身は、「お金がかかるのに!」とか「結局負担は私!」とか「家事の手伝いになってない!」とか考えているところを見ると、相手を自分の思い通りに支配しようとする「CP」の部分が強いのかもしれません。そうすると夫の「FC」の部分とぶつかってうまく交流ができませんから、思い切ってあなたの持っている「FC」の部分を全開にして、夫以上に自由にのびのび夫の料理自慢を楽しんでみてはいかがですか?
もちろん、子どものこととか、後片付けのこととかを、子どもっぽく、
「やりたくなーい!」
と言って放っておくというのもありです。するとさすがに夫君も「A」の性格が頭を出して、ほどほどになるということもありますから・・・。
ぜひ、思い切って試してみてください。
(文:大関洋子)

2013/01/10(木)
第17回 【恋愛編】「僕は君のために生きてるんだってのは嘘かよぉ?!」
【Q】
彼とは付き合い始めて半年。何度か旅行に誘われましたが断っていました。まあまあの彼氏だし、あんまりじらして逃げられちゃうのももったいない。そろそろかなと思って、旅行に行くことにしました。ところが、年末でどこの宿もいっぱい。「値段もそこそこだし、ここならいんじゃないかなあ?」と彼が言うので、まあいいかなと出かけました。これが大失敗。値段はそこそこなのに、駐車場に着いても出迎えはない、フロントで荷物を持ったまま宿泊者カードに記入していても、そばにいる従業員は荷物を持とうともしない。部屋にはエアコンがなく、暖房はガスストーブのみで半端じゃなく寒い。窓際の蛍光灯はちかちかしている。とにかくため息の連続。これが彼との初めての旅行?!それでもここまでは彼のせいじゃない。私も了解して決めた宿なので我慢するしかありません。でも、私が「他の部屋がないか聞いてよ」と言っても「蛍光灯取り替えさせてよ」と言っても、「しょうがないよ、年末なんだし、やっと取れた宿なんだから」と言うばかり。結局私がフロントに電話して部屋のことを尋ね、蛍光灯の交換を頼む始末。いったいこいつは何なんだよぉ!いつも私のために生きてるって言ってるのに、いざとなると何にもしてくれないのかよぉ!こんな彼とは別れた方がいいか迷っています。

【A】
はい、ズバリそんな彼とは別れた方がいいでしょう。いつも「僕は君のために生きてるんだ」と言っているのに、いざとなるとあなたのために何もしてくれないんですよね?他の部屋がないか、ちかちかしている窓際の蛍光灯を交換してと尋ねたり、頼んだり、すべてあなたがさせられたわけですね。
彼があなたのために生きているかどうかを決めるのは、彼ではなくあなた自身なんです。
彼が何十回、何百回「僕は君のために生きてるんだよ」と言ったとしても、あなたが「ああ、彼は私のために生きてくれているだなあ」と思わなかったら、彼があなたのために生きていることにはならないですから。たとえ駐車場の出迎えがない、従業員は荷物を持とうともしない、エアコンもなく・・・、蛍光灯は・・・etc.の宿だとしても、「私が彼をじらしていてなかなか返事をしなかったからこんなことになった」「彼は一生懸命宿を探してくれたんだけれど、私たちの経済力ではこんなもん」「せっかくの旅行で宿に文句を言うことで二人がさらに嫌な気分になることもある。彼はそこまで考えて文句を言わなかった」という風には、あなたには思えなかったんですよね。

カウンセリングの療法に「論理療法」と呼ばれているものがあります。「ABC理論」とも言われる理論です。「人は不幸な出来事が起こるから不幸になるのではない。起こった出来事をどう受け止めるかによって不幸にも幸福にもなる」というアメリカの心理学者アルバート・エリスによって提唱された理論です。

この考え方を応用して、駐車場の出迎えがなかったことも、フロントで放っておかれたことも、「これなら二人でどんなにベタベタしても周りに気を遣う必要ないじゃん」、エアコンがなく部屋が寒いことも「二人で身を寄せ合って暖め合えばいいじゃん」、ちかちかする窓際の蛍光灯のことも「蛍光灯は消して暗くすることでムードが出るじゃん」と、まあそんな風に考えることもできなくはないんですが、あなたは実際、そうは考えられなかったんですよね。

はじめに「付き合い始めて半年。あんまりじらして逃げられちゃうのももったいない」と言っているあなた。恋愛に「じらし」たり、「逃げられちゃ」ったりする感覚を持ち込んでいます。この恋愛をきっかけに、O.ヘンリーの短編小説でも読んでみてはいかがでしょうか?

「賢者の贈り物」という、貧しい若い夫婦がお金のない中で、クリスマスプレゼントを贈り合う話があります。彼女は自慢の長い髪を切って売り、夫が大切にしている祖父から父、父から夫へと受け継がれた懐中時計の鎖を買う。彼は彼で、その大切な懐中時計を質に入れ、妻がほしがっていた鼈甲の櫛を買うという物語です。O.ヘンリーはこの話を「 二人は愚かなことに、家の最もすばらしい宝物を互いのために台無しにしてしまったのです。 しかしながら、今日の賢者たちへの最後の言葉として、こう言わせていただきましょう。 贈り物をするすべての人の中で、この二人が最も賢明だったのです。 贈り物をやりとりするすべての人の中で、この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。世界中のどこであっても、このような人たちが最高の賢者なのです。彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです」と結んでいます。

どんな恋愛をするかは人それぞれ。何を幸福に感じるかということも、一人ひとり違います。あなたがどんな恋愛を目指すのか、いろいろな恋愛の形を学んでみるのも、いいことだと思いますよ。
(文:大関洋子)

2012/12/13(木)
第16回 【職場編】「えっ、なんで私が!?」
【Q】
今春、今の会社に入社しました。これまで嫌なこともなく働きやすい職場だと思っていました。一緒に入社した男性は時々残業しているようですが、私は残業を強いられることもないし、少しの遅刻なら、やかましく言われることもありません。むしろ「具合でも悪いの?」と上司が声をかけてくれたりもします。ところが先日の忘年会でのこと。私のことを名指しで「あいつはなんでお酌に来ないんだ?」と上司が話している声が聞こえました。どうしようか迷っていたんですけど、よほどごまをすりたい人は別ですけれど、同期の男の子たちはほとんどお酌に行く様子もないので行かなかったんです。なんで私だけ?と思いました。それで親しくしている女子の先輩に聞いたんです。そうしたら、「女性の新入社員はあなただけなんだから行かなきゃダメよ」と言われました。これまでいい会社だと思っていたのに、いっぺんに気持ちが変わってしまいました。

【A】
忘年会シーズン、この悩み、結構皆、感じたことがありますよね。上司に「お酌」をしに行くかどうか・・・。この「お酌」という風習、文化は、どうも日本独特のものらしく、ヨーロッパやアメリカなどでは、パーティ参加者同士が注ぎ合うという習慣はないようです。プロのソムリエなどが、職業の中でも高い技術を誇って、今でも仕事として行っていますよね。この「お酌」という行為は、男性の専門職として存在する一方、歴史の中で、古今東西、男性が女性を「性」のしもべとして、宴会のときに侍らせる、そして、そのサービスとしてお酌をさせるというのがもうひとつの目的です。
ご相談の方は、女性先輩から言われた「女性新入社員だから」という言葉に、その性的役割を感じ、「いっぺんに気持ちが変わった」わけですよね。考えてみれば、今まで嫌なこともなく気持ちよく働いていられたのは、残業を強いられることがなかったのも、少しの遅刻なら許され、「具合でも悪いの?」と上司が声をかけてくれたのも、実は、「女性の新入社員」だったからということがわかりましたね。
そもそも、「お酌」という呼び名は、舞妓、芸妓、芸者、半玉、御酌さんたちのことをいう中のひとつの呼称で、それぞれに役割や年齢が違ってはいますが、男性にサービスをするということでは共通しています。元来、「芸」を売るということが本業で、芸者勤めをすることを「左褄(ひだりづま)を取る」とも言いますが、これは彼女たちには厳しいしきたりがあって、歩く時には必ず左手で、着物の褄(帯から下の裾までの併せ目部分のこと)をしっかり持って歩くようしつけられています。左手で褄を持つことで、着物のあわせ目から男性の手が入りにくくなり、「芸は売っても身体は売りません」という決意を表しています。
“とき”と“ところ”、時代がかわると共に、この厳しいしきたりも緩んできたり、彼女たちの職業の中身にも変化がでてきます。高額の値段でその身体を売る花魁(おいらん)の話は、今も映画や演劇、近松の文学の中にも残っています。そのような歴史の中で、「お酌する」という行為は、「女性が男性に媚びる行為」ととられるようになったのです。
その後、出世しようとする男性たちも、これを真似たようですね。
歴史から考えるとあなたが感じたように、「差別」、「女性蔑視」の風習だと私も思います。
「だから私はお酌はしない」(若き日の私同様)と決めてお酌をしないあなたを応援します。多少のいづらさを覚悟しなくてはなりませんが。(酒席には参加しないという選択肢もあります)
ただし、仕事で媚びへつらっての酒席は、もう日本文化の中からなくしていきたいものですね。
お酒は飲みたい人と飲みたいように飲む。仕事は女性でも男性でも、きちんと対等にこなす。女だからという甘えも自分に許さない。厳しいかな?それくらいなら、酒席でお酌をするほうがましですか?
私たち女性を抑圧するたくさんの歴史に抗(あらが)って生きてきた、たくさんの先輩たち。女性が男性化して、男性みたいに行動するのではなく、男性が女性に近づく努力をしてくれる社会を作りたいと切望してやみません。
(文:大関洋子)

2012/11/29(木)
第15回 【子親編】「夫のことを知っているのは私!」
【Q】
34歳、主婦です。夫は大学の先輩で、卒業してから付き合いはじめ、5年間付き合って結婚しました。現在結婚して6年です。結婚後1年半は私も勤めていましたが、出産を機に勤めを辞め、専業主婦になりました。夫は長男で、将来夫の両親の面倒を見るという含みもあり、夫の実家からそう遠くない距離に住んでいます。
先日、義母が私の家に来た時のことです。私が作った肉じゃがを食べた義母に「息子はもっと濃い味が好きなのよ」と言われました。夫とは長く付き合っていましたので、今の夫の好みくらい知っています。そういえば、夫の実家にお邪魔した時にも「これが息子の好きな味よ。覚えておいてね」と言われたことがありました。夫には妹がいるんですが、義母が義妹のことをそんなに気にしているようには思えません。長男ってそんなにかわいいんでしょうか?夫も夫です。義母がそう言っているのを聞いているくせに、私の方が美味しいとは言わず、にやにやしているだけです。

【A】
あなたは夫と、恋人として付き合って5年、結婚して6年、計「11年」という時間を共有しています。ただ、単純に夫との物理的な時間の共有となるとちょうど義母の半分ですよね。でも、そういう単なる物理的な時間の共有の多さ少なさを相手のことが理解できるかできないの尺度にするのはナンセンスなことです。夫と出会ったあの時の「ビビッ」という感覚を味わったあなたには、もうわかり過ぎるほどわかっていると思います。
出会いのその一瞬に二人に電流が通ったようなあの感じです。そして、相手のすべてを理解したと思うのです。ただ、この現象は20代半ば前後の性ホルモンの分泌とも関わっていて、種の保存のためにお互いが引き合うような時期によく起こります。そのため、種の保存としての妊娠、出産を終えると、夫婦の間にも「こんなはずじゃなかった感」が出てきます。あなたの場合も「私は夫のことをよく知っていて、このくらいのうす味が好み!」と自信を持っていますが、「夫は義母の言葉を否定しない」ということを見ると、心の中で「もう少し濃い味の肉じゃがが食べたいなあ。でも妻にそんなことを言ったら“身体に悪いでしょ!”とか“このくらいが私の実家の味よ!”とか言い返されて面倒だから黙って食べていよう」と思って食べていた、とも取れませんか?
私たち人間は一人一人違います。ところが他の動物、特に類人猿に限って比較しても、彼らはあまり個体差がありません。200万年から400万年ほど直立二足歩行をし、立っているらしい私たちは、頭や内臓を支えているため骨盤が腰のところでしっかり締まり、この骨盤をがぎりぎり通過するだけの大きさの胎児しか産めません。他の類人猿の場合、今も四足歩行なので、子宮の中でほぼ親と相似形まで成長させて出産できます。結果として人間は「小さく産んで大きく育てる」ことになります。この小さく産まれる状態を「生理的未熟児」と呼んだりします。生まれた時点では、類人猿の方が人間より勝っていて、誕生後すぐ歩いたり、自ら母親の胸にすがってお乳を飲んだりします。ところが人間の赤ちゃんは、もう1年くらいお腹に入っていれば、類人猿と同様な行動ができるのでしょうが、それでは狭い骨盤を通って生まれてくることができません。
未熟なまま生まれた私たちの赤ん坊は、他の類人猿が親と同じ形で生まれ、チンパンジーはチンパンジーとして、ボノボはボノボとして生まれ、さほど個体差がなく一生を終えるのに対し、育て方や環境によって個体差の大きい大人へと育つわけです。
ですから、10年や20年一緒にいたからといって、相手のすべてがわかるわけではありません。この際お義母さんに夫の好みの味を教えてもらうのもこれからの夫婦円満のこつかもしれませんね。そうは言っても、そばでニヤニヤしている夫にもかなり腹が立ちますよね。徹底抗戦するならば、「あの時なぜ私の味の方が美味しいと言ってくれなかったの!?」 と打って出てもいいでしょう。そしてもし、あなたも夫に誤解されていたり、理解されていない不満があるのなら、この際“実は私…”と話し合ってみてはいかがでしょう。このことがきっかけで夫婦が壊れるもよし、このまま放っておくにはもったいないチャンスですね。
また、長男を母親がかわいがる心理、幼児期に異性親を好きになる現象を精神分析医フロイトは「エディプスコンプレックス」と呼んでいます。この現象が大人になっても続いているのが、俗に言う「マザコン」です。この義母は、きっと夫が自分の思うようにならないので、男の子を自分の設計図通り育てて自分の恋人、夫役に仕立てることで、自身のバランスをとっているのでしょう。彼女からはあなたはライバルと潜在的に見られているのです。こういった人間の心理を知って、あなたがひとつ大人になってはいかがでしょうか。
(文:大関洋子)

2012/11/15(木)
第14回 【親子編】「息子が言うことを聞かない!」
【Q】
40歳、専業主婦です。小学5年生の息子と3年生の娘がいます。去年くらいまでは2人ともとても素直で、私が何か注意すればよく言うことを聞いてくれたんですが、息子は、今年に入ったころから、まるで別人のように言うことを聞かなくなりました。汚れた服は脱ぎっぱなし、お菓子を食べた袋も放りっぱなし・・・。それを私が注意すると「うるさいなあ」と言って、片づけようともしません。娘の方は、女同士ですから気持ちもわかるし、叱った時は腕でも組んで買い物にでも行けば機嫌も直って、仲のいい親子になれるんですが、息子の方は口をきこうともしないし、どう扱っていいのかわかりません。夫は「放っておけ」と言いますが、このままではしつけもできず、だらしがない大人になってしまうのではないかと心配です。


【A】
発達心理学では、小学5年生くらいの子どもたちを思春期前期といい、特に10歳前後を「ギャングエイジ」と呼んだりもします。子どもたちが普通に発達していると、この時期にご相談のような子どもから大人への変化が現れるのです。もちろん、子どもたちの内面で徐々に準備されていた成長が身体のいろいろな場面、特に性に関する身体の部分に現れてくるわけです。男の子では、それまで高音の細い声で話していたのが、「オレ風邪を引いたかな?声がかれるなあ」などと言っているうちに、突然低い声でしゃべり始めたり、「オレ、ひげ剃る」と言い出したりします。この頃、性器も大人の男性のようになり、精通を迎えることになります。女の子では、胸が膨らみ、初潮が始まります。
子どもたちにとってこの外側の変化は、突然やってきた知らない世界ですから、戸惑い、羞恥や大人の世界へのあこがれなどがゴチャゴチャになり、心がこの変化について行けません。にもかかわらず、第二次性徴と言われる性ホルモンの分泌による成長が、子どもたちの内面で起こるわけです。外側と内側で起こる変化について行けず、わけもなくイライラしたり、怒りっぽくなったり、かと思うと高揚してはしゃいだりするのです。この頃、女の子も男の子も、それまで平気で「お母さん」と呼んでいたのを「おふくろ」と呼んでみたり、「ばばあ」と言って、母親をびっくりさせたりします。

母親はこの変化に戸惑うわけですが、母親よりも本人の方がもっと戸惑っているので、お母さんは、どうか慌てず騒がず、この変化を「おっ、我が子が男の子から男性へと成長しているところだな」と楽しみにながら見守ってください。
親と一緒にいる時よりも、友達といる時間が大切になってきて、帰宅時間を守らなかったり、冒険に憧れるのもこの時期です。要するに、人が一人の「人間」として自立するための練習期間なのです。「自我の芽生え」の時期です。親に反抗し、友達と徒党を組んで小さな冒険を繰り返しながら成長していく少年時代なのです。
ところが昨今、この時期、グループで冒険をして自分を試し、失敗しながら人間として力をつけて成長していく時間も場所もなくなりました。塾やゲームセンターが彼らの居場所になっています。ですから、せいぜい家の中で母親に反抗させてやり、自立の芽を伸ばしてください。お母さんも、面倒でも精一杯息子の反抗に応戦してあげてくださいね。ただし、この時期が過ぎるれば、自分で考え、しっかり生きていくようになりますから、心配しすぎて、強行に叱ったり、叩いたりは決してなさいませんように!

最後に2つ申し上げておきます。
1つは、今は母親であるあなたを反抗の対象にしていますが、もう少し経って、中学生・高校生になると父親がターゲットになります。乗り越える壁が高いほど子どもたちは成長しますが、高すぎるとつぶれるのでご注意を。
もう1つ。下の娘さんも間もなくこの兆候が現れることでしょう。これからは、人が「人間」として成長するための大切な発達段階なのです。この時期をうまく乗り越えられないと、将来引きこもりになったり、ニートになったりしがちですから、親子で葛藤しながら上手に乗り越えてください。
(文:大関洋子)

2012/11/01(木)
第13回 【夫婦編】「結婚て生活のシェアですか」
【Q】
32歳、結婚して3年です。夫は37歳、それぞれ会社に勤めています。給料は、同じくらい。残業が多い時は、私の方が多くなることもあります。月に2、3回は、外で待ち合わせをして食事をしたり、飲みに行ったりしています。普段の帰宅は、私は7時半くらい、夫は10時くらいです。仲はいい方なんじゃないかな? 結婚前、子どもは2人なんていう話をしていたんですけど、まだいません。子どものこともあったので、家賃16万円の広めのマンションに住んでいます。私は今もすごく子どもがほしいんです。でも、夫は少し違うみたい。できないというよりは作らないという感じです。私は「家庭」を作りたいんです。帰ってきた時にほっとするっていうか、安心できるっていうか、そういう家庭。今の生活って、ただのシェアって感じ。学生時代に男友達と半年くらい同棲してました。同棲なんだけれど、私はシェアって感じでした。その方がいろいろ安上がりだから。結婚は、シェアとは違いますよね?! なのに夫の態度は、どう考えてもただのシェアなんです。

【A】
「結婚」の目的があなたと夫で違う気がするので不満なんですね。学生時代にあなたが「安上がり」の目的でしていた「同棲」のような「結婚」だと感じている。これでは単なる「シェア」にすぎないと腹を立てて私に相談されていらっしゃる。

結論から申し上げると、私に相談するまでの3年間、いえ知り合ってからの期間を含めての間に、この「結婚観」のズレについて、どのくらい夫と話をされましたか?
理想を言えば、「結婚観」や「結婚の目的」なんて、わざわざ話をしなくても、言わず語らずの中でお互いが理解し合っていけばいいのですが、これだけズレていては話をしないわけにはいきませんよね。結婚前には「子どもは2人」という話もされ、そのために16万円も家賃を払って広いマンションを借りているわけなのに。どこかの時点から夫は「子どもは作らない」という感じに変わったんですものね。

あなたは「家庭」というものを帰ってきてホッとできる、安心できる場所と思い、同棲やシェアとは違う価値観で結婚したわけですが、今の結婚生活には安心やホッとする感じがしない。仲はいい方だと思えているなら、今、私に相談なさっているままの心の内をぜひ夫に伝えてみてください。あなたは時には夫より高い給料の時もあるほど経済的には対等の関係で、生活は「シェア」できているのですから、あとは精神的に人生を「シェア」してはいかがですか? 「シェア」を「安上がりのため」と考えず、「分かち合う、喜びも悲しみも分け合う」関係と考えてみませんか。

「同棲」はお互い無責任に一緒に住んでいて、いやになったら別れるけれど、「結婚」して「籍」を入れると責任が生じて簡単には別れられなくなる。この簡単には別れられなくなった状態を「家庭」と一般的には思うわけです。が、元々、結婚制度や戸籍制度の起こりは、為政者が人民を治め易いようにして、税の取り立てをするのが主な目的ですから、シェアや同棲が籍を入れて「結婚」になっただけで、本当に安心できる「家庭」ができるわけではありません。かえって逆に「結婚」して籍を入れた途端、男性は「妻」という名に変わった私たち女性と対等な関係ではなく上下関係になった気分で妻の気持ちや結婚前に話し合っていた「家庭」の理想像など「その話は結婚前のことだろ?!」と、まさに「釣った魚」の例えさながらになることが、まだまだ多いようです。

結婚制度は、私たち女性を保護する点もありますが、一方で男性諸氏を安心させる制度でもあります。きっとあなたの夫は、あなたが「帰ってきた時ホッとする、安心できる家庭を作りたい」と訴えても「僕は充分安心してるけど」と言うはずです。どうか、そこをくじけず、あなたの作りたい「家庭像」をアサーション(相手の考えも聞きつつ行う自己主張)してください。せっかくあなたは経済的に自立していて、夫と対等に「シェア」しているのですから。

まさに「結婚」という制度が「家庭」を作るのではなく、何の制度にも縛られない「シェア」や「同棲」の中にこそ「真の愛と信頼」だけで結ばれた「安心できる関係」が生まれるのかもしれませんよ。
(文:大関洋子)

2012/10/19(金)
第12回 【恋愛編】「えーっ、あんたが誘っといて割り勘?!」
【Q】
私が始めて参加した合コンは、男性が全員、うちの会社の取引先の社員でした。「利害関係があってやりにくいなあ」なんて思いながらも、うちの会社よりずっと大きい会社だし、給料も高いって聞いていたので、いい相手がいたらラッキーって思い参加しました。そこに彼がいたんです。私よりも彼の方が私を気に入ってくれたっていう感じ。彼の積極さに押されて付き合い始めました。思った通り、高給取りのようで、最初の何回かは高級レストランでデート。もちろん勘定は彼氏持ち。でもそのうち、「ここは二人で千円ちょっと。いつも僕だと気になるだろうから、君に払わせてあげるよ」って、安いところでは私が払うようになったんです。そんなことが何回かあったと思ったら、あっという間にすべて割り勘になっていました。ディズーニーランドみたいなところならまだしも、あんたが誘った高級レストランまで割り勘? そりゃないでしょ?!って感じ。普通、男が出しませんか? 友達に話したら「そんな奴、やめた方がいいよ」って言われました。私も、ちょっと迷っています。でも、他に不満はないんです。

【A】
デートの食事代をどちらが持つかは男女の間で大きな課題のようですね。一般的にはあなたの友達のように(実はあなたも)「男が持つのが当たり前」ということになっているようですが、私はそうは思いません。なぜなら、「男がお金を出す=男が女より上」という方程式が出来上がってしまいますから。もしかするとあなたは、「お金を出す人=誘った人=好きという度合いが強い人」という方程式なのかもしれませんが、実際には二人の関係を対等の関係から上下関係にしてしまうのがお金だからです。お金の力というのは、私たちが思っている以上に心の奥底で私たちを支配しているのです。
初めは「愛されている証」と思っているかもしれませんが、男性の方は「俺が出してやっている」という思いが強くなり、結婚後は「誰のおかげで食ってると思ってるんだ!」という暴言になっていくわけです。男性にすれば、戦国時代さながら、お上に仕え、白を黒と言わされ、心ならずも正義の心を折り、怒りをこらえて日夜上司のご機嫌を伺って手に入れたお金です。簡単に女、子どもに渡してたまるかっていう感じなのでしょう。だからおごる時には、最高の礼を尽くして感謝の「ありがとうございます」「ごちそうさまでした」を言ってもらいたいのです。
「給料も高いって聞いていた」「ディズニーランドみたいなところならまだしも」と言っているところから察すると、あなたは「男が払って当たり前」という古風な(一時に比べ、最近、逆にそういう女性が増えているのかもしれませんが)考えの持ち主ですね。たぶん彼が期待するほどの感謝も敬意もあなたからもらえなかったのでしょう。戦国時代、男は命をかけて上司のために闘い、その報酬で妻子を養ってきました。そういう男を女性は、頼りがいのある夫、頼りがいのある恋人として、大切にしてきました。女性が何の生産性も持たず、貨幣経済から除外された場所におかれた武士の階級では、そうするしかなかったのです。当時でも、庶民は農家や商家で、女性も一人の労働力としてきちんと役割を果たしていました。ですから、男尊女卑と言われる文化の中でも、庶民の妻や母親は、かなり権力を持っていたことが歴史や文学の中でもわかります。時代劇でも労働力として働いていた女性たちが、男を動かしていくストーリーは多いですよね。
さて、あなたは彼に感謝と敬意を表しておごり続けてもらう関係がいいですか? それとも割り勘を気持ちよく受け入れて、対等の関係で付き合いたいですか?
もちろん、いつも半分ずつの割り勘ということではなく、収入やそれぞれの事情(親に仕送りをしているとか…)もよく話し合って、「今日は私」「次は僕」という具合に。
「出せる方が出せるだけ出す」というような「出せることに喜びを感じる」ようなお金の使い方を相談できるといいですね。そろそろ「お金は男が出す」という習慣も変えていきたいなあと思います。もちろん、女性が稼げる場が少ないことも、この問題の根本的にあることは間違いないのですが。
と、まあ私はそう思います。ただ、この男性、最初はお金を出していたにもかかわらず、後に割り勘になったとのことですから、お金であなたを釣ろうとした、それだけの男かもしれません。「他に不満はない」ようですから、腹を割って話し合うことは可能でしょうか。お友達の言うように「そんな奴、やめた方がいい」と単純に決めつけず、「不満がない」あなたの感覚も大切にしてください。
(文:大関洋子)

2012/10/04(木)
第11回 【職場編】「上司の声のかけ方が・・・」
【Q】
大学を出てすぐに今の会社に就職しました。就職して5年目、営業職です。毎年、女子社員を数名は採用しているので、私のあとから入ってきた人もけっこういたんですが、会社の雰囲気が合わないのか、1年も経たないうちにやめてしまう人がいたり、寿退社がいたりで、私の下の女子社員は4人しか残っていません。そうは言っても、5年も経つと中堅で、自分ではバリバリ仕事をこなしているつもりです。上司にはかわいがってもらっていると思います。でも、どうしても嫌なことがあるんです。それは、上司が体型のこと、服装のこと、髪型のことなど、私が気にしているようなことをしょっちゅう言うことです。「スマートになったね」とか「今日のスーツ似合うねえ」とか「髪、切ったんだ?」とか・・・。悪意があるとは思えないし、セクハラとも感じないんですが、「私が男だったらこんな言い方しないよね」と思います。しっかり仕事をして、男性にも負けていないつもりなのに、そんな上司の言葉を聞くと、やる気が失せてしまうことがよくあります。

【A】
この話、男性の方が聞くと「スマートになった」「スーツが似合う」「髪、切った」等々「えっ?どこが悪いの?この上司。あなたへの関心度が高くて、その上ほめ上手じゃないの? どこが嫌なわけ?」と思う人が多いんじゃありませんか?
いえ、もしかすると、女性の方の中でも「ほめられてるんだもん、私だったら嬉しいかも」なんて思っちゃう人がいるかもしれませんね。
でもあなたは「悪意があるとは思えないし、セクハラとも感じない」けれど、「私が男だったらこういう言い方しない」と感じていますね。
あなたのこの感覚に、私は拍手を送ります!
そう、あなたの感じる通り、もしあなたが男性社員で「××君、スマートになったね」とか「そのスーツ似合うね」とか「髪、切ったんだ?」とかいう上司がいたら、周りが「××部長ってちょっと変なんじゃない?」とか「××君のこと好きなんじゃない?」ってささやいてしまいますよね。
そう、その通り!あなたが感じた通りで、この台詞は、女性の「恋人」「妻」への関心を示す表現として使われるフレーズなのです。この上司が本当にあなたにそういう意味で関心がある(あなたに恋愛感情を抱いている)か、ほめ方、励まし方を間違っているかのどちらかです。

でも、女性社員が1年も経たずに退社したり、結婚したりするとのこと。この上司の表現が代表しているように、あなたの会社は女性を大切に扱っている“ふり”をしているだけで、本当は「女なんて、着ているものや髪型でもほめておけばよく働くもんさ」という女性観が会社全体に漂っていると思われます。とても残念なことなのですが、私たち女性も、「私は女なんだから、まあこんなもんで・・・」と自らディスカウントしてしまうことがよくあり、私自身やってしまったりします。長い間、作られた女性観によって、「女はかわいくて、優しくて、おとなしくて、男性にかわいがられるのが幸せ」と思い込まされてきたわけですから、そのように行動してしまうのも当然のことなのですが。

「シンデレラ」や「白雪姫」「眠れる森の美女」の話でわかるように、いつも男性に従順で男性を待っているだけの女性は、好きになってくれる白馬の王子が現れ、幸せになります。ところが「人魚姫」のように、自ら王子を好きになるまったく逆の女性のパターンでは、自分の意思で魔女から足はもらうものの、声は奪われ、最後は海の泡となってしまいます。

さあ、そろそろ「白雪姫伝説」にさようならをしませんか?! 
あなたの感覚を信じて、上司にはタイミングを見て、あなたの気持ちを話せるといいですね。無理でしょうか・・・
これはもう、充分にセクハラなんです!
もし、これをお読みの男性上司の方々は、お気をつけください!
あなたの会社は、社内に「セクハラ委員会」とかがあるほど大きな会社ではなさそうなので、女性社員全員で上司に「不快」である旨、伝えてみる勇気が出るといいですね。まず、女性みんなの気持ちを揃えることが大切です。
応援しています!
(文:大関洋子)