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■分かってるつもり?男と女の胸の内■
この連載は、「浦和カウンセリング研究所」で扱ったカウンセリング、相談を基に構成されたQ&Aで、わかりやすいよう脚色された部分があります。
主に浦和カウンセリング研究所所長 大関洋子が執筆し、大関行政書士事務所が監修しています。

■大関洋子プロフィール■
(浦和カウンセリング研究所所長/NPO法人日本カウンセラー連盟理事長/臨床発達心理士/心理カウンセラー/上級教育カウンセラー)
1941年生まれ。高校で国語、音楽を教える。2002年、浦和カウンセリング研究所を設立。結婚、出産、男女の共生等の話題を社会に提起。新聞、雑誌、TV等、連載、出演多数。 教育問題、夫婦・家族の悩み、職場での悩みなど、年間のべ1,000人以上のカウンセリングをこなす。
著書に「この子たちを受けとめるのはだれ?」(文芸社)、「素敵なお産をありがとう」「セクシュアルトークで一家団ランラン」等。

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2014/03/27(木)
第47回【恋愛編】「彼の本性は乱暴者?」
【Q】
彼とは合コンで知り合いました。それまでは、合コンなんてもろに男捜しっていう感じで、なんだか「不純」みたいに思っていたんですけど、誰でも知ってる某商社の男性だけだっていうので、思い切って初めて参加しました。みんな紳士ばかりで、“これが合コンかあ。けっこういいかも…”と思いました。その時一番優しそうだったのが今の彼です。見かけは優しそうっていうか、まあほんとに優しいんですけど、この前一緒に飲みに行ったとき、酔っ払って私に絡んだ人に“てめえ、何すんだよ。俺の彼女に絡むんじゃねえ!”ってすごんだんです。今にも殴りかかりそうな勢いでした。その時は「男らしい人!私を守ってくれてありがとう」って思ったんです。でも、時間が経つにつれ「これって、もしかして私に向くことだってあるんじゃない?」って思えてきて、彼の優しさは偽物のような気がしてきました。

【A】
その通り!私もあなたと同じように思います。彼の優しさは偽物って!
先日も妊娠7か月の女性から同じような質問がありました。飼い犬のゆきちゃんがカーテンにじゃれていたら、夫が「この野郎!」と怒って、ボカーンと蹴ったので、小型犬のゆきちゃんはキャイーンと泣いてコロコロ転がってうずくまってしまったというのです。それを見て、彼女はゾーッとしたそうです。

彼女の夫は、日ごろから親戚の甥や姪が騒ぐと「自分が父親なら殴ってでもやめさせる」と言っていたので、小型犬のゆきちゃんが蹴られたのを見て、お腹の子が殴られたらどうしようと恐ろしくなったと言っていました。でも彼女は、夫と喧嘩になることも恐ろしいので、何も言うことができず、そんな自分をどうしたらいいかと相談に来たのです。

「内観法」というカウンセリングのやり方があります。これは仏教の修行の方法から荒行の部分を除いて、自分で自分の心の内側を観る方法で、「身調べ」とも言います。自分の身近な人(多くの場合、母親からはじめます)との関わりを内観する(振り返って考える)だけの簡潔な方法です。内観3条項といって、@(母親に)してもらったこと、世話になったこと、A(自分が)して返したこと、B迷惑をかけたことの3つの事項を、幼少期から思い返していくのです。

内観の目的は、「こんな自分でも大切に愛されていた。生きていていいんだ」という自己肯定感が湧くこと。もう1つは、「母親との関わり方は、他のすべての人との関わり方に通じる」ことに気づくことなのです。
そして、@とBのなんと多くてAの少ないことよ!と気づき、他者との関わり方に大転換が起きるんです。

さて、あなたの彼の生き方は、酔って絡んだ人にすごんだように、力で脅せば自分よりも弱いものは黙るというやり方の典型で、本性は乱暴かもしれません。今の時点で“さようなら”をして、本当の優しさを持った相手との出会いがあることを祈ります。あなたは彼との出会いのきっかけを、「有名商社の男性」だからと言っていますが、自分自身と他者との関わり方についても、ぜひ一度内観してみてはいかがですか。

合コンに否定的だったあなたに立ち返り、なぜ合コンに否定的だったのか、なぜ合コンに参加することにしたのか、そのあたりに今後のあなたの生き方のヒントが隠れていると思います。
(文:大関洋子)

2014/03/13(木)
第46回【職場編】「私って女性として扱ってほしい!」
【Q】
私の会社はそれなりの規模で、私の勤務する部署だけで、女性の同期入社が5人、男性の同期入社が8人います。同期はみんな仲がいいし、先輩や後輩にもあまり嫌な人はいないので、勤めやすい会社かなあと思います。でも、どうしても嫌なことがあるんです。それは、同期の中だけじゃなく、先輩・後輩、しかも男女を問わず、私だけが女子の中で女性扱いされていないこと。確かに私は「ボンキュッポン」じゃないし、髪の毛も長くない。でも、一生懸命女の子らしくお化粧したり、振る舞ってるつもりです。まあ一応、先輩・後輩は“さん”付けで呼んではくれるけど、同期の連中からは苗字を呼び捨て。他の女の子はみんな名前か苗字に“さん”付けなのに・・・。男性から飲みに誘われるときも「おい、ほら行くぜ!」みたいな感じで、完全に男扱い。そのせいか、最近女子会には出にくくなっちゃってるんです。このままだと、恋愛・結婚なんて雰囲気全くないし・・・。私だって、男性から女性として扱ってもらいたいです。

【A】
男性の同期の人から「おい、ほら行くぜ!」みたいな感じで扱われるのが嫌なんですね。「女性として扱われたい!」とは、要するに、男たちから「弱くて自分たちより何もできなくて自分たち男が守ってやらなくちゃ生きていけない劣っている人間」として見られたいということでしょうか?
ちょっとそこまで言うと言い過ぎかな?

外国映画などに出てくる「レディーファースト」として、ドアは必ず男が開けて女を先に通す、道を歩くときは男が必ず車道側、重い荷物は男が持つ、タイタニック号のような避難の時はまず女、子どものような、「弱い」からいたわる、守るということが「女性として扱う」ということなんですよね。これが、習慣や文化の中で築かれている観念なのです。昔、女には、子どもを産み、母乳を与え、子どもが1人で歩き、1人で食べ、少しは安全に生きられるようになるまで、子育てに専念しなければならない数年間があった。その間、女性は、男たちが獲ってくる獲物を待つしかなかった。私たち女の身体は、赤ちゃんが安心して抱かれるのにふさわしく、柔らかくて温かいふくよかなものになった。

でも、そんな原始の時代から遥かに時代の下った現代では、女性も子どもを抱いて男性の獲ってくる獲物を待っている必要はなくなり、常に「弱いもの」として扱われる必要もなくなった。子どもを産み、母乳を与える、そんな役割こそ女性が担わなければならないけれど、人間の文化が生み出した様々な物や方法によって、女性も男性と「対等」の人間として生きられる時代になったのです。

きっとあなたは、男性たちからお荷物のやっかいな「女」ではなく、自分の身は自分で守れ、自分のえさは自分で獲得できる立派な1人の人間として認められているのではないでしょうか?

もしかすると、女性扱いされていないのではなく、男性から唯一認められた「女性」なのかもしれませんよ。

そのことに誇りを持って、今まで通りの短い髪とサバサバとした行動と容姿を自慢に思ってください。それこそがあなたの魅力なのですから。
(文:大関洋子)

2014/02/27(木)
第45回【子親編】「子どもは母親が育てるべき?」
【Q】
結婚して3年。まもなく2歳になる娘がいます。産休のあと、しばらく育児休暇を取りました。娘を保育園に入れて職場復帰をしようとしたんですが、うまく入園できなくて待機児童っていう形になってしまいました。無認可の保育園でも仕方がないかなと思っていたところ、事情を察した義母が「私が預かってもいい」って言ってくれたんです。夫の実家は、そう遠くないし、駅まで行くのに遠回りにもならない。しかもおじいちゃん、おばあちゃんが見てくれるとなれば、こんな安心なことはないので預けることにしました。ところが、預けてみて分かったんです。要するに、義父も義母も、子どもは他人の手に預けるのではなくて、母親が育てるべきと思っていて、自分たちが見ることで、私にプレッシャーをかけようとしていたんです。「子どもには母親が必要」とか「女は家を守らないと」とか、娘を迎えに行くたびに言われます。本来子育ては、女だけがするのではなく、夫だってするべきなのに夫にはそんなこと一切言わないんです。こんなことなら、無認可の保育園にしておけばよかったと後悔しています。

【A】
義父母の考え方は古い!全く古くさい理屈ですね。「子どもは母親が育てるべき」という考え方が長い人間の歴史の中で女性の自由を奪い、女性の社会進出を妨げてきました。男尊女卑の価値観の底辺にあるものです。この考え方がはびこっている限り、女性はもちろん男性も人間として自由に生きることができません。「女は内」という言葉のもう一方は「男は外」というきつい縛りがあるからです。やっと「家庭科男女共修」が定着しつつあるのに、女性の大学教授が「女は内にいるべき」などという暴言を吐いて時代に逆行しています。

そもそも人間以外の動物は自分の遺伝子を残すために必死で、多少の例外はありますが、雄は交尾が終わればさっさと次の相手を探しに行ってしまい、ほとんど子育てには関わりません。私たち人間は、他の動物とは異なる文化を創造し、科学を発展させ、「家庭」というコミュニティを作ってきました。それらを活用すれば、男だって充分子育てもできるし、掃除洗濯、家事全般こなせます。女だって宇宙にも行けるし、多機能細胞の研究もできる。ママになってオリンピックを目指すこともできます。

ましてや、あなたが職場復帰するために2歳のお子さんを義父母に預けている。お子さんにとっても義父母にとっても、とてもいい状況だと思います。2歳ならもう母乳も飲んでいないし、お子さんは祖父母の愛を一身に受けて幸せな時間を過ごしていますよね。

今まで、時代の流れの中で「子どもの発達心理学」がいいように利用されて「母親が育てない子は大人になって愛情不足からうまく自立できない」と言われたり、女性の労働力が必要になってくると反対のことが言われたりしてきました。そういった偏見に振り回されるのではなく、「子どもにとって何が最善か」を考えれば、祖父母に愛されて育っているお子さんは、安心安全な場と充分な愛に包まれているでしょう。そして「孫を預かる」という「出番」を持った義父母も、実はとても生き生きして張り切っているはずです。

義父母が古い考えに縛られ、それを言葉にするのは、あなたにとってはうっとうしいでしょうが、自分たちが手塩にかけた孫娘がとてもいい子に育つと「私たちが育てたから」と自慢する日も近いのではないかと思います。おそらく義父母のお気持ちの中には、「古い考え」もあるとは思いますが、それだけではなく、あなたの言動から子どもへの愛情が希薄と思っていたり、自分の孫を他人の手に預けることへの抵抗もあるのかもしれません。あなたに言わせれば、「そういう考え方そのものが古い」ということになるのかもしれませんが。

お義父様にとっても、お義母様にとっても、預かることが体力的に難しいということでなければ、あなたがもっと義父母にしっかり頼ってしまって、感謝の気持ちを述べる、あなたがお子さんと接しているときは最大限愛情を注いで接し、そういう姿をお義父様、お義母様にも見てもらう。そんな様子を見れば、外に働きに行っても決して母子の関係が悪くなるとは思わず、「子どもには母親が必要」とか「女は家を守らないと」とか言わずに、「孫のことは私たちに任せなさい」くらいな気持ちになるかもしれませんよ。まず、そこから始めてみてください。
(文:大関洋子)

2014/02/13(木)
第44回【親子編】「娘の選ぶ服は男の子用」
Q.小学6年生の息子と小学4年生の娘がいます。兄妹で仲がよく、小さいころからよく一緒に遊んでいました。小学校に上がってからも娘は同級生と遊ぶより、息子と一緒に息子の同級生と遊んでいます。先日、娘と洋服を買いに行きました。私があれこれ選んで娘に見せると、全く気に入らないらしく、「そんなの着たくない!」と完全拒否。何着選んでも、そんな繰り返しなので、「自分で選べば!」と娘に任せたところ、娘が向かったのは、男児用の売り場。そして躊躇なく男児用の服を選んで「これがいい!」というのです。「それは男の子用でしょ!」と言っても、「だってこのほうが着やすいもん」と譲りません。小学校低学年の子ならともかく、さすがに4年生ではちょっと…。今度は私が完全拒否。「女の子なんだから女の子の服を選びなさい!」と私が言うと、娘は「じゃあいらない!」と言って、結局買わないで帰る羽目に。女の子なんだから、女の子らしくしてほしいのですが…。

A.「第41回【職場編】」で述べた回答とちょっとかぶりますけれど…
「女の子は女らしく」私たちはどれだけ長い年月この言葉に苦しめられて生きてきたことでしょう。その裏返しはもちろん「男の子は男の子らしく」と言うことですよね。「女の子なんだからもっとおしとやかにしなさい!」とか「男の子なら泣くんじゃない!」とか…。よく考えてみると、意味わかんないって感じですかね。全く根拠が分かりません。
あなたの中に「女の子らしい服」=「フリフリやリボンなんかが付いていてかわいらしい」「ピンクとか黄色とかの明るい色」というような枠がしっかりできあがってませんか?

買い物に行くと「女児用」の服売り場はまるでお花畑のようで「男児用」の服売り場と遠くから見てもすぐ見分けがつきますよね。そして服をよく観察してみると、女の子用はボタンやホックが多く機能的にはできていません。機能よりかわいらしさを優先させてあります。実は私がよく着る服にもまさにそのようなのがあります。服全体にギャザーの入ったふんわりしたロングのワンピースなので、首の方から足を入れて肩まで持ってきたところで腕を通す。たったそれだけなので着やすいのですが、問題はそこから。まず首の後ろ側から背中にかけて30センチくらいのファスナーがある。もちろん上部にはフォック。これくらいならまだいいのですが、そのファスナーを隠すようにひらひらの飾り布が左右から2枚付いていて、ちょうどファスナーの上に来るところにボタンが5個付いている。しかも、玉のようなボタンで、ボタンの穴は紐状になっている。よほど身体の柔らかい人でないと腕を背中に回せないので、1人で着るのは無理。ボタンまできっちりするには人の手を借りることになります。いつも夫に手伝ってもらって夫婦円満?みたいな…(笑)
スカートとズボンなんていうのもまさに機能の問題を含んでいますよね。

スカートをはいた女の子は木登りや鉄棒、ジャングルジムはできません。女の子は活動的に動き回ることを禁じられていた長い歴史の遺産そのものなのです。女の子が「女の子らしい」かわいくて機能的でない服を着て、要するに「おとなしく」していなければならないとき、男の子は「男らしく」機能的で渋めな色の服を着て活発で元気で強くなければなりません。第41回でも述べたシンデレラや白雪姫の図式が現在に通じている典型ですね。娘さんは、きっと個性的で仕事のできるキャリアウーマンになることでしょう。芽を摘まず、彼女が選ぶ男児用の服を買ってあげてください。そして母親である私たちも、もう男女差別の再生産をするのをやめましょう。何百年もの昔ならいざ知らず、今は便利な家電もでき、法律さえも私たち女性を後押ししてくれています。「女は家庭で家事育児」「男は外で企業戦士」という方程式はもうやめにして、女の子でも活発に生きたい子はそのように、男の子でも家事や育児がしたい子はそのように生きられる世の中にしませんか?

あと2〜3年すると娘さんは思春期を迎え、ちょっと状況が変わるかもしれません。どういう状況が訪れたとしても、娘さんが自分らしく生きられるよう支えてあげてくださいね。
(文:大関洋子)

2014/01/30(木)
第43回【夫婦編】「理屈で私を言い負かす夫」
【Q】
夫とは大学の資格試験受験のためのサークルで知り合いました。彼(夫)は2年先輩で、リーダー的存在。女子学生のあこがれの的でした。サークルでは、論文を読み合ったり、議論したり・・・。彼の話はいつも明快で、的確。「こんなに頭のいい人がいるんだぁ?!」と思いました。知り合って1年が過ぎたころ、彼の方から声をかけてくれて、ドライブに行きました。運転もうまいし、連れて行ってくれるところも完璧。器用っていうんですかねえ。彼は資格試験に一発合格、私の卒業を待ってすぐ結婚しました。とにかく彼は誰から見ても完璧なんです。もちろん私から見てもです。でも、けんかをすると絶対折れません。すごい勢いで理屈を言い、私が反論できなくなるまで言いつのるんです。夫婦って、そんな関係じゃないですよね。私はいたわり合うのが夫婦だと思うんですが、夫は私に勝たないと気がすまないんです。ちょっと疲れました・・・

【A】
オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という短編、若い夫婦の物語です。貧しい二人がクリスマスにそれぞれが相手に贈り物をしようと考えるんですが、なんとしてもお金が足りない。妻は夫に懐中時計の鎖を買ってあげたいと考えている。その時計は夫の父の形見だけれど鎖がなかった。夫は妻に、長く美しい髪をとめる髪飾りを買ってあげたいと思っていた。クリスマスの日、二人はお互いへの想いを込めて妻は夫に時計の鎖を、夫は妻に髪飾りをプレゼントした。その資金となったのは、それぞれが大切に思っていたもの。そう、妻は自らの髪を売り、夫は父の形見の時計を売って相手が喜ぶであろう品物を手に入れたのです。

時計のない夫への「時計の鎖」のプレゼント、髪の短くなってしまった妻への「長い髪をとめる髪飾り」のプレゼント。
あなたはこの短編を読んだことがおありですか?
夫婦とか恋人とかというものの基本が「愛」に基づいて構築される関係というあなた。夫婦の関係はあなたのおっしゃる通り「いたわり合い」や「思いやり」、得とか損とかを超越したところ関係のはず。でもあなたが彼を選択した基準は、「頭がいい」「リーダー的存在」「女子学生のあこがれの的」「運転もうまい」「器用」「資格試験一発合格」etc.。とすれば、彼を選択した時点で、お互いにいたわり合いとか思いやりとかは、ほぼ放棄したものも同然だったのです。ここまで完璧な男性が、夫婦げんかで理屈の合わないことで納得するはずはありません。正しいと思ったことは、絶対に正しいと主張するに違いありません。それがあなたにとって魅力だったのですから。でも夫婦って、あなたのおっしゃる通り「正しいか正しくないか」ではないんですよね。たとえ理論的、科学的には間違っているにしても、「そうかぁ、君はそう思うんだね」「あなたはそう感じるんだね」というふうに言い合いたいですよね。

疲れたあなたに提案です。
カウンセリング技法の1つに「役割交換法」というのがあります。人の立場が理解できなず悩んでいるときにお勧めしている方法で、あなたの場合なら、「妻が夫の」「夫が妻の」立場に役割を変えて演じてみる方法です。夫は協力してくれないかもしれないので、空の椅子を置き、そこにあなたが座っていると思って、夫の役になったあなたが空の椅子に向かって声に出して語りかけてみてください。これをエンプティチェア法と言います。きっと夫が言いつのる原因が「私にもある」ことに気づいていただけることと期待します。

夫婦の関係はどちらか1人で築くものではないはず。夫がすごい勢いで理屈を言う前にあなたが起爆剤を仕掛けているかもしれません。それに気づけば、頭のいい夫さんのこと、きっとすぐ理屈で言い負かすのではなく、優しい言葉をかけてくれるようになると思います。
(文:大関洋子)

2014/01/16(木)
第42回【恋愛編】「堅実で失敗を嫌う彼」
【Q】
今の彼とは、友達の紹介で知り合い、付き合い始めて1年です。野球で言うなら、攻撃より守備を固めて失点しないで勝つみたいなタイプ。いつだったか「失点がゼロなら、負けはないんだよ」って言ったことがありました。その通りですけどね。付き合い始めてから、土日のどちらかは絶対デートをしているし、平日でも食事を一緒にすることがあるので、相当な回数会ってると思うんですけど、待ち合わせで私が待たされたことって一度もないんです。私だって結構早く行ったことあるんですよ。でも、必ず彼が待ってる。いつだったか「どれくらい前に来てるの?」って聞いたら「今、来たとこ」って。そんなわけないのに・・・。それと、朝と晩に毎日メールが来るんです。それも5分の狂いもなく。内容は、「おはよう」「おやすみ」くらいのたわいもないことです。最初は誠実で優しい人だなって思ってたんですけど、さすがにちょっと変じゃん、って気持ち悪く感じてきました。

【A】
面白くないですよねえ、こういう人。いるんですけどね、けっこう。野球だって敬遠のフォアボールで打者を歩かせちゃったり、ちまちま勝つための作戦を使う監督のチームとか面白くないです。そういう試合運びをする監督は、勝ってるのに観客動員がうまくいかず監督解任なんてなっちゃったりしてね。やっぱり長嶋野球ですよね(笑)

人間失敗してもいいですから、精一杯逃げずに戦ってほしい。生物の中で失敗が許されているのは人類だけなんですから。他の動物は、失敗は「死」を意味します。失敗するやつは生き残れない、失敗しないやつだけが生き延びる。結果、失敗しないやつの遺伝子だけが受け継がれ、ますます失敗しなくなる。ちょっと冒険してみようか?なんて考えるやつの遺伝子は伝わらないんです。渡り鳥だって、いつも行く島は面白くないから、別な島にしてみようかな?なんて考えて、別の島へ飛んでいけば、ほとんど死が待っている。よほど運がよくなければ生き残れない。うまく生き残ったとしても、種の保存は難しい。先祖代々やってきたことを踏襲する以外に種を継続することが難しいのが人間以外の動物なんです。私たち人間だけは、選択が許され、万一その選択に失敗したとしても、100%死が待っているわけではありません。むしろその反対に「失敗は成功の母」という諺さえあるくらいです。ノーベル賞を受賞した科学者たちの多くが、実験の失敗の結果生じた化学反応などからノーベル賞に結びつく結果にたどり着いたと発言していることからもわかる通りです。こういう失敗の数々を重ねて動物の中で唯一「人」という種だけが文明や科学を限りなく発展させてきているのです。

長々と書きましたが、要するに、今あなたが「何かちょっと変じゃん、って気持ち悪く感じてきた」その感覚は当たり前なんです。まさに彼は「人」という種の本質であるところの「選択し、失敗を繰り返しながら進化を遂げていく」という特性を持っていないということになるからです。もっとはっきり言うなら「おまえは人間かぁ?!」ということなんです!

朝晩の5分の狂いもないメール、一度も待たされたことのないデートは、はじめは確かに誠実な生き方に映るかもしれません。でも、たった一度きりの人生。こんな風に判で押したような毎日の繰り返しで生きていきたくありませんよね。起こるはずのことが起こらなかったり、起こるはずのないことが起こったり、それの連続が「人生」というもの。そのとき2人で力を合わせて臨機応変に対応しながら生きていく。それが人生の面白みではないですか。
1年で違和感を感じたあなた。彼はあなた向きの人ではなかったようですね!
(文:大関洋子)

2013/12/20(金)
第41回【職場編】「媚びを売る女に腹が立つ!」
【Q】
私の勤めている職場は圧倒的な男社会です。上司に指示された書類を作って持って行くと、男性社員のものは即OKが出るのに、私だと「いつになったらまともな仕事ができるんだ?!」と怒鳴られて作り直し。この前なんて、同僚の男の子が忙しくて作れなかった書類を代わりに作ってあげたんです。その男の子が上司に持って行ったらすぐOKになりました。真実を暴露してやろうかとも思ったけど、その子に食事おごってもらっちゃったし暴露はやめましたけど、ただの差別だっていうことがよく分かりました。でもまあ、それはそれで、同僚からは差別されてないし、女だからって差別できないくらいの仕事をしてやるぞって思うんです。私が一番腹が立つのは、そういう差別をする男に媚びを売る女。同僚にもいるんです。私かわいいでしょみたいなブリッ子しちゃって、平気で尻振っちゃうやつ。「おまえみたいなやつがいるから私が差別されるんだ!」って叫びたくなります。

【A】
そのお気持ちよく分かります。女性の中に内なる偏見があって、「男は度胸、女は愛嬌」とばかりに任侠ドラマよろしく振る舞う男や女がこうした差別を助長させているのはおっしゃる通りです。私たち女性でさえ心の奥深くに「女はこうあるべき」という「常識」が根っこを張っていて、これを変えるのは容易なことではありません。男女差別をしっかり感じて怒っているあなたは小さい頃から「女だから〜しなさい」とか「女だから〜してはだめ」と親から言われずに育った数少ない幸せな女性なのでしょう。

実は私たちが普段から生活のよりどころとしている「常識」の中には「男は〜であるべき」「女は〜であってはならない」などという思い込みや矛盾が潜んでいます。生まれてすぐ着せられるベビー服にしても女の子のものはピンク色でレースのひらひらやリボンがついていて「かわいく」できているし、与えられるおもちゃも女の子は人形、男の子は自動車というように。幼稚園でも制服のあるところでは女の子はスカート、男の子はズボン。
男の子なら言葉遣いが多少乱暴になっても「男の子らしくなってきた」と肯定的にとらえられるのに、女の子だと「女の子でしょ、そんな乱暴な言い方はやめなさい」。それとは逆に、転んで膝をすりむいたりすると女の子には「よしよし、大丈夫?」となるのに、男の子だと「男の子でしょ、泣くんじゃないの!」。数え切れないほどの「常識」が私たちの中に刷り込まれていきます。絵本の中では、おとなしくてかわいくて優して、台所仕事の好きなシンデレラや白雪姫は王子様がやってきて幸せになれるのに、荒波の中王子を助け、自ら王子を追いかける人魚姫は声を失い、最後は泡となって消えてしまう。

小学校に入学して、名簿が男女混合名簿だったという方はほとんどいないのではないでしょうか。1985年のナイロビ世界女性会議で日本の男女別の名簿が問題になりました。1986年に男女雇用機会均等法、1999年に男女共同参画社会基本法が制定されましたが、現実は法律に追いついていません。

あなたが職場で腹を立てているのはよく分かります。実際にはあなたの作った資料なのに男性のものと勘違いした上司がすんなりと受け取ったエピソード。ほんとに腹に据えかねます。一緒に腹を立ててくれる女性、最近は男女差別を不快に思っている男性も少数ながらいるので、そういう方たちと手を結んで、おしゃべり会からでいいので勉強会(勉強などとは言わずに、まず理解者を中心の飲み会という程度の)でも始めてみてはどうですか。できれば男に媚びる女性もご一緒に。頭を銃で撃たれたにもかかわらず、「女の私たちも勉強がしたいのです」と言い続けるマララさんの勇気をたたえながら。
(文:大関洋子)

2013/12/06(金)
第40回 【子親編】義父の行動は何のアピール?
【Q】
結婚してちょうど1年。まだ子どもはいないので、結婚前から勤めていた会社で、今も事務をしています。住まいは、夫の実家から車で15分くらいのところで、休みの土、日とか、どこかへ出かけてお土産を買ってきたときなどには、実家に顔を出すようにしています。両親ともとてもいい人で、すごくよくしてもらっていると思うのですが、私が行くと、義父は時間に関係なく必ずお風呂に入り、バスタオルを腰に巻いただけで私の前に座ったり、栄養ドリンクを飲んだりするんです。義父にそういう行動を取られると、早く孫を作れっていうアピール?って思ったり、私にモーションかけてるの?って、感じたりします。もしかすると私を嫁としてでなく、女として意識しているのでしょうか。確かに魅力的な男性ではあると思いますが義父は義父。私としては困ってしまいます。

【A】
ハハハッ!息子の妻にこういう行動をしてアピールするお義父様(おとうさま)も、それにうろたえて困っているあなたも、かわいい人ですね。あなたのお話からするとあなたの夫もお義父様の妻であるお義母様も何とも思っていない様子。もしかしたら自分の父親が妻を気に入ってくれているのをほほえましく思っていてくれる夫なのかもしれませんし、お義母様も取り立てて「まあ、お父さんたら、そんな格好、××さんの前でなさらないでください!」と本気でとがめるわけでもなさそうなので、暖かで和やかな家庭なのではないですか?むしろ彼の家庭ではお義父様の行動は別段、取り立てて変わった行動として目くじらを立てるほどのものではないのでは?
あなたの夫やお義母様の「困っている様子」は出てきていないので、「困っている」のはあなた一人のような感じがします。

実はこういう風に他者から見るとそれほど変だと取りざたされないのに、自分だけがその相手から好かれている?とか、憎まれている?とか感じてしまう現象を精神科医フロイトは、「投影」と呼んで、心の奥深い部分で自分が感じていることをあたかも「相手が感じていること」として受け取ってしまう心の状態と言っています。現にあなたも最後にポロッと「確かに魅力的な男性ではあると思いますが」とおっしゃっているところから、その確率は高いように思われます。仮にお義父様の行動があなたを女性として意識しての行動であったとしても、あなたの中に「魅力的な男性ではあるが義父は義父」というストッパーがかかっているのですから、あなたは節度ある行動を取っているはず。お義母様やあなたの夫が不快な思いをしている感じがない間は、あなたはあなたで「困った」と思いつつ、「困った」と思う自分の方が意識し過ぎているかもしれないという視点から、お義父様の様子を観察してみてください。視点を変えると「エッ?もしかして私?」という自分でもびっくりするような自身の無意識の意識に気付くかもしれません。

とりあえず、「困っている」のがあなたの意識の中でとどまっている間は、ご自分の意識を探索しながら、事を荒立てず様子を見ましょう。夫やお義母様がとがめ立てしないのであれば、自分の思い過ごしだったという解決の仕方もあります。その程度の距離間でお義父様が息子の妻に好意を持っていたり、あなたがお義父様を意識したりするのは、家庭円満の源にできると思います。
健闘を祈ります。
(文:大関洋子)

2013/11/22(金)
第39回【親子編】「いくら何でも父親を避けすぎじゃない?!」
【Q】
高校1年生の息子と中学2年生の娘がいます。夫婦仲も悪くはないし、親子関係もいいし、とてもいい家族だと思っています。でも、最近それが崩れそうになってきました。というのは、娘が極端に父親を嫌うんです。父親が入った後のトイレは除菌スプレーを持って入り、トイレ中にスプレーしてから入るし、お風呂は息子の後は気にしないのに、父親が入った湯船には絶対入らずシャワーだけ。流しのボールに父親が使った茶碗が浸けてあると、別なボールに水を張り絶対父親の茶碗と同じ水には浸けない。あまりにひどいので、はっきり聞いてみたところ「だってお父さん、臭いし汚いんだもん!」と言います。私から見たら全くそんなことはありませんし、息子もそんな風には思っていないと思います。2、3年前までは、一緒にお風呂に入ったり、一緒に遊ぶことも多かった子なんです。父親と娘は仲がいいという話をよく聞きますが、うちは全く逆なんです。

【A】
よくあることです。女の子の心理的発達の一つの通過点と考えてください。「男性」という性を意識し始めたことの表現で、「男性」の代表が父親なのでしょう。この年齢の女の子は極端に父親を避けてあなたの娘さんのような行動を取ったり、もっとひどくなると「お風呂で裸になるのも嫌」という子や「お父さんに話しかけられるのも、話しかけるのも嫌」と言って、一切口をきかない時期のある子もいます。人間は何の関心もない人には「好き」とか「嫌い」とかの感情は抱かないものです。強い嫌悪感を表す心の裏側、潜在意識の底には、相手に強い関心を抱き、相手から関心を持ってもらいたいという気持ちが存在します。娘さんも無意識に「男性」や「性」に関心を抱き、それが「父親」という対象に向けられたのです。高校1年生の「兄」は対象外なのです。「父親」は「母親」のパートナー、「母親」の「性」の相手と捉えているので、同じ家の中の男性でも「兄」に対しては嫌悪の感情を表さないのに、父親に対しては「これでもか、これでもか」というほどの態度を示します。本人もわざと意識してやっているわけではなく、内面のもやもやしたものがうまく表せず、極端な行動に出るわけです。初潮が始まり、毎月やってくる月経や胸の膨らみ、身体全体が丸みを帯びてくる自分の身体の変化に精神的な成長が追いつかず、戸惑っている時期なのです。

「お父さん、臭いし、汚い」というのは、実際に臭かったり汚かったりするのではなく「性」を汚れたものと感じ、それに関心を持つことへの恐れとか不安とかを表していると受け取ってください。夫婦仲も親子関係も悪くないということですが、子育ての中で小さい頃から「あなたは女の子だから」とか「女の子なのに」とか、「男は男らしく、女は女らしく」という昔ながらの価値観で性的役割の期待に基づいた言葉かけをしてきませんでしたか? また、「性」に関わることをタブー視してきませんでしたか? こうした伝統的、保守的なタイプの子育てをする子どもは小さい頃から性的役割を意識した行動を心がけるようになったり、「性」に関心を持つことを好くないことと思ったりする傾向があります。すると、思春期に「性」を意識し、関心を持つことに罪悪感を抱き、娘さんのような行動を取って、異性への関心を表現することがあるようです。

あと数ヶ月、叱ったりり問い詰めたりせず、そっと見守ってあげてください。クラスで好きな子でもできれば関心はそちらに移ります。お父さん(夫)とは、娘さんの行動の気持ちの「わけ」をよく話し合っておいてください。
(文:大関洋子)

2013/11/07(木)
第38回【夫婦編】「不妊治療してるんですけどセックスレスなんです」
【Q】
結婚して10年になります。夫は結婚直後から「子どもはほしくない」と言い続けていたので、私もほしくないと言っている夫を説得してまで子どもを作ろうとは思いませんでした。でも私も38歳。後がなくなってきた今では、どうしても子どもがほしいっていう気持ちが強くなってきたんです。夫に気持ちを伝えたら、夫も反対はしなかったんですけど、実は3年前からセックスレスなんです。セックスレスで子どもはできるわけないんですけど、産婦人科に相談に行ったら、いろいろ調べられて、「不妊治療をしましょう」って人工授精を勧められて…。妊娠だけを考えたら、私の年齢では当たり前なのかもしれないけれど、子どもがほしいていう私の気持ちって少し違うような気がするんです。

【A】
男性の性行為は、「種の保存(遺伝子のコピー)」が原点ですが、人間だけはコミュニケーションの大切な手段として発達してきました。「種の保存」としてのセックスは営みならば繁殖期にだけ性行為を行えばいいわけですが、私たち人間は排卵期にだけ性行為をするわけではありません。大型ほ乳類は、遺伝子的には私たち人間と従兄弟に当たるくらいの類似性がありますが、彼らも繁殖期には繁殖期であることが分かるよう雌のおしりが赤く腫れたり、仕草が変わったりします。雄は、外見からだけでも繁殖期と分かる雌と性行為を行うことで妊娠につながる仕組みになっています。最近の研究では、大型類人猿の種であるボノボは、種の保存が目的でない性行為を行っていることが分かってきました。友好、友愛を示す性行為を繁殖期でない時期に行って、親密度を深めたり、行為自体を楽しんでいる写真が発表されています。

さて、あなたのご夫妻の場合、愛のメッセージとしての性という点がすっぽり抜け落ちたまま種の保存、妊娠のみを目的とした人工授精に一足飛びに行く方法をドクターから勧められているわけです。あなたも「子どもがほしいっていう私の気持ちって少し違うような気がする」とおっしゃっているわけですから、まずは夫との話し合いをなさってはいかがでしょうか。なぜセックスレスになっているのか、どうすればそれが解消できるのか、そちらの問題解決が先だと思います。「夫も子どもを作るということは反対しなかった」とのことですから、あなたのことを嫌いになったとか、今後離婚を考えているとかいう、2人にとって危機的な状況ではなさそうですが、このままその点を飛び越して人工授精を行うことは2人の愛とか心とかいう目には見えないけれど大切なものに背中を向けて人生を歩いて行くことになります。

最近、私のカウンセリング研究所でもこのようなご相談がありました。実際にこういう形で第一子、第二子と出産し、子宝には恵まれたものの、何かずっと違和感があるということでした。

「いろいろ調べられて」とのことなので、ドクターとしてはセックスレスも「不妊」の一つと診断して、一足飛びに人工授精を勧めたのでしょうが、心理カウンセラーとしては、その前のご夫婦の話し合いをぜひ行っていただきたく回答申し上げます。
(文:大関洋子)