忍者おすすめの今週のお店

大宮製油合名会社
外観
歴史を感じさせるスクラッチタイルの建物。奥の母屋はさらに古い時代のものだとか。
 
店内
もちろん内装もレトロな味わい。おススメは香ばしさが魅力の「純胡麻油」と天ぷらにぴったりの「深入り胡麻油」
 
レトロな備品
いまでは貴重な量売り用のポンプ(右)。取材時にも近所の方が瓶を持込でいらしていました。当時のままの窓(左上)や銅版の棚や樽(左下)など細かな部分も必見
(お店の詳細情報・地図こちらをクリック!)

さいたま市大宮区大門町3−90
TEL:048−644−3225

大宮区役所からほど近い、スクラッチタイルのレトロな洋館。なんとこちら「大宮製油合名会社」さんは明治39年創業、老舗の油屋さんなのです。

こちら洋館はなんと大正時代末期から昭和初期に建てられたものだとか。なるほど歴史を感じさせるはずです。
現在はテナントビルと駐車場となっている場所には昭和43年までは工場があり、近隣の農家の方が菜種を持ち込み、油を搾っていたそうです。
また工場の煙突は大宮駅からもよく見え、地域のランドマーク的な存在になっていたようです。

かつては製造卸中心で、小売りは「近所の方に油の匂いでご迷惑をかけているから」ということで始めたそうです。
こちらのおすすめはドレッシングとしてもそのまま使える「純胡麻油」。野菜をサッと炒めるのに使用すると胡麻油の香ばしさが野菜にほのかに移り、食欲を増進させます。
胡麻油をベースに大豆油をブレンドした「深入り胡麻油」は、むかしなつかしの天ぷらの味を再現させてくれます。
「大豆油」はサラダ油に比べ、風味とコクが楽しめます。かつては灯りの燃料としても使用されていた「菜種油」は熱に強く、てんぷらなどがカラッと揚がり、安価で継ぎ足しが効くのが特徴です。
また油だけでなく、有機栽培として人気の菜種油の「油かす」の販売もされています。

また特に珍しいのがビンやペットボトルを持ち込んでの油の量り売り。量り売りに使用するポンプ自体がすでに修理することが難しいほどレトロなものですが、まだまだ現役。胡麻油を吸い上げると香ばしさが店内に広がります。胡麻油、大豆油、菜種油のオリジナルでのブレンドも可能なところもうれしいところです。

作家・太宰治氏が昭和23年に「人間失格」を書いていた時に滞在していたのがこちらよりほど近い場所とのこと。
同氏が見た当時の”大宮”を感じさせる数少ない場所として、現在はその歴史的なバックボーンがインターネットなどの発達で知られるところとなり、以前に比べ来店客が増えているそうです。
お散歩がてら歴史を感じに訪れてみてはいかがでしょうか。

(文:松本)

《2015年3月23日掲載》

「マイタウンさいたま」