


市内にある、ひときわ目を引く大きな三角屋根のカフェ。木のぬくもりに包まれたこの場所は、実は創業30年を超える福祉事業所が運営しています。地域に根差した福祉活動を行ってきた先代のお母様の想いを引き継ぎ、現代表が「人と人が自然につながる場所を作りたい」とオープンしました。
カフェの外には芝生の庭が広がり、「つながる窓」と名付けられた小さな受け渡し口では、子どもたちが踏み台を使ってソフトクリームなどのテイクアウトを楽しめます。さらに、広々とした多目的トイレや2階の個室スペースなど、小さなお子様連れや障がいのある方でも安心して過ごせる工夫が満載です。
このカフェでは、認知症や障がいのある方もスタッフの一員として働いています。接客が難しい方には、水やりや草取りなど無理のない仕事をお願いするなど、一人ひとりの「できること」を大切にしています。カフェがあるのは福祉事業所と小学校の間。地域で暮らす高齢者や障がいのある方々の存在が“当たり前”になる、そんな温かな環境が広がっています。
注目は、地域の好意で支えられている「恩おくり券」。これは、小学生以下の子どもが無料でソフトクリームを楽しめる先払いチケットで、すでに5,000枚以上が寄付され、約4,000人の子どもたちが利用しています。子どもたちが成長し、次の世代へ“恩をおくる”循環を生み出す仕組みです。
メニューも充実。世界大会受賞歴をもつシェフ監修の本格ナポリピザや、長野県産すずらん牛乳を使用したソフトクリーム、地元食材を活かした料理が味わえます。コーヒー豆は視覚障がい者の方が焙煎したもの。まさに「地域と福祉」がぎゅっと詰まったカフェです。
代表は「ここを通じて福祉をもっと身近に感じてほしい」と語ります。この三角屋根のカフェは、地域に生きるすべての人の「つながり」を育む、あたたかな拠点となっています。