大宮開成高校前に小ぶりなイタリア料理店があり、オーナーシェフの阿部達男さんが腕を振るっています。席数はカウンター席を含めて18。店舗は阿部さんがひとりで目配りできる大きさです。
料理はイタリア料理店だけにかなりしっかりしていますが、それでいてさっぱりしています。若い人だけでなく、ご高齢の方でもぺろりと平らげてしまうような料理がこのレストランの特長です。平成14年のオープン以来、このレストランに通うお客様は、「真面目な味だよねえ」と語ります。
阿部さんはいわゆる職人気質。料理一筋です。「本当はもっと経営のことを考えないといけないんですけどねえ」と苦笑します。その言葉には、意外な背景が。
阿部さんはさいたまの著名店で十数年修業した後、開業しました。今の場所にしたのは、自分の料理を修業時代からずっと贔屓にしてくれたお客様二組のことを考えてのことでした。「ここならあの人達が自宅から歩いて通える」と判断して決めたといいます。
そのお客様方への配慮は徹底していて、料理もその方々の好みの味付けにしてあるといいます。都内の一流レストランにも頻繁に出入りするご高齢のお客様は料理をする上で厳しい先生であったのだとか。高い要求水準に応え続けているうちに味が完成してきたのだと阿部さんは語ります。
もちろん、阿部さんはお店に訪れるお客様すべてに気を遣います。阿部さんは厨房からお客様の様子を窺いつつ、コミュニケーションを取りながら料理ひとつひとつを丁寧に作り上げていきます。
数多くのメニューの中からここでは「フォアグラのソテー、焼きリゾット添え」(1,260円)をご紹介します。焼いたフランス産フォアグラをリゾットの上に乗せた料理です。ソースはバルサミコとビンゴットをブレンド。甘味たっぷりのフォアグラが不思議なほどリゾットとソースにマッチした逸品です。一度食べたらまず忘れられない味です。「フォアグラを2枚重ねてくれ」と注文する人もいる名物料理ですので、ぜひお試しあれ。その他、気合いの入った料理を楽しめます。おいしいものに目がない方はまず予約をお願いします。