大宮区合同庁舎前の「とんがらし」はカップルでも家族でも居心地が良い、席数25ほどのお店です。
お店を切り盛りするのは笠松繁さん。フランス料理を経てスパゲティの世界に入りました。比較的新しい食材であった生麺に着目し、生麺だけを使ったスパゲティ専門店を始めたのは20年前です。
笠松さんが生麺に着目したのは生麺が乾麺よりもずっとソースとからみやすいためでした。もちろん自家製です。太さは1.8ミリ。通常の乾麺だと10分から15分を要する茹で時間は生麺の場合5、6分で済みます。十分コシがありますが、「生」らしいややもちっとした食感もあります。
当店の麺にはたまごを使った黄色い麺とほうれん草を使った緑色の麺の2種類があります。スパゲティには2種類が混ぜて使われています。試行錯誤の結果この2種の組み合わせが最も相性が良かったのだとか。
一番人気は「たらこのパスタ」(1,200円)。上質のたらことバターを使いソースを作ります(クリームは使っていません)。スープのように広がるたらこのソースと麺がよく馴染み、生麺の食感も相まって美味であります。人気メニューには「ゴルゴンゾーラと生ハムのトマトソース」(1,200円)も。これは文字通り麺とソースが一体となっています。
笠松さんはフレンチの出身だけにソース作りは念入りです。また、ケーキ作りにも余念がありません。それも「このような高価な材料を使って儲かるのか?」と仕入れ業者に心配されるほど質の高い材料を使い、丁寧に料理します。当然、自分でおいしいと思ったもの以外はお客様に出すことはしません。
お店にはカウンター席もあり、笠松さんの仕事ぶりをつぶさに見ることができるとあって人気です。しかし、カウンター越しにフロアを注意深く見ているのは笠松さんの方で、お客様がどんな食べ方をしているか注意深く見ながら個人店ならではのサービスをしています。実はお客様によって料理の味や分量が微妙に違っていたりするのですね。「何よりもこまめに手作り感を出していきたいです」と笠松さんは語ります。