土用丑の日にはうなぎですね。外で食べるなら「うなぎの街浦和」には選択肢がいくつもありますが、今回は浦和で最も歴史があるといわれる山崎屋をご紹介しましょう。
山崎屋は江戸時代の寛永年間(1624-44)には中山道沿いにあって何らかの商売をしていたそうです。それがうなぎやさんであったかどうかは不明なのですが、江戸時代後期の弘化年間(1844-48)にはうなぎやさんであったという記録が残されています。古ければいいというわけでもないのでしょうが、連綿と続き、代々受け継がれてきた蒲焼の伝統がこの店にあります。
では、山崎屋のうなぎにはどんな特徴があるのか。大変興味深いポイントですが、特徴がないと思われるほど癖がないことなのです。ふっくらと焼き上がったうなぎにさっぱりとしたタレ。オーソドックスという言葉がぴったりのうなぎです。山崎屋では、「確かな素材を使って、できたてをお客様に提供します。この、最も大切なこと以外、これといった特徴がないところが当店のうなぎです。」ときっぱり。逆に言えば、様々なお店におけるうなぎの特徴は、山崎屋のうなぎと差別化するために生まれたといっても過言ではありません。江戸時代から続く歴史の重み、伝統が「基準」を作り出しています。
うなぎは静岡県の共水特うなぎを始め、その時手に入る最上のものを使用しています。うな重には並1,785円、上2,205円、特上3,255円(以上税込)がありますが、うなぎの大きさが違うだけで味に変わりはありません。
それともう一つ。この店はお客様を通常、それほど長時間待たせません。うなぎやさんで30分から40分待った経験をお持ちの方は、気軽にうなぎやさんに足を運びにくいものですが、この店では平日のお昼時でも余裕をもって食事をできます。店主の椎名さんは「自分も待つの、イヤですから・・・。ある程度のロスは覚悟で、どんどん調理を進めていますので、お腹をすかせていらして下さい。」と語ります。
長時間待つことなく、さっぱりとした伝統の味を楽しめるため、連日食べに来るお客さんも少なくないとか。店内は全面禁煙ですから、せっかくのうなぎの香りを台無しにされることもありません。土用丑の日でなくとも足を運びたくなりますね。