見沼区の一角に150年前の納屋を改造したお店があります。広々としたお店はギャラリーとコーヒーラウンジに分けられていますが、お昼時にはコーヒーラウンジは満席、土日は並ばなければ入れないという大盛況ぶりです。
立地は特殊です。駅からは遠く、住宅地からも離れています。周囲の人通りもまばらで、事実上畑の中にあるといっても差し支えない場所なのです。それにもかかわらず、お店の駐車場はぎっしりで、ナンバーを見ると都心から高速道路を飛ばしてきた人もいるようです。
このお店はホームページ以外の広告を出したことがありません。それにもかかわらず、開店当初から大評判で、14年経った今もお客さんを魅了し続けています。
お店に入るとグランドピアノが出迎えてくれます。ここから先は周囲とは隔絶された異空間です。もとが納屋であるだけに太い柱、土壁が目を引きますが、照明を巧妙に使った店内は安らぎと落ち着きを感じさせます。
ギャラリーには陶芸作家による焼き物、ガラス、雑貨などが展示されています。ギャラリーはおよそ2週間毎に入れ替わりますが、2年後まで予定がびっしり。また、コーヒーラウンジではコーヒーはもちろん、地元の旬の野菜などの食材で手間暇をかけて作った料理やケーキ・デザートを楽しめます。
ランチには雑穀米膳(1,050円)やパンプレート(天然酵母パン使用、1,050円)が大人気ですが、自家製ケーキやデザートも人気を呼び、どんどん売れ切れてしまいます。
お店を経営するのは前田康行さん。陶芸家である奥さんが自作を展示しようと思い立ったのが開店のきっかけだったとか。ご夫婦ともに商売は素人でしたが、「人の真似をしなかった。面白いことをしたかったし、ここに来ればワクワクできるようにと考えました」と語ります。その思いは今も変わらず、絶えず工夫を重ねてお店を経営しています。
一度あなたも「温温(ぬくぬく)」に足を運んでみて下さい。ひとときであっても日常生活を忘れられますよ。