浦和近辺で「土合やぶ」を知っているのは、地元に詳しい人かもしれません。このお店は大通りに面しているわけではなく、住宅地の細い路地沿いにあるのです。しかも、通りからは店の入口が見えません。看板も探すつもりで見なければ気がつきません。この店のことを知らなければ、どんな人でも通り過ぎてしまうでしょう。
しかし、おそるおそるお店の入り口に近づくと、すぐにこのお店に引き込まれます。立派な玄関を通り抜け、座敷に入ると、大きな1枚板のテーブルがいくつか置かれています。そこにちょこなんと座っていると、何となく別の世界に来たような気になります。部屋はとても静かです。
肝心のそばを注文しましょう。土合やぶのそばは驚くほど麺が細く切ってあります。その細さはあきれるほどです。そばをつゆにつけている間に、麺があっという間につゆを吸い込んでしまいます。また、食べないで時間をおいていると麺がくっついてしまいます。だから、そばが出されたらすぐに食べなければいけません。
店主の田口宣仁さんにこのそばの秘密を尋ねてみました。「すぐに召し上がっていただきたいのでこういう細い麺にしてあります。そば粉は北海道、信州、会津、茨城のものを使っています。そば粉10に対して割粉が1の割合ですが、ひき方が粗いため、こうした麺になっているのです。」
土合やぶは平成4年に土合から白幡に移転して来ました。昔からのお客さんが新しい店に着いてきたそうです。しかも、人がほとんど通らない住宅地を選んで開店しました。田口さんは「大きな通り沿いで商売をすれば、お客様にゆっくりしてもらえません。食べ終わったお客さんがせわしく出ていかなければなりません。そういう商売はしたくなかったのです。」と言います。そんな考えをお持ちの店主ですから、この店で相席はありませんし、ゆっくりとくつろげるようになっています。
そんな田口さんは大のお酒好き!店内には日本酒、焼酎、ワインがたくさん秘蔵されています。それも銘酒ばかり。お酒のつまみも各種用意されていますから、左党にはたまりませんね。静かにお酒を楽しんだ後にはもちろん美味しいそばが待っています。これも「もり・かけ」(700円)、「ざる」(830円)、「天ざる」(時価)、「鴨汁うどん・そば」(1,350円)などから選べます。細い麺を心ゆくまでお楽しみ下さい。