


大宮駅開業当時から、130年の歴史を有する「田中屋呉服店」さんをご紹介します。
近江の行商人から大宮で起業したのが明治22年。以来、地域の発展と共に営業を続け、現在は4代目が店頭に立っています。
常に多くの人で賑わう大宮銀座通りにあって、ひときわ目を惹く木造二階建ての日本家屋。通りの喧噪もあって、商家風の造りの店内に入るとタイムスリップしたかのようです。
お店には数点の着物以外は反物がずらりと置かれています。
これは、既製品を扱わない同店ならではの光景で、着物をファッションとしてだけでなく生活の一部として捉え、身に付ける方の体型はもちろん、生活スタイルなども考慮の上で生地や織り方を決め、仕上げていくためです。
「先代が仕立てた着物を、譲られたお孫さんが持ち込んできて、私が羽織に直したりすることもあります。」と4代目が語る通り、本来着物は様々に仕立て直したり、色を載せたり刺繍をし直したりと、自在にアレンジできるため、「究極のリサイクル」と言える「布地の文化」でもあります。
このような対応のできるお店は今では少なくなってしまいましたが、それゆえに遠方から来店される方も多く、歌舞伎の役者さんや相撲の呼び出し、落語家さんや踊りやお茶の先生などなど、多彩な職種の方が訪れます。
日本の伝統文化としての着物について、歴史や由来などを教えてもらえるのも嬉しい点で、例えば「着物を着ると動きづらい」と感じるのは、「着物が体に合っていない」だけではなく、「自分が着物に合った動きが出来ていないから」で、いきなり着物の着付けをするより、まずは浴衣などから入って、動きに慣れてから着物を着た方が良い、などのアドバイスもいただけます。
20代や30代の若い人が着物文化に興味を持って来店されることも増えているそうです。
世代を超えて、様々な場面で着物を粋に着こなす姿が見られるようになったら素敵ですね?